少し前になりますが、5月12日に第1回全人的医療実践ワークショップが日内会館で開催されました。そのワークショップに、日本内科学会の全人的医療ワーキンググループの一員として、ファシリテーターとして参加しました。
日本内科学会の全人的医療ワーキンググループについて、まず説明します。以下、ホームページからの引用です。
目的:医療技術の進歩による寿命の延長、患者の高齢化による多疾患併存、社会状況の変化に伴う患者の価値観の多様化、逆に細分化された専門医療、終末期も含め病期に応じた適切な医療の選択の困難さなど、現代医療は、患者の生き方を支える医療という観点から振り返ると、対処すべき課題が山積しています。特に、医療はサイエンスとアートから成り立つとされますが、内科において、サイエンスに対する理解に比べ、臨床・教育・研究におけるアート領域についての議論は深まっていません。このたび、日本内科学会・専門医部会では「全人的医療」をキーワードとして、様々な課題を整理し、個々の課題に関する臨床実践のためのスキルを提供することを目的としたWGを結成いたしました。当WGでは、医療におけるアートの視点も取り入れながら学際的に議論を行い、内科医が患者を全人的に治療し、ケアするために必要な具体的な方法や態度を学修する教育機会を提供します。
上記の目的の中で、日本内科学会から公募があり、応募したところ、WGのメンバーに選出されました。メンバーは6人で、強力なオブザーバーの助けをかりながら、活動をしてきました。まずは、全人的医療とは何か、このWGでどのようなことを行っていくのかを繰り返し議論しながら、1年ちょっとの準備期間を経て、今回、初回のワークショップまで辿りつくことができました。ワークショップの内容は以下の通りになります。25名の参加者を得ることができ、ありがたいことにアンケートでも高い満足度の評価をいただくことができました。まだまだ、このWGの活動ははじまったばかりですので、今後の展開が楽しみです。
WSの目的;日々の診療で全人的医療を実践するために、病む人の「存在」に深く配慮し、適切に援助をする方法や態度を身に付ける
- 「問題解決モード」と「物語モード」との視点の違いを深く理解し、それぞれの特徴について説明できる。
- 診療中に「問題解決モード」と「物語モード」を必要に応じて行ったり来たりできる。(モードチェンジ)
- 患者の存在に配慮し、双方向性の“語り”を担う聴き手の役割を理解し、そこにいることができる。
当ワークショップにおける言葉の定義:
「全人的医療」:医学的な援助と同時に、病む人の「存在」に深く配慮し、適切に支援できる医療 「問題解決モード」: 患者の疾病に伴う課題を特定し、解決することに焦点をあてアプローチすること 「物語モード」:患者の病いによる苦悩を、その意味の視点から捉え、配慮すること
ワークショップ当日の概要:全体のレクチャー、少人数のグループワーク(ロールプレイ)2つ、全体討議等を行った。
ご興味のある方はぜひ、ホームページを参照ください。
https://www.naika.or.jp/fjcp_top/zenjin-wg/