労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

【メモ】フリーランス法と労働法との関係と留意点

2024-12-03 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、いわゆるフリーランス法。

(定義)
第二条この法律において「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 個人であって、従業員を使用しないもの
二 法人であって、一の代表者以外に他の役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。第六項第二号において同じ。)がなく、かつ、従業員を使用しないもの


〇「特定受託事業者」は、労基法上の労働者を含まないが、「特定受託事業者」は、労組法上の労働者を含む。
⇒ 労組法上の労働者と判断される者には、フリーランス法が重畳的に適用される。
⇒ 形式的に業務委託契約を締結している場合であっても、実質的に見て労基法上の労働者と判断されるならば、フリーランス法は適用されない。

〇「特定受託事業者」は、下請法・独占禁止法の対象となる事業者に該当する。
⇒発注企業側(「業務委託事業者」、「特定業務委託事業者」)の範囲は下請法より広く、事業者が自らの事業のために他の事業者に委託する行為全てが含まれる。

〇「特定受託事業者」なのか労基法上の労働者なのかの区別は、具体的事情をもとに事後的に判断される。
⇒労働法との関係では、労働者を「特定受託事業者」と誤分類することに伴うリスクに注意が必要。
⇒事後的に当該就労者が労基法上の労働者と判断された場合、労働関係法令違反を問われるリスクが残る。

〇「労働者性」が拡大する可能性、「労働者性」の判断が将来的に変化する可能性。

☆就労者の利用形態(雇用かフリーランスか)を、基本に立ち戻って考えることが、経営上の観点から重要。
・労働契約の基本構造=使用者がビジネス全体を設計し、その収益をすべて使用者に帰属させる。
⇒就労者は指揮命令を受けて就労し対価(賃金)を得る一方でビジネスから生じる収益を得ることが出来ずビジネスの全体像についても関与しえない。
・いわゆる業務委託は、まさにビジネスの一部を就労者に委託するもの。
⇒委託先に対して「指揮命令」することが許されず、就労者には委託された部分のビジネスから生じる収益が帰属し、同時にその失敗のリスクも負担する。
➡就労者との契約形態を決める際には、契約構造の基本的な違いを理解することが重要。


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【メモ】「とるだけ育休」って言葉を初めて聞いた

2024-12-02 | 書記長社労士 労務管理

 共働き家庭の増加や法改正、企業の取り組み等により、男性の育休取得が一般的になりつつあるなか、一方で、育休を取得したものの、当事者やそのパートナーにとって満足度の低い「とるだけ育休」になってしまっているケースがあるとのこと。
別名で「名ばかり育休」。

 「とるだけ育休」が起こる原因として、
●取得期間が数日と短かすぎて
●育休を取ったはいいものの、何をすればよいのか分からない
●夫自身はやっているつもりだけど、妻からしたら不十分
●自分事になっておらず、言われないとやらない など

 「とるだけ育休」になってしまうと、妻のストレスが増える、「2人目は無理だな」と諦めてしまうこともある、夫婦関係が悪化してしまうなどの弊害も。

 で、「とるだけ育休」にならないためのポイントとしては、
〇十分な期間の育休を取得する
〇育休を取得する目的と役割を明確にする
〇互いに納得感のある家事・育児の分担をする
〇夫婦それぞれリフレッシュする時間を作る
〇妻の精神的な支えとなる
〇相談相手を作っておく などが考えられる。


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【メモ】高年齢者の労働災害発生状況

2024-11-29 | 書記長社労士 労働災害

【29 💪NAS10-61 VerticalChestPress64kg PeckDeckFly34kg OverHeadPress39kg RearDertoidM30kg SitUp】
 令和5年の労働災害発生状況によると
〇労災死亡者に占める60歳以上の割合は38.4%
〇死亡者と休業4日以上を合わせた労災死傷者に占める60歳以上の割合は29.3%
⇒労災死亡者の3割、労災死傷者の4割が60歳以上
⇒雇用者全体に占める60歳以上の高齢者の割合は18.7%であるから、60歳以上の労災発生率は高いことがうかがえる


〇令和5年の全体の死傷年千人率が2.36人であるのに対して、60歳以上は4.022人
〇60歳以上の男女別の労働災害発生率(死傷年千人率)を30代と比較すると、男性は約2倍、女性は約4倍となっている
〇休業見込み期間は、年齢が上がるにしたがって長期間となっている
⇒高年齢者は身体機能の低下等により労働災害の発生率が高く、長期的には上昇のトレンドにある
※死傷年千人率=労働災害による死傷者数/平均労働者数×1,000


〇墜落・転落では、男性の場合、60歳以上(平均0.93)は、20代平均(0.26)の約3.6倍
〇店頭による骨折等では、女性の場合、60歳以上(平均2.41)は、20代(平均0.16)の約15.1倍
⇒「墜落・転落」、「転倒による骨折等」では、特に、年齢や性別により労働災害発生率(千人率)が大きく異なる

〇第14次労働災害防止計画のアウトカム指標
⇒増加が見込まれる60歳代以上の死傷年千人率を令和9年(2027年)までに男女ともその増加に歯止めをかける。


〇エイジフレンドリーガイドライン(高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン)⇒chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000815416.pdf

◎転倒災害について
 近年、事故の型のうち最多となっている「転倒」(による死傷災害)の件数は36,058件で、前年比763件(2.2%)の増加となった◎ 男女別・年齢別の転倒災害発生件数、労働者数、死傷年千人率は表16~18のとおりで、高年齢労働者の増加(特に中高年齢の女性労働者の増加)が転倒災害増加の主要因となっている。
また、令和5年の「転倒」による平均休業見込日数は48.5日(令和4年:47.5日)であった。

(厚生労働省の取組)
 第14次労働災害防止計画に基づき、「労働者(中高年齢の女性を中心に)の作業行動に起因する労働災害への対策」として、令和6年度は令和5年度に引き続き、次の事項を中心に取り組む。
○ 中高年齢の女性労働者に多い転倒災害の発生状況の周知を行うとともに、転倒災害防止のための基本的事項(チェックリスト)の周知指導を行う。
○ エイジフレンドリー補助金等により、転倒災害防止等に資する装備や設備の導入のほか、理学療法士や健康運動指導士等の専門家による労働者の身体機能の維持改善のため取組の支援を行う。
○ アプリ、動画等を活用した効率的・効果的な安全衛生教育(転倒防止教育を含む)の手法の普及啓発を行う。
○ 事業者による自発的な転倒災害防止対策の取組の促進のため、転倒災害等による損失額の「見える化」及びその周知啓発を進めるほか、ナッジによる転倒災害防止対策等の行動経済学的アプローチについて引き続き研究を進める。

◎新型コロナウイルス感染症への罹患による労働災害による死傷者数は 33,637人(前年比122,352人・78.4%減、死者数4人)となった。
※令和4年の新型コロナウイルス感染症への罹患による労働災害による死傷者数は155,989人(前年比136,657人・706.9%増、死者数17人)
※令和3年19,332人(死者数89人)、令和2年6,041人(死者数18人)
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最近、話題になっている年収の壁でわかりやすい資料をお知らせしておきます。厚労省やから「出口」は被用者保険の適用拡大やけど😅

2024-11-28 | 書記長社労士 政治
【28🏃Run6-56 6.07km 37:20 レモンガススタジアム】
 国民民主党が「学生のもっと働きたいと言う声を聴いて公約にした」ってことで最近、話題になっている年収103万円の「壁」。
そもそも学生は本分である勉強をがんばって欲しいし、学生生活を楽しんで欲しいのに、学費や生活費や将来の奨学金の返済のためにバイトして稼がなあかん状況を改善するのが政治の役割のはず。
壁を解消することが学生のためであり経済政策だなんて言っている国民民主党や自民党政府に対しては、とっても残念な気がするねんけど…💢

 ま、最近、あちらこちらから「壁って?」とよく聞かれるから、自分はそんな問いに対して説明するときに、厚生労働省の「年収の壁について知ろう』あなたにベストな働き方とは?」という資料を使って説明している。⇒https://www.mhlw.go.jp/content/001265287.pdf
なかなかわかりやすいので。
ただし、厚生労働省なので、けっきょくは「壁を突き破ってもっと稼いで、そして社会保険に加入して、病気になった時や将来に備えよう」ってことになるんやけど、そこはさておき。


 「年収の壁」って何があるのか
① 税金に関わる「壁」 ⇒ 100万・103万・150万・201万 ⇒ 所得に対して「税金」が課税される
② 社会保険に関わる「壁」 ⇒ 106万・130万 ⇒ 社会保険料の支払いが発生する
③ 配偶者手当に関わる「壁」 ⇒ 103万・130万 ⇒ パート労働者の配偶者の収入が変動する



① 税金に関わる「壁」
100万円の壁 ⇒ 住民税の支払いが発生する年収(自治体によってはこの金額基準が少し異なる)【所得割と均等割】
103万円の壁 ⇒ 所得税の支払いが発生する年収【103万円を超える額に対して課税】
150万円の壁・201万円の壁 ⇒ 配偶者の所得控除に関係する年収の額(配偶者控除、配偶者特別控除)


② 社会保険に関わる「壁」
106万円の壁 ⇒ お勤め先の企業規模によって、健康保険・厚生年金保険への加入義務が発生する年収
※現在は、「従業員101人以上」の会社にお勤めの方が対象、令和6年10月から「従業員51人以上」の会社にお勤めの方にも適用を拡大
※加入要件は企業規模以外に、月額賃金8.8万円(年収計算で約106万円)、週の労働時間が20時間以上などがある。
130万円の壁 ⇒ 上記以外のお勤め先の場合に、国民健康保険や国民年金の保険料の支払いが発生する年収


③ 配偶者手当の「壁」
主に103万円 or 130万円の壁 ⇒ 労働者が会社から支給を受ける「配偶者手当」等に影響する壁。
企業独自の制度であり、手当支給の要件(配偶者の収入制限)は様々。
例えば・・・配偶者手当、家族手当、扶養手当 ⇒ 扶養家族(配偶者や子ども)がいれば支給対象。
ただし、被扶養者に一定以上の収入があると支給対象外とする企業がある。


 ここ以降は、「年収の壁」を越えるメリットが、縷々、解説されている。(間違ってはいない、むしろ自分は肯定する)
自分としても、やはり「年収の壁なんて、ピョンって越えてしまえばいいやん」と思っている。
「ピョン」が重要ながら、中途半端な越え方だとマイナスが大きくなるので。

 ところで玉木さん(玉木雄一郎 国民民主党代表)、原子力発電所を新設したいなら、ぜひ、それはあなたの選挙区である香川県第2区(高松市・丸亀市・坂出市・さぬき市・東かがわ市・木田郡・綾歌郡)でお願いします。
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【メモ】2024年の全国の地域別最低賃金の改定について

2024-11-25 | 書記長社労士 法改正 労働関係

【25 💪NAS9-60 LatapullaDown55kg NallowGripLatapullaDown55kg LateralRaise10kg UpLightRow22.5kg AbdominalM45kg】
 2024年の全国の地域別最低賃金の改定についてメモ。

〇引き上げ額の目安は、A、B、Cランクともに一律の50円と決めた。
〇目安50円を上回って引き上げたのが27県に上った。
〇引き上げ額が高いのは都市部ではなく、東北、九州、山陰、四国などCランクの県に多かった。
〇引き上げによって最賃が1,000円を超えたのは、昨年までの8都府県から2倍の16都道府県に拡大した。
〇最高額は東京都の1,163円、最低額は秋田県の951円、最高額に対する比率は81.3%で、10年連続で格差が改善している。

◆目安が昨年度比5.0%増の50円になった背景には、春闘の賃上げ率や物価上昇も影響した。
・今年の春闘の賃上げ率が5%台であったこと、中小企業の賃上げ率が3%後半から4%台であったこと、有期・短時間・契約労働者が5%台後半であったこと
・消費者物価指数は平均が3.2%(2022/10~2023/6)だったが、消費者物価指数のうち生活必需品を含む「頻繁に購入する品目」が平均5.4%であること

◆目安以上に引き上げた背景には、人手不足に加え、隣県同士の人材獲得競争もあった。
・他県よりも1円でも高くし、人材獲得で優位に立ちたいという経営者の思い
・全国最低、地域最低という汚名は回避したいことから「後出しジャンケン」とも揶揄された

◆引き上げる基準を大きく変更し84円引き上げた徳島県
・2023年は全国最低額についで2番目に低く、四国では一番低かった
・県民取得が全国8位であること、4人世帯の生計費や新卒者の所定内給与、パート労働者の募集賃金などを調査した結果、徳島県は全国の中位より上と判断したうえで、全国の中間値930円に目安の50円を上乗せし、980円に決定した。
・四国3県との競争に加え、橋でつながる淡路島や神戸市への人の流出への危機感もあったと推察される

◆2023年の、最賃の企業への影響率は全国平均21.6%
・影響率の低いのは、徳島14.9%、鳥取15.0%、群馬と香川が16.2%、長野16.3%、沖縄16.4%
・影響率の高いのは、神奈川28.6%、兵庫28.3%、千葉と愛知27.5%
・ちなみに東京が17.4%、大阪23.4%、京都24.5%
※厚生労働省「令和5年度最低賃金に関する基礎調査」

最低賃金法
(地域別最低賃金の原則)
第九条 賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障するため、地域別最低賃金(一定の地域ごとの最低賃金をいう。以下同じ。)は、あまねく全国各地域について決定されなければならない。
2 地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない。
3 前項の労働者の生計費を考慮するに当たつては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする。
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