鳩山首相は、寺島実郎氏の助言に幻惑されて、四面楚歌を浴び、断崖絶壁に立たされている

2010年04月21日 15時10分40秒 | 政治
◆朝日新聞の4月21日朝刊12面「ザ・コラム」欄で編集委員の外岡秀俊氏が「四面楚歌、首相の勝負どころ」と題して、普天間移設問題をめぐる鳩山由紀夫首相の立ち位地について「鳩山首相は、どこでボタンをかけ違えたのだろうか」と疑問符を示して、その起因を探っている。
◆行き着いた先に、鳩山首相が最も信頼を寄せているブレーンの一人が現れる。いわく「日本総研の寺島実郎会長は今月、訪米直前の鳩山首相から電話を受けた。30分の会話で、寺島氏は『腹をくくって対米交渉に向き合う』よう助言した。『ジグゾーパズルの小片を震える指先で握り、はめ込み先を探すようなやり方では、基地問題は解決しない。米軍基地の管理権を日本に移し、東アジアに空白を生まずに基地縮小に踏み出すなど、10年単位の取り組みが必要だ。本気で対米交渉をし、日米に真の信頼関係を築く、その決意を示せるかどうかが本当の勝負どころではないか』」と紹介している。日ごろから、文学的な言い回しで、国際問題を分析して、独自の展望を示しているいかにも寺島氏らしい助言の仕方である。
◆しかし、この文学的な言い回しが、曲者である。そもそも、オバマ大統領との首脳会談すら設定されておらず、昼食会に隣り合わせで同席して、わずか10分程度、通訳を入れて5分程度しか、会話を交わすしかないのに、「本気で対米交渉」などできるはずもないのに、大げさな助言である。案の定、鳩山首相は、年下のオバマ大統領から、叱られるハメになり、大恥をかかされている。
 前々から気になっていたことであるが、米軍沖縄普天間基地移設問題をめぐる鳩山由紀夫首相の対応策には、「政局オンチ」という黒い雲が取り付いている。「オンチ」は、「ピント外れ」と同意語である。これは、寺島氏の助言に起因しているのは、明らかである。10年がかりの対米交渉には、文字通り長期戦略が必要である。そのためには、沖縄県民はもとより、日本人全体が、心を一つにして「米軍沖縄基地返還運動」に立ち上がらなくてはならない。それには、十分な根回しが大前提となる。
◆寺島氏の考えは、長期的戦略としては、正しい。しかし、目先の普天間基地移設問題という短期的に解決しなければならない問題である。それを長期戦略と絡めて鳩山首相に助言するのは、大変な間違いであり、はなはだ無責任な助言である。鳩山政権誕生のころから、「3カ月か5カ月の短命政権」と小沢一郎幹事長周辺から言われてきた。にもかかわらず、「政局感覚」もなく、文学的な表現で幻惑させる助言は、まさに「まやかし」であり、鳩山首相を退陣という断崖絶壁に立たせるだけである。
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