無線脳の視点

無線関係のモノ・ヒトに毒された日常を地味に書いてみる。

海上自衛隊輸送艦と釣り船の事故に関する雑感

2014年01月16日 | 無線系全般
海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」と釣り船が衝突した事故で、ニュース速報が入った時点で船舶の航跡が見えるサイト Marine Traffic を見に行った。


(これ↑は翌日に取った画像)


(↑ネットで拾った情報)

「OHSUMI」で船名を探して航跡を見ると、南進していた釣り船と接触したため戻って救助したであろうというのが記録で確認できた。
この航跡情報は「AIS」(Automatic Identification System)と呼ばれる自動船舶識別装置が、船の登録番号や位置情報を電波で発信したものを受信した情報で、誰でも見れるようになっているものだ。
この識別装置を搭載することが義務づけられている船舶は、総トン数が300トン以上の国際航海する船舶と、総トン数が500トン以上の国際航海しない船舶、国際航海する全旅客船となっていて、小型の漁船など、搭載義務の無い船舶向けには簡易型の装置を自主的に設置することができる。
船自らが各自電波で情報を発信して「俺はここにいるから見つけてね、注意してね」という情報を共有しているのだから、あればあったに超したことはない。しかもAutomaticって名の通り、位置情報は自動的に送信され、ほぼリアルタイムにネットにアップされてしまうから、後日、都合の良いように航跡を改変することは困難に近い。

さて、自分は何年か前に瀬戸内海での仕事があって警戒船に搭乗してワッチをやったことがあるけれど、大型船には近づくもんじゃないなと肌で実感できることを幾度となく経験している。だから今回の事故の報道に触れたとき、「この釣り船だか漁船は、ずいぶんチャレンジャーだな」と思った。
この写真のとき、自分は航路の端のほうで停船し、「僚船が海上作業をしているから」という注意喚起をしていたのだが、場所は瀬戸内海の国際航路なので、でかいコンテナ船やタンカーなどがひっきりなしに航行し、それらが壁のごとく近づいてきて、あっという間に通り過ぎる感じである。この感覚は実際に船上で見ない限り分かるまい。
大型船が通り過ぎた後に寄せてくる波とかも、こちらが数百メートル離れて停船していてもかなり揺れを感じるのだから、直近にいたらかなり恐怖に感じるかもしれない。



ただでさえ小回りの利かない大型船に対して、どれだけ回避義務と能力を求めて責任を追及するのかは今後の調査次第だとは思うが、少なくとも小回りが利く船は、大型船は回避こそすれ、近づくべきではない。小型船ならペラを止めれば減速・停止はすぐだし、針路を変えて逃げようと思えばすぐ離れられるはずだ。

それにしても、いつもいつも「自衛隊憎し」で騒ぎ立てるマスコミたちよ、なぜ客観的に報道しない?
あなたらのバイアスは不要だ。