著者谷崎潤一郎で昭和37年(1962年)に中央公論社から発行され毎日芸術賞大賞を受賞した「瘋癲(ふ
うてん)老人日記」の装幀及び挿絵は棟方志功で正にアート。
しかも単行本では主人公の老人の日記は歴史的かなづかいで、使用されている漢字も旧く慣れないと読みに
くいでしょう。
谷崎は執筆当時51歳で本書の主人公卯木督助は77歳ですから、完全に想像上の人物ですが、読んで面白
く、当時の風俗と合わせて楽しむことが出来る。しかも内容は深い。
これは本当に棟方らしい福々しい婦人像で、贋作が大量に出回るほどの絶大なる人気を誇るのが納得できる。
ドナルド・キーン氏の話では昔ノーベル文学賞の候補の一人に谷崎を上げたが、当時のノーベル財団は「受
け入れる準備が出来ていない」と結論づけているとのことで、キーン氏によると「フェティッシュ」すぎる
と言われたそうだ。この時にノーベル賞を受賞していれば、世界的な文学の潮流も少し変わった気がする。
ただ本書を読むと翻訳では伝わらない雰囲気が醸し出されており、日本語の難しさも感じた。それでも作品
は見事で、他の作品も含めて是非読んでほしい。
瘋癲老人日記 谷崎潤一郎 中央公論社
うてん)老人日記」の装幀及び挿絵は棟方志功で正にアート。
しかも単行本では主人公の老人の日記は歴史的かなづかいで、使用されている漢字も旧く慣れないと読みに
くいでしょう。
谷崎は執筆当時51歳で本書の主人公卯木督助は77歳ですから、完全に想像上の人物ですが、読んで面白
く、当時の風俗と合わせて楽しむことが出来る。しかも内容は深い。
これは本当に棟方らしい福々しい婦人像で、贋作が大量に出回るほどの絶大なる人気を誇るのが納得できる。
ドナルド・キーン氏の話では昔ノーベル文学賞の候補の一人に谷崎を上げたが、当時のノーベル財団は「受
け入れる準備が出来ていない」と結論づけているとのことで、キーン氏によると「フェティッシュ」すぎる
と言われたそうだ。この時にノーベル賞を受賞していれば、世界的な文学の潮流も少し変わった気がする。
ただ本書を読むと翻訳では伝わらない雰囲気が醸し出されており、日本語の難しさも感じた。それでも作品
は見事で、他の作品も含めて是非読んでほしい。
瘋癲老人日記 谷崎潤一郎 中央公論社