蒼の下、時の墓石にて
地団駄の夕方に哀歌を吹きながら 誰の影も無いうち捨てられたビルの踊り場で ひとつの季...
悲鳴
カタログの隙間を縫って、最も共鳴するものを見つけ出せばいい それはいつか君を果てしな...
マグリッドすら分からない
トゥ、トゥルルッと 無邪気な口笛 まるで何にも知らない、ゆえに美しい ゴムとびに興じる...
在りもしない蝶々
緩やかに探るような 口笛から次第に気を騒がせる、上昇気流に形を変える 飛行機雲の様に...
セピアにダイブ
こんなにも長くかかるなんて思わなかった、カレンダーの日付が 気が遠くなる様な日々が在っ...
接触(前提として不通)
心臓に言葉が穴を開けてくれないかと、ずっと待っていたんだ、雪の予報ばかりが先走る寒冷前線の深夜に 辱められてるようで嬉しかった、この、取るに足らない肉体が隙間風に震えるたび―処...
煌きを、檸檬と薔薇の傍で
今夜、すべての傷みを檸檬色の月光に晒して孵化をしようとしている 生まれ変わるんだ 生ま...
蓋
雪に濡れた玄関で靴底が少し滑るのを コンマ数秒気にしながら戸外だの何だのというあやふ...
最後の詩篇
夜という刀が俺の鼻面を切り裂いて 吹き上がる血液はだんだんと溜まり、いつかの夏の記憶...
化身
一日中、憤りを隠した様な曇り空の後の夜の雨、窓の外で舌打ちを続けてる―壁の染みの中...