「左翼は必ず分裂する!」―菅直人首相は最長6ケ月の短命政権を覚悟して「脱小沢内閣」を組閣した

2010年09月17日 23時07分00秒 | 政治
◆「民主党の左派政権は、ライバルを殺すまで徹底的にやる。自民党では、そこまではやらない。ライバルが年を取るまで待つ」というような趣旨のことを、民放テレビに出演した「みんなの党」の渡辺喜美代表が、菅直人改造内閣の新人事を見て解説していた。
 菅首相が、民主党国会議員412人全員参加の挙党態勢を公約しているのとは、裏腹に実際には「脱小沢」の布陣をスタートさせたからである。渡辺代表は、「これで民主党分裂のスイッチが押された」と断定していた。菅直人改造内閣「最長半年の短命政権」という意味である。
◆「左派政権は、ライバルを殺すまで徹底的にやる」という言葉から想起されるのは、以前にもこのブログで書いたフランス革命期の革命家のマクシミリアン・ロベスピエールである。ルソーを目指したジャコバン派のリーダーだった。
 ロベスピエールは、晩年の1年間は事実上の独裁者としてフランスを支配し、粛清による恐怖政治でかつての同志をはじめ多くの反対派を断頭台に送り、「ルソーの血塗られた手」と呼ばれた。1794年7月28日、サン=ジュスト、ジョルジュ・クートンらとともにギロチンによって処刑された。私生活は至って質素で、紳士的な服装や振る舞いは広く尊敬を集めた。しかし、あまりにも高潔で純粋すぎたために、利や欲で動く人間を見極めることができなかったのではないかと見られている。
 また、ロシア革命のヴォルシェビキ革命家であったレフ・トロツキーは、かつての同志・スターリンから追われて亡命先のメキシコで暗殺された。自宅を要塞化して防衛するが、1940年8月20日、秘書の恋人になりすましたラモン・メルカデルによってピッケルで後頭部を打ち砕かれ、翌日収容先の病院で死亡したのである。スターリンの「暗殺リスト」に残っていた最後の大物革命家だった。この経緯は、映画「暗殺者」に詳細に描かれている。トロツキー暗殺に先立つ数年間、スターリンは大量粛清している。右派、左派、中道を問わず、「古参ボルシェビキ」をはじめ多くの人間を、権力のライバルとみなし、「見せしめ裁判」と呼ばれる公開裁判にかけて、死刑宣告によってことごとく抹殺した。
◆日本では、社会党の右派と左派が1955年10月13日、統一したものの、後に激しい路線対立が起こり分裂し、右派から民社党が生まれている。さらに構造改革路線を主張した江田三郎元副委員長(元々は、左派社会党出身、江田五月前参院議長の父)は、公明党・民社党との社公民路線によって政権を獲得することを主張した。
 これに対して、成田知巳委員長らが日本共産党をも加えた全野党共闘を主張し、江田三郎の主張を聞き入れなかった。しかし、江田三郎は1976年、社公民路線を推進するため、公明党・民社党の実力者とともに「新しい日本を考える会」を設立する。
 だが、これが社会主義協会系の活動家たちの逆鱗に触れることとなり窮地に陥る。1976年総選挙では落選、1977年の党大会では社会主義協会系の活動家たちからつるし上げられるなどした江田は社会党改革に絶望して、同年離党し除名となった。その後、菅直人とともに社会市民連合(社会民主連合の前身)を結成し、その年の参議院全国区選挙への立候補を表明した。しかし、参議院選挙直前に肺癌のため急逝し、代わりに息子の江田五月が急遽出馬して、第2位で当選した。
 江田三郎は、革新系政治家のなかでは、最も桃群を抜いて国民的人気を得ていた。このため、、自民党の田中角栄元首相は、江田三郎をもっとも恐れていたという。今回の民主党代表選で、田中角栄の直弟子である小沢一郎前幹事長と江田三郎の直弟子である菅直人首相(江田五月前参院議長が選挙対策本部長を務める)が激突したのは、極めて因縁的である。
 さらに、極左暴力集団で思い出すのは、赤軍派の軍事組織である中央軍と革命左派の軍事組織である人民革命軍が統合し、統一された「赤軍」(統一赤軍)として7月15日付で生まれた。赤軍派幹部の一人・森恒夫は、初めから党の統一を志向していた。
 だが、獄中の日本共産党革命左派神奈川県委員会議長であった川島豪らが、強く反対したため「連合赤軍」に改称された。両派は1971年12月上旬、南アルプスで初の合同軍事訓練を行った。
 しかし、その場で両派は、対立し始めた。主導権争である。それでも、両派は、お互いの批判を受け入れ、表面上は友好ムードの中でこの合同軍事訓練を終えた。
 連合赤軍は拠点になる秘密基地を作るために、関東地方の山岳地帯へ移動を開始、森は毛沢東に倣って「長征」と称していたという。そして、軍事訓練と称した集会を開始したところ、たちまち内ゲバが始まり、組織は崩壊に向かって転落して行った。
 このように、日本の左派陣営内でいざ対立が起こると、結末は、いずれも悲惨である。対立は、イデオロギー、革命路線、ヘゲモニー(主導権)争いなどがの原因となっていることが多いだけに、一旦激突し始めると、妥協を許さず、最後は「殺し合い」に行き着くのである。単なる利害得失であるなら、調整は可能なのに、それができない。
◆そこで渡辺代表が、「これで民主党分裂のスイッチが押された」と断定していた言葉が、ますます現実味を帯びてくるのである。
 菅首相は、小沢前幹事長の腹の底をよく読み取り、覚悟を決めて、「脱小沢」に徹して改造内閣を行っている。小沢前幹事長の腹の底とは、言うまでもなく「民主党分裂」である。いまの民主党は、嫁姑の喧嘩、いさかいよりも深刻であり、もはや関係修復は不可能である。それは、左翼的な菅首相支持派と自民党的体質の小沢前幹事長支持派の根本的体質の違いがあるからである。牛を神聖化しているヒンズー教徒と豚を穢れたものとして食さないイスラム教徒の違い以上の大きな隔たりがあるかも知れない。
 こうなると、同じ屋根の下で混在しているわけにはいかない。分裂は不可避である。となれば、次は手順とタイミングてある。手順は「小沢派・小沢支持派が揃って離党→新党設立→公明党→たちあがれ日本、新党改革、みんなの党→自民党の一部との中連立」であり、小沢前幹事長は、すでに手を打っているという。この後は、タイミングを計ることである。ただし、その前に、代表選で敵に走った「裏切り者」を見つけなくてはならない。スパイ防止のためである。

本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」
仙谷由人官房長官は、東京検察審査会が小沢一郎前幹事長に「起訴相当」を出すと見て議決すれば、離党勧告する構え

◆仙谷由人官房長官が17日午後、菅改造内閣の17人の閣僚名簿を発表した。各閣僚の使命と役割を以下のように分析しておこう。
つづきはこちら→「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」*有料サイト(月額1000円)

こちらも連載↓
「小沢一郎という男の野望」板垣英憲著 NO.1
四王天延孝陸軍中将の名著「猶太思想及運動」~板垣英憲が解説~No.3


お詫びと修正◆昨日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」リンク先が間違っておりました

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「小沢一郎という男の野望」板垣英憲著(大陸書房刊 1992年8月15日初版)の連載開始

2010年09月17日 21時14分06秒 | 政治


板垣英憲が書いた最初の「小沢一郎本」を「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」(有料サイト月額1000円)で連載を開始いたします。月額1000円で一ヶ月間、過去の記事を含めその他の記事の全てがご覧になれます。是非ご購読下さい。

「小沢一郎という男の野望」板垣英憲著(大陸書房刊 1992年8月15日初版)

 今や、自民党だけでなく、日本の命運をにぎっていると言われる男、小沢一郎。一派閥の会長代行にしかすぎない彼が、なぜ首相を決定するほどの権力を持っているのか?その政治力の秘密を探る!
(袖表紙より)

未来の総理といわれる男の恐るべき政治手腕
 小沢が首相特使として訪米した時、米国のヒルズ通商代表が交渉の相手だった。ヒルズのあまりにも頑固な態度を見て、小沢は、
「それでは仕方がありませんな」
と日本へ引き上げるそぶりを示した。慌てたのは、ヒルズだ。
「ちょっと待って欲しい。私の立場も理解してくれないか」
「それでは、あなたの顔を立てて、関西新空港建設工事への応札、NTT本社工事、官公庁工事への米国の参加を認めましょう。いかがですか」
小沢はニヤリとしながらこう切り出した。ヒルズは、サンキューと、握手を求めてきた。

目次
第一章 剛腕、健在なり
PK0を通した腕っぷし
WE MUST CHNGE
政治改革に体を張る
谷川障ろし成る
宮沢政権を骨抜きにした「小沢面接」
 政権タライ回しの密約
 復権をもくろむ角栄
 煩悶する小沢
 オヤジの首に鈴をつける
 老人たちの執念
 田中を屠る
 怨念からの解放
 小沢に課せられた課題

第二章 熾烈!一龍戦争
 「あなたを総裁には推せない」
 生い立ちの違いが政治姿勢に
 小沢流必勝の選挙術
 金丸VS竹下の「代理戦争」
 人気の橋本、実力の小沢
 一龍戦争、喜ぶのは誰か
 第三の勢力羽田、小渕、田村

第三章 受け継がれた政治家の血
 父の意を継ぐ
 維新の志と小沢
 闘志の人、父・佐重喜
 戦争を知らない世代
 無口な子供
 最初の挫折
 弁護士を目指して
 父の死、運命の転換
 田中角栄、政治的"父"
 角栄から"政治"を学ぶ
 「田中だけが悪いんじゃない」
 改革の構想が生まれる
 建設利権のゆくえ

第四章 果てしなき権力闘争
 田中と竹下、確執の始まり
 三木、福田をつぶせ

第五章 小沢に求められるもの
 二十一世紀のリーダーとは
 待たれる小沢の登場
 日本を取り巻く諸問題
 求められる資質と条件
 的確な判断と素早い決断 
 優秀なブレーンが必要
 ヒルズと渡り合う
 スキャンダルは命取り
 誤解を招く危険性
 定評ある集金能力
 「小沢のためなら死んでもいい」
 未熟なマスコミ対応
 国際社会でも通用するか?

第六章 ポスト宮沢を目指して
 日本が背負う責務
 限りなく壮大な野望

第一章 剛腕、健在なり
PKOを通した腕っぷし

「平和で豊かな日本はこれから、国際社会でほかの国々と協力し合う国際協調の路線を歩むのか、あるいは日本の主張を通して、孤立してもいいという考え方で進むのか、国策としての政治的判断が迫られている」
 小沢一郎。自民党元幹事長であり、党内最大派閥である竹下派の会長代行を務める、まだ五十歳になったばかりの若き獅子である。
 剛腕、強心臓、鉄面皮などと恐ろしげな異名をとる、その小沢が、いま、国民一人一人にこの問題を突きつけ、恫喝的に回答を促す。小沢の真剣な問いである。

つづきはこちら⇒「小沢一郎という男の野望」板垣英憲著 NO.1

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お詫びと修正◆昨日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」リンク先が間違っておりました

2010年09月17日 14時58分46秒 | お知らせ
昨日のエントリーにリンクしておりました「本日の板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」のリンク先が間違っており、サイトにジャンプできない状態になっておりました。
大変ご迷惑をおかけいたしまして、誠に申し訳ございません。さきほど、修正いたしましたので、あらためまして、下記表示させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」
みんなの党の渡辺喜美代表が、経営オンチの菅直人首相と仙谷由人官房長官に任せると日本が滅ぶと警告
◆「勝者の民を戦わすや、積水を千仭の谿に決するが若きは形なり」(孫子兵勢篇第5)
 満々と 湛えた水を千仭の谷へ切って落とすような勢いと情熱をもって戦う姿こそ、最も理想的な戦い方であると孫子は説く。この「勢い」を生み出す源泉こそ、「積水」である。「人材、資金、ノウハウ」などを蓄積した「プール」ということになる。これを「ここぞ」という「絶好のタイミング」で「堰」を切って、一気呵成に発揮させる。そこに「大きなエネルギー」から「勢い」が生まれる。その姿こそ、最も理想的な戦いの姿が顕現する。戦いにおいては、正規・奇襲作戦と勢いにより主導権を握ることが先決である。そして「勢い」を巻き起こし、変幻自在に形を変えて戦うのである。
◆さて、「理想的な戦いの姿」が、「積水を千仭の谿に決すること」であるという原理に照らし合わせて、今回の菅直人政権が9月15日午前10時35分、日銀とともに断行した「為替市場への介入」は、果たして理想的な介入だったのであろうか。答えは、「否(ノー)」と言わざるを得ない。

つづきはこちら→「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」*有料サイト(月額1000円)

「四王天延孝陸軍中将の名著「猶太思想及運動」~板垣英憲が解説~No.2

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