植村邦彦「市民社会とは何か」読了。アリストテレスの定義から、ルソー、スミス、ヘーゲルを経て、マルクスへと、その時代時代の状況に合わせて定義が変わった過程を丁寧に解説した、とてもわかりやすい名著。
そして、自助(自己責任)の新自由主義時代の現代は、政府が公助(社会保障や福祉など)を削る穴埋を自助と共助(家族からNPOの活動など様々)が補完する公共的活動を意味するようになってしまった「市民社会」。結局、よりよい社会を目指して、他人と協力する公共的な場が不可欠なのであるが、その場を市民社会と呼ぶにはあまりに歴史的定義と違う。