旅行中、モンスタークレイマーを目撃した。
関西弁をしゃべるおばちゃんだった。
最初のホテルで、夜、静かにビュッフェで食事をしていると、案内する人に関西弁で何やら激しくまくしたてながら、こっちへ向かって来るおばちゃんがいた。
隣の席に座るやいなや、今度はそこにいた別のウェイターさんに文句を言っている。
「こっちは個人客やのに、団体さんと同じにされたらかなわんわ!」
態度と口調から怒りの熱量が伝わって来た。
しかし、どうも怒りの理由が分からない。
おばちゃんが料理を取りに行ったすきに、ウェイトレスさんに聞いた。
「なんで怒ってるの?」
ウェイトレスさんは少し首をひねりながら答えてくれた。
「入口に来たら、団体客が大勢いたから腹が立ったようです・・・」
「へぇ~」
「自分が早く来ればいい話ですけどね・・・」
ウェイトレスさんは苦笑いをしていた。
実は同じおばちゃんが翌朝のフロントでもモンスター化していた。
出発待ちをしていた時だったので、暇つぶしのつもりで聞き耳を立てた。
「復興割で来てやってんのに、何? あの料理は!」
「チョロい寿司、出しやがって!」
「ほんま、腹立つわ!」
「支店長、呼んでや!」
柔和な顔をした支店長がやって来た。
背の高い支店長だった。
背の低いおばちゃんを見下ろすように向かい合った。
それも腹立つのか、おばちゃんは見上げるようにしながら、自分で自分のツバを浴びながら(?)口汚く支店長をののしった。
「復興割りや! 復興割り!」
「地震の後、タイヘンやろうと思って、こっちは来てやってんのに!」
こんなことを言う日本人が実際にいるんだな!
フシギな気持ちでボ~ッと眺めた。
支店長はずぅ~っと頭を垂れて、しかし、神妙な顔ではなく、ちょっと笑みを浮かべながら「ハイ、ハイ」と返事をしていた。
おい!
だれか、警察に通報しろっ!
おばちゃんは朝の混み合うフロントで受付の人と支店長をつかまえて一方的にがなりたていた。
おい!
だれか、あのおばハンを突きとばせ!
30分ほど待機していたが、おばハンはずっと声荒くまくしたてていた。
ワレワレがバスに乗り込む時にもまだ、二人を開放していなかった。
ああいう人はいる!
一旦、気持ちにスイッチが入ると、おさまるまで時間のかかる人。
在職中にも3人くらいいた。
脳ミソがそういう具合になっているので、薬を処方するか、脳を手術するよりほかに手立てはない。
実際にはずう~っと相手をして、相手がヘトヘトになるまで付き合うしかない。
同じ土俵でゼッタイに戦わないこと!
持久戦に持ち込んで、相手が根負けするまで、いや、今度は何がなんでもこっちがあきらめずに、持久戦に持ち込めばいい。
おばハンの出発が遅れればいい!
それは全部、おばハンの自業自得なのだから!
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