「花粉症」が軽減されるかも!? 東京農業大学が発見した「スギ花粉」の飛散を減らす方法とは?
東京FMプラス より 230403
川瀬良子がパーソナリティをつとめ、日本の農業を応援するTOKYO FMのラジオ番組「あぐりずむ」。毎週火曜は、農業はもちろん、時代の先を捉えるさまざまな研究をおこなっている東京農業大学から、最先端の農学研究を紹介します。
3月21日(火・祝)と3月28日(火)の放送では、東京農業大学 熱帯園芸学研究室の小塩海平(こしお・かいへい)教授に、専門領域である「スギ花粉」について伺いました。
(小塩海平教授、川瀬良子)
◆スギ花粉の飛散を減らすために
スギ花粉の飛散を防止するため、スギの雄花に花粉を絡めとるようなネバネバしたものをかけるのはどうか、というところから研究を始めたという小塩教授。
松ヤニやゴム、海藻のヌルヌル成分であるアルギン酸など、環境や人体に害がない天然物由来のネバネバしたものをいろいろ試していくなかで、スギにサラダ油をかけてみたところ、花粉が飛ばなくなるのではなく、雄花だけが枯れることを発見。「予想外の結果だった」と振り返ります。
その後、改良を加えて「食品添加物のなかで、我々が食べても大丈夫なもので、化粧品にも使われているような物質で、うまく枯れるものを選び出して、有人のヘリコプターで散布する計画を進めている」と話します。
しかし、その計画を実行するにはまだまだ課題があり、一番のネックは“どこまでコストを下げられるか”。小塩教授によると、スギに散布するためのヘリコプターをチャーターするには1日約300万円もの費用がかかるそうですが、現在、日本に分布するスギ林は450万ヘクタールで、九州の大きさに相当します。
しかも、「水田と違って平らではないので、まきにくいこともあるのと、どの時期に散布すれば良いのかなど、いろいろとまだ詰めなければならない」と課題を説明します。
現在抱えている課題や条件がうまく整い、「ヘリコプターでスギにその物質を散布する計画を実行することができれば、(スギ花粉の飛散を)そこそこ減らせることは分かっています」と胸を張ります。
さらに、この計画を実施すれば、「雄花を落とすと花粉ができなくなるので、その結果、材木が太るんです。つまり、スギの持ち主にもメリットがあるので、材木としての価値も高めながら、花粉も減らすことができる」というメリットも。そして、花粉を減らすことによって「(花粉症の)症状を軽くすることができると思う」とも補足します。
最後に、「スギの木は、幹が真っ直ぐに伸びることから“直ぐの木”というのが語源なんです。曲がってしまったのは、(大量にスギを植えた)現代日本人。先祖が作ってきたスギと一緒に生きる文化と共生しながら、花粉症とも付き合いながら、でも(花粉症の)症状は減らしていく。(研究を通して)そんなことをやっていきたい」と展望を語りました。
💋かなり期待大