ここ数年物置の整理で大きなジャンク箱から真空管アンプ系の重い部品を眺めていて、結局3台の真空管アンプにまとめた。6GA4s/6CA7の3極管接続s/6RA8ppと作ってきて、どうも最初に作った東芝の3極管6GA4の無帰還シングルアンプの音が老化した耳では少し物足りないので色々と改造してみたがしっくりこない。思い切って学生時代に友人からもらって使っていたVT52が残っていたのでシングルアンプに作り替えてみた。当時作ったアンプではオーケストラのフォルテで盛り上がるところで音が力抜けするようなところがあり、小編成の曲を中心に聞いていた。今回作り直すにあたり、当時より電源が強化されていることと、ドライブ用に12BH7Aがあったのでこれで2段増幅してドライブを強化した。この方法が良いかどうかはわからないが今のところドライブの球と回路を変えてみた中でこの方法に落ち着いた。出力トランスは相変わらず手持ちのタンゴのU−808。直熱管なので、ヒーターは直流点灯にすることも考えたが、作ってみて特に交流雑音の問題も出なかったので、交流6.3V点灯のまま使っている。
真空管はSYLVANIA製のVT52(戦前の球?)で、当時自宅でメインで使っていた球。後にV-FETが出てきたときにヤマハの素子を購入して作ったアンプの方が高域が綺麗に出たので、その後は真空管はお蔵入りしていた。最近老化で高域の聴力が落ちたので気にならなくなり、元の真空管アンプに戻ったというところかもしれない。
6GA4sのレイアウトのままで、真空管とソケットを交換して回路変更して出来上がった外観
高圧整流用のチョークトランスを取り外して、FETによるリップルフィルターに変えたため穴が残っている・・つまみが2個あるのはペア管を使っているわけでは無いので、ボリューム調整は左右独立して設けている。
いつものようにリードのケースをかぶせると外観は3台とも同じになった。
音はというと、半世紀前の球とは思えないほどで、今まで作ったアンプの中でも一番かもしれない。おかげで60年代のJAZZから現在のJAZZ、クラッシックまで楽しく聴けるようになった。
念のために発振器とオシロスコープで確認してみたが低域から高域まで思ったより伸びていた。矩形波入力でもリンギングや鈍りの問題はなく、やや出力が飽和するポイントは早めだったが、自宅の10畳まで聴くには十分なレベル。とりあえず改造目的は達成でき、いろいろなジャンルのCDを聞いてみたが十分楽しめるようになって一安心。本来はどこで飽和しているか見つけてバイアス電圧と負荷抵抗を調整して伸ばせばいいのだろうが気合が入らずやめた。
3/21 追記: 最初に組んで音出しした後に、負帰還をかけて特性を改善したが、どうも負帰還後の音が現代風の音で、最初の感動が無い。いろいろ考えて負帰還を外して素の音を出してみた。やはり老化した耳でも心地よく聞こえることがわかり、結局無帰還で使うこととした。矩形波を入れてみても立ち上がりが丸くなるだけで不要なリンギングなど出ていないことが確認できたので、当面これにて終了とする。