鏡海亭 Kagami-Tei  ウェブ小説黎明期から続く、生きた化石?

孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン)

生成AIのHolara、ChatGPTと画像を合作しています。

第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29

 

拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、

ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら!

小説目次 最新(第59)話 あらすじ 登場人物 15分で分かるアルフェリオン

第53話(その3) もう一人の御子!? 交錯する運命


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物語の前史プロローグ

  --- 第53話に関する画像と特集記事 ---

第53話PR登場キャラ緊急座談会?中盤のカギを握る美少女?

 


第53話 その3


 

「な、な、何だ、こりゃ!?」
 突然、ブレンネルの素っ頓狂な声が森に響いた。人の気配の無い、深い緑の懐に、とぼけた叫びが反響する。これに続いた無音の間が数秒、何とも滑稽だったが、しばらくして思い出したかのように、数羽の小鳥が頭上の木の枝から逃げ去っていった。
 ブレンネルは地面にしりもちをついて、目の前を遮る白銀色の鋼の巨塊を見上げている。
「ルキアン君、本当に・・・エクターだったんだな。しかし、こんなアルマ・ヴィオ、見たことないぞ。翼が生えた、竜・・・それとも、鷲の・・・騎士?」
「す、すみません。驚かせてしまって」
 ルキアンは手を額に当て、眩しそうに日光を遮った。様々な樹木の織り成す緑の天井の間から、木漏れ日というには意外にも強過ぎる陽の幾筋かが、二人を射抜くように差し込んでくる。この様子だと、もう日は高い。すでに昼前だろうか。ルキアンは若干急いた様子で告げる。
「パウリさん、僕がアルフェリオンに乗ったら開けますから、下の乗用室に入ってください」
 昨夕、ブレンネルと出会い――それが実は初めてではなく、再会あるいは《二周目》の出会いであると彼らが覚えているはずもなかったが――結局、ルキアンは、この森に来るまでに自身に起こった出来事をブレンネルに話し、彼に助力を求めることにしたのだった。《初対面》の胡散臭げな文筆屋を彼が何故か信用できたのは、ひょっとすると、ワールトーアの廃村という閉じた虚ろな世界における、あの幻夢のごとき体験が、なおも二人の無意識の底に沈んでいるからかもしれない。
 ちなみに現時点では、ワールトーア村の痕跡は彼らの周囲にほぼ残っていなかった。そもそも、ルキアンとブレンネルが入り込んだあの廃村が現実のものだったのか、幻影だったのか、もはやそれすらはっきりしない。実際には、足元の茂みや入り組んだ木々の壁の向こうに、廃墟の名残くらいは隠れていても不思議ではないだろうが。しかし今のルキアンには、ただ戦場から逃げ去って気が付けばここにいたという記憶しかなく、ワールトーア村のことは、ブレンネルに聞いて《初めて》知ったにすぎない。ブレンネルにしても、《ワールトーアの帰らずの森》の噂話を調べにやって来たことは覚えているにせよ、そこまでである。一応、彼は昨晩から今朝にかけて周囲を歩き回ってみたものの、せいぜいの成果は、かつて街路に敷かれていた石畳らしきものが点々と顔を出しているのを何か所か見つけた程度であった。
 いや、それ以前にブレンネルの目の前には、存在すら怪しいワールトーアの廃村よりもずっと興味津々な素材、オーリウムの内戦に深くかかわる白銀の天使とその乗り手がいるのだから。昨晩、彼は、飛びつかんばかりの勢いでルキアンの願いを聞き入れ、ある助力をすることにした。
 地面に片膝をついて屈み込み、森に幾分埋もれるようにしてアルフェリオンが置かれている。どことなく危なっかしい動作ではあれ、予想外に手早く機体に乗り込んでいくルキアンを見て、ブレンネルは、戦いとは縁の無さそうな彼がエクターとしての経験を本当にもっていることを、実感させられるのだった。
 そうしている間にもアルフェリオンは、鈍い響きを伴って兜のバイザーを降ろし、奥のくらがりで目を青白く光らせた。乗り手を得て、その魂と融合し、かりそめの生命を再び吹き込まれたのだ。魔法合金の装甲面を光が縦横に走り、白銀色の輝きが一段と増したようにみえる。幾重にも結界が展開され、目には見えないにせよ、あまりにも強い魔法力の波動が伝わってくる。
「おいおいおいおい、すごいな! この肌を刺すみたいな感じって」
 思わず声をあげたブレンネル。さらにアルフェリオンの背で六枚の翼が開かれ、森を貫いて真昼の太陽を浴び、煌めく威容を目の前にして、彼は、ただただ息を呑むばかりだった。

 ◇

「あの、このあたりでしょうか。ハルス山系にさっき入って、この谷の上を飛んで、両側から迫る崖があって・・・。あ、もしかしてあれが、パウリさんが言っていた、滝ですか?」
 遥か上空に輝く一点の光。それは真昼の刻に迷い出た星などではなく、銀色の閃光となって、およそ現実味のない速さで飛ぶ何かだ。アルフェリオン・ノヴィーア――その翼を自身に重ねているルキアンは、アルフェリオンの魔法眼にも強めに意識を込め、視点を地表に寄せてみた。大写しになった視界の中、ほど近い場所にあると思われる源流から、険しい崖を経て流れ落ちる、いわゆる「魚止め」と呼ばれそうな滝が見える。
「そうだ。あそこだよ。どこか降りられるところがあれば頼む。近くにレオーネおばさんの庵がある。もし、今も引っ越してなかったら、だけどな」
 トランクの中を思わせる、お世辞にも乗り心地が良いとは言い難い乗用室にて、ブレンネルは身体の位置がうまく定まらず、窮屈そうに手足を動かしている。ルキアンの声は機体を通じて響いてくる。どうも妙な感じだが、声は多少こもったような音になりがちではあれ、それなりに明瞭に聞き取れた。
「しかし、このアルマ・ヴィオ、どんだけ速いんだよ。着くのは夕方か夜になるかと思っていたが。まだ、さっき乗ったばかりだろ・・・」
 いかに立派な翼があるとはいえ、所詮は人の姿をした汎用型らしきアルマ・ヴィオ、まともに「飛べる」のかも怪しいと疑っていたブレンネルだったが、そんなアルフェリオンが飛行型アルマ・ヴィオにさえ不可能な速さで飛び、その驚きも冷めないうちに王国北部のハルス山系に到達したことで、いったい何が起こったのかと戸惑っている様子だ。

 ◇

「来ましたね」
 アルフェリオンが到着するよりも少し前、ハルスの谷を抱いた今日の気持ち良い蒼穹には、まだ何の影も映っていなかったとき、これから起こることにすでに気づいた者がいた。
 件の滝の前に置かれた小さな木製のベンチに、銀髪の少年らしき者、いや、エレオンことエレオノーアが腰掛けている。彼女は、ベレー帽を思わせる濃紺色の帽子を手で押さえながら、嬉しさが漏れ出しそうな弾んだ声でつぶやく。
「はい、待っていました」
 彼女は何の邪気も感じさせない澄んだ目を細め、そして再び開く。
「ずっと、待ってたのです」
一転、彼女の左目には、素朴な姿には似つかわしくない、ある種の魔術形象が浮かび上がっている。金色に輝く何重かの魔法円、その隅々にまで同じく黄金色の光で描き込まれているのは、現世界のいかなる国の言葉でもなく、旧世界のそれですらない得体の知れない文字と、見知らぬ記号や数式のような何かで記述された、極めて高度で複雑な術式。
「ふぅ・・・」
 彼女は深く息を吸い込み、小さな声とともに吐いた。
「やっと会えます」
 一瞬で左目の瞳が漆黒に染まり、金色の魔法円が白熱化したかのように、閃光のごとく輝きを増した。凄まじい魔力の高まりに、彼女の周囲の空間が歪み、靄さながらに二重三重に揺れている。それに呼応し、付近の山々や木、草、岩、すべてのものから色が失われ、灰色に凍り付いたかのように感じられた。

「おにい、さん」

 

【第53話(その4)に続く】

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実は女の子なのです・・・という展開

連載小説『アルフェリオン』、現在連載中の第53話にて初登場した期待の新人(?)、エレオノーア応援の画像を公開です。

Holaraさんの力で美少女度がアップしたエレオノーアです(笑)。
右側は男の子を演じているとき、左側は女の子ヴァージョンですね。
左右とも顔はあまり変わっていないのですが・・・服装で印象が全然違ってきます。左側はどう見ても女子、右側は中性的ですが男子と言われれば男子?に見えなくもありません。こういうキャラを注文通りに生成してくれたHolaraさん、さすがです。

顔のアップ。
ちょっと、実年齢より幼い感じの顔つきになってしまいました。
作成途中のイラストっぽい、下絵に色を塗っている途中のような雰囲気、出ているでしょうか。
ともかく、Holaraさんが、いつも以上に細部まで描き込んでくれていますね。AIでも、気に入ったキャラの生成には気合が入るのでしょうか。そんなことは無いですが(笑)。
ちなみに帽子は鏡海が手直ししました。生成された絵では、帽子がバンダナみたいになって、さらに髪の毛と一体化してしまっていたので・・・。



男の子版のエレオノーア、いや、エレオン君(!)ですね。
こうしてみると、一見、ルキアンの弟分っぽい感じもしますが・・・。

でも、実は女の子なんです!というベタな展開。

ルキアン、振り回されそうですね。エレオノーアはかなり天然なので。
昔の学園青春コミックみたいに、ルキアンがドキドキさせられてばっかりの展開になるのでしょうか。男の子のふりをしていると、それが女の子だと知りつつ見ている方は、逆に変に意識してしまうのがお約束・・・。
ストーリーの現状からいえば、そんなラブコメごっこしている場合か(笑)というところですが。

いや、エレオノーアもルキアンと同じく壮絶な過去を背負っているのですが、それを全然感じさせないです。レオーネさんの育て方が良かったのでしょうか。

ちなみに現時点における画像生成AI一般の弱点として、Holaraさんの場合も、全身画像の生成をお願いすると、掌(あるいは指)がとんでもないことになってしまいがちです。エレオノーア嬢の上掲画像の場合も、元々は指の本数が多かったり、指の形が崩れまくったりしていたので補正しました。左手は何とか元のままでいけましたが、右手は指がはっきり5本見えているので隠しようがなく、イマイチ下手なりに鏡海がすべて描き直しています。
同様に、足の指もおかしくなっていたので、サンダルを描き直して隠し、ごまかしました。上半身、脚、帽子も、一部描き直しています。
全身画像は修正が大変です。しかし、自分でゼロから描くよりは遥かに楽だろ、と怒られそうですが(誰にだ)。

また、全身画像を生成する場合(上半身とか首より上のアップの画像ではなく)、顔の細部が崩れがちになるという点や、そもそも論として、異なるイラスト間で同じキャラの顔つきを維持するのが難しいという点も、現時点での画像生成AIの弱点です。これに関しては、顔画像を別に用意しておいて、全身画像(の首から下)と合成するようにしています。
ちなみに上半身の画像あるいは顔のみの画像であれば、元絵をHolaraさんに読み込ませて表情を変化させても、キャラとしての顔の同一性(笑)を維持することは可能です。今回の男の子版の画像も、過去のものとは表情が違っています。

少しずつでも、こうして、Holaraさんとの共同作業にしていきたいですね。


本日も鏡海亭にお越しいただき、ありがとうござしました!
ご声援に応え、小説本編の更新も進めてまいります。
引き続き応援いただけますと大変うれしいです。

ではまた。

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