
アレクサンドル・ラクチオノフ
プロパガンダ用に制作されたものであろう。実に男らしく描かれているが、目に人格を感じないことに気付くものは鋭い。
本霊がほとんど活動していないからだ。
この人間は、自分だけを偉くしたいという自己存在の幼期の幻影に取りつかれた若い霊魂を中心にして、多くの暗愚の霊が総勢で動かしているという例なのである。
阿呆がきついことをしたいばかりに作った幻影だ。世界征服という馬鹿みたいな夢を持っているが、それを夢見ている人間そのものが、幻影なのである。
いもしない馬鹿なのだ。
存在すること自体が、歪みなのである。
人間性の復興を歌ったルネサンスから発した絵画技術を、これはみごとに、馬鹿のエゴのために奴隷のように使役しているのである。