もうひとつのメインイベントは、久住山登山です。久住山は九州の最高峰のひとつです(隣の中岳の方が数メートル高いことが分かっているのですが、久住山の方が圧倒的に人気があります)。最高峰といっても、なだらかな九州の山のことですから、1786.5mですが。学生のころ、山岳部員だったいとこに誘われて登ったのが最初で、それが良かったものですから、何回か登っていますが、最後に登ったのは、これも25年以上前のことになります。
宿を朝早めに出て、まず登山口の店で山賊おにぎりというのを買いました。自分では30代のつもりでも、脚力は25年前とは違っているでしょう。無理のないペースで余裕を持って、また当然ですが、駄目だと思ったら下山の余力が残っている時点で引き返すことを決めて、登りはじめました。はたして山頂までたどり着けるでしょうか。
まず、沓掛山という小さな山を越えます。この辺は足の運びも軽快です。昨日も雨で、滑り安くなっている場所も多いので、注意しながら登って行きます。振り返ると、遠くに高原が見渡せます。左上の方にトンボが写っているのが、分かるでしょうか。
しばらくは尾根伝いに歩き、西千里浜と呼ばれる比較的なだらかな草原に出ます。小鳥のさえずりが聞こえ、いろいろな花も咲いています。ようやく遠くに山頂が見えてきました。
山頂が近づいてきます。もうすぐ山頂。このあたりになるとガレ場が続き、ただでさえ歩きにくいのに、足と頭が疲れて来ているのが、分かります。初めほど足が上がらず、自分では同じように歩いているつもりなのに、つまずきがちです。集中力もなくなってきているようです。近づいたはずの山頂が、はるか遠くに感じます。ここでギブアップすることが頭をよぎります。こうなったら、計画だとかペース配分だとかは、役に立ちません。とにかく、目の前の一歩一歩に集中して歩くしかありません。そうやって一歩ずつ歩いているうちに、いつの間にか、気持ちの疲れは感じなくなりました。一番苦しいところは、乗り越えたようです。
ついに山頂!!!
山頂で休息をとりながら、しばし感慨にひたっていると、急に霧がかかって来ました。昨日も午後から天気がくずれているので、あまりゆっくりもしていられません。山頂はゴールではなく、マラソンで言えば、折り返し点です。
少し下った久住別れと呼ばれる場所でお弁当。昔、山で食べたお弁当は、いつもおいしかった事を思い出しました。さらに下山していく途中、腿に少し筋肉痛を感じます。登山口までは十分もってくれそうな程度ですが、ペースは落とさざるを得ません。振り返ると、霧で山頂はもう見えません。
登山口に着くすぐ手前で、雨が降り始め、車に乗り込んでしばらくすると、激しい雨になりました。横浜でも激しい雷雨はときどきありますが、程度が全く違います。あっという間に、道路は浅い川のようになり、タイヤで水を飛ばしながら走りました。下山が少し遅れていたら、とても歩ける状態ではありません。安全な場所を見つけ、何十分も濡れながら雨がやむのを待つしかなかったでしょう。
前日の星空といい、この日の登山といい、天には感謝するばかりです。ひとつでも実行できればと思っていた計画を、すべて行うことができました。それも、計画したときに想像していた以上のすばらしさでした。来週から、また仕事に全力を尽くす自信が湧いてきましたし、そうしなければ、天に申し訳ができません。