先日、ものすごくうまい人が後ろにいた。
練習場のときどき、あるあるだ。
練習を始めたばかりのようだ。
まだボールがどっさりある。
靴を履き替えながら、横目でチラリ、目線を散らしてチロリ、できるだけ直視しないようにしながら観察した。
久しぶりにうまい人がいる。
そう思った。
上手い人は音で分かる。
雑音が入っていない。
ボールとヘッドがジャストミートしている音だ。
スイングフォームもいい。
こんな人が、ときどき、あるあるだが、アプローチが極端にヘタクソな場合がある。
が、この人はアプローチもうまかった。
キュッキュッととまるアプローチだった。
プロの感じはしないが、そうとうレベルの高い人だ。
練習場に8年も通っていると、だいたい分かる。
おそらく70台シングルの実力の持ち主だろう。
こんな人が近くにいると、だいたい練習がしづらい。
自分のヘタクソさ加減がもろにあぶりだされるからだ。
練習に来ているのに、そんな気分になる。
しかし、8年も通っていると、気のそらし方まで会得する。
まず、素振りだ。
ウェッジをもって何度もマットをこする。
まぁ、エアースイングと言ったところだ。
振って、目線を送る。
気分は全部ナイスショット!
エアースイングにミスはない。
ここで一息入れる。
だいたいスマホを触る。
くまモンメモでスイングの確認だ。
それからトイレに行ったり、自販機でコーヒーを買ったり、ストーブに当たりに行ったりする。
次に、ハーフショットの練習を入れる。
全クラブ50ヤードくらいの小さなスイングだ。
これをしつこくくり返す。
フルショットはしない。
ヘタクソさ加減がばれるからだ。
ここでまた休憩を入れる。
またスマホをいじる。
歩くこともある。
練習場の端から端を歩く。
あの人ほどのうまい人は今日はいないことを確認する。
帰ってきたら、靴ひもを直す。
その間に上手い人はどんどん球を消費する。
そこがねらい目だ。
早く練習を切り上げてほしいのだ。
いまだに忘れられないのは、以前、二階席で打っていた中肉長身の人だ。
ドライバーをくり返し打っていた。
それがネットの真ん中にバンバン当たる。
一球のミスもない。
プロか?
プロだろ!
そんな感じだった。
あれほどドライバーのうまい人はいまだかつて見たことがない。
今度の人はアイアンとアプローチがうまい。
ドライバーは一度も打たなかったから分からなかった。
そのうち、うまい人はいなくなった。
やっと自分ペースの練習に戻れた。
打てるもんだな!
オレもあれだけ打てないものだろうか?
くやしさが残った。