【予言的中】「とても嫌な予感がする」とバイデン当選直後に、4年後のトランプ立候補と大統領返り咲きまでの流れを予言していた、2020年12月発表の論考を特別公開
AERAdot より 250226 大澤真幸
2024年11月に実施されるアメリカ大統領選挙。全世界に影響を与える新大統領の座は、バイデン大統領とトランプ前大統領で争われる公算が大きくなってきた。
ウクライナ侵攻、ガザ侵攻、そして台湾有事にも大きな影響を与える大統領選の行方はどうなるのか。
前回の大統領選直後の2020年12月に、「今回のバイデンの勝利が真の敗北の原因になるとしたら……」という論考を「一冊の本」という月刊誌で発表したのが社会学者の大澤真幸氏。
大澤氏の論考は、これまでの流れを見事に予言している。
『この世界の問い方──普遍的な正義と資本主義の行方』(朝日新書)に収録された大澤氏のこの論考を、前後編に分けてお届けする。
■「民主党政権」の教訓
正直、私は安堵した。ジョー・バイデンが2020年の選挙に勝って、次期のアメリカ大統領になることが決まったことに、である。
■「民主党政権」の教訓
正直、私は安堵した。ジョー・バイデンが2020年の選挙に勝って、次期のアメリカ大統領になることが決まったことに、である。
アメリカ人はよい方を選択したと思う。
と同時に、私は不安にもなってきた。とてもいやな予感がする。
と同時に、私は不安にもなってきた。とてもいやな予感がする。
4年後の大統領選挙で、トランプ(みたいな人)が勝ちそうな気がする。トランプが2024年の大統領選に再び立候補し、共和党の候補者に選ばれ、選挙に勝利するのではないか。そんな予感がするのだ。
しかも──ここが肝心なところだ──、4年後のトランプの最大の勝因が、まさに2020年の選挙でバイデンが勝ったことにあるとしたらどうか。バイデンが勝ったことが原因となって、4年後には、トランプが有無を言わせぬ仕方で決定的に勝利する……。(ヘーゲルの言う)「理性の狡智」の格好の実例ともなるような仕方で因果関係が作用しそうである。
私は十分な根拠があって、こうした逆説を予想している。私たち日本人は、こうした逆説を支持する教訓を得ているはずだ。
私は十分な根拠があって、こうした逆説を予想している。私たち日本人は、こうした逆説を支持する教訓を得ているはずだ。
それを、「民主党政権」の教訓、と呼ぼう。ここでいう「民主党」は、アメリカの民主党ではない。日本の「民主党」である(かぎ括弧でアメリカの民主党と区別しよう)。
2009年9月に、「民主党」は、日本国民からの圧倒的・熱狂的な支持を得て、自民党から政権を奪った。「民主党」はそれから3年余りの期間、政権の座にあったが、2012年末の衆議院議員総選挙で自民党に完敗し、再び野に下った。
2009年9月に、「民主党」は、日本国民からの圧倒的・熱狂的な支持を得て、自民党から政権を奪った。「民主党」はそれから3年余りの期間、政権の座にあったが、2012年末の衆議院議員総選挙で自民党に完敗し、再び野に下った。
そのあと、首相になったのが、自民党のリーダーだった安倍晋三であった。こうして成立した、(二度目の)安倍政権は7年8か月も続いた。ご存じのように、これは戦後最長である。
どうして、安倍政権はあれほど長く続いたのだろうか。小泉純一郎首相の後の日本の首相はいずれも、長く政権を維持することができなかった。小泉が退いたあと、安倍が2012年末に首相に就くまでの期間に、6人の首相がいるが、全員、就任当初は高い支持率を得るが、1年前後で支持率を激減させ、退陣を余儀なくされる。6人全員がほとんど同じパターンである。
どうして、安倍政権はあれほど長く続いたのだろうか。小泉純一郎首相の後の日本の首相はいずれも、長く政権を維持することができなかった。小泉が退いたあと、安倍が2012年末に首相に就くまでの期間に、6人の首相がいるが、全員、就任当初は高い支持率を得るが、1年前後で支持率を激減させ、退陣を余儀なくされる。6人全員がほとんど同じパターンである。
そして、6人の中には、安倍晋三も含まれている。では、なぜ、二度目の安倍政権は、突然、長続きすることに成功したのか。
二度目の安倍政権は、憲政史上まれにみるほど立派な政権だったからだろうか。評価はさまざまだろうから細かいことはここでは書かないが、安倍政権を褒める人でも、この政権が、憲政史上、最高の成果を挙げたとまでは言わないだろう。
二度目の安倍政権は、憲政史上まれにみるほど立派な政権だったからだろうか。評価はさまざまだろうから細かいことはここでは書かないが、安倍政権を褒める人でも、この政権が、憲政史上、最高の成果を挙げたとまでは言わないだろう。
それならどうして、「首相はだいたい1年」という状況が定着しつつあった中で、安倍政権だけは長持ちしたのだろうか。
その最大の原因は、安倍政権の直前の「民主党政権」にある。では、「民主党政権」はそんなに悪かったのか。悪く言う人は多いが、しかし、「めちゃくちゃ悪かった」というほどではない。
その最大の原因は、安倍政権の直前の「民主党政権」にある。では、「民主党政権」はそんなに悪かったのか。悪く言う人は多いが、しかし、「めちゃくちゃ悪かった」というほどではない。
少なくとも、その直前の自民党内閣(安倍晋三、福田康夫、麻生太郎と引き継がれてきた内閣)と比べて、非常に悪い、というほどではない。
が、まさにそこが問題だったのだ。「民主党」の政権は、特によくはなかった。長く続いた自民党を選挙で倒して、「民主党」は政権を獲得した。
が、まさにそこが問題だったのだ。「民主党」の政権は、特によくはなかった。長く続いた自民党を選挙で倒して、「民主党」は政権を獲得した。
これは同じ与党の中での首相の交代とは訳が違う。国民には、大きな期待があった。何か根本的な変化がもたらされるに違いない、と。
正直にいえば、どのような変化が生じるのか、その変化はいかにして実現するのか、具体的にイメージできている人はほとんどいなかった。
しかし、何かとてつもなく大きな変化が起きるはずだ……日本の国民は2009年の政権交代にそのような幻想をもっていた。
しかし、「民主党」には大した策はなかった。「民主党」がもっていた策は「仕分け」くらいのものだった。国家予算を見直し、無駄をなくす作業を続けると、「埋蔵金」が見つかる……そんな幻想を人々は「民主党」とともに抱いていたわけだが、もちろん、埋蔵金など発見されず、仕分けも思ったほどには進まなかった。
📙大澤真幸『この世界の問い方──普遍的な正義と資本主義の行方』(朝日新書)>>
📙大澤真幸『この世界の問い方──普遍的な正義と資本主義の行方』(朝日新書)>>
というわけで、「民主党」は、それまでの自民党政権と大筋において同じことを続けたのである。
しかし、それは許されない。政権交代には、圧倒的な変化が期待されていたからである。こうして、「民主党」は、おおむね普通のことを続けただけなのに、国民から約束を破った裏切り者と見なされた。
だから、日本人はもう一度、政権の担当者を自民党に戻したのである。「民主党」が失敗したあとの政権は楽である。
だから、日本人はもう一度、政権の担当者を自民党に戻したのである。「民主党」が失敗したあとの政権は楽である。
人々は、もはや大きな変化を期待していないからだ。画期的な変化を期待したこと自体が誤りであった、と思うようになっているからだ。
「民主党」を継いだ政権、つまり安倍政権は、国民が「普通こんなものでしょ」と思う程度のことをやり続けられれば、それで十分に高い支持を得ることができたのである。「民主党政権」は目立った変化をもたらすことができなかったことで支持を失い、安倍政権は、「民主党政権」の失敗のおかげで、同じように人々に大した変化を実感させはしなかったが、支持を失わなかったのだ。
安倍政権が長く続いた原因はここにある。政権の存続期間は8年近くとたいへん長いので、全期間にこの原因がひとしく利き続けたとは言えないかもしれないが、少なくとも、人々が「民主党政権」のことを生々しく記憶していた最初の3〜4年の間は、「民主党政権」の失敗が、安倍政権がタフだった最大の要因だったと考えられる。
■まさに「理性の狡智」のように
さて、バイデンに戻ろう。日本の「民主党政権」の例は、大きな変化を期待されていた者が、十分に大胆な策をもっていなかった場合、どれほど大きな代償を支払わなくてはならなくなるかを教えてくれる。
■まさに「理性の狡智」のように
さて、バイデンに戻ろう。日本の「民主党政権」の例は、大きな変化を期待されていた者が、十分に大胆な策をもっていなかった場合、どれほど大きな代償を支払わなくてはならなくなるかを教えてくれる。
現在、バイデンに向けられている期待の大きさは、2009年の日本の「民主党」への期待どころではない。それをはるかに上回ることがバイデンに期待されている。
では、バイデンは何か画期的なことができるのか。トランプ政権がやってきたこと、そのマイナスをすべて解消するようなことをバイデンはできるのだろうか。
では、バイデンは何か画期的なことができるのか。トランプ政権がやってきたこと、そのマイナスをすべて解消するようなことをバイデンはできるのだろうか。
この点に関して、専門家の意見はおおむね一致している。バイデンが大統領職に就いたからといって、実質的な変化は乏しい、と。大統領がバイデンだからといって、アメリカの経済格差が小さくなるわけではない。米中関係が改善されるわけでもない。
バイデンの最大の課題は、真っ二つに分断されているアメリカをひとつにまとめることだが──本人もそのことをよく自覚しているが──、そんなことができるのか。
バイデンの最大の課題は、真っ二つに分断されているアメリカをひとつにまとめることだが──本人もそのことをよく自覚しているが──、そんなことができるのか。
経済学者のロバート・ライシュ──第一期のクリントン政権のときの労働長官──は、核心をついたことを言っている。「バイデンは、どうやってアメリカを癒やすというのか? トランプ〔とその支持者〕が、アメリカが癒やされるのを望んでいないというのに」。敵対者(トランプ)もまた、分裂を異常な病であると認識していなければ、その病を癒やし、アメリカを統一することはできない。
バイデンが何かをやりたくても、少なくとも、上院と下院の両方で民主党が多数派でなくては、それは難しい。
バイデンが何かをやりたくても、少なくとも、上院と下院の両方で民主党が多数派でなくては、それは難しい。
だが、上院で民主党が多数派になりうるか、微妙な情勢である。そして、最高裁は、保守派が多数派であって、それがバイデンの足を引っ張るだろう。
そもそも、バイデンは、いわゆる穏健派であって、大きな変化をもたらすような大胆なアイデアをもっているわけではない。
そもそも、バイデンは、いわゆる穏健派であって、大きな変化をもたらすような大胆なアイデアをもっているわけではない。
大きな変化をもたらす意志をもたない、ということこそ、バイデンの「売り」である。バイデンが、はっきりとトランプと異なったことをできるのは、パリ協定からの離脱のキャンセルくらいのものだろう。
これは大事に見えるが、ほんとうは大したことではない。アメリカがパリ協定に参加したことで解決に向かうほど、気候変動の問題は簡単ではないからだ。
それに、パリ協定に復帰しても、アメリカ人は何か生活が改善されたとか、幸福になったとか、という実感をもつことはないだろう。
バイデンは、だから、大したことはやらないし、できないだろう。その結果は、しかし、恐ろしい。
バイデンは、だから、大したことはやらないし、できないだろう。その結果は、しかし、恐ろしい。
日本の「民主党」は──非常に悪いことをやったわけではないが──とてもよいことは何もできなかった。そのことが、自民党の圧倒的な勝利を導いた。
バイデンが、ごく普通のことしかできなければ、それは、トランプの復活・圧勝という結果をもたらしかねない。バイデンの当面の勝利は、より大きな敗北への最初の一歩だとしたら……。こう考えると恐ろしくなる。
■子どもの投票
そもそも、アメリカ人は──およそ半数のアメリカ人は──、どうしてトランプを支持するのだろうか。トランプ支持は、これまでの大統領(候補者)への支持とは、非常に性格を異にする。このことを示唆するデータを紹介しよう。
アメリカの教育系の出版社Scholasticは、1940年以来、大統領選挙の年にはいつも、選挙権をもたない学童たちに模擬投票をさせてきた。幼稚園児から高校生までの選挙権をもたない子どもたちが、この投票に参加することができる。
■子どもの投票
そもそも、アメリカ人は──およそ半数のアメリカ人は──、どうしてトランプを支持するのだろうか。トランプ支持は、これまでの大統領(候補者)への支持とは、非常に性格を異にする。このことを示唆するデータを紹介しよう。
アメリカの教育系の出版社Scholasticは、1940年以来、大統領選挙の年にはいつも、選挙権をもたない学童たちに模擬投票をさせてきた。幼稚園児から高校生までの選挙権をもたない子どもたちが、この投票に参加することができる。
これは教育を目的とした模擬選挙で、結果は、実際の大統領選挙よりも前に発表されてきた。この子どもたちの投票の結果と実際の大統領選の結果とは、きわめて一致率が高い。子どもたちから多数の支持を得た候補者が、実際の選挙でもたいてい勝つのだ。
得票率まで実際の選挙結果とほぼ一致している場合が多い (*注1)。
Scholastic社によると、今まで、子どもの投票が実際の選挙結果と一致しなかったケースは3回しかない。
Scholastic社によると、今まで、子どもの投票が実際の選挙結果と一致しなかったケースは3回しかない。
そのうちの1回は、2016年の選挙である。子どもたちからの支持は、ヒラリーの方が圧倒的に大きかった(よく知られているように、大統領選挙前の世論調査でも、ヒラリーは勝っていた *注2)。
2020年は、どうだったのか。2020年のケースでは、子どもの投票でもバイデンが勝っていたので、一応、実際の選挙結果と合致していた、ということにはなる。
しかし、よく数字を見ると、子どもの投票が、大人のほんとうの選挙を予言していたとは言い難いことがわかる。子どもの投票では、バイデンの得票率は60%を超えている(トランプの得票率は、30%台だということになる)。
しかし、よく数字を見ると、子どもの投票が、大人のほんとうの選挙を予言していたとは言い難いことがわかる。子どもの投票では、バイデンの得票率は60%を超えている(トランプの得票率は、30%台だということになる)。
もし実際の選挙で、これだけ得票できたら、バイデンの地滑り的な大勝利になっていたはずである。しかし、実際の選挙では、バイデンの得票率は51.3%、トランプの得票率は46.8%と僅差である。
つまり、子どもの投票と実際の選挙の間には、10ポイント以上の違いがある。先にも述べたように、子どもの投票と大人の実際の選挙では、得票率まで近いのが普通なので──たとえば2012年の大統領選挙でオバマが獲得した得票率は51%で、子どもの投票での得票率とまったく等しい──、勝敗だけは実際の選挙と同じだったとはいえ、2020年の数値は、子どもの投票が実際の選挙結果を予言したとは見なしがたい水準である。
どうして、トランプが絡む選挙では、子どもの投票の結果と大人による選挙の結果との間に大きな乖離が生ずるのか。
どうして、トランプが絡む選挙では、子どもの投票の結果と大人による選挙の結果との間に大きな乖離が生ずるのか。
正解を得るためには、逆の問いに先に答えた方がよい。どうして、たいてい、子どもの投票と大人の実際の選挙の結果の間に、きわめて高い一致度があるのか。
考えてみると、たいていの子どもは、大統領候補者の政策や公約を正しく理解し、評価しているわけではない。中学生くらいになれば、ある程度は、自分で判断できるようになるだろう。
しかし、幼稚園児や小学生も投票しているのである。それなのに、大人と一致するのはどうしてか。
理由は簡単である。幼い子どもの投票は、両親の判断や評価をそのまま反映しているだけだからだ。
理由は簡単である。幼い子どもの投票は、両親の判断や評価をそのまま反映しているだけだからだ。
日頃、お父さんやお母さんがどちらをけなし、どちらを褒めているのか。子どもはそれを繰り返し聴くことで、「トランプは悪い人」「バイデンはいい人」等と思うようになっただけだ。
だから、子どもの投票の結果が、大人の選挙の結果と合致するのは当然である。子どもの投票は、彼らの家庭で誰が支持されているのか、誰が不興を買っているのかを知る手がかりになる。
そうだとすると、どうしてトランプ関連の選挙だけは、子どもの投票が大人の実際の選挙の結果を正確に反映しないのだろうか。
そうだとすると、どうしてトランプ関連の選挙だけは、子どもの投票が大人の実際の選挙の結果を正確に反映しないのだろうか。
それは、大人が子どもたちの前では、トランプをあまり褒めてはいない──むしろバイデンを支持しているかのようなことを言っている──ということを意味している。子どもの前でそういう態度をとっている大人の中の少なからぬ数が、しかし、実際には、トランプに票を投じているのだ。
ということは、その大人は、トランプを支持することは、道徳的にはあまり好ましくなく、子どもの教育には悪い、と思っているのである。
彼または彼女は、トランプを支持することは、ある意味では、恥ずべきことだと思っているにもかかわらず、実際にはトランプを支持していることになる。
重要なことは、このような捻れは、トランプ以前の大統領選挙では、(ほとんど)なかった、ということである。
重要なことは、このような捻れは、トランプ以前の大統領選挙では、(ほとんど)なかった、ということである。
どうして、2016年と2020年の選挙では、このような捻れが大量に発生したのか。その理由はどこにあるのか。
※後編「【米大統領選】トランプ再立候補への流れを予言した大澤真幸の提言「アメリカがトランプを選択しない未来」とは?」につづく
*注1)この子どもの投票のことを、私は、憲法学者の木村草太さんから教えてもらった。2016年の大統領選挙のときである。
*注2)他の2回は、1948年の選挙(トルーマンがトマス・デューイに勝った選挙)と1960年の選挙(ケネディがニクソンに勝った選挙)である。詳しくは解説しないが、どちらも非常に例外性の強い選挙だった。前者は、史上最大の番狂わせと言われた選挙(デューイが勝つに決まっていると信じていた『シカゴ・デイリー・トリピューン』紙が「デューイ、トルーマンに打ち勝つ」という見出しを一面に記した紙面を配信してしまったくらいだ)で、後者は、勝者と敗者の間の得票率の差がわずか0.1%と(それまでで)最小だった選挙である。
※後編「【米大統領選】トランプ再立候補への流れを予言した大澤真幸の提言「アメリカがトランプを選択しない未来」とは?」につづく
*注1)この子どもの投票のことを、私は、憲法学者の木村草太さんから教えてもらった。2016年の大統領選挙のときである。
*注2)他の2回は、1948年の選挙(トルーマンがトマス・デューイに勝った選挙)と1960年の選挙(ケネディがニクソンに勝った選挙)である。詳しくは解説しないが、どちらも非常に例外性の強い選挙だった。前者は、史上最大の番狂わせと言われた選挙(デューイが勝つに決まっていると信じていた『シカゴ・デイリー・トリピューン』紙が「デューイ、トルーマンに打ち勝つ」という見出しを一面に記した紙面を配信してしまったくらいだ)で、後者は、勝者と敗者の間の得票率の差がわずか0.1%と(それまでで)最小だった選挙である。