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テオドール・セヴェリン・キッテルセン
原題「老いたことを嘆くトロル」
ノルウェーの画家である。
トロルは北欧に伝わる妖精の一種であるが、この老いさらばえた醜い姿は、堕落した人間の姿でもある。
愚かなことをして、それを償いも補いもせず、堕落の闇に逃げ、何もせずにだらだらと長い時を過ごしていると、人間はこういうものになるのだ。
少しずつ、老いてゆき、ひどく醜く、汚くなっていくのである。いやらしいものが、だんだんと崩れてくる。そして次第に人間から離れていく。
こういう自分の姿とひどい暮らしがつらく、こういうものになってしまった人間は、他の、自分よりすがしい人間に、痛いことをしたくなる。馬鹿にしたくなる。そして、自分から逃げて行った人間社会に、時々忍び込んでは嫌なことばかりするようになるのである。
妖精とかトロルとかいうものは、発展した人間社会についていけないか、ドロップアウトしてしまい、怠惰の中に安住してしまった人間の姿が、伝説化したものなのである。