奈良県明日香村の稲淵にある明日香川の「石橋」は、万葉集にも詠まれました。
今回は、万葉集にも詠まれた「明日香川の石橋」について紹介したいと思います。
「明日香川明日(あす)も渡らむ石橋(いしばし)の遠き心は思ほえぬかも」
(訳)明日香川 あの川を明日にでも渡って逢いに行こう。その飛石のように、離れ離れの遠く隔てた気持ちなどちらっとも抱いたことはないのです。
明日香村の稲淵にある明日香川の「石橋(いしばし)」は、川に大きめの岩を置いて橋の代わりにしたもののことです。万葉歌人には、この橋を渡ることが逢引きを意味したり、恋人との距離感を示す例えに用いられたりと、たくさんの歌に登場しています。
現在、2か所で見ることができます。実は、もう2か所あります。一つは、飛鳥時代の南淵請安先生の墓の下に流れている明日香川の小さな橋の基礎になっています。もう一つは、稲渕の棚田の横に流れている明日香川に、「石橋(いしばし)」の名残りを見ることができます。近づくことが難しく、残念ながら遠くからしか見ることができません。
古代を想いながら、『万葉集』に詠まれた明日香川の「石橋(いしばし)」を渡るのも、とても気持ちがいいものですよ!