豊富な経験と考察を元にした、冷静な論理的議論は読んでいて本当に気持ちいい。自衛隊に関して
このように突っ込んだ話を初めて聞いた。著者は元防衛官僚で小泉、安倍、福田政権で働いていた。
丁度日本がアメリカの要請に基づき自衛隊を海外派遣に出した時期で、政治家のご都合主義と外務
官僚の思惑に振り回されながら、自衛隊の処遇に関して、深く悩んでいいたことと推察される。当
時「非戦闘地域」や「武力行使との一体化」という概念は著者から見ても、相当矛盾をはらんだも
のだったと書いている。
第二章で著者と元陸幕長冨沢暉氏、元国連PKO幹伊勢崎賢治氏との鼎談は互いの立場の違いから
伯仲したものとなり、非常に熱が入っていて読みどころだ。現場を預かるトップの元陸幕長は自衛
隊の海外派遣に対しての「大義」に拘る、危険な地域に赴くのだから当然だ。しかし、政府は派遣
される自衛隊員の気持ちなど考える余裕もない。
さらに元国連PKO幹部の日本は「どう出すか」の議論に対して、国際社会では「「問題にどう対
処するのか」だと指摘する。そして先進国はすでにPKOに自軍を出さなくなっているという現実
を明らかにしている。
本書では「アメリカに追随するだけでいいのか」という疑問が明示される。混乱を極める国際社会
において、アメリカは世界の警察の任から降りた。日本はアメリカに頼りながらも、独自の立場を
取ることを求められる。本書ではこれから大国同士の争いが無いだろうと予測しているが、残念な
がらウクライナ侵攻が起こってしまった。現在の政権の軍部拡張路線は単純すぎると思える。外交
の苦手な日本だが、世界に意識を置いて、未来を創造しなければいけない。
自衛隊の転機 柳澤協二 NHK出版新書
このように突っ込んだ話を初めて聞いた。著者は元防衛官僚で小泉、安倍、福田政権で働いていた。
丁度日本がアメリカの要請に基づき自衛隊を海外派遣に出した時期で、政治家のご都合主義と外務
官僚の思惑に振り回されながら、自衛隊の処遇に関して、深く悩んでいいたことと推察される。当
時「非戦闘地域」や「武力行使との一体化」という概念は著者から見ても、相当矛盾をはらんだも
のだったと書いている。
第二章で著者と元陸幕長冨沢暉氏、元国連PKO幹伊勢崎賢治氏との鼎談は互いの立場の違いから
伯仲したものとなり、非常に熱が入っていて読みどころだ。現場を預かるトップの元陸幕長は自衛
隊の海外派遣に対しての「大義」に拘る、危険な地域に赴くのだから当然だ。しかし、政府は派遣
される自衛隊員の気持ちなど考える余裕もない。
さらに元国連PKO幹部の日本は「どう出すか」の議論に対して、国際社会では「「問題にどう対
処するのか」だと指摘する。そして先進国はすでにPKOに自軍を出さなくなっているという現実
を明らかにしている。
本書では「アメリカに追随するだけでいいのか」という疑問が明示される。混乱を極める国際社会
において、アメリカは世界の警察の任から降りた。日本はアメリカに頼りながらも、独自の立場を
取ることを求められる。本書ではこれから大国同士の争いが無いだろうと予測しているが、残念な
がらウクライナ侵攻が起こってしまった。現在の政権の軍部拡張路線は単純すぎると思える。外交
の苦手な日本だが、世界に意識を置いて、未来を創造しなければいけない。
自衛隊の転機 柳澤協二 NHK出版新書