gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

【日本の財政が「絶対破綻しない」これだけの理由】日本の借金1200兆円…それでも「日本は絶対に破綻しない」と言えるワケ~日本の財政が「絶対破綻しない」理由~

2022-12-07 06:39:18 | 日記

 

■日本の借金1200兆円…それでも「日本は絶対に破綻しない」と言えるワケ

週刊現代 2021.05.02

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/82666


~~~


コロナショックから1年が経過した。

日本はコロナによる経済の落ち込みは比較的軽微だったにも関わらず、先進国で最も回復の速度が鈍い。

理由の一つはワクチン接種の遅れだが、米国などが大胆な経済対策を実施しているのに対し日本は残念ながら財政支出の規模で大きく見劣りすることも事実だ。


安易な財政出動は国の借金を増やすため無責任だ。

将来世代に付け回しをしていいのか、という意見もあるが、「それは間違いだ」というのが元内閣官房参与の藤井聡氏。

藤井氏によれば、国はどんなに借金が増えても破綻しない、と断言する。

その根拠はどこにあるのか。ジャーナリスト、田原総一朗氏が鋭く迫った。

本対談は『こうすれば絶対よくなる日本経済』(アスコム刊)の一部を再構成した。

 


・「国家の借金」と「家計の借金」は同じ?


田原  財務省や多くの経済学者の常識では、政府の借金は基本的によくない。プライマリーバランスを黒字にし、積み上がった累積債務1200兆円を減らさなければ、日本は10年で財政破綻する。新型コロナに100兆円200兆円を突っ込むなんてとんでもない。2020年4月、安倍内閣の閣僚も政治家もマスコミも、みんなそう考えたから突っ込まなかった。改めて、藤井さんの意見は?


藤井 結論からいいますと、そいつら全員、馬鹿です! 
どういうことかといえば、「借金がよくない」「これ以上借金してはならない」と彼らはいう。たしかに、家計の借金ならば、ゼロにしなければいけません。次世代の子どもたちに財産を引き継ぐときは、借金をゼロにするか、できるだけゼロに近づけてから引き継ぐべきですね。


田原 当たり前だ。それが常識ですよ。


藤井 常識です。ところが、政府の借金というのは、年々増えていくものなんです。
日米英3国とも借金の累計額が右肩上がりで増えています。
日米英の近現代の歩みを振り返れば、これは否定のしようがない事実なんです。財政赤字が増えるのは、異常な状態ではなく、正常な状態と見るしかありません。


田原 日本政府は2025年度にプライマリーバランスを黒字にして、その時点での借金をなくそうとしている。


藤井 そうです。でもそんなことをずっとやり続けようとした国はどこにもないんです。借金が右肩上がりで増えているということは、百数十年から300年以上ほとんどずっと、プライマリーバランスは赤字の連続だった。これが日米英の真実の姿です。つまり、今の政府がいっているように恒常的に黒字にするなんて、あり得ない暴論に過ぎないんです。
「借金総額が200年300年と増え続けるのは、よくない!」なんていっても、まったく無意味なことは、誰でもわかるでしょう。最初に産業革命をやって七つの海を支配したイギリス、戦後世界をリードし依然としてGDP世界一のアメリカ、ついこの間まで世界第二位の日本の歴史が、明らかにそうだからです。
3国ともつぶれかかったことすらない、世界に冠たる豊かな先進国ですよ。


田原 うん。この歴史的事実は、事実として受け入れるしかない。

 

・政府の「破綻・破産」はありえない!


藤井 では、なぜこうなっているのか? なぜ例外なくどんどん債務残高を増やしていけるのか?
それは、日米英が国家だから、政府だからです。ただそう名乗っているだけでなく、政府がカネを作り出して供給できる機能を持っているからです。
これがMMT(Modern Monetary Theory)、直訳すると「現代貨幣理論」と呼ばれる理論の最大のポイントです。とはいえ、別にMMTなどを持ち出さなくても、そんなことはマクロな金融に関わっているプロの金融マンたちからすれば、当たり前の事実なんですが。


田原 日米英は150年200年300年と借金を増やしつづけ、しかも借金でつぶれてない。借金でつぶれるなら、とっくに財政破綻していなければおかしい?


藤井 はい。日米英3国とも「中央銀行」を持ち、それぞれ円・ドル・ポンドという通貨を発行しています。だから中央銀行を持つ政府は、任意に、いつでもいくらでもカネをつくり出すこと(貨幣の創出)ができる能力と権限を持っているのです。
だから政府はつぶれません。政府が「自国通貨建て」の借金によって破綻や破産をすることは、考えられないんです。


田原 ギリシャが財政破綻しそうだ、といわれたのは……。


藤井 自国通貨を発行できない国はダメです。中央銀行をなくしユーロを使っている国は、ユーロを発行できません。ユーロ圏ではドイツにある欧州中央銀行(ECB)しかユーロ紙幣を発行できないから、加盟国の小さな政府が破綻してしまう恐れはあります。実際、そうなりかけたこともあります。
小国が自国通貨建てでなく、たとえば米ドルで過大な借金をしてしまった場合も、破綻の恐れはあるでしょう。


田原 個人も家庭も企業も政府も、借金が膨らんでしまったらヤバい、というのがこれまで世の中の常識だった。ところが、そのなかで政府だけは別で例外。なぜならば通貨を発行できるからなんだ。

 

・MMTはなぜトンデモ理論といわれるのか?


田原 僕は経済には詳しくないけど、2018年ころだったか、MMT(現代貨幣理論)という言葉を聞いて、えっ!?と思った。アメリカの経済学者が「日本はMMTで成功している国だ」といったんだ。女性研究者が国会で講演したのも覚えている。


藤井 まさに18年です。消費税の税率アップをなんとか阻止しなければならないと考えていた僕は、MMTブームを起こそうと画策しました。
『根拠なき熱狂』という本で株式バブルや住宅バブルを警告したロバート・シラー教授は「政府がどこまでも財政赤字を無限に続けられるというMMTは、きわめて悪質」と、不道徳や不健全というトーンで批判しています。でも、こういう批判はすべて誤解、しかも、かなり単純かつ素朴な誤解なんです。


田原 たんなる誤解なの? 説明してください。


藤井 はい。MMTは、シラー先生のおっしゃる「政府は財政赤字を無限に続けていい」とは、主張していません。
MMTは、まず「財政赤字が膨らんでいって政府がつぶれることは、原理的にない」という。ならば「政府がつぶれるから、財政赤字の拡大はダメだ」という話は当然、単なるデマだということになります。
すると「政府が破綻するから、財政赤字を拡大させるプライマリーバランスの赤字はダメだ、黒字にしなきゃいけない」とも、まったくいえなくなりますよね。でも、財政規律やプライマリーバランスをうるさくいう人はみな「政府の破綻を避けろ!」というのが根拠。でも、破綻自体がないのですから、財政規律やプライマリーバランスにはとくに合理的な根拠がない、ということになるわけです。


田原 政府は自国通貨を発行できるからと聞けば、そこまではわかる。


藤井 一方、MMTは、政府は後先考えずに無責任に好き放題カネを使ってもいいというような不道徳や不健全なことは、一切いっていません。政府は社会・経済がよくなるような適切な内容・規模でカネを使うべきだ、といっているに過ぎません。この点が世間に激しく誤解されているようです。

 

・「財政規律なしで無限に支出せよ」とは言っていない


田原 ただし、財政赤字を無限に拡大させないような歯止めというか、基準が必要でしょう。その基準は何ですか?


藤井 まさに適切なご質問、ありがとうございます。MMTを批判する人たちはそもそもMMTには何の財政規律もないと誤解しているようですが、実際はそうではない。MMTは「適正なインフレ率」を財政規模の基準にせよと繰り返し論じています。つまり、借金しすぎてカネを使いすぎれば、インフレ率が高くなりすぎるから、そうならない範囲でカネを使え、といっているわけです。
おそらく、MMTを批判する人たちの多くは、財政規律といえば財政赤字の解消だと単純に思い込んでいるのでしょう。だから、MMTが財政赤字は問題じゃないといったとたんに思考が停止して、「MMTは財政規律をなくせというトンデモ理論だ!」と早合点してしまうのでしょう。


藤井 いずれにせよMMTは、「財政規律なしで無限に支出してよい」とは、まったくいっていない。財政規律を、合理性に欠ける現行のプライマリーバランスから、明快で合理的なインフレ率に変えるべきだ、と主張している。規律を「なくせ」ではなく「変えよ」です。シラー教授をはじめとするMMT批判論者は、このポイントをわかっていないように思われます。


田原 インフレ率2~3%以下なら、財政出動で財政赤字が増えてもいいと?

 

藤井 おっしゃるとおり。デフレが続いているうちは、デフレ脱却のため財政出動をして、財政赤字が増えても問題ありません―というか、増やすべきなのです。インフレ率が適正水準を下回っている状況では、財政を増やして適正に戻さなければならないからです。その適正なインフレ率とは、日本ではおおよそ2~4%でしょう。
で、物価上昇率が3%とか4%とかに安定してきたら、財政の「拡大を止める」わけです。だからインフレが始まる兆候をつかむ監視システムをきちんと構築しておき、悪性インフレの芽を確実に摘まなければいけない。そのあたりの財政の拡大の打ち止めを見据えるなら、補正予算の制度をうまく活用するのが得策でしょう。補正予算なら、次年度に何も議論しなければまたたく間にゼロにすることができて、すぐに財政を縮小できるからです。ちなみに金融政策をしっかりやることも大前提です。


田原 MMTは、案外まともなことをいっているんだね。


藤井 そうですよ。だから、僕も必死に広めようとしているんです。


~~~
日本の借金1200兆円…それでも「日本は絶対に破綻しない」と言えるワケ 
週刊現代 2021.05.02
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/82666

 

 

 

 

 


■日本の財政が「絶対破綻しない」これだけの理由

東洋経済オンライン 2019/12/26

https://toyokeizai.net/articles/-/320957


~~~


・借金で日本が破綻する?


政府は貨幣を作り出すことができる――このシンプルな1点を認めてしまえば、さまざまな経済財政政策についての「帰結」が、普段素朴に信じているものとはまったく違うものとなっていく。


その代表的な帰結が、「政府は、自国通貨建ての国債で破綻することは、事実上ありえない」というものだ。

それはつまり日本で言うなら、「日本政府が、日本円の国債で破綻してしまうということはありえない」、言い換えるなら、「日本政府が日本円の借金が返せなくなってしまうことはありえない」というもの。


なぜならそもそも、日本円を作っているのは日本政府なのだから、自分で「作ることのできる日本円」を「返せなくなる」なんてことはありえない。
どれだけ借金をしていても、返済を求められたときに自分で作って返せばそれで事足りるからだ。

しかし、多くの国民は、この帰結を耳にするだけで、「何と滅茶苦茶な話だ!」と感ずるのではないかと思う。


そもそもテレビや新聞や雑誌、さらに最近では学校の教科書ですら、「日本の借金は1000兆円を超えるほど、膨大に膨らんでしまっている。このままでは、日本が破綻して、大変なことになってしまう!」という話が、連日繰り返されている。

多くの国民が、そんな話を鵜呑みにして、政府の借金を返さなきゃエライことになる――と信じてしまうのも当たり前だと言えよう。


しかも、「借金で日本が破綻する」という最悪の事態を避けるための「緊縮」的な対策が、政府の「財務省」を中心に長年展開され、消費税が2014年に8%にまで増税され、2019年10月には10%にまでさらに増税された。

消費増税をめぐっては、いまだに多くの国民が反対しているわけだが、それを押し切ってまでこれまで何度も増税が繰り返されてきたのは偏(ひとえ)に、「このままなら、借金で日本が破綻する」と危惧する声が強烈にあったからだ。


それにもかかわらず――「日本政府が日本円の借金で破綻することはない」と主張しているのだから、そんなMMTに対して多くの国民は面食らってしまうことだろう。

「だったら、これまで嫌々消費増税を辛抱してきた俺たちはいったい何だったんだ?」となるからだ。


しかし日本政府が、日本円の借金で破綻することはない、というのは、水が高きから低きに流れるほどに当たり前の「事実」なのだ。実際、消費増税を推し進めてきた、あの財務省ですら、次のように明記する公式文書を、発行している。

「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」


ここにある「デフォルト」とは、債務不履行を意味する言葉であり、要するに「破綻する」ということである。

つまり、日本政府が日本円の借金で破綻することなどありえないという話は、何もMMTを持ち出さずとも、日本政府の財政を司る財務省自身が認める「事実」なのである。

 

・日本の現実を精査してみる


ただし、「人から金を借りておいて、それを返すときに自分で作って返すなんて、不道徳極まりないじゃないか!」と感ずる国民は、やはり多いのではないかと思う。


だから、「お金を作っているのは、理論上は政府かもしれないが、そんなこと、実務的に無理じゃないか?」と、狐につままれたように感じている方も多かろうと思う。

しかし、実務的に、それはありうることなのだ。


第1に、少なくとも「帳尻」のうえでは、政府の借金返済(国債の償還)はこれまでつねに、税金、ないしは、国債の発行(つまり借り換え)で賄う、という体裁が守られてきている(ただし、実際上は、徴税で貨幣は消滅しているので、事実上、すべての政府支出は、中央銀行も含めた政府が作り出していると言うこともできる)。


つまり、一般の人々が、心理的な抵抗感を持つような「金を返すときに、金を自分で作って返す」ということは、形式上ない格好で運用されているのだ。

だから、「日本政府が日本円の借金で破綻することはない」というのは、あくまでも、「いざとなれば」帳尻あわせを度外視して自分でお金を作って返すことが実務的に可能だという話にすぎないのだ。


第2に、日本銀行は、普段の業務の中で、マーケットに出回っている「国債」を売り買いしている。

もしも、政府に対して金を貸す人(銀行など)が減り、国債の価格が不安定化してくれば、その安定化を目指して、マーケットで売られている国債を買っていく、という対策を図ることができる。


そうすれば(あるいは、「そうする」と公言する=コミットするだけでも)、国債の価格が安定化し、政府に対して金を貸す人がいなくなっていく、という事態を回避することができる。


第3に、そうした取り組みにもかかわらず、万万が一、政府に誰も貸してくれなくなったという特殊なケースが、(例えば、とんでもない天変地異などによって)生じた場合においても、政府が破綻することになるとは考えがたい。


なぜなら、どんな最悪のケースでも、日本銀行が「最後の貸し手」(Lender of last resort)として、政府にお金を貸してくれるからである。

そもそも、この「最後の貸し手」という機能は日本銀行においては法律でしっかりと定められた公式の機能であり、しかも、それは先進諸国の中央銀行ならばどこの国にもある当たり前の機能だ。


日本銀行が発動するものは法的には「日銀特融」と呼ばれており、金融機関が危機に陥ったときに、経済の大混乱を回避するために、日本銀行が「特」別に「融」資する(金を貸す)という仕組みだ。

実際、戦後においても証券不況やバブル崩壊などで何度か発動されてきた。


もちろん日銀特融の対象は特定の機関だけであり、必ずしもすべての機関が対象となるわけではない。

あくまでも、その機関が「破綻」すると経済的混乱が深刻化してしまう場合に限って発動される特別措置だ。


そうである以上、「政府の破綻」が、本当に大変な混乱を巻き起こすとするなら、この「日銀特融」が発動されないということなどありえない。


~~~
日本の財政が「絶対破綻しない」これだけの理由
東洋経済オンライン 2019/12/26
https://toyokeizai.net/articles/-/320957

 

 

 

 

 

 

 


■借金1220兆円でも日本の財政が「絶対破綻しない」驚きの理由~日本が財政破綻しない理由~

幻冬舎ゴールドオンライン 2022.4.12

https://gentosha-go.com/articles/-/42153


~~~

 


・政府はいくらでも貨幣を供給できる

 

――政府がいくら借金しても破綻することはない、ということですが、そもそも政府が国債を発行しても、その国債を銀行が買ってくれなくなったらどうするんですか?

 

藤井 日本銀行は、普段の業務のなかで、市場に出回っている国債を売り買いしています。もしも、政府におカネを貸す銀行が減ってきて、国債の価格が不安定になってくれば、日本銀行は安定化を目指して市場で売られている国債を買っていく。そうすれば、あるいは「そうする」と公言するだけでも、国債の価格が安定化し、政府に対しておカネを貸す銀行、すなわち政府におカネを貸す人がいなくなっていく、という事態を回避することができます。

万が一、とんでもない天変地異などで国民が困窮し、税金が1円たりとも納入されなかったとしても、そして仮にそのとき政府が発行する国債を購入する民間銀行が一切なかったとしても、「最後の貸し手」である日本銀行が国債を購入して政府におカネを貸してくれます。この「最後の貸し手」という機能は法律でしっかりと定められていますし、先進諸国ならどこの国の中央銀行にもある当たり前の機能です。

 

――どんな事態になっても、最後は、日本銀行が国債を買って、政府におカネを必ず貸してくれるわけですね。

 

藤井 そうです。記憶に新しいところでは、バブル崩壊後、コスモ信用組合や北海道拓殖銀行、山一證券などいろんな金融機関が相次いで破綻したときに、日本銀行は、「日銀特融」という制度で無担保・無制限の融資を行って預金者たちの預金を全額守ったりしています。そうしなければ、日本経済が大パニックになるからです。それを踏まえれば、もしも政府が破綻の危機にさらされることがあるとしたなら、そのときに日銀特融を発動しないわけがない。

しかも、日本銀行は日本政府の子会社です。これは民間企業でも同じですが、親会社と子会社の間のおカネの貸し借りは、連結決算で「相殺」されます。つまり借金が存在しないことになるのです。驚かれるかもしれませんが、これは紛れもない事実です。一応、政府は日銀が保有する国債について利子を払い続けていますが、日銀の決算が終わると、「国庫納付金」として返還されています。

つまり国債の利子が、政府→日銀→政府と行って帰ってくる。要するに、実質的にいうと、政府が日銀からおカネを借りても利子がつかない、ってことになってるわけです。

ちなみに、アベノミクスと呼ばれる経済政策のなかで、日銀は年間80兆円もの国債を買い続けました。「預金取扱機関」が保有する国債が、「日本銀行」に移転されていったわけです。

こうなれば政府の負債は事実上、減少し続けたってことになります。なぜなら、預金取扱機関が保有する国債というのは、政府が過去に借りたおカネの借用証書ですが、それを政府の子会社である日本銀行が買い取るということは、実質的に「借金は棒引きされた」ことになるからです。

たとえばあなたが、隣のおじさんに100万円借りていたら借金ですが、その借用証書をあなたの(大金持ちで、かつ、絶対に別れることがないと決まっている)配偶者が買い取ってくれたら、その借金は実際上、事実上、帳消しになりますよね? それと同じように、日銀が国債を買い取れば、政府の借金は事実上、「帳消し」になるんです。

もっともシンプルな政府の資金調達の方法に「日銀直接引き受け」とか「ヘリコプターマネー」とか呼ばれているものがあります。これは、日銀が政府に資金を直接融資するという方法です。

日本銀行は、「銀行の銀行」であり、各銀行は日本銀行のなかに口座を持っています。その口座に入っている預金を「日銀当座預金」といいますが、これはちょうど、私たちが普通の銀行に「口座」を持っていて、そのなかに「預金」があるのと同じです。

銀行は、この日銀当座預金を引き出して現金に換えたり、銀行同士の支払いなどに使ったりしているわけです。そして政府もまた、日銀に口座を持っています。

「ヘリコプターマネー」の場合、政府が借用証書を書いて日銀に渡し、日銀はそれと引き換えに、政府の日銀当座預金にその金額を書き込みます。一応、「日銀が政府におカネを貸している」という体裁にはなっていますが、前にお話ししたように日銀は政府の子会社ですから、事実上の借金ではありません(正式の会計手続きでは、「連結決算」で「相殺」されるということになります)。

つまり、借金が棒引きされて存在しないことになります。だから結局は、ただ単に政府が「貨幣をつくり出し、それを使う」ということにほかなりません。

 

 

・政府の借金は返さなくてもいい!?

 

――ちょっと待ってください。政府の借金はないことになって、ただ単に政府がおカネをつくり出して、そのおカネを使う!? それが本当なら、誰も苦労しませんよね。先生がおっしゃる理屈はよくわかりますけど、そんなうますぎる話、すぐには信じられません。

 

藤井 そうかもしれませんね。普通、人からおカネを借りたら返さなくちゃいけないし、利子も払わないといけないのに、政府の日銀からの借金だけは特別だなんて、にわかには信じられないかもしれない……。

では、別の角度から説明しましょう。さっきは、日銀は政府の子会社だから親会社の子会社に対する借金は、借金じゃないんですよ、という話でしたが、親会社と子会社の間であろうが、借金は借金じゃないか、と素朴に感じる方もおられるかもしれません。仮に日銀は政府とは別の組織だと考えたとしても、日銀による政府に対する貸し出しは、私たち一般の国民が銀行や消費者金融からおカネを借りる、いわゆる「借金」とは全然違うんですよ。


第一に、日銀は政府に対して「貸したカネを耳をそろえて返せ!」という圧力はかけません。日銀はいくらでもおカネをつくり出せる存在ですから、貸したカネを返してほしい、という動機がそもそもないのです。日銀以外の存在にとっては、おカネは大変に貴重な代物ですが、日銀にとっておカネは別に貴重でも何でもない。なんといっても、おカネは「日本銀行券」であって、日銀が自らいくらでもつくり出すことができるのですから。

もちろん、借金の返済期日が来れば、政府は借りたおカネを返さなければなりません。でも、そのおカネを、政府はまた日銀から借りることができるんです(一般にこれは「借り換え」といわれます)。つまり10万円を1年間借りていたとしても、1年後にまた10万円を同じ人から借りる、というのを延々と繰り返すことができるわけです。そうなれば実際、その借りたおカネを返す必要が延々となくなります。それと同じことが、政府は日銀に対してできるわけです。


第二に、普通、借金すると利子を払わないといけませんが、さきほども指摘したように、政府が日銀からおカネを借りた場合、利子を払う必要がありません。これが、法律で定められています。

だから、あっさりいうと、日銀から政府がおカネを借りた場合、政府はその利子を払わなくてもいいし、元本そのものも延々と返さなくてもいいのです。返さなくてもいいし利子もない借金なんて、もう借金じゃないですよね。はっきりいって、「もらった」のと全く同じ。

なぜ、そんなふうに「日銀から政府への貸し出し」は、私たちの借金と違ってものすごく優遇されているのかというと、それはひとえに日銀が政府の子会社だからです。したがって、日銀が政府の一部だと考えても、そう考えずに独立の存在だと考えても、結局は、日銀から政府が借りたおカネは、いわゆる普通の「借金」としては考えなくてもいい、ということになるんです。

 

――なるほど……要するにそれって、ものすごく仲の良い親子がいて、子どもが親からおカネを借りて、一応親は「貸した」とはいってるけど、利子も取らないし、返せともいわない、というのと同じような話なわけですね。

 

藤井 まさにおっしゃる通り。そういうふうに考えてもらって構いません。ちなみにここまでお話しした内容は、経済学の現代貨幣理論、通称MMT(Modern Monetary Theory)という理論が前提としている「事実」です。この「事実」は、MMTというのが少し知られるようになったので一般の人も知るところとなりましたが、その遥か以前から、おカネについてある程度知っている銀行員や税理士、財務官僚なら、「当たり前の常識」として知っている事実なんですよ。

 

~~~
借金1220兆円でも日本の財政が「絶対破綻しない」驚きの理由~日本が財政破綻しない理由~
幻冬舎ゴールドオンライン 2022.4.12
https://gentosha-go.com/articles/-/42153

 

 

 

 

 

 

 


■日本の「財政再建」を妨げているのは、矢野財務次官である

週刊ダイヤモンド 2021.11.4 中野剛志

https://diamond.jp/articles/-/286266


~~~


矢野康治・財務事務次官の「バラマキ批判」論文に、多くの大手メディア、財界人、経済学者が同調している。

その論調は、まるで政治家たちが、有権者の票を目当てに財政出動を約束し、国家財政を危うくしているかのような印象を与えている。


しかし、実は、アメリカの有力な主流派経済学者たちの政策論は、矢野次官らが「バラマキ合戦」と嘆いた政治家たちの政策論に近いのだ。

彼らの主張がいかに“時代遅れ”で、錯誤に満ちたものかを解説する。(評論家・中野剛志)

 

 

・矢野次官「論文」は完全に時代遅れである


矢野康治・財務事務次官の『文藝春秋』(11月号)への寄稿は、大規模な経済対策、財政収支黒字化の凍結、消費税率の引き下げといった与野党の政策論を「バラマキ合戦」と強く批判し、新聞各紙(日経新聞、朝日新聞「論座」)や財界人、経済学者(浜矩子・同志社大学大学院ビジネス研究科教授、土居丈朗・慶應義塾大学教授)の多くが、これに同調している。


こうした論調は、まるで政治家たちが、有権者の票を目当てに財政出動を約束し、国家財政を危うくしているかのような印象を与えている。

ところが、米国の有力な経済学者たちの政策論は、実は、矢野次官が「バラマキ合戦」と嘆いた政治家たちの政策論の方にむしろ近いのである。


それも、昨今流行りのMMT(現代貨幣理論)の話ではない。主流派経済学がそうなのだ。

従来の主流派経済学は、確かに、財政健全化を重視し、財政政策は効果に乏しいとしていた。それが、この十年の間に、すっかり変わったのだ。


契機となったのは、2008年の世界金融危機である。

これ以降、先進国経済では、低成長、低インフレ、低金利の状態が続いた。


主流派経済学の重鎮ローレンス・サマーズは、この状態を「長期停滞」と呼んだ。

ちなみに、日本は、世界に先駆けて1990年代から長期停滞に陥っている。


しかも、成長率、インフレ率、金利のいずれも、先進国中、最低水準だ。

この長期停滞が、米国の主流派経済学における政策論に大きな変化をもたらしたのである。


一般に不況対策としては、積極財政、金融緩和、構造改革が挙げられる。

このうち、長期停滞下の日本が選んだのは、金融緩和と構造改革だった。


積極財政は有効性が低く、後世にツケを残す政策として、忌避された。

しかし、サマーズは、金融緩和と構造改革には否定的である。


低金利下では、金融緩和は効果に乏しい。構造改革に至っては、逆効果だ。

なぜなら、長期停滞の原因は需要不足にあるが、構造改革は需要ではなく供給を増やす政策だからだ。


サマーズが推奨したのは、日本が忌避してきた政策、すなわち積極財政、とりわけ公共投資によるインフラ整備だったのである。

ほかにも、2016年、FRB(連邦準備制度理事会)議長のジャネット・イエレンが、積極的な財政金融政策は、短期の景気刺激だけでなく、長期の成長にも有効だと強調した。


同じ年、米大統領経済諮問委員会委員長ジェイソン・ファーマンは、財政政策に関して、次のような「新しい見解」が現れていると論じた。


第一に、財政政策は、金融政策と補完的に用いられることで、経済を安定化する。


第二に、裁量的な財政刺激策は非常に有効であり、民間投資を呼び込む(クラウド・イン)ことすらある。それによって、金利は上昇するが、それは経済にとってプラスであって、マイナスではない。


第三に、財政刺激策の費用(金利)が低い現在は、財政政策の余地が大いにある。


第四に、公共投資の支出先が効果的であれば、財政刺激策を継続することは望ましい場合が多い。


第五に、国際協調による財政出動は、いっそう効果が大きくなる可能性がある。


要するに、米国の主要な主流派経済学者たちの「新しい見解」からすれば、「バラマキ合戦」と称された政治家たちの政策論は、実は、正しいのである。


それを批判する矢野次官、そして彼に賛同する経済学者やマスコミの方が、時代の変化に乗り遅れているのだ。

実際、日本は長期停滞であるにもかかわらず、消費税率を引き上げたが、サマーズはそれに懸念を表明していた。


ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツやポール・クルーグマンも反対していた。

元・米経済学会会長のオリヴィエ・ブランシャールに至っては、日本経済には、基礎的財政収支の赤字が長期にわたって必要だと主張した。


だが、日本政府は、彼ら主流派経済学の権威たちの忠告に耳を貸さなかったのである。

 

 

・積極財政こそが、財政を健全化させる


ただし、米国の主流派経済学者たちは、財政健全化を無視しているわけではない。

彼らは「積極財政こそが、財政を健全化させる」と主張しているのだ。


ちなみに、財政健全化の指標は、「政府債務/GDP」とするのが国際標準である。

例えば、ファーマンとサマーズは、ゼロ金利で不況下における財政拡張が、「政府債務/GDP」を縮小させると論じた。


ブランシャールもまた、日本は低金利であるため、国債を増加させても、「政府債務/GDP」は緩やかに低下すると指摘している。

バイデン政権下で財務長官となったイエレンもまた、議会でこう証言した。


「財政の持続可能性への道筋をつけるのに今できる最も重要なことは、パンデミックを克服し、国民を救済し、将来世代に便益を与える長期の投資を行うことです。(中略)過去の経験が示すのは、今日のように、経済が弱く、金利が低い時には、大統領が国民に与えようとしている援助や経済に対する支援のような行動は、短期的には大きな赤字でファイナンスされようとも、経済に占める債務の比率を下げることにつながるのです。」


最近でも、G7の有識者パネルが、大規模な公共投資の必要性を訴え、「短期的視野に基づく赤字の削減は、それが教育のような人的資本への投資の削減になる場合には、対GDP比の債務を増加させる」と警鐘を鳴らしている。


実際、ユーロ危機の際、財政危機に陥ったユーロ加盟諸国は、徹底した緊縮財政により財政健全化を目指した結果、深刻な不況に陥り、「政府債務/GDP」はかえって悪化した(Elgaronline、wiiw)。


それと同じ過ちを、日本は四半世紀も続けてきた。

今になって、やっと政治がこの過ちを改めようとしているのに、矢野次官が立ちはだかったのだ。


低金利・低インフレ・低成長という長期停滞の下では、積極財政が最も有効である。

そして、大規模な財政出動により、「政府債務/GDP」は下がり、財政はより健全化する。


これは、今や、主流派経済学のコンセンサスになったと言ってよいであろう。

なお、私自身は、『奇跡の経済教室』でも書いたとおり、主流派経済学の支持者ではなく、日本は財政健全化を目指すべきとは考えていないが、それでも、このコンセンサスには結論において同意である。

 

 

・矢野次官の“論理”が、日本の「財政健全化」を妨げている


ところが、この主流派経済学の新たなコンセンサスを、矢野次官は「一見まことしやかな政策論ですが、これはとんでもない間違いです」と一蹴し、こう反論したのである。


「先ほどの政策論のどこが間違っているのかと言えば、財政出動によって、『国債残高/GDP』の分母であるGDPが一定程度は膨らむにしても、分子の国債残高も金利分だけでなく、単年度収支の赤字分も膨張してしまう点が無視されているのです。小理屈めいた話はうさん臭い。ホントかな、などとお感じになるかもしれません。しかし、これはケインズ学派かマネタリストかとか、あるいは近代経済学かマルクス経済学かとか、そういった経済理論の立ち位置や考え方の違いによって評価が変わるものではなく、いわば算術計算(加減乗除)の結果が一つでしかないのと同じで、答えは一つであり異論の余地はありません。」


「答えは一つであり異論の余地はありません」などと自信たっぷりに断定しているが、何を言っているのか意味不明である。


それこそ「算術計算(加減乗除)」で考えてみよう。

1以上の分数は、分子と分母が同じ額だけ増えると、小さくなる。


日本の「国債残高/GDP」は1を大幅に上回る。

したがって、仮に分子の「国債残高」と分母の「GDP」とが同じ額だけ増えたとしたら、「国債残高/GDP」は縮小することになる。


さて、例えば、現状におおむね即して、日本のGDPが500兆円で、日本政府は1000兆円の国債残高を抱えているとしよう。

そして、金利も含む単年度の財政赤字が50兆円あるとする。


この場合、年度末の国債残高/GDPは210%(=(1000+50)/500)である。

ここで、日本政府が20兆円の国債を発行して、20兆円の追加財政支出(非移転支出)を行ったら、どうなるか。


すると、確かに、分子の国債残高は、1070兆円(=1000+50+20)に増加する。

金利については、現在、ほぼゼロであり、しかも中央銀行の操作によって抑制できるため、新たに発行する20兆円の国債にかかる金利は無視しよう。


だが、同時に、分母のGDPもまた、少なくとも20兆円は増えるのである。

「GDP=消費+投資+政府支出+純輸出」なのだから、当然であろう。


その結果、「国債残高/GDP」は、210%から206%(=1070/(500+20))へと低下する。

財政出動が民間の投資や消費を増やす効果を無視したとしても、低下するのだ。


しかも、この数字は、財政出動額を増やすほど低下することが、簡単に確認できるだろう。

つまり、よほどの高金利になるか、あるいは政府支出の増加によって投資や純輸出などが減少するようなことでもない限り、財政出動によって日本の「国債残高/GDP」は縮小し、財政はより健全化するのである。


もちろん、財政出動が「国債残高/GDP」を縮小させるという主流派経済学の議論は、これほど単純な算術計算ではなく、もっと厳密なモデルに基づいている(IMF、OECD、CBPP)。

ここで言いたいのは、それを「とんでもない間違い」と一蹴する矢野次官の算術計算の方が、「とんでもない間違い」だということだ(https://president.jp/articles/-/51325?page=2)。


日本の財政健全化を妨げているのは、「バラマキ合戦」の政治家たちではなく、積極財政に反対する矢野次官の方なのである。


~~~
日本の「財政再建」を妨げているのは、矢野財務次官である
週刊ダイヤモンド 2021.11.4 中野剛志
https://diamond.jp/articles/-/286266

 

 

 

 


■『日本をダメにした財務省と経団連の欺瞞』

著者/編集:三橋 貴明
出版社:小学館
発売日:2020年07月02日

https://a.r10.to/hM9bGM


・内容紹介(出版社より)

日本貧困化の元凶はこいつらだ!

アメリカのGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)とマイクロソフトの5社だけで、日本の東証1部上場会社2160社の時価総額を超えている。さらに1997年から2018年の21年間で労働者の賃金を時給換算したところ、イギリスは93%増、アメリカ82%増、フランス69%増、ドイツ59%増と主要国は軒並み大幅にアップしているのに日本だけはなんとマイナス8%である。GDPこそ世界3位だが、もはや先進国ではない。完全に衰退国に落ちぶれた。
なぜそうなってしまったか。財務省が「国の借金1000兆円」(正確には政府の債務)をメディアを通して振りまき、プライマリーバランスの黒字化目標を掲げて、緊縮財政を続け、さらに消費増税を繰り返しているからだ。
実際に新型コロナウイルスが日本に上陸する前から、2019年10月期ー12月期のGDPは年率換算してマイナス7.1%と凄まじく落ちていた。
さらに消費の「罰金」である消費税をなぜ経団連は諸手を挙げて賛成するのか。それは、消費増税の代わりに法人税が減税されるからだ。本書は巷で信じられている常識を覆す、驚きの真実のオンパレードだ。


・【編集担当からのおすすめ情報】

財務省の御用学者らが振りまく財政破綻論。もちろん増税の理由にするためです。しかし、財政破綻などしないと著者の三橋さんは証拠を示しながら力説します。そして、国民が豊かになるためには法人税増税こそが唯一の道だといいます。日本人を貧困化させた「元凶」を徹底的に批判。さらに新型コロナウイルス来襲により、「第二次世界恐慌」をどう生き抜いていけばいいのか、その処方箋も紹介します。
第一章 日本を貧困化させた「緊縮財政」という失政
第二章 亡国の最凶官庁・財務省
第三章 「今だけ、カネだけ、自分だけ」の経団連
第四章 第二次世界恐慌の襲来に耐えられるか


・内容紹介(「BOOK」データベースより)

気鋭のエコノミストが緊急寄稿!1997年から2018年まで先進国の中で日本だけが賃金マイナス8%の衝撃。コロナ危機でもカネを出し惜しみ、消費税減税を拒否する財務省の本音。「政府が国債を発行・支出増で家計は潤う」のに財政破綻論を持ち出して渋る。経団連が消費税増税を歓迎する本当の理由。「法人税を引き下げないと雇用が失われる」という大ウソ。これから来るコロナ恐慌に立ち向かうには消費税0%しかない。


・目次(「BOOK」データベースより)

第1章 日本を衰退させた「緊縮財政」という失政(主要国の中で労働者の賃金は日本だけがマイナス/アダム・スミスの罪 ほか)/第2章 亡国の最凶省庁・財務省(ウソだらけの経済対策234兆円の真実/1872年と比較すると3740倍の長期債務残高 ほか)/第3章 「今だけ、金だけ、自分だけ」の経団連(経団連が消費税増税を歓迎する本当の理由/「直間比率の是正が必要」と世論に広めた ほか)/第4章 第二次世界恐慌の襲来に耐えられるか(インフラ整備がなければGDPはまったく増えない/銀行融資と投資が落ち込むと資本主義が成り立たない ほか)


・著者情報(「BOOK」データベースより)

三橋貴明(ミツハシタカアキ)
1969年、熊本県生まれ。作家・エコノミスト・中小企業診断士。東京都立大学卒業。エコノミスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


・楽天ブックス
https://a.r10.to/hM9bGM

 

 

 

 

 

 

■コロナ禍の今こそ、国民全員に毎月10万・年間120万円の現金給付を行え!

ハーバー・ビジネス・オンライン 2021.01.18

https://hbol.jp/pc/236695/

 

 

 


■欧米各国はコロナ禍で手厚い給付金 10万円+マスク2枚だけとは歴然の差

長周新聞  2021年6月8日

https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/21124

 

 

 

 

■米国経済、早くもコロナ脱出で好景気真っただ中…政府、日本と真逆の大胆&迅速な対応

 

Business Journal  2021.05.13

https://biz-journal.jp/2021/05/post_225585.html

 

 

 

■【みんなに毎月10万円を配り続けたら国は破綻するか?】れいわ新選組代表 山本太郎

https://youtu.be/xiM6JLBlk5I @YouTubeより

 


【希望者全員に毎月20万円の給付金を配れ!】「全国民へ生活費支給する政策」が有効なワケ~経済を成長させ、景気や雇用を安定化させる~

2022-12-07 06:38:42 | 日記


■「ベーシックインカム」で、人々に回復力を 推進者の経済学者が訴え

グローブプラス(朝日新聞)2020.06.17 経済学者ガイ・スタンディング

https://globe.asahi.com/article/13459926


~~~


・ガイ・スタンディング 

経済学者で、ベーシックインカムの国際的な推進団体「ベーシックインカム・アース・ネットワーク」(BIEN)の共同創設者。現在、ロンドン大プロフェソリアル・リサーチ・アソシエイトを務める。著書に『プレカリアート 不平等社会が生み出す危険な階級』(法律文化社)、『ベーシックインカムへの道』(プレジデント社)など。

 

・ベーシックインカムとは

ベーシックインカムは、政府が無条件で一定額のお金を全ての国民に配る制度などとされる。
国際的な推進団体「ベーシックインカム・アース・ネットワーク」(BIEN)は「資産調査をせず、仕事上の資格があるかに関係なく、個人単位で全ての人に無条件に配られる定期的な現金給付」と定義している。

 

 


・「特別定額給付金」は賢明な政策


――日本に住む全ての人に一律10万円を配る「特別定額給付金」の支給が始まりました。一度きりですが、BIのような給付です。どう評価しますか。


賢明だと思います。
今の時期、助けが必要なのは一般の人たちです。
当座、政府は全住民の救済を実現しました。
ぜひ次の段階に進んでほしい。少なくともパンデミックが終わるまで、毎月の支払いを保証する。
そして、より長期の救済策を決めるのです。

 

――シンガポールは21歳以上の全ての国民に、600シンガポールドル(約4万5000円)の給付を決定。
米国では年収7万5000ドル未満の大人に1200ドル(約13万円)、全ての子どもに500ドル(約5万4000円)を支給します。
英国やフランスでも休職者らに一定の給付があります。
将来的に各国でのBI導入検討につながる可能性はありますか。


おっしゃるとおり。
そういった政策はBIに向けた動きといえます。
しかし、なぜシンガポールでは21歳以上なのでしょう。
全員が対象にされるべきです。
なぜ一定の年齢以下の人たちはお金を受け取れないのでしょう。
公平ではありません。
その人たちの中にも貧しかったり、不幸だったり、重病だったりする人がいるかもしれない。
お金が必要なのです。
なぜ排除するのでしょうか。

 

――長年BIを主唱されてきました。
新型コロナウイルスの世界的流行を受け「今こそBIを実現するべきだ」と主張されています。
なぜ以前にも増して必要なのですか。


BIを実施する理由は倫理的なものだと、これまで言い続けてきました。
BIは社会にいる全員に唯一、最低限の保障を与えられる可能性があるため、絶対的に必要なのです。
もし日本や英国、どこかの国のある集団が不安定な状態におかれていたら、ウイルスに感染したり、ほかの病気になったりして、感染を広げていく可能性が大いにあり続けます。
誰もが保障を受けることは死活的に重要なのです。
誰もが所得を保障される。
そして生きていく上で自分で好きなように決断できる。
BIがなければ、経済は低迷し、将来の経済的危機がもっと悪くなると思います。
私が最近話をするときに強調しているのが、レジリエンス(回復力)です。
レジリエンスとは、ショックに対処できる能力があることを意味します。
重病であれば、レジリエンスはありません。
私たちが必要なのは、普通の人により強いレジリエンスを与えることなのです。

 

・なぜ全住民が対象か


――BIは公共事業や減税のような従来の景気刺激策とどう違うのでしょう。


例えば、プレカリアート(非正規雇用など不安定な立場の労働者)がBIを支給されれば、お金を使う傾向がかなりあります。食料や衣類、子供の必要な物、本など基本的な財やサービスの購入にそのお金を使うでしょう。
そうすれば、2008年のリーマン・ショック後の金融危機の時のように金融市場にお金を投入する以上に、実体経済が刺激されます。
本来の生産システムを刺激することになります。
消費は投資を増やし、より多くの雇用にもつながるのです。

 

――BIはなぜ貧しい人だけでなく、全住民を対象に給付するのですか。


貧しい人を特定するのは難しいからです。
所得はしばしば増えたり減ったりします。
ある週は貧しかったけど、別の週はそうではなくなった。
でも次の週はまた貧しくなることがあります。
ほかにも問題があります。貧しい人だけに給付すると、その人が貧困から抜け出す努力をして賃金を得た場合はどうなるでしょう。
もし低賃金で働き「貧困線」より少しでも上にいるなら、給付を失います。
これが「貧困のわな」といわれるものです。
私たちは何十年にもわたり、世界各地でBIの実験をしたり、研究をしたりしてきました。
しかし、貧しい人のみが対象なら、間違って除外されてしまうこともあります。
全住民にBIを給付する方が、手続きも簡素ですっとよいのです。

 

・ニューノーマルとなりえるか


――BIの額などはどうやって決めたらいいでしょう。


政府がBIを始めるためには、政府からコントロールを取り上げることが重要です。
そうしなければ、選挙前にはBIの額を上げ、選挙後には額を下げるでしょう。
だから、選ばれた委員からなる独立した委員会によって運営されるべきです。
委員たちは政治的な選挙サイクルの外で委員会を運営していくのです。
そうしなければ、BIは政治化されてしまいます。
首相や大統領から独立させることが重要です。

 

――BIは新型コロナウイルス終息後のニューノーマルになり得ると思いますか。


今回、世界中の一般の人が、私たちはみな弱い存在だと気づきました。
みな病気にかかることがあり得ます。皆所得を失うこともあり得ます。
私たち皆が他者と連帯することで、多くのことを感じられます。
今やBIがどのような存在になるのか気がつき、学んでいるのです。
私は、今の危機からBIが実現する可能性は60%あると思います。
重要な国の一つでも(それは日本かも、カナダかもしれません)BIを導入すれば、ほかの国がすぐに倣うでしょう。
その日が来る可能性はあるのです。
私たちは、経済をそれぞれのライフスタイルに合わせ、よりストレスのないものにしなければならないのです。
だから、BIは今や、政治家、プレカリアート、学生、環境保護者らによってかなり真剣に考えられているのです。
過去にはだれもが、頭のおかしい、ばかげたことだと思っていたでしょう。
今や知的な議論がなされているのです。
もしBIがあれば、働かなくなるのではなく、もっと働くのです。
このことに気がつくのはとても重要です。
BIをもらえば、怠け者になるというのは事実ではありません。

 

――世界で同時に最悪の状況を経験しているため、私たちはBIの重要性に気がついたのだと。


その通りです。私よりうまく表現しています。


――改めてうかがいます。BIはニューノーマルになり得ますか。


はい。ニューノーマルになりえます。もちろん、BIだけでは全ての問題を解決できませんが、その支えになると思います。

 


・<メモ>ベーシックインカムの実験

これまで欧州や北米などの一部自治体で、ベーシックインカムの実証実験が行われてきた。
フィンランドでは政府が2017~18年、失業給付を受けていた中から無作為抽出した失業者2000人に収入の有無や求職中かを問わず、毎月560ユーロ(約6万6000円)を給付。失業給付を受けていたほかの失業者と比較する実験をした。20年5月に発表された結果によると、17年11月から1年間の平均就労日数は、560ユーロの支給を受けた人の方が78日で受けていない人より5日多かった。生活の満足度を0~10の段階評価で尋ねたところ、平均値は支給を受けた人が7・3、受けていない人は6・8だった。


~~~
「ベーシックインカム」で、人々に回復力を 推進者の経済学者が訴え
グローブプラス(朝日新聞)2020.06.17
https://globe.asahi.com/article/13459926

 

 

 

 

 

■「希望者全員に毎月20万円の給付金を配れ」京大教授が訴える最強のコロナ対策~命より財政を優先する財務省の異常~

PRESIDENT Online 2021/05/14

https://president.jp/articles/-/46004?page=1


~~~


感染拡大を食い止めるにはどうすればいいのか。

京都大学大学院の藤井聡教授は「自粛に応じてもらう代わりに徹底的な補償をすればいい。
一人当たり毎月20万円給付しても日本が財政破綻することはない」という。

ジャーナリストの田原総一朗さんとの対談をお届けする――。

 

・財政破綻論は「完全にデマ」である


【田原】藤井さんが掲げる提言「プライマリーバランスの黒字化にこだわるのをやめよ」、という問題を中心に話したい。
2012年暮れに首相に返り咲いた安倍晋三さんは13年春以降、黒田東彦はるひこ・日銀総裁と組んで「異次元の金融緩和」をやった。
政府がお札を刷り、日銀が市中の国債はじめ株式や債券をガンガン買い入れ、出回るおカネを増やし、インフレターゲット2%を設定して、内需を拡大させようとした。
「機動的な財政政策」で公共事業もやった。
「成長戦略」と合わせて、アベノミクス三本の矢で日本経済をよくすると。
ところが『日本銀行「失敗の本質」』という本を書いた朝日新聞の原真人編集委員によれば、その結果、日本の長期累積債務は1200兆円、GDP比で220%に膨れ上がった。
このままいけば間違いなく財政破綻で「第二の敗戦」だ、早ければ2025年にもそうなるという。
藤井さんの反論を聞きたい。

 

【藤井】その話は完全にデマです。
いたずらに危機を煽あおって人を不安にさせて注目を集めようとしているに過ぎません。
本を買って嘘を読まされた人は、賠償請求をしなければいけないくらいです。
なぜか? 
簡単なところから申し上げますと、財政破綻論者は、かつて政府の累積債務がGDPと同じ水準に達すれば破綻するといった。
800兆円になったらとか、1000兆円を突破したらとか、ずっと「破綻する。破綻する」といい続けてきた。
にもかかわらず、日本政府はまったく破綻していない現実があります。

 

・緊縮財政が景気を悪化させた


【藤井】そして、理論的な視点から説明するとすれば、彼らはいろいろなところで間違っていますが、最大の間違いは、「破綻する。破綻する」と叫んで財政を緊縮させ、景気をますます悪化させ、その結果、税収が減って財政を悪化させてしまっているところです。
つまり、原さんたちが心配で心配でしかたがないといっている財政悪化という状況を作っているのは、他ならぬ彼ら自身なのです。
彼らが騒がなければ国債をもっと出して政府支出を増やしたり消費税を減税・凍結したりでき、それを通して経済がよくなって、財政問題が自ずと解消するのですが、彼らが騒ぎ立てることで、そういう改善プロセスを邪魔してるんです。
これが彼らの最大の間違いです。


【田原】2021年1月末の朝日新聞に、原編集委員は「金融緩和、出口見失った日銀 重なるベトナム戦争の泥沼」という記事を書いていた。
黒田総裁は異次元緩和を2年間の短期決戦と説明したのに、8年近くたっても出口戦略がない。
こうも泥沼化させたのは日本政府のひどい財政状況で、世界最悪水準の借金依存がさらに悪化。
日銀がお札を刷り国債を買い支える「打ち出の小づち」が、どこまで持続可能か誰にもわからないと。
政府の借金が雪だるま式に増え続けてよいはずがない、といいたいわけね。
これは世の中の“常識”といえば常識でしょう。

 

・「コロナ禍は有事である」という発想がない


【藤井】おっしゃるとおり。
しかし、重要なのはその常識こそが間違いだという点。
そもそも原さんは、ある意味で的確な意見を開陳している。
それは“ミスター財務省”の主張です。
政府の借金は理屈抜きに悪い。
でも、1000兆円超もの借金を一気に返すのは無理。
だから、とにかくプライマリーバランス黒字化で単年度の借金をなくし、増税もして、借金を減らす方向に持っていかなければならない。
こういうのがいま世間の常識になっていますが、これこそ完全に間違った考え方。
その“常識”が間違っているんです。
「コロナ禍は有事である」という発想がない!


~~~
「希望者全員に毎月20万円の給付金を配れ」京大教授が訴える最強のコロナ対策~命より財政を優先する財務省の異常~
PRESIDENT Online 2021/05/14
https://president.jp/articles/-/46004?page=1

 

 

 


■「全国民へ生活費支給する政策」が有効なワケ~経済を成長させ、景気や雇用を安定化させる~

東洋経済 2018/03/06 ガイ・スタンディング : ロンドン大学教授

https://toyokeizai.net/articles/-/210817


~~~


・「おカネをばらまけばインフレになる」との指摘は一面的


経済成長は必ずしも好ましい側面ばかりではないが、すべての人にベーシックインカムが給付されれば、経済成長にいくつかの好影響が及ぶ。


経済に流れ込むカネが増える結果、総需要が増加し、(深刻な供給制約がないかぎり)経済成長が加速する。

たとえベーシックインカムがほかの政府支出の削減によってすべて賄われ、政府支出の総額が変わらないとしても、需要を拡大させる効果がある。


ベーシックインカムは、低所得層の購買力を高めるからだ。

低所得層は高所得層に比べて、受け取ったカネを消費に回す傾向が強い。


同じ理由により、ベーシックインカムによる成長は、総需要を刺激する政策にしばしばついて回る「国際収支の天井」を回避できる。


高所得層は輸入品や海外旅行などにおカネを使う傾向があるのに対し、低所得層は「ぜいたく」な輸入品よりも地元の製品やサービスにおカネを使うので、経済成長とともに国際収支の赤字が持続不可能な水準まで積み上がる危険が比較的小さいのだ。


「ベーシックインカムが導入されて、経済に流れ込むおカネが増えれば、インフレが起きる」という指摘があるが、そうした主張は一面的と言わざるをえない。

資金量が増えて需要が刺激されれば、おそらくモノやサービスの供給も増えるからだ。


供給が増えれば、雇用が増える可能性がある。そうなれば、所得が増えて人々の支出力が高まり、乗数効果を通じてさらに生産が拡大するかもしれない。

人々の支出力を高めることは、先進諸国の大きな関心事になっている。


人々の所得の伸びが生産力の伸びに追いついていないからだ。

昔は、生産性が向上すれば実質賃金(インフレ調整済みの賃金)が上昇し、総需要(要するに消費の量)が拡大した。


しかし、今日の経済ではこの図式が当てはまらない。

生産性が向上しても賃金が上昇せず、成長が鈍化しているのだ。


今日の開放経済の下では、昔のような生産性交渉を通じた所得政策が極めて難しくなっている。

そもそも、そのような取り組みが盛んに行われていた1960年代当時も、成果が上がる場合ばかりではなかった。


一方、今日は昔よりも、賃金の停滞や下落に苦しむ家庭が借金をしやすい。

その結果、債務バブルが発生して、やがてそのバブルが弾けて大打撃が生じる危険も大きくなっている。


2007~2008年の世界金融危機の引き金を引いたのも、そうした現象だった。

今後、再び同じことが起きても不思議はない。


その点、ベーシックインカムは、高い水準の総需要を維持しつつ、経済の脆弱性を軽減できる。

 

・中小企業や起業家にも恩恵が及ぶ


見落とされがちだが、ベーシックインカムが中小企業や起業家にも好ましい影響を及ぼすことは間違いない。

経済的な安全が確保されれば、人はリスクを伴う起業に前向きになる。


失敗した場合にも、当てにできる収入があると思えることの効果は大きい。

途上国では、ベーシックインカムと現金給付が起業を後押しすることがわかっている。


インドのマディヤ・プラデシュ州で行われた実験でも、ベーシックインカムと起業の間に強い関連が見られている。

先進国では、起業の夢を持っている人だけでなく、不本意ながら自営業やフリーランスで働いている人にも安全を提供できる。


さらには、人々が仕事のためのトレーニングを受けたり、就職先を決めたりするときに、「食い扶持」を稼げる可能性が高い分野よりも、自分の適性や意欲に合う分野を選びやすい状況をつくり出せる。

そうなれば、人材が適切な職に振り向けられ、人々の仕事に対する熱意も高まって、生産性が向上する。


アメリカでは、従業員のやる気不足による生産性低下が原因で、推定約5000億ドル(約53兆円)が失われているという。

ベーシックインカムは、賃金労働から、それ以外のさまざまな活動への移行も後押しできる。


具体的には、子どもやお年寄りの世話をしたり、ボランティア活動や地域コミュニティの活動に参加したり、自己啓発のために時間を割いたりしやすくなる。

また、雇用拡大のためだけに新規雇用を創出する必要性も減る。


雇用対策のために、資源を枯渇させたり、地球環境を汚したりする業種の仕事をつくらなくてすむのだ。

この2つの点において、ベーシックインカムは、環境面と社会面でより持続可能性の高い経済成長を促すと言える。


伝統的なケインズ経済学では、福祉国家の仕組み、特に社会保険制度は、景気循環の波を小さくするための安定化装置の役割を果たしていた。

景気がよく、インフレ圧力が高まってくると、支援の必要な失業者が減る結果、たいてい福祉給付のための公的支出が減り、景気の過熱にブレーキがかかった。


逆に、景気後退期には、失業手当やその他の福祉給付が増え、需要が刺激され、雇用回復が後押しされた。

しかし、既存の福祉制度は、マクロ経済の自動安定化装置としての力が弱まっている。


資力調査など条件つきの支援への移行が容赦なく推し進められるにつれて、社会保険の規模が縮小しているためだ。

しかも、新自由主義思想に基づく財政緊縮策、すなわち財政均衡と政府債務削減のために歳出削減を目指す政策により、政府は景気後退期にも意識的に支出を減らすようになった。


その点、シンプルなベーシックインカムを導入するだけでも、ある程度の自動安定化装置になる。

景気後退期の人々の支出力を高められるからだ。


わたしは以前、重層型のベーシックインカムを提案したことがある。

ささやかな固定額のベーシックインカムに加えて、「安定化」のための給付金を上乗せして給付するというアイデアだ。


上乗せ部分の金額は、経済の状態によって変える。

具体的な金額は、独立した委員会に決めさせるのが好ましいだろう。


これは、中央銀行の政策金利決定のための委員会と同じような位置づけと考えればいい。

この仕組みは公正性も高い。雇用が多いときは、高所得の職に就く機会が比較的多いので、給付金を少なく抑えることが理屈に合う。


一方、景気後退期に給付金を増額することは、「機会所得」の減少を埋め合わせる効果がある。

それに対し、既存の社会的扶助の仕組みは、雇用が少ない景気後退期に、失業者に職探しを要求する。


しかし、まじめに職探しを続けていることを証明するよう求めれば、実質的に受給者の所得を減らしてしまう。

職探しは時間とおカネとやる気を消耗するし、雇用の少ない状況で職探しに励んでも報われない可能性が高いからだ。

 

・金融機関のための量的緩和から人々のための量的緩和へ


2007~2008年の金融危機後の景気後退を受けて、日本を始点に、多くの国でデフレ脱却を目指す金融政策が導入された。


量的緩和策(QE)である。

しかしこの時期は、とりあえず短期間でもベーシックインカムを導入するチャンスだった。


アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)、日本銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行(ECB)などの中央銀行は、量的緩和策の下、莫大な量のドルや円やポンドやユーロを金融市場に流し込んできたが、経済成長を促進するという目的が十分に達成されているとは言えない。


その莫大な資金のごく一部でもベーシックインカムに振り向けていれば、もっと経済成長を促進できただろう。

この政策は、貧困層より富裕層を潤すという心配も少なく、予算面でも明らかに実現可能性があった。


さまざまな経済学者がそのような選択肢を提案していた。

アメリカのFRBが量的緩和につぎ込んだ4兆5000億ドル(約480兆円)があれば、アメリカのすべての世帯に5万6000ドル(約600万円)ずつ配布できた。


イギリスでは、イングランド銀行が費やした3750億ポンド(55兆円)があれば、合法的居住者全員に、週50ポンド(約7300円)のベーシックインカムを2年間配れた。

しかし実際は、量的緩和策が実行されて大口投資家が潤い、所得格差が拡大し、年金制度の資金不足に拍車がかかっただけだった。


経済成長を促すために人々に直接おカネを配るというアイデアは、アメリカの経済学者ミルトン・フリードマンが1969年の論文で提案していた。

フリードマンはその考え方をわかりやすく説明するために、ヘリコプターからドル紙幣をばらまき、人々に拾わせるという比喩を用いた。


お札を刷って国民にばらまく「ヘリコプター・マネー」は、アメリカの債券投資家ビル・グロスや経済ジャーナリストのマーティン・ウルフなども提唱している。


~~~
「全国民へ生活費支給する政策」が有効なワケ~経済を成長させ、景気や雇用を安定化させる~
東洋経済 2018/03/06 ガイ・スタンディング : ロンドン大学教授
https://toyokeizai.net/articles/-/210817

 

 

 

 

 

■お金はまくべし! デフレ脱却と未来の暮らしを考える

若手リーダーに贈る教科書(NIKKEI STYLE)2018/6/16 井上智洋著 「ヘリコプターマネー」

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO31746520U8A610C1000000/

 

~~~


景気の回復局面は6年目に入ったが、デフレ脱却は道半ばといわれる。

一方、「体感物価」の上昇で消費者の間には、なお生活防衛・節約志向が根強い。


そんななか、景気をよくする「禁断の劇薬」ともいわれるヘリコプターマネーが経済に及ぼす効果を基礎から解説し、導入を勧めるのが今回の書籍「ヘリコプターマネー」だ。

人工知能(AI)が進化し、多くの人間の仕事をロボットなどが担うようになる未来の経済政策としても有効だという。

 

・お金をばらまけば、景気はよくなる?


ヘリコプターマネーとは、政府や中央銀行があたかも空からばらまくように大量の貨幣を発行して市中に供給するような政策です。


「インフレに歯止めがかからなくなる」などとして導入に否定的な経済学者が多い半面、「日銀の金融緩和は、すでにヘリコプターマネーの色彩を帯びてきている」との指摘もあります。


一般的には「空からばらまく」という語感のせいもあって、どこか疑わしい印象を持つ人が多いのではないでしょうか。

著者は、景気と市中に出回るお金「マネーストック」の量の関係を重視します。


マネーストックを増やし、消費を刺激して景気をよくするには、ヘリコプターマネーが有効であり、そのために政府の「貨幣発行益」を充てる手を考えるべきだと説きます。

 

・ばらまきの原資、貨幣発行益で


ーーー


「貨幣発行益」は、政府や中央銀行などが貨幣を発行することで得られる利益である。

例えば、1万円札の発行コストは一枚あたり約20円なので、残りの9980円が日銀の貨幣発行益ということになる。(中略)

貨幣発行益は、人類が手にできるほとんど唯一の打ち出の小槌(こづち)であり、私たちはデフレ下では、この小槌を副作用なしに振ることができる。

ヘリコプターマネーを実施しない政府と中央銀行は、国民のウェルフェア(厚生、幸福)を高める責務を怠っていることになる。

(第5章 ヘリコプターマネーとベーシックインカム 160~162ページ)


ーーー


著者は、この貨幣発行益をたいして必要でもないインフラや箱物を造るといった昔ながらの公共事業に使うのでなく、直接国民に配る形でマネーストックの拡大につなげるべきだと主張します。

その手段のひとつが、ベーシックインカムの導入です。


ーーー


「ベーシックインカム」(以下BI)は、生活に最低限必要な所得を国民全員に保障する制度である。

例えば、毎月7万円のお金が老若男女を問わず国民全員に給付される。

私は、これをよく「子ども手当+大人手当」つまり「みんな手当」と説明している。

(第5章 ヘリコプターマネーとベーシックインカム 164ページ)


ーーー


・井上智洋氏

著者の井上智洋さんは1975年生まれ。慶応義塾大学環境情報学部を卒業した後、早稲田大学大学院経済学研究科で学び、2011年に経済学の博士号を取得しました。17年からは駒沢大学経済学部の准教授を務めています。専門はマクロ経済学で、著書に「人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊」(文春新書)などがあります。


~~~
お金はまくべし! デフレ脱却と未来の暮らしを考える
若手リーダーに贈る教科書(NIKKEI STYLE)2018/6/16 井上智洋著 「ヘリコプターマネー」
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO31746520U8A610C1000000/

 

 

 

 

 

 

 

■コロナ禍の今こそ、国民全員に毎月10万・年間120万円の現金給付を行え!

ハーバー・ビジネス・オンライン 2021.01.18

https://hbol.jp/pc/236695/

 

 

 


■欧米各国はコロナ禍で手厚い給付金 10万円+マスク2枚だけとは歴然の差

長周新聞  2021年6月8日

https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/21124

 

 

 

 

■米国経済、早くもコロナ脱出で好景気真っただ中…政府、日本と真逆の大胆&迅速な対応

 

Business Journal  2021.05.13

https://biz-journal.jp/2021/05/post_225585.html

 

 

 

■【みんなに毎月10万円を配り続けたら国は破綻するか?】れいわ新選組代表 山本太郎

https://youtu.be/xiM6JLBlk5I @YouTubeより