「大分トリニータ J1昇格 おめでとうございます!」
大分トリニータに関わる全ての皆さん、J1昇格本当におめでとうございます。
11月17日に行われたアウェー山形戦に行ってきました。
選手も監督もスタッフも、もちろん私たちサポも涙、涙、涙のフィナーレでした。
そんな感動を伝えきるほどの力はありませんが、その時の雰囲気を少しでも共有できれば、と思っています。
今回も試合と観光の2回に分けて書いていきます。
山形遠征(その1) 第42節(アウェー)山形vs大分 1-1 J1昇格おめでとう!
山形遠征(その2) 観光(松島、蔵王、山寺、クラゲ水族館、青葉城)
まずは11月17日に行われた最終戦からです。
遠征に出発する前日、臼杵の”福良天満宮”にいつものように必勝祈願に行ってきました。
今回で42回目。
今季の最初にしたお願いは
「最終的にはJ1へ。しかしまずは(残留ラインとなる)勝ち点45!」でした。
しかし勝ち点45を突破した時から「必ずJ1に行かせてください」に変わっていきました。
/////////////////////////////////////
2018年11月17日 最後の決戦の地 ”NDソフトスタジアム山形”に到着。
大分から1300Km離れた場所です。
初めての東北。
自走車中泊も考えましたが、11月の東北を知らない私には荷が重すぎました。
そこで飛行機を使い大分から名古屋、乗り継いで仙台、最後は電車で山形への安全なコースを選ぶことにしました。
仲間と落ち合い、まずはスタグルです。
”炎のカリーパン”
ネーミングが凄いですね。
驚いたことに”津久見のぎょろっけ”入りのカリーパンがあったのです。
食べましたが確かにあのぎょろっけでした。
まさか山形で食べられるとは(笑)
さらに”いも煮”に”モツ煮込み”を食べ
”玉こんにゃく”をつまみにビールを飲んで満足、満足、大満足です。
大鵬薬品さんの”チオビタドリンク”までいただいて、さぁ”開門”です。
//////////////////////////////////
= 12時 開門 =
キックオフ2時間前。
初めてのスタジアムです。
空の色はトリニータブルー、絶好のサッカー日和となりました。
スタジアムの向こうに見える山々は冬の訪れがすぐそこに来ていることを感じさせました。
この日が最終節。
全ての試合が同じ日、同じ時刻に行われます。
この日、ここ”NDソフトスタジアム山形”に集まったトリサポは約1000人。
その1000人それぞれに物語があるんだろうな、と思います。
降格の悲しさを2人で味わったけど、今度は昇格の喜びを2人で味わいたいと急遽山形行きを決めた仲間。
チケットを購入しながら、山形のホテルで何度も確認している内に持ってくるのを忘れたうっかりさんな仲間。
ホーム最終戦の翌日転んで腕を骨折し、お医者さんにお願いして大分から腕を吊ったまま来た仲間。
その荷物を持ってくれた優しい仲間。
ツイッターで知り合い、試合の前日に会い、トリニータの魅力を語りながら飲んだ仲間。
2年前、前田の加入と共にスポパに来て、その弾幕にサインをしてもらうのを手伝って以来、大分に毎週のようにやって来た仲間。
あまりに頻繁にスポパに来るので、もしかしたら”スポパに住んでいるのではないか”との疑惑まで持ち上がった”ゲーフラ物語”の主人公。
今季、ババケンの加入に伴い、大分でもアウェーでも一緒に応援するようになった仲間。
「J1を目指すんだ!」と指さす可愛い仲間たち(笑)
ホーム最終戦の前日に体調を壊し、大分に行くのを断念した岐阜の娘。
スタジアムに入って突然ゲーフラを掲げたので見るとキヨピーの姿。
19番目の選手として来てくれた。
気がつけば人生がトリニータ中心となった愛すべき仲間たち。
来たくても来れなかった仲間の想いと共にこれから90分間戦い続ける。
発表されたスタメン。
今季はスタメン争いが熾烈な年だった。
まずスタメンに選ばれること。
選ばれたからには結果を出すこと。
しかし結果を出しても次の試合に出してもらえる保証はどこにもなかった。
試合で良い結果を出し、なおかつ練習でも結果を出し続けられた選手のみが選ばれた今季。
それはどの選手にとっても辛く苦しいものだったに違いない。
だからこそ、今日勝たなくてはいけない。
成し遂げていないことを今日成し遂げなければいけない。
「運命の最終節 開始」
勝てば”J1昇格”
負ければ3位、もしくは4位となりPOになる。
そんな重圧が選手にもサポーターにも無いわけではない。
しかしそれを跳ね返すだけの想いの強さがある。
現地に来た大勢のトリサポはもちろん、大分でのパブリックビューイング、各地で始まった”観戦会”
全てのトリサポが全国からここ”NDソフトスタジアム”に熱い想いを送り続けているのだ。
平常心で闘ってくれさえすれば勝てる。
そのキーマンは智輝だと思っていた。
10月14日アウェー町田戦で3-2で負けたとき、全員が下を向いてサポーターの前に来たとき智輝だけが笑顔で手を振っていた。
絶対に緊張する試合に、1人そういう選手がいると空気が変わる。
それが智輝になってくれたら勝てる、そう思っていた。
試合が動いたのが18分。
「18分 大分先制」
のりから智輝に渡り、さんぺーに出した瞬間、智輝がオ-バーラップ。
ここで攻撃のスイッチが入った。
レイのワンタッチを受け智輝がそのまま駆け上がる。
17番中村選手を振り切りペナルティエリアに入り
グランダーのクロスを出す。
このときフジモンとババケンがディフェンスの3人を引き連れてニアに入る。
空いた中央にボールが入った瞬間
ここに飛び込んだのが逆サイドで待っていた星。
星が右足を振りぬくと
ボールはゴール右に突き刺さった。
その瞬間 ゴール裏はすごい歓声に包まれた。
智輝が両手を広げて喜びを表わす。
あまり自分の感情を表に出さない星が「吠えた」
「ガッツポーズ」をした。
さんぺーが祝福に走る。
瞬く間に星の姿が見えなくなった。
喉から手が出るほど欲しかった先制点。
のりがダイブした。
遅れてフックが来た。
もう誰が誰なのかもわからない(笑)
あれ? 「ゆりかごダンス」?
「岸田」の赤ちゃん誕生を祝ってのゆりかごダンス。
「キッシー赤ちゃん誕生 おめでとうございます」
さんぺーの真似をして親指を口に入れる”ベイビーポーズ”をする前田に後ろから突っ込むさんぺー(笑)
さんぺーがチームのムードメーカーなら前田はチームの”潤滑油”なのだ。
ベテランと若手を繋ぐ役割が自然とできる選手だと思う。
星 今季5得点目。
「星 先制ゴール おめでとうございます!!」
大分 「0-1」 1点リード。
////////////////////////////////////////////
「ハーフタイム」
ハーフタイムに入る少し前から風が冷たくなってきた。
寒さに慣れていない大分の選手が心配になる。
この時点で上位4チームの中で得点できたのはトリニータだけ、他のチームは無得点という状況だった。
////////////////////////////////////////////
「後半開始」
後半、ディフェンスラインを下げてリスクを少なくした大分。
山形に攻め込まれる時間が多くなってきた。
それにつれて監督の声も大きくなっていく。
左手に持った”浅田飴”が頼もしく感じる。
もう何度も見てきた光景だ。
「59分」
馬場 賢治 → 小手川 宏基に交代。
「74分」
三平 和司 → 川西 翔太に交代。
もう1点取りに行って試合を決めるのか?
それともこのままリスクを負わないで試合を終わらせるのか?
歓喜の瞬間がもうすぐ訪れようとしていた。
ゴール裏の声が一段と大きくなる。
フルマラソンの42kmのうち41kmを走り、ゴールが目の前まで見えてきているのだ。
ハーフタイムが過ぎてから嫁はずっと泣いていた。
何かにお願いするように胸の前で両手を合わせ祈っていた。
しかし、「90+1分」
シュートのこぼれ球を8番ロドリゲス選手に決められ「1-1」の同点に。
「90+3分」
藤本 憲明 → 林 容平に交代。
「失点したときは終わったと思った」と試合後にコメントしたフックとレイ。
そう、彼ら選手は他会場の結果を知らされてはいなかったのだ。
勝つことがJ1への道。
残り1分。
大分サポの声も片野坂監督の声も途切れることは無かった。
智輝が天を仰ぐ。
試合が終わった。
静まりかえる大分。
片野坂監督の厳しい顔が見えた。
スタジアムには山形のチャントだけが響く。
”天国”か?
”地獄”か?
J1か?
POか?
周りに大勢のトリサポがいるにもかかわらず、暗闇の中に一人取り残されたような不安の中にいた。
智輝はイスに座って呆然自失状態。
サポーターの歓声にいち早く気がついたのが”レイ”だった。
「試合が終わってベンチで待っていた時にファン、サポーターの方が「よっしゃー!」って言ったときに分かりました」とレイ。
そこから早かったのが「ムン」
吉坂GKコーチに頭から水をかけた(笑)
でもGKコーチだけあって「ムン」の行動は見抜いていたのだろう素早く逃げて無事、さすがの一言(笑)
長かった。
この1年間が本当に長かった。
まさかJ1に行けるとは思いもしなかった。
思い出すのが2015年。
”J2優勝してJ1に行こう”との目標を掲げ、J3に降格した。
それ以来”J1”という言葉は我が家では禁句になった。
今季は前半が終わった時点で”首位”
それでも”J1”は遠い夢の世界だと思っていた。
冗談ではなく生きている内に行けない世界だとずっと思っていた。
横を見ると嫁が泣いている。
あれ? なんで泣いているんだろう?
「J1で、J1で」と嫁の涙声が聞こえた。
禁句だった”J1”の声に心の中にあった何かが弾けた。
手が震えて涙がボロボロ出てきた。
何人かの仲間と握手をした。
ハイタッチも。
ハグも。
でも誰だったのだろう?
ぽっかり記憶が飛んでた。
勝つために攻め、負けた試合もあった。
アウェーの試合後に「まるでホームみたいだった」選手にそう言われることに喜びを感じた。
負ければ負けるほど声援が大きくなった。
トリニータのサポーターであることが誇らしかった。
今季から新しくトリニータのスポンサーになってくれた企業にはもちろん感謝している。
しかしあの時J3に降格しても変わらずトリニータを支えてくれた企業には感謝しても感謝しきれないほどの恩を感じている。
そして降格したことに責任を感じ、そのまま残ってくれた選手たち。
もちろん昨季から入った選手、今季から入った選手にも感謝の気持ちは持っている。
でも、あの時に感じたトリニータが無くなるかもしれないという恐怖は今も心の中に根強く残っている。
更新の情報が入るたびに嫁と喜び、感謝をし、その選手の熱い想いを絶対に忘れないようにしようと言い合った。
残りたくても残れなかった選手もいたと思う。
その選手の応援ももちろんする。
ただ私の気持ちの中で、その時に感じた恩義は決して忘れないようにしたいと思っている。
勝つチームに共通していることは?の質問に
「一体感だと思います」と答えた片野坂監督。
そのチームの一体感を支えてきたのが「伊佐」
勝った後の「伊佐スタグラム」でチームの状態を知ることができたばかりか練習後の様子も伝えてくれた。
さらにオフの日の選手の様子も動画で紹介してくれた。
おかげでその選手の”素の姿”を知ることができた。
この日、このスタジアムに来れなくて絶対に悔しいはずなのに、それでも残った選手を”伊佐スタグラム”で撮ってくれた伊佐の気持ちが嬉しかった。
もう一人、絶対に忘れてはいけないのが”修さんの存在”
昨季も今季もスタメンでプレーすることは無かった。
それだけに出れない選手の気持ちに寄り添うことができる。
試合に出れなくても腐らずに練習できたのは”修さん”という存在抜きには考えられない。
それほど大きな存在だったのだ。
さらに途中から讃岐に行った元キャプテンの”彬さん”
今季からキャプテンを任され大分トリニータの精神的支柱であったことは間違いない。
彼らがいなければJ1昇格という夢を達成することはできなかった。
輝かしい経歴を持ちながら”どん底のJ3大分トリニータ”に来てくれた片野坂監督。
1年で”J3優勝”をし、2年目に”J2 9位”、3年目で”J1昇格”に導いてくれた。
その手腕もさることながら、相手を必ずリスペクトすることを忘れない態度、言動は尊敬しかない。
その片野坂監督と同じくして就任した榎社長。
アウェーで負けたときにゴール裏まで来て「負けてすいません」と謝ったことに驚いて言葉をかけるのを忘れてしまったほどだった。
その飾らない人柄は多くのサポーターが体験していることだろう。
////////////////////////////////////
試合後、元大分トリニータの”坂井達弥選手”が挨拶に来てくれた。
言いなれた”達ちゃん”でいいよね。
「達ちゃん、挨拶に来てくれてありがとう、頑張ってな!」
///////////////////////////////////
///////////////////////////////////
試合後、コールリーダーと嫁とで写真を撮らせていだきました。
いつだったか試合が終わった後、地面に倒れていたのを見て”ここまでトリニータのためにできるのか”と嫁と2人で感動したのを覚えています。
1年間、お疲れさまでした。
ありがとうございました。
あるものは飛び跳ね、声を出し、ゲーフラを掲げ、祈り、涙を流し、笑い、叫んだ。
なぜ?
「あなたにとって 大分トリニータって何ですか?」
遠征に出発する前日、スポパで新聞社の方から質問された。
「生活の全てです」
それ以外の答えがあるのなら聞かせて欲しい。
みんなそう答えると思う。
トリニータの選手の笑う顔が見たいから大銀ドームに行く。
トリニータの選手の喜ぶ顔が見たいからアウェーに駆けつける。
みんなの力で”J1の扉が開いた”
しかしここが終わりではない。
ここからがスタートなのだ。
J1は厳しい。
誰もが口を揃えてそう言う。
もちろん2勝しかできなかったシーズンを経験している。
”新参者”には厳しい場所だと知っている。
それでも我々が戦うべき場所なのだ。
そこに行けることを喜びたい。
そこで戦えることを喜びたい。
選手、監督を始め行政、スポンサー様、ボランテイアの皆さん、ファン、サポーターの皆さん。
その他、大分トリニータに携わってくれた全ての皆さん。
来季はJ1で共に戦いましょう!
「大分トリニータJ1昇格 おめでとうございます」
最終節も声をかけていただいた皆さん。
お気遣いいただいた皆さん
お手紙を書いていただいた皆さん。
感謝しかありません。
本当にありがとうございました。
大分トリニータに関わる全ての皆さん、J1昇格本当におめでとうございます。
11月17日に行われたアウェー山形戦に行ってきました。
選手も監督もスタッフも、もちろん私たちサポも涙、涙、涙のフィナーレでした。
そんな感動を伝えきるほどの力はありませんが、その時の雰囲気を少しでも共有できれば、と思っています。
今回も試合と観光の2回に分けて書いていきます。
山形遠征(その1) 第42節(アウェー)山形vs大分 1-1 J1昇格おめでとう!
山形遠征(その2) 観光(松島、蔵王、山寺、クラゲ水族館、青葉城)
まずは11月17日に行われた最終戦からです。
遠征に出発する前日、臼杵の”福良天満宮”にいつものように必勝祈願に行ってきました。
今回で42回目。
今季の最初にしたお願いは
「最終的にはJ1へ。しかしまずは(残留ラインとなる)勝ち点45!」でした。
しかし勝ち点45を突破した時から「必ずJ1に行かせてください」に変わっていきました。
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2018年11月17日 最後の決戦の地 ”NDソフトスタジアム山形”に到着。
大分から1300Km離れた場所です。
初めての東北。
自走車中泊も考えましたが、11月の東北を知らない私には荷が重すぎました。
そこで飛行機を使い大分から名古屋、乗り継いで仙台、最後は電車で山形への安全なコースを選ぶことにしました。
仲間と落ち合い、まずはスタグルです。
”炎のカリーパン”
ネーミングが凄いですね。
驚いたことに”津久見のぎょろっけ”入りのカリーパンがあったのです。
食べましたが確かにあのぎょろっけでした。
まさか山形で食べられるとは(笑)
さらに”いも煮”に”モツ煮込み”を食べ
”玉こんにゃく”をつまみにビールを飲んで満足、満足、大満足です。
大鵬薬品さんの”チオビタドリンク”までいただいて、さぁ”開門”です。
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= 12時 開門 =
キックオフ2時間前。
初めてのスタジアムです。
空の色はトリニータブルー、絶好のサッカー日和となりました。
スタジアムの向こうに見える山々は冬の訪れがすぐそこに来ていることを感じさせました。
この日が最終節。
全ての試合が同じ日、同じ時刻に行われます。
この日、ここ”NDソフトスタジアム山形”に集まったトリサポは約1000人。
その1000人それぞれに物語があるんだろうな、と思います。
降格の悲しさを2人で味わったけど、今度は昇格の喜びを2人で味わいたいと急遽山形行きを決めた仲間。
チケットを購入しながら、山形のホテルで何度も確認している内に持ってくるのを忘れたうっかりさんな仲間。
ホーム最終戦の翌日転んで腕を骨折し、お医者さんにお願いして大分から腕を吊ったまま来た仲間。
その荷物を持ってくれた優しい仲間。
ツイッターで知り合い、試合の前日に会い、トリニータの魅力を語りながら飲んだ仲間。
2年前、前田の加入と共にスポパに来て、その弾幕にサインをしてもらうのを手伝って以来、大分に毎週のようにやって来た仲間。
あまりに頻繁にスポパに来るので、もしかしたら”スポパに住んでいるのではないか”との疑惑まで持ち上がった”ゲーフラ物語”の主人公。
今季、ババケンの加入に伴い、大分でもアウェーでも一緒に応援するようになった仲間。
「J1を目指すんだ!」と指さす可愛い仲間たち(笑)
ホーム最終戦の前日に体調を壊し、大分に行くのを断念した岐阜の娘。
スタジアムに入って突然ゲーフラを掲げたので見るとキヨピーの姿。
19番目の選手として来てくれた。
気がつけば人生がトリニータ中心となった愛すべき仲間たち。
来たくても来れなかった仲間の想いと共にこれから90分間戦い続ける。
発表されたスタメン。
今季はスタメン争いが熾烈な年だった。
まずスタメンに選ばれること。
選ばれたからには結果を出すこと。
しかし結果を出しても次の試合に出してもらえる保証はどこにもなかった。
試合で良い結果を出し、なおかつ練習でも結果を出し続けられた選手のみが選ばれた今季。
それはどの選手にとっても辛く苦しいものだったに違いない。
だからこそ、今日勝たなくてはいけない。
成し遂げていないことを今日成し遂げなければいけない。
「運命の最終節 開始」
勝てば”J1昇格”
負ければ3位、もしくは4位となりPOになる。
そんな重圧が選手にもサポーターにも無いわけではない。
しかしそれを跳ね返すだけの想いの強さがある。
現地に来た大勢のトリサポはもちろん、大分でのパブリックビューイング、各地で始まった”観戦会”
全てのトリサポが全国からここ”NDソフトスタジアム”に熱い想いを送り続けているのだ。
平常心で闘ってくれさえすれば勝てる。
そのキーマンは智輝だと思っていた。
10月14日アウェー町田戦で3-2で負けたとき、全員が下を向いてサポーターの前に来たとき智輝だけが笑顔で手を振っていた。
絶対に緊張する試合に、1人そういう選手がいると空気が変わる。
それが智輝になってくれたら勝てる、そう思っていた。
試合が動いたのが18分。
「18分 大分先制」
のりから智輝に渡り、さんぺーに出した瞬間、智輝がオ-バーラップ。
ここで攻撃のスイッチが入った。
レイのワンタッチを受け智輝がそのまま駆け上がる。
17番中村選手を振り切りペナルティエリアに入り
グランダーのクロスを出す。
このときフジモンとババケンがディフェンスの3人を引き連れてニアに入る。
空いた中央にボールが入った瞬間
ここに飛び込んだのが逆サイドで待っていた星。
星が右足を振りぬくと
ボールはゴール右に突き刺さった。
その瞬間 ゴール裏はすごい歓声に包まれた。
智輝が両手を広げて喜びを表わす。
あまり自分の感情を表に出さない星が「吠えた」
「ガッツポーズ」をした。
さんぺーが祝福に走る。
瞬く間に星の姿が見えなくなった。
喉から手が出るほど欲しかった先制点。
のりがダイブした。
遅れてフックが来た。
もう誰が誰なのかもわからない(笑)
あれ? 「ゆりかごダンス」?
「岸田」の赤ちゃん誕生を祝ってのゆりかごダンス。
「キッシー赤ちゃん誕生 おめでとうございます」
さんぺーの真似をして親指を口に入れる”ベイビーポーズ”をする前田に後ろから突っ込むさんぺー(笑)
さんぺーがチームのムードメーカーなら前田はチームの”潤滑油”なのだ。
ベテランと若手を繋ぐ役割が自然とできる選手だと思う。
星 今季5得点目。
「星 先制ゴール おめでとうございます!!」
大分 「0-1」 1点リード。
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「ハーフタイム」
ハーフタイムに入る少し前から風が冷たくなってきた。
寒さに慣れていない大分の選手が心配になる。
この時点で上位4チームの中で得点できたのはトリニータだけ、他のチームは無得点という状況だった。
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「後半開始」
後半、ディフェンスラインを下げてリスクを少なくした大分。
山形に攻め込まれる時間が多くなってきた。
それにつれて監督の声も大きくなっていく。
左手に持った”浅田飴”が頼もしく感じる。
もう何度も見てきた光景だ。
「59分」
馬場 賢治 → 小手川 宏基に交代。
「74分」
三平 和司 → 川西 翔太に交代。
もう1点取りに行って試合を決めるのか?
それともこのままリスクを負わないで試合を終わらせるのか?
歓喜の瞬間がもうすぐ訪れようとしていた。
ゴール裏の声が一段と大きくなる。
フルマラソンの42kmのうち41kmを走り、ゴールが目の前まで見えてきているのだ。
ハーフタイムが過ぎてから嫁はずっと泣いていた。
何かにお願いするように胸の前で両手を合わせ祈っていた。
しかし、「90+1分」
シュートのこぼれ球を8番ロドリゲス選手に決められ「1-1」の同点に。
「90+3分」
藤本 憲明 → 林 容平に交代。
「失点したときは終わったと思った」と試合後にコメントしたフックとレイ。
そう、彼ら選手は他会場の結果を知らされてはいなかったのだ。
勝つことがJ1への道。
残り1分。
大分サポの声も片野坂監督の声も途切れることは無かった。
智輝が天を仰ぐ。
試合が終わった。
静まりかえる大分。
片野坂監督の厳しい顔が見えた。
スタジアムには山形のチャントだけが響く。
”天国”か?
”地獄”か?
J1か?
POか?
周りに大勢のトリサポがいるにもかかわらず、暗闇の中に一人取り残されたような不安の中にいた。
智輝はイスに座って呆然自失状態。
サポーターの歓声にいち早く気がついたのが”レイ”だった。
「試合が終わってベンチで待っていた時にファン、サポーターの方が「よっしゃー!」って言ったときに分かりました」とレイ。
そこから早かったのが「ムン」
吉坂GKコーチに頭から水をかけた(笑)
でもGKコーチだけあって「ムン」の行動は見抜いていたのだろう素早く逃げて無事、さすがの一言(笑)
長かった。
この1年間が本当に長かった。
まさかJ1に行けるとは思いもしなかった。
思い出すのが2015年。
”J2優勝してJ1に行こう”との目標を掲げ、J3に降格した。
それ以来”J1”という言葉は我が家では禁句になった。
今季は前半が終わった時点で”首位”
それでも”J1”は遠い夢の世界だと思っていた。
冗談ではなく生きている内に行けない世界だとずっと思っていた。
横を見ると嫁が泣いている。
あれ? なんで泣いているんだろう?
「J1で、J1で」と嫁の涙声が聞こえた。
禁句だった”J1”の声に心の中にあった何かが弾けた。
手が震えて涙がボロボロ出てきた。
何人かの仲間と握手をした。
ハイタッチも。
ハグも。
でも誰だったのだろう?
ぽっかり記憶が飛んでた。
勝つために攻め、負けた試合もあった。
アウェーの試合後に「まるでホームみたいだった」選手にそう言われることに喜びを感じた。
負ければ負けるほど声援が大きくなった。
トリニータのサポーターであることが誇らしかった。
今季から新しくトリニータのスポンサーになってくれた企業にはもちろん感謝している。
しかしあの時J3に降格しても変わらずトリニータを支えてくれた企業には感謝しても感謝しきれないほどの恩を感じている。
そして降格したことに責任を感じ、そのまま残ってくれた選手たち。
もちろん昨季から入った選手、今季から入った選手にも感謝の気持ちは持っている。
でも、あの時に感じたトリニータが無くなるかもしれないという恐怖は今も心の中に根強く残っている。
更新の情報が入るたびに嫁と喜び、感謝をし、その選手の熱い想いを絶対に忘れないようにしようと言い合った。
残りたくても残れなかった選手もいたと思う。
その選手の応援ももちろんする。
ただ私の気持ちの中で、その時に感じた恩義は決して忘れないようにしたいと思っている。
勝つチームに共通していることは?の質問に
「一体感だと思います」と答えた片野坂監督。
そのチームの一体感を支えてきたのが「伊佐」
勝った後の「伊佐スタグラム」でチームの状態を知ることができたばかりか練習後の様子も伝えてくれた。
さらにオフの日の選手の様子も動画で紹介してくれた。
おかげでその選手の”素の姿”を知ることができた。
この日、このスタジアムに来れなくて絶対に悔しいはずなのに、それでも残った選手を”伊佐スタグラム”で撮ってくれた伊佐の気持ちが嬉しかった。
もう一人、絶対に忘れてはいけないのが”修さんの存在”
昨季も今季もスタメンでプレーすることは無かった。
それだけに出れない選手の気持ちに寄り添うことができる。
試合に出れなくても腐らずに練習できたのは”修さん”という存在抜きには考えられない。
それほど大きな存在だったのだ。
さらに途中から讃岐に行った元キャプテンの”彬さん”
今季からキャプテンを任され大分トリニータの精神的支柱であったことは間違いない。
彼らがいなければJ1昇格という夢を達成することはできなかった。
輝かしい経歴を持ちながら”どん底のJ3大分トリニータ”に来てくれた片野坂監督。
1年で”J3優勝”をし、2年目に”J2 9位”、3年目で”J1昇格”に導いてくれた。
その手腕もさることながら、相手を必ずリスペクトすることを忘れない態度、言動は尊敬しかない。
その片野坂監督と同じくして就任した榎社長。
アウェーで負けたときにゴール裏まで来て「負けてすいません」と謝ったことに驚いて言葉をかけるのを忘れてしまったほどだった。
その飾らない人柄は多くのサポーターが体験していることだろう。
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試合後、元大分トリニータの”坂井達弥選手”が挨拶に来てくれた。
言いなれた”達ちゃん”でいいよね。
「達ちゃん、挨拶に来てくれてありがとう、頑張ってな!」
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試合後、コールリーダーと嫁とで写真を撮らせていだきました。
いつだったか試合が終わった後、地面に倒れていたのを見て”ここまでトリニータのためにできるのか”と嫁と2人で感動したのを覚えています。
1年間、お疲れさまでした。
ありがとうございました。
あるものは飛び跳ね、声を出し、ゲーフラを掲げ、祈り、涙を流し、笑い、叫んだ。
なぜ?
「あなたにとって 大分トリニータって何ですか?」
遠征に出発する前日、スポパで新聞社の方から質問された。
「生活の全てです」
それ以外の答えがあるのなら聞かせて欲しい。
みんなそう答えると思う。
トリニータの選手の笑う顔が見たいから大銀ドームに行く。
トリニータの選手の喜ぶ顔が見たいからアウェーに駆けつける。
みんなの力で”J1の扉が開いた”
しかしここが終わりではない。
ここからがスタートなのだ。
J1は厳しい。
誰もが口を揃えてそう言う。
もちろん2勝しかできなかったシーズンを経験している。
”新参者”には厳しい場所だと知っている。
それでも我々が戦うべき場所なのだ。
そこに行けることを喜びたい。
そこで戦えることを喜びたい。
選手、監督を始め行政、スポンサー様、ボランテイアの皆さん、ファン、サポーターの皆さん。
その他、大分トリニータに携わってくれた全ての皆さん。
来季はJ1で共に戦いましょう!
「大分トリニータJ1昇格 おめでとうございます」
最終節も声をかけていただいた皆さん。
お気遣いいただいた皆さん
お手紙を書いていただいた皆さん。
感謝しかありません。
本当にありがとうございました。