よしーの世界

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アルゲリッチ 私こそ、音楽!(2012年仏、スイス映画)

2021-06-07 07:00:22 | 日記
天才ピアニスト、アルゲリッチの半生を描いたドキュメンタリー映画は三女ステファニーが撮影、監

督をしている。時々密着するカメラにイライラを感じさせながら、実の娘の撮影に素顔をさらすシー

ンも多く、アルゲリッチの演奏に入る時と普段の違いの大きさが際立っている。実力、人気とも備え

たピアニストは忙しい。時間に追われ、世界各地をドンドン移動し、時には笑顔でファンに接する。

オンの時間から解放されたときには全く違う顔を見せる、そんなアルゲリッチも魅力的だ。


アルゼンチン出身の世界的ピアニストは今でも数少ない。地理的に不利な要素を跳ね除け、成功を掴

むまでには紆余曲折がある。ステージママのファニータに対する反発もあり、不機嫌な若いアルゲリ

ッチも登場する。ピアニストは孤独だ。たった一人で全てを表現しなければならない時もある。沢山

の経験が演奏の幅を広げる助けにもなる。例え自分にとって憂鬱な出来事でも。


アルゲリッチの演奏を聴いていって、アルバムに影響を与える体験が自ら語られることは貴重だ。C

Dでも出ているラヴェルの「夜のガスパール」を録音していた時はお腹に子供がいて、妊婦の音楽だ

と語っている。もっとうまく弾けたとも聞こえるが、聴いてみるとこれは名演だ。アルゲリッチの演

奏は沢山いいCDが出ているが、前述したものとシューマン「子供の情景 作品15」「クライスレリ

アーナ 作品16」とシャルル・デュトワ指揮のショパン「ピアノ協奏曲第1番、2番」は是非聴いて

ほしい。
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