私は最近の小説は殆ど読みません。何気なく手に取った本書は本当に面白く平凡などこにでも居そうな
中年の夫婦の不安が見事に描かれています。作者の人物描写はとても素晴らしく登場人物が生き生きと
して、さりげない会話にも示唆に富んでおり考えさせられる。作中に起こる事件も突拍子にならずキチ
ンとストーリーの中に織り込まれ、誰もが関わるかもしれないと思わせてしまう。
最初は最近話題の老後資金にスポットを当てた主婦の日常だけが書かれているのかと思っていましたが、
現代日本の病巣をさりげなくコミカルに展開し、主人公の篤子の揺れる心情が共感をもたらします。姑
の変わりようも面白く、一気に読ませてしまう。
作中にある中年夫婦の老後に対する焦燥感、娘の結婚、舅姑のケアマンション、舅の葬儀等はリアルで
相当数の日本人が実感できる内容であり、映画化を検討してほしいと思いました。あれこれと登場人物
に今の俳優を当てはめ想像するのも楽しい。読後感の清々しい作品でした。
老後の資金がありません 垣谷美雨 中公文庫
中年の夫婦の不安が見事に描かれています。作者の人物描写はとても素晴らしく登場人物が生き生きと
して、さりげない会話にも示唆に富んでおり考えさせられる。作中に起こる事件も突拍子にならずキチ
ンとストーリーの中に織り込まれ、誰もが関わるかもしれないと思わせてしまう。
最初は最近話題の老後資金にスポットを当てた主婦の日常だけが書かれているのかと思っていましたが、
現代日本の病巣をさりげなくコミカルに展開し、主人公の篤子の揺れる心情が共感をもたらします。姑
の変わりようも面白く、一気に読ませてしまう。
作中にある中年夫婦の老後に対する焦燥感、娘の結婚、舅姑のケアマンション、舅の葬儀等はリアルで
相当数の日本人が実感できる内容であり、映画化を検討してほしいと思いました。あれこれと登場人物
に今の俳優を当てはめ想像するのも楽しい。読後感の清々しい作品でした。
老後の資金がありません 垣谷美雨 中公文庫