貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

さらば五反田

2022-09-23 09:22:23 | 漫筆

クリスタルワールド五反田TOC店。東京卸売センタービルが近く建て替えされることになり、9月25日で閉店。御徒町へ移転。
ほんとにこちらのお店には短い間ですがお世話になりました。新米なのでいろいろな石が欲しい。だから高いものは買えない。そんなあちきは、こちらであれこれ購入いたしました。
ちょっと鉱物マニア向けっぽい店づくり。美麗で高額な結晶を集めてというタイプではない。けどとにかく安い。100円200円からある。これは150円のゾイサイト・アクチノライト。



ちょっと暗い、倉庫のようなお店で、「なんか面白いものないかなあ」と探るのは、とても楽しい時間でした。2時間くらい平気で経つ。その後シロクマカレーを食べて屋上で自販機のコーヒーを飲む。実に幸せな時間でしたねえ。涙。(うそつけ)

で、最後の四日間は50%オフセール。突撃せずにいられようか。石禁かなあなんて思っていたのだけど、こりゃ論外。事故みたいなもんだ。(勝手な理屈だな)
9月頭から30%オフだったので、だいぶアイテムは少なくなってきていた。でも、お目当てのいくつかは残っていてラッキー。つづく。


ロゼライト

2022-09-18 09:19:35 | ややレア

クリスタルワールド立川店さんのツイッターで新入荷商品が告知されていて、その中にロゼライトがあったので、行ってみた。で、けっこう大きな結晶がついているものが比較的お安くあったので購入。(石禁じゃなかったのかよ) クリワさんは(いいのかその略称)立川も五反田も、美麗結晶派ではないけど珍しいものを安く売ってくれているので嬉しい。
モロッコ産。







強い光を当てると、素晴らしく美しい赤が出る。飛び出している複合結晶は1センチくらいあって、にこにこ。(何だよその形容は)

ロゼライトは、コバルト含有の砒酸塩鉱物。Ca2(Co,Mg)(AsO4)2・2H2O。名前は人名由来でバラのローズとは関係ない。同じくコバルトの砒酸塩にエリスライト(コバルト華、Co3(AsO4)2・8H2O)がある。
エリスライトは濃くて少し紫がかった赤が美しい鉱物で、ごく稀に出る美麗な結晶標本は唖然とするほど美しい。けど、だいたいは母岩に小さな結晶がへばりついているもの。通常光では黒っぽく見えるので、もひとつぱっとしない。そして高い。ちょっと欲しいなとは思っていたのだけど、手頃値で美しいものなんてないので、あきらめていた。
ロゼライトは、見た目はほとんどエリスライトと同じ。そしてけっこうレア。貧石価格内で買えたのはラッキーでした。

     *     *     *

さてこのコバルトというやつ、ややこしい。
コバルトという名前は古代ギリシャの山神コボロスに由来。コバルト鉱物が精錬を妨害するのは山神の悪戯と考えられたからだという。なおウィキペディアにはドイツ語の地の妖精コーボルトに由来とある。どちらが本当かは知らない。ドイツ人は蛮族の末裔のくせに時々古代ギリシャの末裔みたいな振りをしたがるのでけしからん。(おいw)
で、古代からコバルトを含んだ岩石粉が、ガラスや陶器を色づけるために利用されてきた。かの有名な「呉須」というやつ。ガラスもやはり青くなるらしい。だからコバルトというと青を思い浮かべるけれど、本来のコバルトは薄いピンクを帯びた銀白色。そして鉱物としてはエリスライト、ロゼライトのように赤くもなる。
コバルトカルサイトも赤紫色。

こうやってアップの写真だと美しいけど、廉価品なので実際はごく小さな結晶であまり見栄えはしないのです。

コバルトは青なのか赤なのか。はっきりしてくれい。(そんな無体な)

コバルトというとガンマ線を放射する恐ろしい放射性物質コバルト60が連想される。実用化されなかったけどコバルト爆弾なんていうスーパー核兵器もあった。合金は超近代兵器のミサイルなどの必需品。恐いイメージが強いですなあ。
けれど必須ビタミンであるビタミン12はコバルト含有。つまりコバルトが切れると人間は死ぬらしい。は? あちきの体にもコバルトが入っているわけ? 人間というのは変な生物ですなあ。

コバルトの最も重要な鉱石鉱物はコバルタイトで、CoAsS、鉄・ニッケルなどを少量含む。桃色を帯びた銀白色。スマルタイト(CoAs2)というのもある。どちらもがちがちの成分ですね。エリスライトやロゼライトはそれらが分解されてできた二次・含水鉱物。これも水が作った鉱物ですわな。

コバルトを含んで、砒酸塩で、ときわめて珍しい石。いかにも妖しくて、ぞくぞくする石です。


「推し」石3つ

2022-09-14 20:01:01 | 漫筆

ブログ1周年ついでに。
まだまだ新米なのにおこがましいですけど、これまでの歩みを振り返ってみて、「この石は『いいですよお』と宣伝したい」というのがいくつかあります。今風に言うと「推し」ですかね。

第一は、やっぱり「レインボー・ムーンストーン」。
個体によって差異はあるけど、透明で多彩な色が浮かぶものは、実に素晴らしい。オパールのような派手さはないですけど、ぼわあっと揺らめく色彩がとても幻想的。カット石よりカボッションの方がいいとあちきは思います。
これは新宿紀伊国屋内東京サイエンスさんで購入のもの。諭吉手前とお高かった。

「ブルー・ムーンストーン」も美しいですけど、よほどいいものでないと「おおすごい」とはならないかも。

第二は、「プレオクロイック・コーネルピン」。
透明で方向によってカラーチェンジするもの。あまり知られていないようですけど、その色の揺らめきは素晴らしい。
ただし稀産で高い。これはKARATZさんで、やはり諭吉手前。



方向変色しないコーネルピンもきれいですけど、多色性を見せるものは別物。

第三は、「高等明度翡翠」。
独特の質感が魔力を持っていますね。ロウカン、氷翡翠、ラベンダーなど、色もとりどり。いいものはとんでもなく高いですけど。
これは夕星庵さんで購入の「ややロウカン」。3000円弱とお安かった。




個人的にはアイオライト、アンダルサイト、アキシナイトといった方向変色を見せる石が好きですけど、これらはちょっと地味すぎて、人に勧めるのはいささかためらう。
ブルードロマイト、ブルーシェーライトはややレアで美しいけど、やっぱり地味かな。

世に人気なのは、(お囃子調子でどうぞ)
「フローライトか水晶か それともサファイアトルマリン」(ハ、ヨイサヨイサ)
みたいですけど、まあそれはそれで。あちきなんかがどうこう言う筋合いのものではない。フローライトと水晶はその2つだけで石市場の8割くらいを占めるのではないかみたいな感じですね。
人気レアストーンのエレメーエファイト、フォスフォフィライト、ユークレースなども確かに美しいですけど、まあ言わずもがな。
若干それらよりはマイナー気味で、賞揚したいというのは、この3つです。


1周年

2022-09-13 12:00:00 | 漫筆

ブログ開設から365日になりました。(おめでとさん)
お花のかわりに、たぶんうちで一番美しい結晶。アメジストフラワー。



ぱーん、ぱーん。花火の音です。(大げさな)
貧老につき何にもプレキャンはありません。(ブログではしないだろ普通)
ひと月坊主で終わるかとも思ったけど、よく続いたもので。(まったく)
記事数215。よくしゃべったもので。(まったく)。
大したものはないけど数はある、というのはあちきのコレクションと同じかな。(まったく) おい。
これまで集めた石の数は500くらい、種類は180くらい。多いか少ないかは知らない。外から見ればガラクタの山かもしれないけれどあちきにとっては至上の宝物。

     *     *     *

ブログをやってきて、面白くおべんきょしたこともあります。
石はどうやってできるか
カルサイト・アラゴナイト問題
バイキングの羅針盤
地球で最も多い石
地上で最も古い物
花崗岩は意外と奥が深い
日本最初の石コレクターは誰か
どれもびっくりしながら書いたもの。石はいろいろなことを教えてくれる窓でもありますね。

     *     *     *

ちょっと不思議なのは、1年やってきて、コメントがひとつもないということ。
以前に違うテーマのブログをいくつかやったことがありますが、いくら人気がなく訪問者が少なくても、「荒らし」も含めてちょこちょことはありました。けど、今回は静寂そのもの。
よく「石好きはいい人が多い」なんて言う人もいますけど、温和でおとなしい方々が多いのは確かかもしれない。(君は違うんじゃないかね?)
まあジジイに構っても仕方ないということかもしれません。静かなのはありがたいことであります。

「限界効用逓減の法則」よろしく、だんだん「うわお」と思う石は少なくなってきましたけど、それでも不思議なことに「これ欲しい」と思うものは次から次へと現れるもので。
これからもぽちぽちと何か書いていくつもりではあります。お暇な折にご笑覧ください。<m(__)m>


黒部の孔雀石

2022-09-11 21:37:14 | ややレア

とんでもないものがやってきました。

黒部の孔雀石。といってもマラカイトではない。地元でそう呼ばれているとのこと。組成的にはアゲートないしはジャスパー。

信州富士見の名取貴石さんのサイトで見て、何か面白そうで高くなかったのでぽちっ。
ほとんど知られていないのではないでしょうか。超レアストーン、というのは大げさだとしたら、超ローカルストーン。ネットで調べたところ、扱っているのは名取さんとその姉妹店の岐阜・キラリ石さんのみ。
包みを開けてびっくり。でかくて重い。237グラム。いかにも岩石らしい岩石。
ぱっと見は暗い色で、うーむと思ったけれど、強めの光を当ててみたら、唖然。











いやすごいですねえ。

現在、キラリ石さんに原石と磨き石が出ています。でも写真で見る限り磨き石はちょっとどんよりした感じがある。もしかしたら原石のままのほうが鮮やかさが出るのかもしれません。
ちょうど今日行ったミネラフェスティバルで「泉」という翡翠の石屋さんが出ていて、糸魚川産の「ロウカン」を見せてもらいました。素晴らしい色だったのですが、お店の方が言うには、「磨かない前のほうがすごかった」と。案外そういうこともあるのかもしれません。いや、もちろん磨き石は磨き石で美しいですけど。

こういう「ローカルストーン」岩石には、たとえば米国ノースカロライナ州ユナカ山地でのみ産出される独特の花崗岩「ユナカイト」なんかがありますね。そこでしか出ない、という。黒部孔雀石もその類のものと言えるのでしょう。
もう少し通常光でも鮮やかな色が出れば、もっと人気の石になるのかもしれません。
でもすごく魅力的な石です。