アンジェロ・モルベッリ
おそらく養老院の風景だろう。
苦い人生を終えようとしている老人たちが集っている。聖職者の説教でも聞いているのか。それとも何らかの講義か。だが心ここにない表情をしているものが多い。あからさまにうち伏している者もいる。
まるで砂漠の夜のようだ。女性がひとりもいないのはどうしたわけなのか。男の老人ばかりの世界というものが、いかに虚無的であるかを思い知らされる図である。
男は女性がいれば何かをしようとするのだ。老人でもそのうれしさはある。だがその甘やかな目的が何もない。生きるための目的が何もない。人生の最後の日々に見なければならない風景がこれであれば、人生は非情だとしか言えないだろう。
何をしてこうなったのか。あらゆる愛に背かれるほど、痛いことをしてしまったのだ。そして自分からは、ほとんどだれも愛そうとしなかったのだ。
甘いものを欲しがるばかりで、男が男として痛いことは何もしなかったら、世界はこうならざるを得ないのかもしれない。
女が誰もいない、老いた男だけの世界である。