私の出身校の進学課程(はじめの2年間)では、英語、ドイツ語、フランス語、ラテン語の4カ国語が必須科目でした。そんな短期間で4カ国語をマスターできるはずもなく、学生当時は無駄なことをやるものだと思っていましたが、その言葉の持つ雰囲気を知っただけでも、意味があったのではないかと、今になって感じています。
先日観たフランス映画のタイトルのintouchablesについて、英語だとuntouchableアンタッチャブルだと書きましたが、そっくりな言葉です。英語はもともといろいろな言語を源にした言葉で、その単語の語源がフランス語、さらにその元はラテン語だということがしばしばあるというのは知っていましたが、調べてみるとtouchもableもそうなんですね。
昨日も書いたように、この映画は事実に基づいたストーリーです。原作に当たる本は、映画の主役のひとり、障害者の富豪にして貴族の末裔のフィリップが書いた、le second souffle/diable gardienという本です。ここでもsecondは、英語の語源で同じ意味ですね。souffleは息という意味ですが、英語翻訳版のタイトルがa second windですので、2番目の風、新しい風という意味でしょうか。ふたりが出会い、両者ともが新しい人生を始めるという意味だと思います。
フィリップがつけた本のサブタイトルのdiableは悪魔という意味です。gardienは英語のguardianなので、保護者という意味。英語のguardian angelは守護天使ですから、diable gardien は守護悪魔ということになります。スラム出身の青年は、フィリップにとって単なる介護人以上の存在になりましたが、とても天使という柄ではありませんでした。
今夜は、学生時代以来、数十年ぶりにフランス語の辞書を見ました。
日本でも英語版の翻訳だと思われる、セカンド・ウインドという本が出ています。実は、ちょっとたどたどしい感じの翻訳なのですが、私はフランス語版はおろか英語版も読破できないでしょうから、そんなことを言ってはいけません。ありがたく読ませていただいています。