我国の糖尿病(DM)患者は年々増加傾向を示しており、患者数は740万人,
予備軍は880万人であり、この50年で31.5倍に増加している。DM腎症による透析導入は毎年1,4000件を越えている。さらにDM患者1,000人/年当たりの心血管イベント(狭心症・心筋梗塞/脳卒中)数は16.7倍と欧米並みになっている。このようにDMとその合併症に関する事態はますます深刻化している。そのリスク集団であるメタボリック症候群(MS)は少なく見積もっても1,960万人越えていることが、最近厚生労働省から発表された。MSの病態は内蔵脂肪蓄積型肥満とそれに伴うインスリン抵抗性であります。またこの病態の本質的な部分にアディポカイン異常が重要視されており、特にアディポネクチン低下に伴う脂肪細胞の分化障害や血管炎症・酸化ストレスによる血管内皮機能障害の重要性が指摘されている。
そんな中、このインスリン抵抗性を改善すべく開発されたのが、チアゾリジン誘導体(TZD)である。現在日本で唯一使用可能なのが、ピオグリタゾン(アクトス)である。この薬はインスリン抵抗性を著明に改善して血糖をコントロールするだけでなく、従来頻用した強力なインスリン分泌刺激剤(SU剤)を増量せず、TZD薬と併用することで膵β細胞の疲弊(2次無効)を来すことなく、治療継続が可能であり、最終的にインスリン注射導入率を半減することが証明されている。またTZD薬には核内受容体型転写因子のPPARγ活性を刺激することでアディポネクチンなどの各種遺伝子の転写促進などが発現して、多面的効果が期待される訳である。それは抗動脈硬化作用・脂質代謝改善作用・膵保護作用・脂肪肝改善作用・心保護作用・腎保護作用などが報告されている。副作用については一部浮腫が散見されるが、減塩や水制限で速やかに改善するので心配ありません。したがって、これからのDM治療はインスリン抵抗性改善薬を主軸に展開していくものと考えられ、当院でも1年前から積極的に日常診療に使用しているが、この薬剤に大いに期待するところであります。
予備軍は880万人であり、この50年で31.5倍に増加している。DM腎症による透析導入は毎年1,4000件を越えている。さらにDM患者1,000人/年当たりの心血管イベント(狭心症・心筋梗塞/脳卒中)数は16.7倍と欧米並みになっている。このようにDMとその合併症に関する事態はますます深刻化している。そのリスク集団であるメタボリック症候群(MS)は少なく見積もっても1,960万人越えていることが、最近厚生労働省から発表された。MSの病態は内蔵脂肪蓄積型肥満とそれに伴うインスリン抵抗性であります。またこの病態の本質的な部分にアディポカイン異常が重要視されており、特にアディポネクチン低下に伴う脂肪細胞の分化障害や血管炎症・酸化ストレスによる血管内皮機能障害の重要性が指摘されている。
そんな中、このインスリン抵抗性を改善すべく開発されたのが、チアゾリジン誘導体(TZD)である。現在日本で唯一使用可能なのが、ピオグリタゾン(アクトス)である。この薬はインスリン抵抗性を著明に改善して血糖をコントロールするだけでなく、従来頻用した強力なインスリン分泌刺激剤(SU剤)を増量せず、TZD薬と併用することで膵β細胞の疲弊(2次無効)を来すことなく、治療継続が可能であり、最終的にインスリン注射導入率を半減することが証明されている。またTZD薬には核内受容体型転写因子のPPARγ活性を刺激することでアディポネクチンなどの各種遺伝子の転写促進などが発現して、多面的効果が期待される訳である。それは抗動脈硬化作用・脂質代謝改善作用・膵保護作用・脂肪肝改善作用・心保護作用・腎保護作用などが報告されている。副作用については一部浮腫が散見されるが、減塩や水制限で速やかに改善するので心配ありません。したがって、これからのDM治療はインスリン抵抗性改善薬を主軸に展開していくものと考えられ、当院でも1年前から積極的に日常診療に使用しているが、この薬剤に大いに期待するところであります。