■安倍政権が切り捨てる日本の食と農。日本だけが輸入する危険な食品<鈴木宣弘氏>
ハーバー・ビジネス・オンライン(扶桑社) 2019.12.22
https://hbol.jp/pc/209175/
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・日本の食と農が崩壊する!
安倍政権はアメリカが要求する農協改革の名のもとに、農業への企業参入、農業の大規模化・効率化を推進してきた。
規制改革推進派の小泉進次郎氏が自民党農林部会長に就き、「農業が産業化し、農協が要らなくなることが理想だ」と公言する奥原正明氏が農水省事務次官に就いた。
諮問会議で農業改革の議論をリードしたのは、農業の専門家ではなく、金丸恭文氏、新浪剛史氏といったグローバリストである。
結果、農業分野への参入に成功したのは、新浪氏が社長を務めていたローソンファームや竹中平蔵氏が社外取締役を務めるオリックスである。
安倍政権が掲げてきた「稼げる農業」というスローガンは、その実態は、グローバル企業やお仲間企業だけが稼げる農業なのである。
こうした中で、農産物の自由化によって日本の農業は弱体化に拍車がかかっている。
『月刊日本 2020年1月号』では、第3特集として「日本の食と農が崩壊する」と銘打ち、日本の食糧自給を巡る危機的な状況に警鐘を鳴らしている。
今回は同特集の中から、東京大学大学院農学生命科学研究科教授である鈴木宣弘氏の論考を転載・紹介したい。
・農業を犠牲にする経産省政権
── 日米貿易協定が2020年1月に発効します。
鈴木宣弘氏(以下、鈴木): この協定について、安倍総理は「ウィン・ウィンだ」などと言っていますが、日本の完敗であることははっきりしています。
自動車に追加関税をかけるというトランプ大統領の脅しに屈して、日本は農業分野を犠牲にしたのです。
日本側の農産品の関税撤廃率は72%ですが、アメリカ側の関税撤廃率はわずか1%に過ぎません。
日本農業は、さらに大きな打撃を受け、食料安全保障の確立や自給率向上の実現を阻むことになります。
安倍政権は、「アメリカは自動車関税の撤廃を約束した」と述べていますが、署名後に開示されたアメリカ側の約束文書には「さらなる交渉次第」と書かれています。
自動車を含まなければ、アメリカ側の関税撤廃率は51%に過ぎません。
これは、少なくとも90%前後の関税撤廃率を求めた世界貿易機関(WTO)ルールに違反することになります。
安倍政権では、経産省の力がかつてないほど強まっており、自分たちの天下り先である自動車、鉄鋼、電力などの業界の利益拡大が最優先されています。
かつて、貿易交渉においては、財務、外務、経産、農林の4省の代表が並んで交渉し、農業分野の交渉では農水省が実権を持っていましたが、今や農水省は発言権が奪われています。
内閣人事局制度によって官邸に人事権を握られた結果、農水官僚たちも抵抗できなくなっているのです。
「農水省が要らなくなることが理想だ」と公言する人物が農水省の次官になるような時代なのです。
・危機に陥る食料自給
── 協定が発効すると、アメリカ産の牛肉や豚肉の関税が一気に下がります。
鈴木:牛肉の関税は、現在の38・5%から26・6%に一気に引き下げられ、2033年度には9%となります。
豚肉も、高級品については関税を段階的に下げ、最終的にゼロとなります。低価格部位については、現状の10分の1まで下がります。
日本は、TPP11で、牛肉を低関税で輸入する限度(セーフガード)数量について、アメリカ分も含めたままの61万トンを設定しました。
ところが今回、アメリカ向けに新たに24万トンを設定したのです。日本にとっては、アメリカ分の限度が「二重」になっているということです。
しかも、付属文書には「セーフガードが発動されたら発動水準を一層高いものに調整するため、協議を開始する」と書かれているのです。
実際にセーフガードを発動することは次第に難しくなるということです。
政府は、牛肉や豚肉の価格が下がった分は補填するので、農家の収入は変わらず、生産量も変わらないと強弁しています。
しかし、生産量が低下し、自給率がさらに下がるのは確実です。
すでに牛肉の自給率は36%、豚肉の自給率は48%まで低下していますが、2035年には、牛肉、豚肉とも10%台にまで落ち込む危険性があります。
農水省は平成25年度の39%だった食料自給率を、令和7年度に45%に上げるなどと言っていますが、それを実現する気などありません。
食料自給で最も深刻なのは酪農です。
所得の低迷によって国内の酪農家の廃業が相次いでいます。
乳価を安定させ、個々の酪農家の利益を守るために機能してきた指定団体が改定畜安法によって廃止されたからです。
これに乳製品の関税引き下げが加わり、酪農家は危機感を高めています。
2018年には、北海道のブラックアウトの影響で東京でも牛乳が消えました。
これは決して一過性の問題ではありません。
さらに酪農が弱体化していけば、店頭から牛乳が消えるという事態が実際に起きます。
牛乳を飲みたがっている子供に、お母さんが「ごめんね。今日は牛乳が売っていないの」と言わなければならなくなるのです。
欧米諸国ならば、暴動が起きるような事態です。
ところが、政府は「不測の事態には、バターと脱脂粉乳を追加輸入して水と混ぜて、還元乳を飲めばよい」などと言っています。
安全で新鮮な国産牛乳を確保するために、国産牛乳の増産を図るのが国民の命を守る国の使命のはずです。
ところが、政府はその責任を放棄しているのです。
食料自給は、国家安全保障の要です。
食料を安定的に国民に供給するために、自国の農業を守るのが、国の責任です。
「日本の農業所得は補助金漬け」などと批判されることがありますが、日本は3割程度です。
スイスは100%、フランス、イギリスも90%を越えています。
・日本にだけ輸出される危険な食品
── アメリカ産牛肉は安全性も問題視されています。
鈴木:日本は、BSE(牛海綿状脳症)が問題となったため、アメリカ産の牛肉輸入を「20カ月齢以下」に制限していました。
ところが、野田政権は2011年、TPP交渉への「入場料」として、「20カ月齢以下」から「30カ月齢以下」へ緩和してしまいました。
実は、24カ月齢の牛のBSE発症例も確認されているのです。
しかも、アメリカのBSE検査率は1パーセント程度で、発症していても検査から漏れている牛が相当程度いると疑われます。
また、アメリカの食肉加工場における危険部位の除去が不十分なため、危険部位が付着した輸入牛肉が日本で頻繁に見つかっています。
「20カ月齢以下」は、日本人の命を守るための最低ラインなのです。
しかし、安倍政権はアメリカに配慮して、2019年5月に月齢制限を完全撤廃してしまったのです。
また、アメリカ産の牛肉には、エストロゲンなどの成長ホルモンが使用されています。
札幌の医師が調べたところ、アメリカ産牛肉からエストロゲンが通常の600倍も検出されたのです。
ウナギ養殖のエサにごく微量たらすだけで、オスのウナギがメス化するほどの成長ホルモンなのです。
エストロゲンは乳がんや前立腺がんとの関係が疑われており、日本では牛肉生産への使用は認可されていません。
しかし、アメリカからは、エストロゲンを使用した牛肉が輸入されている疑いがあります。
検査機関は「検出されていない」と言っていますが、40年前の精度の悪い検査機械をわざわざ使用し、検出されないようにしているようです。
EUは、1989年から成長ホルモンを使用したアメリカの牛肉を輸入禁止にしています。
禁輸してから7年で、乳がんの死亡率が顕著に低下したという学会誌データも出てきています。
さらに、アメリカでは、牛や豚の餌に混ぜる成長促進剤ラクトパミンが使用されています。
ラクトパミンは、発がん性だけでなく、人間に直接中毒症状を起こす危険性があり、EUだけではなく、中国やロシアでも国内使用と輸入を禁じています。
日本でも国内使用は認可されていませんが、これまた輸入は素通りになっているのです。
アメリカの乳製品も危険です。
ホルスタインには、モンサントが開発した遺伝子組み換え成長ホルモンが使用されているからです。
この成長ホルモンを注射すると、乳量が2~3割も増えるとされています。
アメリカでは、1994年に認可されましたが、1998年に勇気ある研究者が「数年後には乳がん発症率が7倍、前立腺がん発症率が4倍になる危険性がある」と学会誌に発表したのです。
その結果、アメリカの消費者が不買運動を展開、今ではアメリカのスターバックスやウォルマートが「当社の乳製品には成長ホルモンを使用していません」と宣言せざるを得ない状況になっているのです。
ところが日本では、これほど問題になった成長ホルモンを使用した乳製品の輸入が野放しになっています。
── 安倍政権には、日本の食の安全を守る気がありません。我々は、どのようにして食の安全を守っていけばいいのですか。
鈴木:2019年10月には、ゲノム編集食品の販売が解禁されました。
しかも、表示義務もありません。
2023年には遺伝子組み換えでないという食品表示も実質的にできなくなります。
安倍政権は、世界に逆行するように、発がん性が指摘される除草剤成分「グリホサート」の残留基準値も大幅に緩和しました。
そして、貿易自由化が加速することによって、危険な輸入食品がさらに氾濫し、国産品を駆逐しようとしています。
しかも、表示がなくなれば、安全な食品を選択することも不可能です。
まさに今、日本の食の安全は瀬戸際に来ているのです。
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安倍政権が切り捨てる日本の食と農。日本だけが輸入する危険な食品<鈴木宣弘氏>
ハーバー・ビジネス・オンライン(扶桑社) 2019.12.22
https://hbol.jp/pc/209175/
■大豆、サーモン…米国から輸入する食品の安全性を専門家が問う
女性自身(光文社)2018/10/05
https://jisin.jp/domestic/1669756/
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日本時間9月27日未明、ニューヨーク市内のホテルにて、1時間15分におよぶ日米首脳会談が行われた。
安倍晋三首相とトランプ大統領との間で、日米の貿易交渉や北朝鮮問題などについて話し合いがなされた。
「今回の最大の焦点となったのは自動車の関税引き上げでしたが、“当面回避”での合意となりました。今後交渉が始まる農作物の貿易交渉に関しては、安倍首相も米国の要求に対して“妥協”を迫られることが予想されます」
こう話すのは、第一生命経済研究所経済調査部の首席エコノミスト・永濱利廣さん。
「自動車の輸入関税が引き上げられれば、日本からアメリカに輸出される車の販売にとっては大打撃となります。仮に日本国内での製造台数が10%落ち込むと、GDPでは4兆円の損失、4万人もの雇用に影響が出ると試算されるのです」(永濱さん)
日本の景気にも直結する自動車関税については、「現状維持」を守ることができた形だが、まだ「農作物」の関税問題が控えている。生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんは、米国産の「大豆」について不安視する。
「現在、米中貿易摩擦によって、中国は米国産大豆に高い関税を課しています。おそらく今後米国内では、大豆がだぶついてくるでしょう。今後の交渉によっては、その大豆の“在庫処分”をしようと、日本に売りつけてくるのではないでしょうか。遺伝子組み換えによって作られた大豆が、日本の食卓にあふれる可能性も見逃せません」
食料の増産、農業の省力化といった、人間にとって有益な作物を育てるために開発された技術が「遺伝子組み換え」。
米国では、穀物だけでなく、動物においても遺伝子組み換え操作を行っている。
ハーバード大学の元調査員で、内科医の大西睦子さんは次のように語る。
「全長1~2メートルほどもある、キングサーモンが持つ成長ホルモン遺伝子が組み込まれているアトランティックサーモンは、従来のサーモンよりも、半分の時間で成長するといわれています。このサーモンを『ミュータント(=突然変異した)サーモン』と呼ぶ人もいます。つまり、食用動物の遺伝子を操作することに対する疑問は、米国内でも消えていないのです」
’15年、日本の厚生労働省にあたる米国食品医薬品局(FDA)は、このサーモンを“初の動物遺伝子組み換え食品”として認可しているという。
「遺伝子組み換え食品=危険とは言い切れませんが、疫学的調査が十分でなく、私はまだ安全性が担保されていないと考えています。しかも、米国には『遺伝子組み換え』の表示義務がありません。今後、農作物が大量に日本に輸出されるようになったとしても、誰も知らないまま、食べてしまうことになる恐れがあります」(大西さん)
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大豆、サーモン…米国から輸入する食品の安全性を専門家が問う
女性自身(光文社)2018/10/05
https://jisin.jp/domestic/1669756/
■安倍政権、ゲノム編集食品の非表示を容認へ…安全性不明なまま、消費者団体の反対を無視
Business Journal 2019.10.21
https://biz-journal.jp/2019/10/post_123111.html
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9月19日、消費者庁は「ゲノム編集」技術で開発した食品について、食品表示を義務化しないことを決定し、通達を行いました。
ゲノム編集食品を取り扱う各社のホームページなどで任意の情報を開示することは求めるものの、あくまでも消費者庁からの要望であり、情報提供を行わない場合でも、罰則などはありません。
ゲノム編集食品に対する消費者庁としての見解は、「安全面では従来の品種改良と同程度のリスクであり、科学的にも見分けられない」というもので、諸外国の見解とは大きく食い違うところもあります。
ここで起こる疑問のひとつは、ゲノム編集食品が従来の品種改良と同程度のリスクなのか、遺伝子を切り取って箇所を移動しても大したリスクではないと誰がどうやって判断したのか、そのことにリスクがないということを判断するためには、ゲノム編集食品を何年か食べ続けてその経緯を見なければわからないはずではないのか、というものです。
もうひとつ、今の科学で見分けられないからリスクが低い、というのは正しい判断なのだろうか、今の科学はそこまで発達したと思っているのだろうか、そうだとしたらそれは科学者の思い上がりではないのか、我々の科学は未熟なものではないのか、という疑問もあります。
ゲノム編集食品について、消費者団体などは食品表示を強く求めていますが、その声を無視するかのように、早ければ年内にもゲノム編集食品は市場に流通する見込みです。
ゲノム編集というのは、遺伝子の狙った部分を操作し、効率よく品種改良した食品のことです。
たとえばトマトに含まれている特定の栄養素の量を増やしたり、収穫量の多いイネをつくったり、真鯛などをゲノム編集して肉付きの良い魚を育てたりというような開発が、実際に進んでいます。
筆者は、どうにも気味が悪いと思ってしまいます。
なぜなら、ゲノム編集食品の安全は確認されているとは言いがたいからです。
しかし、このことに無関心な消費者は、何も考えることもなくゲノム編集食品を手にすることでしょう。
まさか国が、国民の健康を害するようなものを販売することを許可することなどないはずだ、と盲目的に思い込んでいるかもしれません。
実際には、そのようなことはなく、国は国民の健康には無関心です。
(中略)
2018年に実施したゲノム編集食品に関する、消費者の意識調査(東京大学・内山正登研究員等)によれば、4~5割の消費者は「ゲノム編集食品を食べたくない」と回答しています。
正直な気持ちでしょう。
ほとんどの人は、安全かどうかもさることながら、わけのわからないものを食べたいとは思わないものです。
消費者庁は、消費者の側に立って物事を考えたり、施策を行ったりする集団ではないのだから、その呼び名を変えたほうが良いと筆者は思いますが、その消費者庁がゲノム編集食品の表示をしなくてよいと判断したことのひとつの要因として、ゲノム編集食品を規制していないアメリカからの輸入食品を原材料として事業者などが加工食品を製造した場合に、表示義務を課したとしても対応できないだろうから、と説明しています。
しかし、もしゲノム編集食品を認めないという立場であるなら、我が国はゲノム編集食品かどうか不明確な食品を輸入はできないと言えばいいだけです。
ゲノム編集食品ではない食品は山ほどあります。
それで、量的には十分なはずです。
消費者庁が言っていることは、論として破綻しています。
さて、読者の皆さま、ゲノム編集食品に対する筆者の意見にご賛同をいただけましたでしょうか。
ご賛同くださった方は、個人のレベルで、ゲノム編集を疑われる食品は購入しないという行動をとり、あらゆる機会にゲノム編集食品は食べたくないし、不必要であるという意思表明をし続けていただきたいと願う次第です。
今を生きる私たち自身のためにも、そして未来の子供たちのためにも。
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安倍政権、ゲノム編集食品の非表示を容認へ…安全性不明なまま、消費者団体の反対を無視
Business Journal 2019.10.21
https://biz-journal.jp/2019/10/post_123111.html
■安倍政権、日本の農業を根絶せしめる愚行…ひっそり種子法廃止で
Business Journal 2018.03.15
https://biz-journal.jp/2018/03/post_22622.html
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4月に「主要農作物種子法」、通称・種子法が廃止されるためです。
昨年2月、国会が「森友学園問題」「加計学園問題」で大揺れしているさなか、閣議決定された種子法の廃止は、4月には国会で可決成立し、一年後の今年4月には有無を言わせず施行されることになったのです。
種子法の廃止が国民生活にどのような影響をもたらすのかということに関しての議論もなければ、きちんとした準備期間もとられてはいません。なぜ、国はこれほどに種子法の廃止を急ぐのでしょうか。
もうひとつ意味不明なのは、もしかしたら「もりかけ問題」よりも国民の生活に密着している重大な問題であるにもかかわらず、マスメディアがこの件に関してほとんど報道をしていないということです。
事の重大さはわかってはいるけれど何か理由があって報道できないのか、あるいは事の重大さがわからないのか--。
いずれにしても、ジャーナリズムとしての責任を果たせていないことに変わりはありません。
そのため、国民のほとんどは何が起きているのか知らされもせず、したがってこの先どうなるのかもわかっていません。
私たち自身が選出した国会議員たちが決定したことなので、それに関して今さら文句を言っても始まりませんから、あとは自分たちがどのような行動をとるべきかを考え、実践していくしかありません。
・拙速だった種子法廃止
種子法が制定されたのは1952年5月でした。
くしくも、筆者生まれた年です。
その前年にサンフランシスコ講和条約が締結され、52年4月28日に発効したことによって日本は主権を回復します。
しかし、同時に発効した旧日米安全保障条約(60年に新日米安全保障条約発効)により、アメリカ軍は引き続き日本に駐留することになります。
この頃の日本はまだ、戦後の混乱期から完全に脱することができていませんでした。
つい数年前までの食糧難の時代の影は、世の中に色濃く残っていたのです。
それを踏まえた上で国は、国民を飢えさせることなく十分な食料を確保し供給するのは国家としての責任だという使命感から、種子法を制定するに至ったのです。
同法では、「米・麦・大豆などの主要な農産物に関しての優良な種子の安定的な生産と普及は、国がその役割を果たすべきである」と定めています。
地域性に伴った優良な種子が農家に行きわたること、またそれを実現するための農業試験場の運営にかかる費用など、必要な予算は国が責任を持って調達することになっていたのです。
それによって、日本の農業が守られてきたという側面は否定できません。
種子法が未来永劫このままでいいとは筆者も思いませんが、廃止してはいけません。
それは遅かれ早かれ、モンサント、バイエル、ダウ・デュポン、シンジェンタなどのいわゆる多国籍企業に日本の食料を支配されることにつながり、これらの企業の世界食料支配戦略に加担することになるからです。
もとより、日本は食料自給率が異常なまでに低いことで知られていますが、それでも最後の砦として、米をはじめとする主要農産物を守ってきたのです。
それが4月以降、主食である米の種子までも売り渡してしまうことになるのです。
これについては、もっと議論が必要だと思いますし、またそうでなければいけないはずですが、当の自由民主党内の農林部会でもまったく議論されていません。
なぜにそのような手順を省略してまで廃止したのかと嘆きたくもなりますが、とにかくこの種子法は廃止されてしまうのです。
筆者は、そのことを憂えると同時に、将来に禍根を残すと危惧しています。
・外国産や遺伝子組み換えの米が蔓延する危険
日本では、もうすでに米よりも小麦の消費量が上回っていることは事実ですが、それでも米が日本人の主食であることに変わりはないと思います。
つまり、小麦は食事として供されているだけではなく、その他の用途でも使われることが多いため、単純に消費量として計算すると米を上回っているというだけでしょう。
米は、ただ単に食材、食料というにとどまらず、日本の食文化を超えて文化そのものをつくり上げてきた重要なものだったはずです。
米をつくるための水田は、同時に灌漑装置でもありました。
米でつくる餅や発酵食品は、重要な保存食であるとともに地域に根差す季節ごとの行事や、祭りなどの祝い事に欠かせないものでもありました。
種子法の廃止は、私たちが守るべき文化そのものを否定し、根絶せしめるものだと筆者は考えます。
今年、お子さんや、お孫さんが入学式を迎える、または幼稚園や保育園に通い始めるという方もいらっしゃるでしょう。
お祝いにお赤飯を炊くおうちもあるのではないでしょうか。
その赤飯に使うもち米やあずきが、遺伝子組み換えの種子だったとしたらどうでしょうか。
日本古来の種子からつくられた作物ではなく、食料の支配をもくろむ一派がつくった種子からつくられたものだったとしたら、どう感じるでしょうか。
種子法の廃止は、そのようなことにつながっていく危険性が大きいのです。
多くの方々がこれを真剣にとらえないのは、マスメディアが取り扱わないことも大きいでしょうが、それは種子法を廃止することで利益を得る企業の支配力がそこまで及んでいるということの証左でもあるのです。
私たちにできることは、自分や家族が食べるものを真剣に見直し、きちんと選択することです。
種子法を廃止する根拠はあまりにも薄弱です。
それでも強行する裏側には何かがあると考えるべきではないでしょうか。
食料を支配された国は、まちがいなく主権を奪われます。
66年前に主権を回復した日本は今また、それを自ら放棄しようとしています。
私たち国民の多くは、それを本当に望んでいるのでしょうか。
それとも、この国が主権を放棄する方向に動いていることを、ただ知らないだけなのでしょうか。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)
・南清貴(みなみ・きよたか)
フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事。
1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。
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安倍政権、日本の農業を根絶せしめる愚行…ひっそり種子法廃止で
Business Journal 2018.03.15
https://biz-journal.jp/2018/03/post_22622.html
■日本農業を売り渡す安倍政権
2016年12月31日【植草一秀(政治経済学者)】
https://www.jacom.or.jp/column/2016/12/161231-31729.php
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・TPPの漂流
米国大統領選でトランプ氏が当選したことで、TPPが漂流する可能性が高まっている。
トランプ氏は大統領就任初日にTPPから離脱宣言することを公約に掲げた。
トランプ氏当選に慌てふためいた安倍首相は11月17日、50万円のゴルフクラブを手土産に抱えてニュヨークのトランプ私邸詣でを挙行。
大統領選でのクリントン支持を詫びる土下座外交を行なったと見られる。
安倍首相はその足でペルーで開催されたAPEC首脳会議に出席。
会議後の記者会見で「米国抜きのTPPは意味がない」と発言した。
トランプ氏はこの発言に合わせたかのように、大統領就任初日のTPP離脱方針を改めてビデオメッセージで全世界に発信した。
安倍首相の面目を潰すための行動であったと見られる。
TPPは規約により、米日を含む6ヵ国以上の国内手続きが完了しなければ発効しない。
米国の承認なしに発効しないのである。
したがって、トランプ次期政権がTPPからの離脱を決定すればTPPが発効することはなくなる。
TPPは事実上死んだと言える。
しかし、まだ成仏はしていない。
TPPは浮遊霊として空間をさまようことになる。
最終合意署名から2年が経過する2018年2月の期限までに、米国が方針を変えて承認手続きを完了すればTPPは復活する。
また、米国抜きでTPPを発効できるように規約を変更しようとする思惑も存在する。
TPP浮遊霊が日本に憑りつかないように、引き続き厳重な監視を続け、浮遊霊を除霊する必要がある。
・日本中枢に巣食う売国勢力
TPPを阻止するために市民と各種団体・組合が自発的に行動を続けてきた「TPPを批准させない!全国共同行動」は日本がTPP批准案および関連法案を強行採決、可決した事態を受けて、この運動を引き続き「TPPを発効させない!全国共同行動」として継続する方針を固めた。
各種団体・組合にも共同行動継続を呼びかける。
日本の主権者にとっては「百害あって一利のない」TPPを完全に成仏させるまで草の根の運動を継続してゆかねばならない。
「今だけ、金だけ、自分だけ」の「三だけ主義」に基く政治決定が、将来の日本国民に重大な災厄をもたらすことを、何としても阻止しなければならないからだ。
TPP阻止を実現するためには、問題の本質を日本の主権者国民が正確に把握する必要がある。
敵を知らずして戦に勝つことはできない。
TPPを単なる「外圧」と捉えることは誤りである。
TPPが強欲巨大資本=多国籍企業=ハゲタカの利益極大化のための最終兵器であることは紛れもない事実であるが、この「ハゲタカファースト」のTPPを推進する勢力が、国内に潜んでいることを知っておかねばならない。
つまり、日本の内側に、日本人でありながら日本の主権者国民の利益ではなく、ハゲタカの利益を追求する手先=売国勢力が多数潜んでいることが問題なのである。
この勢力こそ「今だけ、金だけ、自分だけ」の「三だけ主義」に身も心も浸かり切った売国者なのだ。
そして、その売国勢力が日本の国家中枢に巣食っていることが最大の問題なのである。
・成長戦略と規制改革推進会議
TPPと並行して進展しているのが安倍政権の「成長戦略」であり、「規制改革推進会議」である。
「規制改革推進会議」のメンバーを見れば一目瞭然である。
日本の経済政策が「国民ファースト」から「ハゲタカファースト」に転じたのは2001年である。
小泉純一郎政権が誕生して、いわゆる「改革」路線が提示された。
「改革」という言葉がプラスのイメージを持つために、ほとんどの国民が騙されたが、「改革」とは、ハゲタカの利益に沿うように日本の諸制度、諸規制を改変することである。
小泉新政権は労働規制を急激に改変したが、その結果としてリーマンショックに伴う大量の雇い止めが発生。
2008年末の日比谷公園での「年越し派遣村」の惨状がもたらされた。
この現実が国民を覚醒させて2009年の鳩山政権誕生の原動力になったが、「ハゲタカファースト」を「国民ファースト」に大転換されることを恐れた利権複合体が、この新政権を破壊するために非合法の手段を含む総攻撃を展開。
鳩山政権はわずか8ヵ月半で破壊され、その後はハゲタカ傀儡の菅直人政権、野田佳彦政権を橋渡しに、2012年の第2次安倍政権樹立が誘導された。
そして、この安倍政権が2001年に始動した「ハゲタカファースト」の経済政策を再度全面展開している。
現在の「改革」推進の特徴は、内と外の両面から、これが全面推進されていることだ。
外を担ってきたのがTPPであり、内を担っているのが成長戦略と規制改革推進会議なのである。
・ハゲタカが支配する農業への転換
TPP、成長戦略、規制改革推進会議に共通する重点分野が「医療」「農業」「労働」の三分野である。
すべてを貫く基本方針は、ハゲタカの利益極大化である。
ハゲタカ=強欲巨大資本=多国籍企業が日本からの収奪を極大化しようとしている。
具体的には、
1)日本医療を公的保険医療と公的保険外医療の二本立てにすること、
2)日本農業を「農家の農業」から「ハゲタカの農業」に改変すること、
3)日本の労働コストを極小化すること、
が目指されている。
この大目標を実現するために、もっともらしい理屈を書き並べる。
そして、意思決定に関与するメンバーをハゲタカ代理人=売国者だけで占有する。
この大きな図式が描かれて、これが強引に推進されているのだ。
農業において最大の障害が農業協同組合である。
農協こそ「農家の農業」を守る砦である。
この農協を解体して日本農業の主体を大資本=ハゲタカに転換する。
農協から信用事業、共済事業を外して農協を存立不能な状況に追い込み、最終的には農協の各拠点がハゲタカ大資本の営業代理店に衣替えさせられる。
農家は廃業するか、ハゲタカ巨大資本の劣悪低賃金労働者になるかの二者択一を迫られることになる。
農協幹部は政権与党の側にいることだけに価値を見出そうとしているが、農業がハゲタカ資本に支配された暁には、無用の存在として切り捨てられるだけに終わる。
規制改革推進会議メンバーがハゲタカのために強引な議論を展開するのは、それなりの報酬を獲得できるからだけに過ぎない。
自分の目先の利益のために、国民の大きな利益を売り渡す。
これこそ「売国の作法」そのものなのだ。
この基本構造を正確に認識することが日本を救う原点になる。
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日本農業を売り渡す安倍政権
2016年12月31日【植草一秀(政治経済学者)】
https://www.jacom.or.jp/column/2016/12/161231-31729.php
■米国産輸入小麦の90%以上から発がん性物質グリホサートが検出
「5段階評価で2番目に高い評価をしている発がん物質」
「米国産小麦の90%以上からグリホサートが検出」
ライブドアニュース 2019年11月8日
https://news.livedoor.com/article/detail/17351606/
■欧米ではどんどん減っているのに なぜ、日本人ばかりが「がん」で死ぬのか
週刊現代(講談社)2014.10.14
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/40436
■先進国で唯一「がん死」が増加する日本の悲劇
「日本は先進国で唯一、がん死が増えている国。アメリカに比べると1.6倍もの割合で人々ががんで亡くなっています」
東洋経済 2018/06/19
https://toyokeizai.net/articles/-/225693
■【安倍政権以降、自民党政権は反日・売国政権であったことはご存知でしたでしょうか?】
・安倍晋三首相が愛してやまない祖父、岸信介がA級戦犯を逃れるため米国と交わした裏取引きが!
「岸がアメリカから言われた最大のミッション」「アメリカの資金でつくられた首相」
exciteニュース 2015年8月17日 野尻民夫
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_1400/
■「アメリカによる支配」はなぜつづくのか?
原因は、安倍元首相祖父の岸信介がアメリカと結んだ3つの密約にあった!
PR TIMES 2018年12月26日 株式会社旭屋書店 矢部宏治
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000105.000013301.html
■安倍元首相祖父・岸信介はこうして「極刑」を免れた~明かされるGHQ尋問の真相
「岸信介は同じA級戦犯容疑者ながら、翌年3月初旬まで一度も尋問を受けていない。GHQにとって、岸より木戸のほうがはるかに重要な人物だった」
週刊現代(講談社)2016.09.25
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/49732