ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

トイレ 1999.7.2未発表

1999-07-02 16:15:58 | 嫩葉
トイレ
わたしが子どものであった頃と現在の日本人の生活空間を比較すると、台所とトイレの変化は著しい。電機冷蔵庫、電子レンジ、自動食器洗い器等々、技術革新と経済成長の恩恵は今更説明の必要がないであろう。トイレだって同じである。まだ、多少「汲み取り式」が残っているとはいえ、ほとんどが水洗化し、あるいはそれに準じるほどの設備にはなっているだろう。
これらの生活空間の変化が人間の考え方や、生き方に影響を与えないはずがないが、わたし自身の経験からじっくりと考えると、トイレの変化は台所の変化と比べられない程大きな影響を与えていると思う。なぜなら、台所がわたしたちの「胃袋」に結びつくとしたら、トイレはわたしたちの心(心理)に大きな影響を与えるからである。出てくるものは食べるものほど大きな差異はないが、出し方によっては事後の爽快感に雲泥の差がある。
何か園長らしくない話題が展開しそうであるが、実は園長としてこのことが非常に気になる。子どもたちの生活を見ていると、どうもトイレというものに対する感覚がわたしたちの世代とは違うものを感じる。もう少し厳密に言うと、子どもたちの間でその子どもの育ち方によって、トイレというものに対する感覚に大きな差異があるように思う。わたしたちにとってトイレは決して心地良い場所ではなかったし、できるだけ早く用を済ませたい場所であったように思う。ところがどうも、その点が少し違うようである。
心理学者に言わせると、食べるという行為は空腹という不快によって促進されるが、人間的な排泄行為そのものの快だけでは不十分で、事後の処理による爽快感によって促進されると言う。つまり、食習慣は直接的(自然的)な快不快を原動力とするのに対して、排泄習慣はより高度な(文化的)快不快に基礎付けられている。だから、難しい。ほっとけばいいということでは済まされないものがある。(牧師・園長 文屋善明)1999.7.1未発表

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