蓋
雪に濡れた玄関で靴底が少し滑るのを コンマ数秒気にしながら戸外だの何だのというあやふ...
ある種の理解は手段を選ぶもの
そこにしなだれかかるのは嘘のノスタルジーだ、君はそのずいぶんと確かな感触に決して心を...
最後の詩篇
夜という刀が俺の鼻面を切り裂いて 吹き上がる血液はだんだんと溜まり、いつかの夏の記憶...
化身
一日中、憤りを隠した様な曇り空の後の夜の雨、窓の外で舌打ちを続けてる―壁の染みの中...
ジャジューカ
死に沈むシニシズム、もはや手の施しようがない ブライアン・ジョーンズの受け売りみたい...
ヘイ・ヨー
ハイハットが静かに魂を小分けしてく ヘッドフォンの中で 空気を追い出した振動の確かだ...
結露がその窓に
冬には死んでいたんだ、指先の色はせめて腐らずにと願う様に 虚空の一点をおぼろげに示し...
境界線を
やわらかに首をかしげた、あのひとは刹那だった 嘘のふりをしながら、本当のことを言...
MAGIC AND LOSS
36階の閉ざされたテラスに 置き去りにされた詩篇があると聞いたのです 鍵を手に入れる為...
時間が過ぎるのを待っている
時間が過ぎるのを待っている よどんで、ポカンとして 口を開けて 何かがそこに飛び込ん...