ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

すずめ 2002.6.1

2002-06-01 08:43:53 | 嫩葉
すずめ
毎朝、園児たちが登園する前の園庭には数知れないたくさんのすずめが飛び交っている。時にはすずめに混じっていろいろな小鳥もやってくるが、すずめたちは「ここはわたしたちの縄張りよ」と言わんばかりに威張っている。しばらく観察していると、すずめたちはいつも同じ方向に向かい、またその方向からやってくる。その先には、教会の十字架が立っている。この十字架は地上12メートルの所で朝日を受けて輝いているが、これを支えているのが電車のレールのような厚さの2本の鉄柱で、それが礼拝堂の構造部にしっかり固定されている。ちょうどその接合部分にわずかな空洞が出来ており、小さな穴が4つ切り込まれている。そこがすずめたちにとって格好の巣になるらしい。穴の中は見えないのでどうなっているのか分からないが、すずめたちは時々「わらくず」のようなものを口に咥えて入っていくのを見かける。最近では、栴檀の新芽にか、あるいはそれを食べに来る小さな虫たちを狙って次々と飛んで来て、チュンチュン啼いている。園庭にはいろいろな鳥が飛んでくる。誰もすぐには信じてくれないが、今春にはアオサギを見た。午前5時頃、春眠をむさぼっていたわたしは家内の叫ぶ声に呼び起こされて、窓の外を見ると、向かいの庭の立ち木の天辺に、鶴のようにすらっとした鳥が羽根を休ませていた。体長1メートルほどで薄い青色が朝日に照らされて輝いていた。しばらくうっとりと眺めていると、ゆっくりと羽根を広げ、悠々と南の方向に飛んでいった。その姿は神々しいとしか言えない。数日後の朝日新聞(5月10日)で偶然にもこの鳥と再会した。金沢の湯涌温泉の「白鷺の湯」という温泉宿に9年前からアオサギが一羽住み着いているとのこと、その写真を見たとき、「あ!あれはアオサギだった」と感動した。
旧約聖書の詩人もこういう情景をうっとりと眺めていたにちがいない。「すずめが住みかを得、つばめがその雛を入れる巣を得るように、万軍の主、わが王、わが神よ、あなたの祭壇のかたわらに、わが住まいを得させてください。」(詩編84編)
小鳥たちの饗宴は、園児の登園が始まると終わり、次に園児たちの饗宴が始まる。園児たちに毎朝繰り返される、このすばらしい情景を経験させることはできないものか。先日、船越さん(幼稚園バスの運転手)に、「栴檀の枝の間に巣箱でも作ろうか」と相談を持ちかけたら、「そんなことをしたら、鳥の糞で大変なことになりますよ」、とたしなめられた。小鳥と戯れる良寛和尚や聖者フランシスコの姿をわたし自身に重ね合わせてうっとりとしていたわたしは現実に呼び戻された。
(園長・牧師 文屋善明)

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