鳥越俊太郎の小泉首相の「ロシア外交」に対する批判は、軽薄で悪意に満ち、国民を惑わすものだ

2006年09月19日 14時30分17秒 | エネルギー問題
ロシアの天然資源省が、18日、国際石油資本のロイヤル・ダッチと三井物産、三菱商事によるロシア・サハリン沖の資源開発事業「サハリン2プロジェクト」について、2003年に出された事業許可承認を取り消す決定を下したとのニュースについて、鳥越俊太郎氏が、テレビ朝日の番組「スーパーモーニング」で、いかにも「小泉首相の外交姿勢」あぜ原因があるかのようなコメントしていた。
「中国や韓国との首脳会談が開かれないまま、政権を降りる」、と重ね合わせて「ロシアの国境警備隊に日本の漁船が銃撃されたのも、プーチン大統領との関係が良くないからだ」という批判である。
しかし、これは本当であろうか。小泉首相とプーチンとの関係が悪いという話は、聞いたことがない。最近、石油ブーム出湧くロシアは、かつての貧乏国とは比べものにならないくらいに、石油から恩恵を被り、豊かになっている。石油がじゃぶじゃぶ噴出し、そのうま味を知ってきたのである。ロシアが突然、事業認可承認を取り消す挙に出てきたのは、小泉首相の「ロシア外交」とは無関係である。読売新聞の19日付朝刊一面にも、「ロシアのプーチン政権『天然資源の国家管理』に動いており、サハリン2に対しても、ロシア政府系の巨大ガス企業『ガスプロム』の参入を求めていた」とコメントしているように、「小泉外交」とはまったく関係がない。日本側から見れば、一種の「契約違反」に相当する純粋にビジネス上のトラブルである。ロシア側が、「環境対策に不備がある」との理由を挙げているのは、理いわば言いがかりである。やはりロシアという国には、依然として旧ソ連の国家主導による強権政治がいきているらしい。
プーチン大統領が行なったチェチェンやアゼルバイジャンでの大虐殺や蛮行の報道を知ればよくわかる。日本の漁船銃撃、今回の一方的な措置も、この延長線上にある。プーチン大統領の「欲得外交戦略」をしたり顔で、しかも、鬼の首を取ったかのように、小泉首相の責任に転化するのは、ピント外れである。小泉首相のロシア外交の仕方とは、まったく別次元の問題である。この意味で鳥越氏の小泉批判は、当っていない。浅薄で、悪意に満ちており、国民を惑わすと断じて良い。
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