横浜市都筑区耳鼻咽喉科

南山田(センター北と北山田の間)の耳鼻咽喉科院長のブログ。

3区耳鼻咽喉科医会 抗ヒスタミン薬

2010-09-17 10:39:48 | 院長ブログ
 昨晩は、都筑区、青葉区、緑区、3区の耳鼻咽喉科の集まりがありました。
 昭和大藤が丘病院の金井憲一准教授の講演は興味深かったです。抗ヒスタミン薬(たいていのアレルギーの薬はこれです)がなぜ効くかというお話と、さまざまな副作用のお話でした。

 最近はテレビのコマーシャルでも、ヒスタミンというアレルギーで最も重要な化学伝達物質が受容体というものにくっつかないように、薬がブロックすると宣伝していますが、ヒスタミンには、その場で症状を起こすだけでなく、受容体を増やしていく働きもあることがわかってきました。受容体が増えれば、アレルギーは重症化します。
 簡単に言うと、アレルギーの症状があるのに治療しないでがまんしていると、そのときつらいだけでなく、アレルギーが重症化していくのです。抗ヒスタミン薬には、そのときの症状をやわらげるだけでなく、受容体が増えるのを防止し、アレルギーの重症化を予防する働きもあるのです。
 花粉症の薬を、花粉が飛び始める1-2週間前から飲んでおくと症状が軽くてすむ理由も、受容体が増えるのを防止できることが、大きいようです。

 薬の添付文書(製薬会社の説明書)を見ると、非常に多くの注意事項が書かれています。それらをすべて厳密に考えると、抗ヒスタミン薬は、幼児と40歳以上の人を除いた若い健康な人で、かつ車の運転を全くしない人しか飲めなくなりそうなぐらいです。それでも医者は添付文書を無視できません。できるだけ副作用を少なくし、かつ最大限の効果が得られるように、その患者さんにあった薬の種類と飲む期間を考えます。当然のことですが、薬を処方するということは、重大な責任を伴うことで、多くの知識と経験が必要であると、改めて思います。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする