2020年4月18日放映の「ブラタモリ」では、「なぜ、飛鳥は日本の国の礎となったのか?」ということで、奈良県の「明日香村」が取り上げられました。見られた方も多いのではないでしょうか。
せっかく私が住んでいる大好きな「飛鳥」を紹介していただいたので、「ブラタモリ」で訪れた場所を、今の様子と共にまとめてみました。
最終回は、なぜ、飛鳥は日本の国の礎となったのか?「飛鳥ブラタモリ・2020」(3)を、紹介したいと思います。
〇斉明天皇は「石好き」だった!?
「斉明天皇の国づくりの痕跡とは?」
「日本書紀」の656年には、「宮の東の山に石を累ねて垣とす」とある。この石垣の造営にはのべ7万人が動員されたと記されている。
・酒船石遺跡
「亀型石造物」と、南方の階段を上がったところにある「酒船石」の遺構を含めて「酒船石遺跡」といいいます。「斉明天皇」の時代に造られたとされる、長さ2.3メートル、幅約2メートルのユーモラスな亀の姿の石造物です。
円形の甲羅には深さ約0.2メートルの水槽が彫り込まれており、丸い目を持つ頭が取水口となり、甲羅にたまった水が溝の刻まれた尻尾から流れ出るようになっています。その南側には、この亀の頭部に水を供給する船形の貯水槽が、そのさらに南側にはレンガ状に加工された砂岩切石を積み上げた湧水施設が設けられており、この湧水施設から船形の貯水槽へ、貯水槽から亀形石造物へ水が流れる構造になっています。
「酒船石」は小高い丘の上にあり、長さ約5.5m、最広幅約2.3m、厚さ約1mの大きさで、上面に丸いくぼみとそれにつながる溝が刻まれています。「亀型石造物」や「酒船石」を使って、祭祀が行われたのではないかと言われていますが不明です。「酒船石」がある丘陵は、わざわざ山を削りその後、版築土(20cm×30cm)で積み上げた人工の丘でした。四重の石垣で取り囲み、周囲総延長800mある丘です。日本書紀には、「宮の東の山に石を累(かさ)ねて垣とす」とあります。この場所が「石の山丘」ではないかと言われています。証拠の「石(天理砂岩)」を見ることができます。
「斉明天皇」は、「亀型石造物」のある場所で身を清め、「亀型石造物」で溜まった聖なる水を、「酒船石」を使って国家の方針を占ったのでしょうか!?
「斉明天皇」は、夫の「舒明天皇」亡きあと、飛鳥で「皇極天皇」として即位し、645年の乙巳の変(大化改新)後、「斉明天皇」として再度即位し、日本史にその名が刻まれる女帝です。飛鳥に残る数多くの石造物の多くは、女帝が残したものだといわれています。
また、朝鮮半島動乱に端を発した国難(白村江の戦)に対して、天皇自ら九州(福岡県)に赴き陣頭指揮をとります。しかし、その半ばで倒れ福岡の地(朝倉橘広宮)でなくなりました。(661年7月24日・享年68歳?)
「斉明天皇」は、緊迫した東アジアの状況の中、渡来の技術を導入しつつ大規模な運河や建造物(宮殿・迎賓館等)をつくるなど国土を整備し、「国づくりの基礎」なしたこと等が最近再評価されています。個人的には、波瀾万丈な人生を送った女帝に大変興味を注がれます!
ところで「酒船石遺跡」のある場所は、今は竹藪だらけの丘ですが、ロマンいっぱいの場所です。こちらも、「亀型石造物」は、コロナの影響で入場ができませんが、「石(天理砂岩)」と「酒船石」は、見ることができます。
〇日本の原風景とは、日本の原点!?
「飛鳥は、日本最初の国づくりの始まりの場所である!」
明日香村は、奈良県の中央部付近に位置している村です。中央集権律令国家の誕生の地であることから飛鳥時代の宮殿や史跡が多く発掘されていることで知られ、現代は、「日本人の心の故郷」とも紹介されています。今はのどかな田園風景が広がる「飛鳥」の地ですが、7世紀頃は日本の政治と文化の中心で、活気に満ちあふれていました。そのエリアは、さほど広くありません。飛鳥川の主に東岸を中心とする範囲だったと考えられています。北限は天香具山の南麓辺り(山田道)、南端は「聖徳太子」生誕の地といわれる「橘寺」付近までと言われています。(東西約1キロ・南北約2キロ)
古代飛鳥の景観は、「斉明天皇」によって造られたとも言われています。
この「飛鳥」の地において、律令国家としての都市計画(大道などのインフラ等)・戸籍制度(庚午年籍)・納税制度(租・庸・調)・貨幣経済(富本銭)・時計と暦(漏刻)等の諸制度のしくみがつくられました。 「飛鳥」は、「日本最初の国づくり」の始まりの場所でした!
「ブラタモリ」で訪れた場所を、3回に分けて今の様子と共にまとめ、紹介させていただきました。
明日香村には、現在も歴史的な遺産が数多く点在しています。
そんな深い歴史が息づく「飛鳥」で、コロナウイルスの終息した後(一刻も早くコロナウイルスの終息を願うばかりです!!)、のんびりと史跡等を訪ね歩いてみませんか・・・
・飛鳥の春風景