著者が2014年に取材した「雨傘運動」が行われていた香港の金鐘(アドミラル)駅周辺は、政府機
関、立法会という香港中枢の建物が連なる、日本で言えば霞が関と国会議事堂が繋がったような地区だ
そうだ。そこに数百はあろうかというテントに泊まり込んでいる市民たちは、底抜けに明るく、誰もが
楽しげで音楽フェスのキャンプスペースかと思わせるものがあったという。しかし、この運動は迷走し、
政府庁舎の包囲も失敗し陥落した。
作者が再び取材に訪れた香港の2019年のデモは、以前のモノとは一変し、悲壮な決意の元、我が身
を犠牲にして警察と闘う学生たちや一般市民たちに、電車の中で読みながら何度もウルウルして困って
しまった。それでも背後にいる中国政府はビクともしない。一切の交渉にも応じる気配がない。警察は
デモ隊を排除するために催涙弾を水平に撃ち犠牲者も増え続ける。
本書は2020年の発行で雨傘運動の中心人物、香港民主化の女神と言われた周庭(アグネス・チョウ)
は意気軒高だった。そして「諦めないでください」と言っていたが、この後政府に逮捕され2021年6月12
日に出所して「少し休みたい」と言っているそうだ。中国政府のプレッシャーに相当疲弊したと思われる。
日本に住んでいると香港の状況は今一つ分かりにくいが、こういう世界もあることを知っておきたい。
香港デモ戦記 小川善照 集英社新書
関、立法会という香港中枢の建物が連なる、日本で言えば霞が関と国会議事堂が繋がったような地区だ
そうだ。そこに数百はあろうかというテントに泊まり込んでいる市民たちは、底抜けに明るく、誰もが
楽しげで音楽フェスのキャンプスペースかと思わせるものがあったという。しかし、この運動は迷走し、
政府庁舎の包囲も失敗し陥落した。
作者が再び取材に訪れた香港の2019年のデモは、以前のモノとは一変し、悲壮な決意の元、我が身
を犠牲にして警察と闘う学生たちや一般市民たちに、電車の中で読みながら何度もウルウルして困って
しまった。それでも背後にいる中国政府はビクともしない。一切の交渉にも応じる気配がない。警察は
デモ隊を排除するために催涙弾を水平に撃ち犠牲者も増え続ける。
本書は2020年の発行で雨傘運動の中心人物、香港民主化の女神と言われた周庭(アグネス・チョウ)
は意気軒高だった。そして「諦めないでください」と言っていたが、この後政府に逮捕され2021年6月12
日に出所して「少し休みたい」と言っているそうだ。中国政府のプレッシャーに相当疲弊したと思われる。
日本に住んでいると香港の状況は今一つ分かりにくいが、こういう世界もあることを知っておきたい。
香港デモ戦記 小川善照 集英社新書