また歌舞伎界の巨星市川団十郎さんは闘病の末、あの世にに旅立ってしまった。
8年にわたる難病の白血病(APL)との壮絶な闘病生活の末に、逝ってしまわれた。
幼少期から歌舞伎役者としてまたTV俳優として、私たちを楽しませてくれた名優が
また一人居なくなってしまった。私の勘違いでなければTVで宮本武蔵を演じたことが
あったと思うが、素晴らしい武芸者”武蔵”に感動した覚えがある。APL(急性前骨髄
性白血病)といえば、35年ほど前の医学生時代に血液の授業で習った頃は、”診断がつ
いても1週間の寿命しかない”と教官が言ったことを覚えている。ひょんなことから、私は
医師になってからは血液・造血器学を専攻したのであるが、30年程前に経験したAPL
症例では一時寛解しても再発を認め、結局死亡する難治性の血液疾患であった。
この症例は2年ほど生存したのであるが・・・。そう考えると、医学の進歩は目覚ましい
ものがあるが、患者さんの苦痛ははかり知れないものであろうとも思うのである。