貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

トパーズ(苗木・高取山)

2023-07-26 21:28:44 | 国産鉱物

トパーズというのは、あちきにはよくわからん石でして。
石集めを始めた頃、五反田さんで淡いピンクのオウロ・プレト産「インペリアル・トパーズ」お手頃価格品を買ったのが最初。その後、びっくりするほど鮮やかな放射線処理「スイスブルー・トパーズ」とか、人工蒸着の「ミスティック・トパーズ」とかの、加工処理品を買った。
けれど、無色透明の王道トパーズは持っていなかった。時折目にはするものの、魅力がよくわからなかったから。

ツイッターには時折、ハンターさんたちがけっこう大きくて透明なトパーズを掘り当てたというツイートがあって、すごいなと思ったけれど、トパーズ自体の魅力はぴんと来なかった。
透明な輝き、縦の条線、きりっとした結晶の姿……うむ、まあね。

このところヤフオク国産鉱物鉱山を漁っていたけれど、トパーズはあんまりない。
トパーズ・ハンターさんたちは市場に出さないのか。「噛みつかれるからSNSには上げない」という話もある。「それトパーズじゃあない」「許可取ってるのか」「場所教えろ」とか言う人たちがいるらしい。売りに出す時も同じなのかもしれない。
まあいいかという思いと、トパーズの魅力にぶち当たってみたいなという思いが交錯していた。

     *     *     *

トパーズ Topaz の名は紅海の島トバゾスからで、古代にはペリドットを指したらしい。いろいろ説があるけど鬱陶しいからどうでもいい。
和名は黄玉。「おうぎょく」であって「こうぎょく」ではない。サファイアの「鋼玉」、翡翠の「硬玉」とまぎらわしいですな。
国産鉱物マニアは「トパズ」と表記するみたい。明治時代の日本人はギリシャ語まで遡って「トパゾス」と呼んでいたらしい。おやおや。かつての日本では美しい結晶がたくさん採れ、欧州でもてはやされたとか。

Al(SiO4)(F,OH)2。単独派(ネソ珪酸塩)できわめてベーシックな鉱物。一応含水鉱物。
硬度8で水晶7より硬い。比重は3.4~3.6で水晶の2.7よりずっと重い。
屈折率は無色系が1.609~1.617、オレンジ系が1.629~1.637。1.55前後の水晶より高い。分散度は0.014で水晶の0.013とほぼ同じ。

ちなみにインペリアル・トパーズはなぜ「インペリアル」なのかというと、そもそもは19世紀にロシア・ウラルで産したものを言い、皇帝一族のみが所有を許されたものだからだそうで。その後ブラジルのオウロ・プレトで産するオレンジ色のものを言うようになり、さらに現在はピンク系のものに広く使用されるようになっている。とのこと。

     *     *     *

と前置きが長ーくなってしまいました。
で、ようやくゲットしたのがこれ。中津川市苗木産。

小さくてお安い。けどクラックとがたがたした断面のおかげで、光がきらきらして、時折色も浮かぶ。
ううむ。ちょっと水晶とは違う輝きですねえ。うまく把握できないけど、とても魅力的。

そしてもう一個、茨城県東茨城郡城里町高取山産。
これがですねえ、水晶の表面に小さなトパーズがくっついているんです。


へえ、こんなんあるんだ、と感心しました。こういうのよくあるんですかねえ。
水晶はかなり透明、それにちびちびのトパーズが群がっている。よく言われる「水晶は横の条線、トパーズは縦の条線」というのがよくわかる。トパーズは少し濁りがあるけど、独特の質感。全体としてきらきらしてとても美しい。
これはミニミニサイズの分離結晶。トパーズ付き水晶とセット売り。右上のもので7ミリくらい。


     *     *     *

さてそれで、トパーズの魅力はわかったのか。
いやあ、トパーズは愛好家がいっぱいいるから、わかったなんておこがましくて言えませんわ。実際、たぶんもっと深い味わい、魅力があるのでしょう。

そう言えば、ツイッターで読んだ投稿に、掘り立てのトパーズは、ほんのり黄色だったり青だったりと驚嘆するほどの色味があるのだけれど、置いておくと消えてしまう、という話がありました。ふうん、そんなことがあるんだあ。
ひょっとすると、トパーズは「見る石」ではなくて「掘り当てる」石? なんてね。
大きくてピカピカの結晶を山で見つけたら、そしてそれが神妙な色をしていたら、その魅力に取り憑かれてしまうでしょうね。

トパーズ・ハンターの皆さん、たまには市場に出してくださーい。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿