よしーの世界

好きな神社仏閣巡り、音楽、本、アートイベント情報を中心にアップします。

リスボンに誘われて(2013年独、スイス、ポルトガル合作映画)

2021-06-14 06:43:20 | 日記
映画で大ヒットを狙う意図がなければ(ディズニー大作のように)70歳代を観る対象の中心に選ぶのは

賢明だろう。出来れば本作のようにミニシアター向けにじっくり腰を据えて鑑賞出来る作品が望ましい。

主演はイギリスの名優ジェレミー・アイアンズ。そして舞台はスイスからポルトガル・リスボン。コロナ

禍で移動が制限される私たちに見たこともないのに懐かしい空気が漂うリスボン、しかもレジスタンスが

活躍する時代がテーマになっている映画は、懐かしくもスリリングだ。


今、中東、ベラルーシ、ウイグル自治区、香港に住んでいなければ痺れるような緊張感を日々味わうこと

は少ない。そのことが恋愛に多大な影響を与えることは想像に難くない。現代の日本に住んで愛か、死か

を選択する機会は殆ど訪れることが無いだろう。妄想することも難しい。かろうじてゲームの世界に存在

するかもしれないが、自信の体験として置き換わることは望むべくもない。


ふとした出来事で巻き込まれる教師の主人公ライムントは時代を遡って、自分が過ごしている退屈な生活

とは違う経験を知ってしまう。それは危険で死をも常に感じる日々で、知らず知らずにはまり込んでいく

未知の世界だ。そこに一冊の本が読み解くカギとして存在して物語を進行していくことが興味深い。


ロードムービーとしても楽しくリスボンの街並みが過去から現代を映して私たちを楽しませてくれる。登

場する俳優たちが個性的で2時間弱の映画はあっと言う間に過ぎ去ってしまう。休日にゆっくり鑑賞する

のに適した作品です。ジェレミー・アイアンズの抑えた演技と美しい女優たちの競演も楽しんでほしい。

ラストは最近観た映画の中では一番心に残る名シーンでした。





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