よしーの世界

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原発再稼働   日野行介

2023-02-08 06:28:00 | 
日本は事故から何も学ばない。そして原発に関しては何が何でも、これからどんな事態が起ころうと

も再稼働ありきなのだ。この本でつくづく思わされた。あとがきに著者が「一人ひとりの被害の形は

見えにくい。健康被害や故郷喪失をめぐって苦しむ被害者に寄りそう報道を一概に否定するものでは

ないが、被害者を見つめるだけでは国策による被害を正確にとらえきれない」と書いているが、正に

テレビのニュース報道を指しているのではないか。本書の取材には相当な忍耐が必要だったとはずだ。

時間も労力も半端なかったと思える。


2015年以降全国各地の原発は次々に再稼働している。政治家や官僚は「安全が確認された原発は動か

す」という。しかし、原子力規制委員会が安全審査に「合格」したという基準は密室で決められてい

るようだ。そして中身を国民が知る由もない。著者の災害に対する「基準不適合」問題に関しての綿

密な取材に規制委は明確なる答えを示すことが出来ない。


これは避難計画でも同様で、茨城県で作成された避難計画も国の主導だった形跡があり、県はキチン

と回答を出すことが無い。今のままでは事故が発生すれば被害を受けるのは、また一般国民であり、

国や大企業は被害の保証さえ逃げを打つことは周知のとおりである。


長文だが巻末の広瀬弘忠氏の話を載せたい。


「避難計画がなければ再稼働が認められないということになったので、作っていますが、どう作って

も実現不可能な避難計画になる。だから机上の空論、絵に描いた餅と同じです。骨抜きよりもっと悪

質で、官僚の作文によって実効性を虚偽的に作り出している。 〈中略〉 安倍政権で相次いだ公文

書スキャンダルと同根です。旧日本軍の役人たちが鉛筆をなめて勝手に戦果を水増しし、損害を小さ

く見せたような話です」


   原発再稼働 葬られた過酷事故の教訓   日野行介        集英社新書
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