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27カ国中最下位…日本がIT人材足りない根本理由 202305

2023-05-03 00:22:09 | 気になる モノ・コト

27カ国中最下位…日本がIT人材足りない根本理由
リチャード・カッツ:東洋経済 特約記者(在ニューヨーク) 230503

「2025年の崖」。最大の問題は?
 日本はデジタル分野の専門人材不足が深刻化する「2025年デジタルの崖」に直面する。
 経済産業省によると、2020年には30万人、2030年にはデジタルサービスの需要次第で45万人から80万人にまで不足が拡大するとされている。
 後者の場合、日本が必要とする190万人の専門人材を4割も下回ることになる。

 経産省は、日本がこの崖を乗り越えなければ、2025年以降、日本のGDPは予測よりも毎年12兆円も低くなると警告している。
 その損失は、2022年のGDPの2%以上に相当する。ところが、政府はDXなどという聞こえのいいスローガンを掲げるだけで、この状況を改善するためにほとんど何もしていない。
 民間企業では心強い変化も起きているが、それが政府の動きによって増幅されない限り、崖の高さを低くすることしかできないだろう。

⚫︎そもそも人材育成ができていない
 最大の問題は人材の育成ができていないことだろう。
 日本は数学と科学の分野で世界トップクラスの成績を収めた高校生の割合で2019年、韓国に次いで2位の成績を収めている。
 にもかかわらず、日本は27の富裕国の中で、科学や工学の分野でのキャリアを目指す優秀な学生の割合が最下位となっている。
 日本は、STEM(科学、技術、工学、数学)コースを専攻した大学卒業生の割合が22位である。これに対し、韓国は3位につけている。



(出典:OECD、注:STEM=科学、技術、工学、数学)
 これは単に優れたコンピュータを開発したり、新しいソフトウェアを書いたりする方法を知っている人たちが不足するという問題だけではない。
 今では、一般的な企業でもデジタル技術を使って業績を向上させる能力を持っている人が圧倒的に求められている。だが、現実的には多くの企業でこうした人材が不足している。

 デジタル分野に1円投資するごとに企業が得られる利益の大きさを示す「デジタルアジリティ」において、日本が63カ国中63位というのも当然のことである。
 さらに状況を悪化させているのは、日本の大企業と、日本の労働者の7割を雇用する中小企業との間にある大きな「デジタルデバイド」である。

 大企業が総投資額の10%をソフトウェアに割いているのに対し、従業員数300人以下の企業ではその比率はわずか4%である。
 2017年に何らかのデジタル機器やソフトウェアに投資した中小企業は、4社に1社にとどまっている。

 経産省が中小企業にデジタル技術の利用が進んでいない理由を尋ねたところ、「ITを導入できる人材が不足している」という回答が43%と最も多い結果となった。
 また、「IT導入の効果が不明確、または十分でない」が40%と僅差で2位だった。
 日本には、こうした中小企業にITを活用した売り上げの向上や、効率化の方法を示すコンサルタントが数多く必要なのだ。

⚫︎高校教育が遅れている
 この問題は高校から始まっており、教師自身のITスキル、こうしたテーマを教える能力、教師を養成するためのリソース、さらには十分な機器やオンライン学習プラットフォームといった重要な分野で、日本はOECDの中で最下位に位置している。

 政府の教育改革アドバイザーである鈴木寛氏は,大学入試にデジタルスキルが含まれていないことが大きな理由の1つだと指摘する。
 そのため、高校の教師は教える必要性をほとんど感じていない。

 鈴木氏によれば、2025年からは、入試にIT関連の問題が含まれるようになるとのことで、進んではいる。
 しかし、誰が教師を指導するのだろうか。そして、それにはどのくらいの時間がかかるのだろうか。

 また、優秀な学生がデジタル専門人材になるために必要な時間とお金を費やすインセンティブも、他の富裕国よりはるかに低い。
 ほとんどの企業では、給料を決めるのに、依然として職業よりも年功序列が重視される。

 2021年,日本のデジタル人材の平均年収は,2019年から4%減の438万円にとどまった。
 これは、日本の給与の中央値から2%下回る水準である。最もスキルの高いデジタル専門人材の給与では、その差はさらに大きくなっている。

 ある調査によると、デジタル人材の65%の年収が390万円から540万円であり、615万円以上は5%、1000万円は一握りである。
 また、他の17カ国では、IT技術者の給与が日本より高いという調査結果も出ている。

 残念ながら、DXは空虚な流行語にすぎないように思われる。日本政府は2021年にデジタル庁を創設したが、その使命は、政府内や政府と一般市民とのコミュニケーションのデジタル化に関するものがほとんどである。

 文部科学省は、STEM専攻の学生が支払う高い授業料と費用を、社会科学や人文科学専攻の学生が支払う低い水準に引き下げる財政支援策を提案している。
 成立すれば、年間約20万人の学生が恩恵を受けることになる。これは歓迎すべき一歩だが、デジタルスキルの教え方を知らない教師たちの問題を解決するものではない。

⚫︎外国人の高度人材にとっても魅力がない
 日本政府は、デジタルなどの分野で優れた技能を持つ移民を増やすため、複数の特別なビザを設けている。
 しかし、2022年現在、このビザ規則で高度専門職に指定された外国人は3275人にとどまっている。2022年の時点で、ICT分野の外国人就労者はわずか7万6000人ほどである。
 潜在的な人材が他の地域でもっと多くの給与を得ることができるので、不思議なことではない。

 さらに、2019年のOECDの調査では、高学歴人材の魅力度において、日本は35カ国中25位となっている。
 例えば,日本では外国人の子弟が学校で日本語の授業を受けることが認められているが,教師不足のため,対象者のうち65%しか支援を受けていない。

 昨年9月、岸田内閣の「教育未来創造会議」は、2032年までに大学のSTEM専攻者を半数以上にすることを提言したが、その方法はもちろん、そのような高い数値が望ましいかどうかも示さなかった。

 政府による措置がない中で、最大の前向きな動きは、世代交代による意識の変化によって、一部の高度な技能を持つ人材が、企業による採用競争によって、より高い給与を得られるようになっていることである。

 20代、30代の働き手は、親よりもずっと、自分が面白いと思えるキャリアを手に入れたいと考えている。また,専門的なスキルを持つ人は,終身雇用の必要性をあまり感じない。
 そのため、よりやりがいのある仕事、より高い給与を求めて転職を希望する人が増えている。

 1970年代から1980年代前半に採用された25歳から29歳の人たちが、最初は1つの会社に10年間勤めたとする。
 そのうちの70%は、少なくともさらに10年以上勤続している。
 しかし、15年後に採用された人たちでは、52%しか残らなかった。同様の傾向は、度合いは低いものの、それ以上の年齢層でも見られる。

⚫︎IT人材の給与を上げることは必然
 この世代交代に加え、専門的なスキルを持つ社内人材の不足に対応するため、現在では中途採用の人材を確保せざるをえない企業も増えている。
 1999年当時、中途採用を実施していた企業は、大小問わず37%にすぎなかった。今では70%近くになっている。

 さらに、優秀な中途人材を引きつけるために、企業はより高い給与を支払わなければならない。2009年当時、勤務先から別の勤務先に転職した人のうち、10%以上の賃上げを実現した人は13%にすぎなかった。
 しかし、2017年には、その割合は27%に倍増している。

 経験則や各種調査によると、この変化の恩恵を最も受けているのは、熟練したデジタル人材であることがわかっている。 富士通やNTTデータなどの企業は、最もスキルの高いデジタル系社員に年間1000万円以上支払っている。

 2019年、NECは優秀な研究開発職の採用者に初任給1000万円を提示したが、これは何年も前に採用した他の社員よりも高い給与を与えることになるケースが多い。
 パーソルホールディングスは、人材紹介会社として、企業のデジタル人材の確保を支援するとともに、ITに関する研修プログラムも提供している。
 外資系企業や日本の新興企業は、従来の日本の国内企業よりも大幅に高い給与を支払っている。

 これだけですべての問題を解決することはできないが、正しい方向に進んでいることは間違いない。
 政府は、DXに関するレトリックを、しっかりとした現実的な対策に変えるべき時である。



💋小選挙区制の影響で議員は劣化し…
観光立国策などでは災害大国の国は立ちいかない。サービス業の人不足よりはるかに深刻。人材は人員では無い。貴重な財で、給与はGDP。

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