眇めオヤジの独り言

初老で始めたブログも、寄る人もないまま、いつしか定年を迎えた。
あいもかわらず、気ままに書き連ねていく。

ジョブスの評価

2011-10-16 | Weblog
いまさらですが、アップルの創始者の一人で、中興者でもあるジョブスが亡くなりました。
彼と同世代には、マイクロソフトののゲイツ、アスキーの西、ソフトバンクの孫がいます。
僕も同世代なので、リアルタイムに彼らの興亡を見てきました。
ずっと順調だったのはゲイツだけで、他はジョブスと同様に苦節の時期がありました。

マスコミ始め、ジョブスへの賞賛の嵐です。
それが、死者に対する当然の礼儀でしょうね。
でも、それほど偉大だったかなというのが、正直な感想です。

彼は、ITのカリスマといわれていますが、彼自身はまったく技術を持っていませんでした。
アップルを立ち上げたときも、PCの製造にはかかわらず、売ることに専念していました。
それは、今世紀になっても代わらず、新製品が出すとき、彼のプレゼンが信者たちの購買意欲をそそり、大きく売り上げを押し上げ、マイクロソフトを抜く会社に押し上げたのです。

ただ、彼は客である購買層が、何を求めているかを知っていました。
彼自身は、PCを始めとする機器の性能やデザインの方向付けを与えるだけでした。
使う立場で性能を求め、時代に先駆けたデザインを追及し、それらから売れるものを選び、それを開発させる力が図抜けていたのです。
かつての日本企業、ホンダやソニーの企業戦略と共通します。

アップルに返り咲いても、しばらくは実権を持ちませんでした。
社長になった後、パステルカラーのPCで、息を吹き返らせ、iPodで再び経営を復調させました。
前にも書きましたが、このパステルカラーのシリーズは、子供っぽいデザインで、まったくアップルらしさはありません。
iPod,iTuneも、まったく目新しい技術ではありませんでした。
しかし、爆発的に売れたのです。
ここからのジョブスは、経営者として評価すべきでしょう。

創始者として伝説的に扱われていましたが、そのころは経営者としてはまったく失格でした。
自分の呼んだ経営のプロに追い出されても当然だったと言えるでしょう。
あのままアップルにとどまっていたら、間違いなくアップルという会社はなくなっていたはずです。

ジョブスを技術的に評価するのは、その後の流浪のときです。
Nextを立ち上げ、先駆的なPCを開発、iPhoneの先駆け的なNewtonまで作り出しました。
残念なことに、彼の望むような技術はまだなく、社会もそれに追いついていませんでした。
最近知ったのですが、そのころCGアニメを作って、ディズニーに売っていたのですね。
これだけは成功といえるでしょう。

アップルに戻り、Nextの技術から、OSX,Cubeができたのはよく知られています。
大きな変化といえば、CPUをインテルに変えたことがあります。
実は、OSXはもともとインテル上で開発されていたので、技術的にはさほど問題はなかったはずです。
固定的なユーザーのために、クラシック環境を残すことのほうが大変だったでしょう。
おかげで、仮想OSの先駆け的な技術を開発しました。
現在も、マックでWindowsを走らせられますが、たわいもないことだったでしょう。

ジョブスにとって、流浪しNextで苦闘したことが、経営者として資質を開花させたといえるでしょう。
彼も若くなくなり、アップルの社長になってからは、それほど目を見張るような技術は提供していません。
社会は、iPhone,iPadを評価していますが、これらは日本企業が10年くらい前から提供していた技術です。

アップルにあって、日本企業にないもの、それはやはり経営力と言うしかないでしょう。




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