第1講演は横浜共栄病院の循環器部長の野末剛先生のご講演であります。
DM特にインスリン抵抗性を有する症例では心血管発症リスクが高いことが知
られている。このようなメタボ症例は高TG血症・低HDL‐C血症以外にsdLDL
やレムナントなどの動脈硬化惹起性リポ蛋白が増加している。このような症例で
はスタチン剤を強化してLDL‐Cを低下させても、心血管イベントを完全には抑制
できない(約70%残余)ことも判っている現状にある。この残余リスクを減少させ
るためには次の治療選択が必要となる。最近インスリン抵抗性のメタボDMでは
小腸コレステロールの吸収亢進が内在しており、またスタチン投与群ではその吸
収亢進が増幅していると考えられる。したがって、小腸コレステロールトランスポー
ター阻害薬のエゼチニブ(ゼチーア)が有効となる。スタチンとの併用ではスタチン
増量単独よりも臨床効果は高いことが、証明されているが結果的に心血管イベント
の低減も期待できそうである。最後に”スタチンの6%ルール”について何故スタチン
を倍増してもLDL‐Cは6%しか減らないのか?について、スタチン投与により細胞
内のSREBP2活性が亢進しPCSK9が増加して、結果細胞表面のLDL‐Rが破壊
されるとの知見があります。実際日本でもヒト坑PCSK9モノクロ抗体製剤エボロク
マブ(レパーサ)の発売が予定されているらしい。かなり強力な皮下注剤のようであり
ます。