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【日本農業を売り渡す安倍政権!】安倍政権、日本の農業を根絶せしめる愚行…ひっそり種子法廃止で~安倍政権が切り捨てる日本の食と農。日本だけが輸入する危険な食品~

2022-12-29 04:56:07 | 日記


■安倍政権が切り捨てる日本の食と農。日本だけが輸入する危険な食品<鈴木宣弘氏>

ハーバー・ビジネス・オンライン(扶桑社) 2019.12.22

https://hbol.jp/pc/209175/


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・日本の食と農が崩壊する!


安倍政権はアメリカが要求する農協改革の名のもとに、農業への企業参入、農業の大規模化・効率化を推進してきた。


規制改革推進派の小泉進次郎氏が自民党農林部会長に就き、「農業が産業化し、農協が要らなくなることが理想だ」と公言する奥原正明氏が農水省事務次官に就いた。

諮問会議で農業改革の議論をリードしたのは、農業の専門家ではなく、金丸恭文氏、新浪剛史氏といったグローバリストである。


結果、農業分野への参入に成功したのは、新浪氏が社長を務めていたローソンファームや竹中平蔵氏が社外取締役を務めるオリックスである。

安倍政権が掲げてきた「稼げる農業」というスローガンは、その実態は、グローバル企業やお仲間企業だけが稼げる農業なのである。


こうした中で、農産物の自由化によって日本の農業は弱体化に拍車がかかっている。

『月刊日本 2020年1月号』では、第3特集として「日本の食と農が崩壊する」と銘打ち、日本の食糧自給を巡る危機的な状況に警鐘を鳴らしている。


今回は同特集の中から、東京大学大学院農学生命科学研究科教授である鈴木宣弘氏の論考を転載・紹介したい。

 

・農業を犠牲にする経産省政権

 

── 日米貿易協定が2020年1月に発効します。

 

鈴木宣弘氏(以下、鈴木): この協定について、安倍総理は「ウィン・ウィンだ」などと言っていますが、日本の完敗であることははっきりしています。

自動車に追加関税をかけるというトランプ大統領の脅しに屈して、日本は農業分野を犠牲にしたのです。


日本側の農産品の関税撤廃率は72%ですが、アメリカ側の関税撤廃率はわずか1%に過ぎません。

日本農業は、さらに大きな打撃を受け、食料安全保障の確立や自給率向上の実現を阻むことになります。


安倍政権は、「アメリカは自動車関税の撤廃を約束した」と述べていますが、署名後に開示されたアメリカ側の約束文書には「さらなる交渉次第」と書かれています。

自動車を含まなければ、アメリカ側の関税撤廃率は51%に過ぎません。


これは、少なくとも90%前後の関税撤廃率を求めた世界貿易機関(WTO)ルールに違反することになります。

安倍政権では、経産省の力がかつてないほど強まっており、自分たちの天下り先である自動車、鉄鋼、電力などの業界の利益拡大が最優先されています。


かつて、貿易交渉においては、財務、外務、経産、農林の4省の代表が並んで交渉し、農業分野の交渉では農水省が実権を持っていましたが、今や農水省は発言権が奪われています。

内閣人事局制度によって官邸に人事権を握られた結果、農水官僚たちも抵抗できなくなっているのです。


「農水省が要らなくなることが理想だ」と公言する人物が農水省の次官になるような時代なのです。

 

・危機に陥る食料自給

 

── 協定が発効すると、アメリカ産の牛肉や豚肉の関税が一気に下がります。


鈴木:牛肉の関税は、現在の38・5%から26・6%に一気に引き下げられ、2033年度には9%となります。

豚肉も、高級品については関税を段階的に下げ、最終的にゼロとなります。低価格部位については、現状の10分の1まで下がります。


日本は、TPP11で、牛肉を低関税で輸入する限度(セーフガード)数量について、アメリカ分も含めたままの61万トンを設定しました。

ところが今回、アメリカ向けに新たに24万トンを設定したのです。日本にとっては、アメリカ分の限度が「二重」になっているということです。


しかも、付属文書には「セーフガードが発動されたら発動水準を一層高いものに調整するため、協議を開始する」と書かれているのです。

実際にセーフガードを発動することは次第に難しくなるということです。


政府は、牛肉や豚肉の価格が下がった分は補填するので、農家の収入は変わらず、生産量も変わらないと強弁しています。

しかし、生産量が低下し、自給率がさらに下がるのは確実です。


すでに牛肉の自給率は36%、豚肉の自給率は48%まで低下していますが、2035年には、牛肉、豚肉とも10%台にまで落ち込む危険性があります。

農水省は平成25年度の39%だった食料自給率を、令和7年度に45%に上げるなどと言っていますが、それを実現する気などありません。


食料自給で最も深刻なのは酪農です。

所得の低迷によって国内の酪農家の廃業が相次いでいます。


乳価を安定させ、個々の酪農家の利益を守るために機能してきた指定団体が改定畜安法によって廃止されたからです。

これに乳製品の関税引き下げが加わり、酪農家は危機感を高めています。


2018年には、北海道のブラックアウトの影響で東京でも牛乳が消えました。

これは決して一過性の問題ではありません。


さらに酪農が弱体化していけば、店頭から牛乳が消えるという事態が実際に起きます。

牛乳を飲みたがっている子供に、お母さんが「ごめんね。今日は牛乳が売っていないの」と言わなければならなくなるのです。


欧米諸国ならば、暴動が起きるような事態です。

ところが、政府は「不測の事態には、バターと脱脂粉乳を追加輸入して水と混ぜて、還元乳を飲めばよい」などと言っています。


安全で新鮮な国産牛乳を確保するために、国産牛乳の増産を図るのが国民の命を守る国の使命のはずです。

ところが、政府はその責任を放棄しているのです。


食料自給は、国家安全保障の要です。

食料を安定的に国民に供給するために、自国の農業を守るのが、国の責任です。


「日本の農業所得は補助金漬け」などと批判されることがありますが、日本は3割程度です。

スイスは100%、フランス、イギリスも90%を越えています。

 

・日本にだけ輸出される危険な食品

 

── アメリカ産牛肉は安全性も問題視されています。

 

鈴木:日本は、BSE(牛海綿状脳症)が問題となったため、アメリカ産の牛肉輸入を「20カ月齢以下」に制限していました。

ところが、野田政権は2011年、TPP交渉への「入場料」として、「20カ月齢以下」から「30カ月齢以下」へ緩和してしまいました。


実は、24カ月齢の牛のBSE発症例も確認されているのです。

しかも、アメリカのBSE検査率は1パーセント程度で、発症していても検査から漏れている牛が相当程度いると疑われます。


また、アメリカの食肉加工場における危険部位の除去が不十分なため、危険部位が付着した輸入牛肉が日本で頻繁に見つかっています。

「20カ月齢以下」は、日本人の命を守るための最低ラインなのです。


しかし、安倍政権はアメリカに配慮して、2019年5月に月齢制限を完全撤廃してしまったのです。

また、アメリカ産の牛肉には、エストロゲンなどの成長ホルモンが使用されています。


札幌の医師が調べたところ、アメリカ産牛肉からエストロゲンが通常の600倍も検出されたのです。

ウナギ養殖のエサにごく微量たらすだけで、オスのウナギがメス化するほどの成長ホルモンなのです。


エストロゲンは乳がんや前立腺がんとの関係が疑われており、日本では牛肉生産への使用は認可されていません。

しかし、アメリカからは、エストロゲンを使用した牛肉が輸入されている疑いがあります。


検査機関は「検出されていない」と言っていますが、40年前の精度の悪い検査機械をわざわざ使用し、検出されないようにしているようです。

EUは、1989年から成長ホルモンを使用したアメリカの牛肉を輸入禁止にしています。


禁輸してから7年で、乳がんの死亡率が顕著に低下したという学会誌データも出てきています。

さらに、アメリカでは、牛や豚の餌に混ぜる成長促進剤ラクトパミンが使用されています。


ラクトパミンは、発がん性だけでなく、人間に直接中毒症状を起こす危険性があり、EUだけではなく、中国やロシアでも国内使用と輸入を禁じています。

日本でも国内使用は認可されていませんが、これまた輸入は素通りになっているのです。


アメリカの乳製品も危険です。

ホルスタインには、モンサントが開発した遺伝子組み換え成長ホルモンが使用されているからです。


この成長ホルモンを注射すると、乳量が2~3割も増えるとされています。

アメリカでは、1994年に認可されましたが、1998年に勇気ある研究者が「数年後には乳がん発症率が7倍、前立腺がん発症率が4倍になる危険性がある」と学会誌に発表したのです。


その結果、アメリカの消費者が不買運動を展開、今ではアメリカのスターバックスやウォルマートが「当社の乳製品には成長ホルモンを使用していません」と宣言せざるを得ない状況になっているのです。

ところが日本では、これほど問題になった成長ホルモンを使用した乳製品の輸入が野放しになっています。

 

── 安倍政権には、日本の食の安全を守る気がありません。我々は、どのようにして食の安全を守っていけばいいのですか。

 

鈴木:2019年10月には、ゲノム編集食品の販売が解禁されました。

しかも、表示義務もありません。


2023年には遺伝子組み換えでないという食品表示も実質的にできなくなります。

安倍政権は、世界に逆行するように、発がん性が指摘される除草剤成分「グリホサート」の残留基準値も大幅に緩和しました。


そして、貿易自由化が加速することによって、危険な輸入食品がさらに氾濫し、国産品を駆逐しようとしています。

しかも、表示がなくなれば、安全な食品を選択することも不可能です。


まさに今、日本の食の安全は瀬戸際に来ているのです。

 

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安倍政権が切り捨てる日本の食と農。日本だけが輸入する危険な食品<鈴木宣弘氏>
ハーバー・ビジネス・オンライン(扶桑社) 2019.12.22
https://hbol.jp/pc/209175/

 

 

 

 


■大豆、サーモン…米国から輸入する食品の安全性を専門家が問う

女性自身(光文社)2018/10/05

https://jisin.jp/domestic/1669756/


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日本時間9月27日未明、ニューヨーク市内のホテルにて、1時間15分におよぶ日米首脳会談が行われた。

安倍晋三首相とトランプ大統領との間で、日米の貿易交渉や北朝鮮問題などについて話し合いがなされた。


「今回の最大の焦点となったのは自動車の関税引き上げでしたが、“当面回避”での合意となりました。今後交渉が始まる農作物の貿易交渉に関しては、安倍首相も米国の要求に対して“妥協”を迫られることが予想されます」


こう話すのは、第一生命経済研究所経済調査部の首席エコノミスト・永濱利廣さん。


「自動車の輸入関税が引き上げられれば、日本からアメリカに輸出される車の販売にとっては大打撃となります。仮に日本国内での製造台数が10%落ち込むと、GDPでは4兆円の損失、4万人もの雇用に影響が出ると試算されるのです」(永濱さん)


日本の景気にも直結する自動車関税については、「現状維持」を守ることができた形だが、まだ「農作物」の関税問題が控えている。生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんは、米国産の「大豆」について不安視する。


「現在、米中貿易摩擦によって、中国は米国産大豆に高い関税を課しています。おそらく今後米国内では、大豆がだぶついてくるでしょう。今後の交渉によっては、その大豆の“在庫処分”をしようと、日本に売りつけてくるのではないでしょうか。遺伝子組み換えによって作られた大豆が、日本の食卓にあふれる可能性も見逃せません」


食料の増産、農業の省力化といった、人間にとって有益な作物を育てるために開発された技術が「遺伝子組み換え」。

米国では、穀物だけでなく、動物においても遺伝子組み換え操作を行っている。


ハーバード大学の元調査員で、内科医の大西睦子さんは次のように語る。


「全長1~2メートルほどもある、キングサーモンが持つ成長ホルモン遺伝子が組み込まれているアトランティックサーモンは、従来のサーモンよりも、半分の時間で成長するといわれています。このサーモンを『ミュータント(=突然変異した)サーモン』と呼ぶ人もいます。つまり、食用動物の遺伝子を操作することに対する疑問は、米国内でも消えていないのです」


’15年、日本の厚生労働省にあたる米国食品医薬品局(FDA)は、このサーモンを“初の動物遺伝子組み換え食品”として認可しているという。


「遺伝子組み換え食品=危険とは言い切れませんが、疫学的調査が十分でなく、私はまだ安全性が担保されていないと考えています。しかも、米国には『遺伝子組み換え』の表示義務がありません。今後、農作物が大量に日本に輸出されるようになったとしても、誰も知らないまま、食べてしまうことになる恐れがあります」(大西さん)

 

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大豆、サーモン…米国から輸入する食品の安全性を専門家が問う
女性自身(光文社)2018/10/05
https://jisin.jp/domestic/1669756/

 

 

 

■安倍政権、ゲノム編集食品の非表示を容認へ…安全性不明なまま、消費者団体の反対を無視

Business Journal 2019.10.21

https://biz-journal.jp/2019/10/post_123111.html


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9月19日、消費者庁は「ゲノム編集」技術で開発した食品について、食品表示を義務化しないことを決定し、通達を行いました。

ゲノム編集食品を取り扱う各社のホームページなどで任意の情報を開示することは求めるものの、あくまでも消費者庁からの要望であり、情報提供を行わない場合でも、罰則などはありません。

ゲノム編集食品に対する消費者庁としての見解は、「安全面では従来の品種改良と同程度のリスクであり、科学的にも見分けられない」というもので、諸外国の見解とは大きく食い違うところもあります。

 
ここで起こる疑問のひとつは、ゲノム編集食品が従来の品種改良と同程度のリスクなのか、遺伝子を切り取って箇所を移動しても大したリスクではないと誰がどうやって判断したのか、そのことにリスクがないということを判断するためには、ゲノム編集食品を何年か食べ続けてその経緯を見なければわからないはずではないのか、というものです。


もうひとつ、今の科学で見分けられないからリスクが低い、というのは正しい判断なのだろうか、今の科学はそこまで発達したと思っているのだろうか、そうだとしたらそれは科学者の思い上がりではないのか、我々の科学は未熟なものではないのか、という疑問もあります。

 
ゲノム編集食品について、消費者団体などは食品表示を強く求めていますが、その声を無視するかのように、早ければ年内にもゲノム編集食品は市場に流通する見込みです。

 
ゲノム編集というのは、遺伝子の狙った部分を操作し、効率よく品種改良した食品のことです。


たとえばトマトに含まれている特定の栄養素の量を増やしたり、収穫量の多いイネをつくったり、真鯛などをゲノム編集して肉付きの良い魚を育てたりというような開発が、実際に進んでいます。

 
筆者は、どうにも気味が悪いと思ってしまいます。

なぜなら、ゲノム編集食品の安全は確認されているとは言いがたいからです。

しかし、このことに無関心な消費者は、何も考えることもなくゲノム編集食品を手にすることでしょう。

まさか国が、国民の健康を害するようなものを販売することを許可することなどないはずだ、と盲目的に思い込んでいるかもしれません。

実際には、そのようなことはなく、国は国民の健康には無関心です。


(中略)


2018年に実施したゲノム編集食品に関する、消費者の意識調査(東京大学・内山正登研究員等)によれば、4~5割の消費者は「ゲノム編集食品を食べたくない」と回答しています。


正直な気持ちでしょう。

ほとんどの人は、安全かどうかもさることながら、わけのわからないものを食べたいとは思わないものです。

 
消費者庁は、消費者の側に立って物事を考えたり、施策を行ったりする集団ではないのだから、その呼び名を変えたほうが良いと筆者は思いますが、その消費者庁がゲノム編集食品の表示をしなくてよいと判断したことのひとつの要因として、ゲノム編集食品を規制していないアメリカからの輸入食品を原材料として事業者などが加工食品を製造した場合に、表示義務を課したとしても対応できないだろうから、と説明しています。

 
しかし、もしゲノム編集食品を認めないという立場であるなら、我が国はゲノム編集食品かどうか不明確な食品を輸入はできないと言えばいいだけです。

ゲノム編集食品ではない食品は山ほどあります。

それで、量的には十分なはずです。

消費者庁が言っていることは、論として破綻しています。


さて、読者の皆さま、ゲノム編集食品に対する筆者の意見にご賛同をいただけましたでしょうか。

ご賛同くださった方は、個人のレベルで、ゲノム編集を疑われる食品は購入しないという行動をとり、あらゆる機会にゲノム編集食品は食べたくないし、不必要であるという意思表明をし続けていただきたいと願う次第です。

今を生きる私たち自身のためにも、そして未来の子供たちのためにも。


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安倍政権、ゲノム編集食品の非表示を容認へ…安全性不明なまま、消費者団体の反対を無視
Business Journal 2019.10.21
https://biz-journal.jp/2019/10/post_123111.html

 

 

 

 


■安倍政権、日本の農業を根絶せしめる愚行…ひっそり種子法廃止で

Business Journal 2018.03.15

https://biz-journal.jp/2018/03/post_22622.html


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4月に「主要農作物種子法」、通称・種子法が廃止されるためです。

昨年2月、国会が「森友学園問題」「加計学園問題」で大揺れしているさなか、閣議決定された種子法の廃止は、4月には国会で可決成立し、一年後の今年4月には有無を言わせず施行されることになったのです。


種子法の廃止が国民生活にどのような影響をもたらすのかということに関しての議論もなければ、きちんとした準備期間もとられてはいません。なぜ、国はこれほどに種子法の廃止を急ぐのでしょうか。
 

もうひとつ意味不明なのは、もしかしたら「もりかけ問題」よりも国民の生活に密着している重大な問題であるにもかかわらず、マスメディアがこの件に関してほとんど報道をしていないということです。

事の重大さはわかってはいるけれど何か理由があって報道できないのか、あるいは事の重大さがわからないのか--。

いずれにしても、ジャーナリズムとしての責任を果たせていないことに変わりはありません。

 
そのため、国民のほとんどは何が起きているのか知らされもせず、したがってこの先どうなるのかもわかっていません。

私たち自身が選出した国会議員たちが決定したことなので、それに関して今さら文句を言っても始まりませんから、あとは自分たちがどのような行動をとるべきかを考え、実践していくしかありません。

 

・拙速だった種子法廃止
 

種子法が制定されたのは1952年5月でした。

くしくも、筆者生まれた年です。

その前年にサンフランシスコ講和条約が締結され、52年4月28日に発効したことによって日本は主権を回復します。

しかし、同時に発効した旧日米安全保障条約(60年に新日米安全保障条約発効)により、アメリカ軍は引き続き日本に駐留することになります。


この頃の日本はまだ、戦後の混乱期から完全に脱することができていませんでした。

つい数年前までの食糧難の時代の影は、世の中に色濃く残っていたのです。

それを踏まえた上で国は、国民を飢えさせることなく十分な食料を確保し供給するのは国家としての責任だという使命感から、種子法を制定するに至ったのです。


同法では、「米・麦・大豆などの主要な農産物に関しての優良な種子の安定的な生産と普及は、国がその役割を果たすべきである」と定めています。

地域性に伴った優良な種子が農家に行きわたること、またそれを実現するための農業試験場の運営にかかる費用など、必要な予算は国が責任を持って調達することになっていたのです。

それによって、日本の農業が守られてきたという側面は否定できません。


種子法が未来永劫このままでいいとは筆者も思いませんが、廃止してはいけません。

それは遅かれ早かれ、モンサント、バイエル、ダウ・デュポン、シンジェンタなどのいわゆる多国籍企業に日本の食料を支配されることにつながり、これらの企業の世界食料支配戦略に加担することになるからです。

 
もとより、日本は食料自給率が異常なまでに低いことで知られていますが、それでも最後の砦として、米をはじめとする主要農産物を守ってきたのです。

それが4月以降、主食である米の種子までも売り渡してしまうことになるのです。

これについては、もっと議論が必要だと思いますし、またそうでなければいけないはずですが、当の自由民主党内の農林部会でもまったく議論されていません。

なぜにそのような手順を省略してまで廃止したのかと嘆きたくもなりますが、とにかくこの種子法は廃止されてしまうのです。

筆者は、そのことを憂えると同時に、将来に禍根を残すと危惧しています。

 

・外国産や遺伝子組み換えの米が蔓延する危険
 

日本では、もうすでに米よりも小麦の消費量が上回っていることは事実ですが、それでも米が日本人の主食であることに変わりはないと思います。

つまり、小麦は食事として供されているだけではなく、その他の用途でも使われることが多いため、単純に消費量として計算すると米を上回っているというだけでしょう。

 
米は、ただ単に食材、食料というにとどまらず、日本の食文化を超えて文化そのものをつくり上げてきた重要なものだったはずです。

米をつくるための水田は、同時に灌漑装置でもありました。

米でつくる餅や発酵食品は、重要な保存食であるとともに地域に根差す季節ごとの行事や、祭りなどの祝い事に欠かせないものでもありました。

種子法の廃止は、私たちが守るべき文化そのものを否定し、根絶せしめるものだと筆者は考えます。

 
今年、お子さんや、お孫さんが入学式を迎える、または幼稚園や保育園に通い始めるという方もいらっしゃるでしょう。

お祝いにお赤飯を炊くおうちもあるのではないでしょうか。

その赤飯に使うもち米やあずきが、遺伝子組み換えの種子だったとしたらどうでしょうか。

日本古来の種子からつくられた作物ではなく、食料の支配をもくろむ一派がつくった種子からつくられたものだったとしたら、どう感じるでしょうか。

 
種子法の廃止は、そのようなことにつながっていく危険性が大きいのです。

多くの方々がこれを真剣にとらえないのは、マスメディアが取り扱わないことも大きいでしょうが、それは種子法を廃止することで利益を得る企業の支配力がそこまで及んでいるということの証左でもあるのです。

 
私たちにできることは、自分や家族が食べるものを真剣に見直し、きちんと選択することです。

種子法を廃止する根拠はあまりにも薄弱です。

それでも強行する裏側には何かがあると考えるべきではないでしょうか。

 
食料を支配された国は、まちがいなく主権を奪われます。

66年前に主権を回復した日本は今また、それを自ら放棄しようとしています。

私たち国民の多くは、それを本当に望んでいるのでしょうか。

それとも、この国が主権を放棄する方向に動いていることを、ただ知らないだけなのでしょうか。

(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)


・南清貴(みなみ・きよたか)

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事。
1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。


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安倍政権、日本の農業を根絶せしめる愚行…ひっそり種子法廃止で
Business Journal 2018.03.15
https://biz-journal.jp/2018/03/post_22622.html

 

 

 

 

■日本農業を売り渡す安倍政権

2016年12月31日【植草一秀(政治経済学者)】

https://www.jacom.or.jp/column/2016/12/161231-31729.php


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・TPPの漂流
 

米国大統領選でトランプ氏が当選したことで、TPPが漂流する可能性が高まっている。

トランプ氏は大統領就任初日にTPPから離脱宣言することを公約に掲げた。


トランプ氏当選に慌てふためいた安倍首相は11月17日、50万円のゴルフクラブを手土産に抱えてニュヨークのトランプ私邸詣でを挙行。

大統領選でのクリントン支持を詫びる土下座外交を行なったと見られる。


安倍首相はその足でペルーで開催されたAPEC首脳会議に出席。

会議後の記者会見で「米国抜きのTPPは意味がない」と発言した。


トランプ氏はこの発言に合わせたかのように、大統領就任初日のTPP離脱方針を改めてビデオメッセージで全世界に発信した。

安倍首相の面目を潰すための行動であったと見られる。


TPPは規約により、米日を含む6ヵ国以上の国内手続きが完了しなければ発効しない。

米国の承認なしに発効しないのである。


したがって、トランプ次期政権がTPPからの離脱を決定すればTPPが発効することはなくなる。

TPPは事実上死んだと言える。


しかし、まだ成仏はしていない。

TPPは浮遊霊として空間をさまようことになる。


最終合意署名から2年が経過する2018年2月の期限までに、米国が方針を変えて承認手続きを完了すればTPPは復活する。

また、米国抜きでTPPを発効できるように規約を変更しようとする思惑も存在する。


TPP浮遊霊が日本に憑りつかないように、引き続き厳重な監視を続け、浮遊霊を除霊する必要がある。


 
・日本中枢に巣食う売国勢力

 
TPPを阻止するために市民と各種団体・組合が自発的に行動を続けてきた「TPPを批准させない!全国共同行動」は日本がTPP批准案および関連法案を強行採決、可決した事態を受けて、この運動を引き続き「TPPを発効させない!全国共同行動」として継続する方針を固めた。


各種団体・組合にも共同行動継続を呼びかける。

日本の主権者にとっては「百害あって一利のない」TPPを完全に成仏させるまで草の根の運動を継続してゆかねばならない。


「今だけ、金だけ、自分だけ」の「三だけ主義」に基く政治決定が、将来の日本国民に重大な災厄をもたらすことを、何としても阻止しなければならないからだ。

TPP阻止を実現するためには、問題の本質を日本の主権者国民が正確に把握する必要がある。


敵を知らずして戦に勝つことはできない。

TPPを単なる「外圧」と捉えることは誤りである。


TPPが強欲巨大資本=多国籍企業=ハゲタカの利益極大化のための最終兵器であることは紛れもない事実であるが、この「ハゲタカファースト」のTPPを推進する勢力が、国内に潜んでいることを知っておかねばならない。


つまり、日本の内側に、日本人でありながら日本の主権者国民の利益ではなく、ハゲタカの利益を追求する手先=売国勢力が多数潜んでいることが問題なのである。


この勢力こそ「今だけ、金だけ、自分だけ」の「三だけ主義」に身も心も浸かり切った売国者なのだ。

そして、その売国勢力が日本の国家中枢に巣食っていることが最大の問題なのである。


 
・成長戦略と規制改革推進会議


TPPと並行して進展しているのが安倍政権の「成長戦略」であり、「規制改革推進会議」である。

「規制改革推進会議」のメンバーを見れば一目瞭然である。


日本の経済政策が「国民ファースト」から「ハゲタカファースト」に転じたのは2001年である。

小泉純一郎政権が誕生して、いわゆる「改革」路線が提示された。


「改革」という言葉がプラスのイメージを持つために、ほとんどの国民が騙されたが、「改革」とは、ハゲタカの利益に沿うように日本の諸制度、諸規制を改変することである。

小泉新政権は労働規制を急激に改変したが、その結果としてリーマンショックに伴う大量の雇い止めが発生。


2008年末の日比谷公園での「年越し派遣村」の惨状がもたらされた。


この現実が国民を覚醒させて2009年の鳩山政権誕生の原動力になったが、「ハゲタカファースト」を「国民ファースト」に大転換されることを恐れた利権複合体が、この新政権を破壊するために非合法の手段を含む総攻撃を展開。


鳩山政権はわずか8ヵ月半で破壊され、その後はハゲタカ傀儡の菅直人政権、野田佳彦政権を橋渡しに、2012年の第2次安倍政権樹立が誘導された。

そして、この安倍政権が2001年に始動した「ハゲタカファースト」の経済政策を再度全面展開している。


現在の「改革」推進の特徴は、内と外の両面から、これが全面推進されていることだ。

外を担ってきたのがTPPであり、内を担っているのが成長戦略と規制改革推進会議なのである。


 
・ハゲタカが支配する農業への転換

 
TPP、成長戦略、規制改革推進会議に共通する重点分野が「医療」「農業」「労働」の三分野である。


すべてを貫く基本方針は、ハゲタカの利益極大化である。

ハゲタカ=強欲巨大資本=多国籍企業が日本からの収奪を極大化しようとしている。


具体的には、

1)日本医療を公的保険医療と公的保険外医療の二本立てにすること、

2)日本農業を「農家の農業」から「ハゲタカの農業」に改変すること、

3)日本の労働コストを極小化すること、

が目指されている。


この大目標を実現するために、もっともらしい理屈を書き並べる。

そして、意思決定に関与するメンバーをハゲタカ代理人=売国者だけで占有する。


この大きな図式が描かれて、これが強引に推進されているのだ。

農業において最大の障害が農業協同組合である。


農協こそ「農家の農業」を守る砦である。

この農協を解体して日本農業の主体を大資本=ハゲタカに転換する。


農協から信用事業、共済事業を外して農協を存立不能な状況に追い込み、最終的には農協の各拠点がハゲタカ大資本の営業代理店に衣替えさせられる。


農家は廃業するか、ハゲタカ巨大資本の劣悪低賃金労働者になるかの二者択一を迫られることになる。


農協幹部は政権与党の側にいることだけに価値を見出そうとしているが、農業がハゲタカ資本に支配された暁には、無用の存在として切り捨てられるだけに終わる。


規制改革推進会議メンバーがハゲタカのために強引な議論を展開するのは、それなりの報酬を獲得できるからだけに過ぎない。


自分の目先の利益のために、国民の大きな利益を売り渡す。

これこそ「売国の作法」そのものなのだ。


この基本構造を正確に認識することが日本を救う原点になる。


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日本農業を売り渡す安倍政権
2016年12月31日【植草一秀(政治経済学者)】
https://www.jacom.or.jp/column/2016/12/161231-31729.php

 

 

 

 

 

■米国産輸入小麦の90%以上から発がん性物質グリホサートが検出

「5段階評価で2番目に高い評価をしている発がん物質」

「米国産小麦の90%以上からグリホサートが検出」

ライブドアニュース 2019年11月8日

 

https://news.livedoor.com/article/detail/17351606/

 

 

 

■欧米ではどんどん減っているのに なぜ、日本人ばかりが「がん」で死ぬのか

週刊現代(講談社)2014.10.14

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/40436

 

 

 

■先進国で唯一「がん死」が増加する日本の悲劇

「日本は先進国で唯一、がん死が増えている国。アメリカに比べると1.6倍もの割合で人々ががんで亡くなっています」

東洋経済 2018/06/19

https://toyokeizai.net/articles/-/225693

 

 

 


■【安倍政権以降、自民党政権は反日・売国政権であったことはご存知でしたでしょうか?】

・安倍晋三首相が愛してやまない祖父、岸信介がA級戦犯を逃れるため米国と交わした裏取引きが!

「岸がアメリカから言われた最大のミッション」「アメリカの資金でつくられた首相」

exciteニュース 2015年8月17日 野尻民夫

https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_1400/

 

 

 

■「アメリカによる支配」はなぜつづくのか?

原因は、安倍元首相祖父の岸信介がアメリカと結んだ3つの密約にあった!

PR TIMES 2018年12月26日 株式会社旭屋書店 矢部宏治

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000105.000013301.html

 

 

 

■安倍元首相祖父・岸信介はこうして「極刑」を免れた~明かされるGHQ尋問の真相

「岸信介は同じA級戦犯容疑者ながら、翌年3月初旬まで一度も尋問を受けていない。GHQにとって、岸より木戸のほうがはるかに重要な人物だった」

週刊現代(講談社)2016.09.25

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/49732


【日本の水道が危ない!】安倍政権の水道民営化で都市部の水が外資に狙われる!~外資支配に貢献する麻生太郎“身内に利益誘導”~

2022-12-29 04:55:43 | 日記


■社会を分断する「水貧困」を生み出す水道民営化。日本の水道が危ない<岸本聡子氏>

ハーバービジネスオンライン(扶桑社)2020.03.22

https://hbol.jp/pc/215383/?cx_clicks_last_artmdl=next_art


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・「社会的共通資本」を外資に売り渡す水道民営化の愚

 

公共サービスとは、国民の生命、安全と直結しており、効率だけで行われるべきものではない。

経済学者の宇沢弘文が喝破したように、それらは「社会的共通資本」であり、市場原理に委ねるべきものではない。

特に「水道」は生命と直結しており、「水は人権」という考え方が広く言われるようになっている。

そのため、世界でも水道民営化の失敗から「再公営化」に踏み切る国が増えているのが現実だ。

しかし、安倍政権はフランスなどの水メジャーに、日本人の水を売り渡しかねない水道民営化を強行採決した。

危機に瀕する「日本人の水」について、3月21日発売の日本の自立と再生を目指す闘う言論誌『月刊日本 4月号』では、「トランスナショナル研究所」(TNI)研究員であり、経済的公正プログラム、オルタナティブ公共政策プロジェクトのコーディネーターでもある岸本聡子氏の論考を紹介している。

今回はこの記事を転載、紹介したい。

 


・民営化によって水道料金が高騰

 

―― 岸本さんは新著『水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと』(集英社新書)で、欧州での水道民営化の弊害を明らかにし、再公営化を求める市民の運動にスポットをあてています。欧州で水道と民主主義の問題に取り組んできた視点から、欧州の水道民営化のどこに問題があったのか教えてください。

 

岸本聡子(以下、岸本):欧州の市民の怒りの発端は、水道料金の高騰でした。
民営化すれば経営が効率化し、水道料金が下がるというふれこみで民営化をしたら、実際には料金が上がってしまった。
そんなケースがじつに多いのです。
極端な例ですが、ポルトガルの地方都市では、民間企業が水道料金を以前の4倍に値上げしました。
そのうえ、人口減少により予測利益に到達しなかったといって、市に対して1億ユーロ(約120億円)の補償請求書まで送りつけてきたのです。
料金の値上げは、そうした人口減少に悩む町だけの話ではありません。
パリ、ロンドン、ベルリンなど大都市でも、大幅な値上げがあり、市民の怒りが爆発し、「再び公営化を!」という運動に火がつきました。
考えてみれば簡単なことです。
民間企業の場合、株主配当や役員報酬などが発生します。
設備投資をするときも、利率の低い公的融資を受けるのではなく、金融市場から資金を調達し、利息を払っていかなくてはなりません。
これらはすべて公営時代には、不要だったコストです。
当然、その分は水道料金に反映されてしまうでしょう。
加えて、水道事業は自然独占(消費者は水道管を選ぶことができないため、自然と地域一社独占になること)なので、いったん運営権を手にすれば、その後は競合する他社がいません。
水道料金値上げを目指すのは自明です。
しかも、多くの場合、民間水道サービス企業の収支は、会計上のテクニックを駆使して不透明にされています。
欧州では、噴出するこうした問題に気づいた市民と地方自治体が手を取り合って、再び公営化する方向に舵を切り、すでに178件もの水道事業が民営から公営に戻っています。
ところが、日本はその逆の道を進もうとしています。
2018年暮れに可決した改正水道法により、上水道の民営化が可能になったのです。

 


・民営化は効率化なのか?

 

―― しかし、大企業の手によって民営化したほうが事業は「効率化」しますよね?

 

岸本:その効率はどこからくるものだと思いますか。
要は、人員削減や賃金カット、そして必要な設備投資の先延ばしによって、数字が改善したように見えるだけです。
あるいは災害対策に必要な経費を削減するわけですよ。
もし災害が起こって水道管にトラブルがおこれば、公営の場合は水道職員が真っ先に現場に駆けつけます。
しかし、民間企業であれば、危険を顧みずに現場に駆けつけるようなことは絶対にしません。
そんなことをしても利益にならないからです。
結局、民間企業の「効率化」のツケは、その地域にまわってきます。
水道を管理できる人材が自治体から消え、徴収された水道料金は、グローバル資本に吸い取られ、町の外に流れていく。
水道民営化とはすなわち、人材もお金も失う、地域窮乏化政策です。
そのうえ、さらに高額な水道料金という負担を地域住民全員が強いられるのです。

 

―― とはいえ、水道料金が多少あがっても、影響は限定的なのではないですか。

 

岸本:一般に、上下水道料金が世帯収入の3%超えると支払いの負担を大きく感じ、5%を超えると支払いが困難な状態に追い込まれると言われています。
この状態のことを「水貧困」(water poverty)と呼びます。
水道を完全民営化したイギリスでは、2011年の段階ですでに、収入の3%以上を上下水道料金にあてている世帯が23・5%、収入の5%以上をあてている世帯は1割にも達していました。
今はもっとひどいと思います。(ヨーク大学研究プロジェクト「イングランドとウェールズにおける水貧困」より)
「水貧困」に苦しむ家庭では、トイレの水洗やシャワーの回数を減らすなど極端な節約を強いられていて、社会参加に支障をきたすほどです。
「水貧困」は、社会の分断につながっていくのです。
日本でも民営化後の水貧困の蔓延は、リアルな可能性として考えたほうがいい。
年間の上下水道料金が9万円、月額で7500円ほどになると、年収300万円の世帯は水貧困に陥りますが、現状月額5000円程度の水道料金が1・5倍になるだけで、そうなるわけです。

 


・国家と結託する水メジャー

 

―― 欧州で水道民営化への批判が強くなっている中、なぜ日本は周回遅れの民営化に踏み切ったのでしょうか。

 

岸本:インフラの老朽化に対応する財源がないことが表向きには理由にされていますが、五輪やカジノ、リニアといった無駄なものにお金が使われている現状からすると、これは正しい説明にはなっていません。
むしろ、水メジャーの視点から見たほうが分かりやすい。
欧州の市場が縮小しているために、新たな市場として日本を見出したという側面が否定できないからです。
欧州では水道民営化のデメリットが知れわたり、新たな民営化の契約を獲得することが難しくなっています。
数十年にわたる契約の満期を迎えた自治体も、契約の更新をせず、再公営化を選ぶようになってきています。
また、水メジャーにとって日本市場は魅力的。
水質もよく、漏水率もわずか5%前後。
少ない投資で多くの利潤の見込める大都市もたくさんある。
たとえば東京都の水道局の純利益は333億円です。
さらにいえば、水メジャーは水道以外の公共サービスも狙っています。
彼らは複合企業化しており、交通やゴミ処理、清掃など、様々な公共サービスのアウトソーシングを受注したり、民営化したサービスの経営を手がけたりしています。
日本は欧州に比べて公共サービスの民営化が進んでいないので、新たなビジネスチャンスの宝庫なのです。
しかも日本政府が民営化ビジネスの市場を7兆円規模にまで拡大させる方針を打ち出しています。
ようは日本の国家の指導層とグローバル資本が結託しているのです。
それに対抗して、市民が地方自治体とともに立ち上がってNOといえるかどうかが分岐点です。

 


・奪われた「水への権利」を取り戻す

 

―― 欧州での再公営化の起爆剤は市民運動にあると指摘なさっていますね。

 

岸本:ええ。
先ほど178件の水道再公営化があったと申し上げましたが、それは間違いなく、「水への権利」を市民の手に取り戻そうとする運動が巻き起こった結果です。
水は誰にとっても必要なもの。
人権なのです。
あるいは、みんなの公共財・共有材〈コモン〉だとも言えます。
民間企業の独占的な経営にゆだねるのではなく、公のものとして、市民も参加しながら管理するという方向を打ち出した運動が欧州では広がってきているのです。
たとえば、スペインのバルセロナ市では、水道の再公営化を求める市民運動から地域政党「バルセロナ・イン・コモン」が誕生し、市長を二期連続して擁立することに成功しました。
いま、その勇気ある市長が、水メジャーと必死に闘っています。
それを常に支えているのは、地域の市民運動です。

 

―― なぜ、中央ではなく、地方から再公営化運動は立ち上がってきたのでしょうか。

 

岸本:日本でも水道民営化に熱心で地方にそれを押し付けているのは、グローバル資本と結びついた国家のほうですよね?
それは欧州でも同じです。
新自由主義的な中央政府やEUに対して、地方からNOという運動が展開しているのです。
水道民営化に反対する自治体は、世界中の自治体と協力し、国境を超えた運動に発展してきました。
こうした動きは「ミュニシパリズム」(地方自治体主義)と呼ばれ、さらには「フィアレス・シティ」(恐れぬ自治体)と呼ばれる世界的な自治体運動ネットワークに発展してきました。
恐れぬ、というのは、国家やグローバル資本に対して恐れずNOをつきつけるという意味です。
2020年現在、フィアレス・シティの拠点数は欧州49都市をはじめ、総計77にも及んでいて、東アジアではデモで北京に抵抗するあの香港が参加しています。
フィアレス・シティのネットワークでは、市長や市議などが参加して活発に国際会議などを行い、地方から民主主義を活性化し、〈コモン〉である水やエネルギーや交通の運営権を再び自治体の手に取り戻す道を探っています。
要は闘い方の戦略会議です。
知識も〈コモン〉ですから、お互い、惜しみなく情報と戦略の交換をしています。
そうでもしなければ、グローバル資本と闘うことはできません。
実際、パリとジャカルタとバルセロナが闘っている企業は、同一の水メジャーです。
だから自治体どうしの連帯が非常に有効なのです。

 


・水から変わる日本の民主主義

 

―― 日本の地方経済の衰退や地方議会政治の沈滞ぶりとはだいぶ違うようで、「フィアレス・シティ」など遠い話に感じます。

 

岸本:いえ、地方の政治家の汚職が絶えなかったり、経済が苦しかったりするのは欧州も同じです。
むしろ経済の状況はもっと悪い国もあるくらいです。
EUの財政規律のせいで苦しい思いをしているのも地方自治体です。
その財政規律も、民営化に誘う絶好のカードになっています。
しかし、だからこそ、水という、生きていくためにはどうしても必要なもののためにこそ、市民運動が活発になっているのです。
日本では「フィアレス・シティ」の運動がほとんど報じられていないので、イメージしづらいだけで、でもその萌芽はいくらでもあります。
たとえば、安倍政権が新型コロナウイルス感染予防のために学校に対して一斉休校を要請しましたよね。
あまりに唐突で、生活している人たちの姿や地方経済の構造がまったく見えていない。
単に「やってる感」の演出でした。
そんな稚拙なトップダウンに対して、地方自治体にはむしろ住民の暮らしや生命、そして地元の経済を守ろうという気概がまだ残っている。
実際、多くの自治体の首長が、安倍政権を恐れず、一斉休校に反発しましたよね。
それがすなわち、「恐れぬ自治体」の精神です。
そういう気概をもった議員や首長たちを、住民は声をあげて支えるべきです。
それがあと少しで、大きな波として可視化されていく気配を感じています。

 

―― しかし、地方議会も自民党が与党のところが大半です。

 

岸本:だから、起点は住民でなくてはならないのです。
浜松市の水道民営化反対運動は、地元住民たちが立ち上がって、きちんと成果をあげました。
水道民営化に反対する3万筆以上の署名を集め、民営化検討作業を一時中止に追い込んだ。
浜松市の市長は自民党系ではありませんが、民営化の旗振り役は市長。
その市長が、民営化反対運動の勢いに怖気づいたのです。
ちょうど市長選の前でした。
自民党支持であろうが、保守系議員を応援していようが、水という共有材〈コモン〉の運営が民間企業の手にわたったときの弊害の情報を共有できれば、住民は運動に参加していきます。
共有材〈コモン〉を企業の儲けの論理で、好き勝手にされていいのか、という「怒り」が、運動の起爆剤になるからです。
この署名活動を主導したのは「浜松水道ネット」(浜松市の水道民営化を考える市民ネットワーク)という市民グループです。
彼らは地道に勉強会を開き、毎週水曜日には駅前に立ち、商店街で署名を集めました。
選挙前には各政党に質問状を送り、水道民営化に対する立場を聞き出す。
ある意味、古き良き草の根運動を展開し、市政を変えたのです。
これを日本中に広げていきたい。
水という国民全員にかかわる問題だからこそ、日本の民主主義を変えていく力を秘めていると思うからです。

(聞き手・構成 中村友哉)


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社会を分断する「水貧困」を生み出す水道民営化。日本の水道が危ない<岸本聡子氏>
ハーバービジネスオンライン(扶桑社)2020.03.22
https://hbol.jp/pc/215383/?cx_clicks_last_artmdl=next_art

 

 

 

 

 


■安倍政権の水道民営化で都市部の水が外資に狙われる…海外では料金高騰やコレラ蔓延も

Business Journal 2019.11.14

https://biz-journal.jp/2019/11/post_128034.html


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10月1日から、消費税率が8%から10%へ引き上げられたのと同時に、「改正水道法」が施行された。

実質的な水道民営化を推進する同法は、その是非をめぐって物議を醸した末、昨年12月に臨時国会で成立していた。


そして、いよいよ施行されたわけだが、世の中の関心が消費増税ばかりに向いていたため、知らなかったという人も多いだろう。

これによって、数年後には水道事業に「コンセッション方式」が導入されるとの見方も出ている。


コンセッション方式とは、公共施設などの「運営権」を民間事業者に売却する仕組みのことだ。

所有権は自治体などの公的機関が持ったままだが、公的機関は売却によって利益を得ることができるほか、経営を民間に任せることで運営のリスクを抱えなくても済むことになる。


表向きは「民間による効率的な運営」や「地方自治体の財政健全化」がうたわれているが、公共性の高い水道事業が民営化されることへの反発も多い。

経済ジャーナリストの荻原博子氏は、以下のように語る。


「民営化というのは、決してバラ色ではありません。それは、今のJR各社を見ればわかることです。1980年代、赤字に陥っていた国鉄が分割民営化されましたが、JR東日本やJR西日本が儲かる鉄道会社として成功している一方で、JR北海道やJR四国は赤字が続いており、いわば格差が激しくなっています。また、株主構成を見れば、JR東日本の株主の約3分の1は外国資本が占めていますが、JR北海道は実質的に国営のままです。つまり、民営化によって、企業は儲かりそうなところにしか参入しないということです。水は人間の生活にとって必要不可欠なものですから、それが利益重視の民間に抑えられてしまうというのは大きな不安要素です」(荻原氏)

 

・危惧される水道料金の高騰と質の低下


懸念されるのは、“水メジャー”と呼ばれる国際的な巨大企業による日本の水道インフラの掌握だ。

すでに、フランスのスエズ・エンバイロメントとヴェオリア・ウォーター、イギリスのテムズ・ウォーターなどの名前が取り沙汰されている。


荻原氏は、「大きく問題になるのは料金高騰と品質低下です」と語る。


「世界の事例を見ても、民営化によって料金の高騰や質の低下が起きています。フランスのパリでは25年間で水道料金が約3倍になった結果、再公営化されました。また、南アフリカでは民営化で水道料金が跳ね上がり、支払えない貧困家庭の人々が汚染された川の水を飲むなどして、約25万人がコレラに感染。やはり、再び公営に戻されています。前述したように、民間は都市部などの“おいしいところ”にしか入ってこないでしょう。それは、儲かるところという意味です。そういう地域は人口が多いため、必然的に多くの人が料金高騰などの煽りを受けることになります。一方で、地方はいわば見捨てられ、インフラ維持のために少ない住民が高いコストを負担するという構図が続きそうです。ただでさえ、水道料金は管轄する自治体によって大きな差があるのが実情です。そして、たとえば財政再建中で水道料金も全国トップクラスの北海道夕張市に、わざわざ外資が参入して状況が好転するとは考えにくい。そのため、過疎地をはじめとする地方ではサービスや水質が低下する一方で料金は高くなり、現状の地域格差がさらに広がっていくことが危惧されます」(同)


民営化によって、水道事業に“第2のJR北海道”が生まれかねないというわけだ。

「水はなくてはならないものなので、高くなっても買わざるを得ません。しかも、ミネラルウォーターは軽減税率が適用されるので消費税8%ですが、水道水は10%なのです」(同)


昨年12月の臨時国会では、「70年ぶりの大改革」として漁業権を企業に開放する「改正漁業法」が成立した。


さらに、今年6月の通常国会では「改正国有林野管理経営法」が成立、来年4月に施行される見込みだ。

これは、最長50年間、全国の国有林を大規模に伐採・販売する権利を民間事業者に与えるものである。


「民間に水を売り、海を売り、森林を売り……。さらに、米国との日米貿易協定では日本の農業が脅かされるような内容で合意されました。これから、私たちの生活はどうなってしまうのでしょうか」(同)


安倍晋三首相の通算在任日数は11月20日で計2886日の桂太郎を超え、憲政史上最長を記録する。


長期政権を謳歌する安倍政権は、日本のインフラや産業をどうするつもりなのだろうか。


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■安倍政権の水道民営化で都市部の水が外資に狙われる…海外では料金高騰やコレラ蔓延も
Business Journal 2019.11.14
https://biz-journal.jp/2019/11/post_128034.html

 

 

 

 

 

 

 

 

■水道民営化の仕掛け人は竹中平蔵氏か…国民が知らない水道資産120兆円のゆくえ

Business Journal 2019.12.08

https://biz-journal.jp/2019/12/post_130797.html


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・水メジャーを太らせたのは「水事業の民営化」を煽る国際金融機関


世界には、水メジャーの支配で高騰した水道料金を払えず、あろうことか「天から降ってきた雨水」の取水まで禁じられた人々がいる。

日本が平成に改元してしばらくした頃に、南米・ボリビアの主要都市コチャバンバ市の公営水道民営化で起きた悲劇だ。


同市の水道民営化では、灌漑施設も井戸も雨水も、すべての貯水を水企業アグアス・デル・ツナリ社の管理下に置く契約が交わされていた。

あまりにも理不尽だったため、多くの人々に知れわたった実話である。


ツナリ社は、多国籍巨大建設企業ベクテル社の傘下企業だ。

実は、これまで「水事業の民営化」を煽ってきたのは、世界銀行や国際通貨基金(IMF)などの国際金融機関である。


ハイパーインフレで瀕死のボリビア政府に対して、多国間債務600万ドルの免除を条件に、この理不尽な契約を促したのも世銀だった。

彼らは、経済の自由化や公的機関の民営化を途上国政府への融資条件として課してきたのである。


この30年間は「小規模農家への支援」や「教育・医療」の予算削減まで強要し、結果、多国籍巨大企業の市場はさらに拡大し、世界の貧困と格差が悪化した。

国際金融機関のこうした“前科”が日本の一般常識として広く認知されていないのは、官製情報に依存し巨大資本に抗えない国内マスメディアが国民の知る権利にこたえていないからである。


事実として重要な情報がオーソライズされないまま、今日本人の「水道の水」も巧妙な仕組みで「市場」化されようとしている。

黙認して放置すれば、冗談抜きで、いずれ「清浄な空気」も商品として市場化されるかもしれない。


「市場」は商品・サービスとカネの取引で成り立っている。

カネがなければ取引はできず、人は何も得られない。


公共/公益の概念は、そこに生まれる悲劇の類いを回避するための知恵でもある。


従って、生存の最低条件である「水道の水」まで弱肉強食の市場で扱おうとする発想は、非常識を通り過ぎて、もはや「民営化原理主義」とでも名付けてもいい「文明の退化」だ。

今、日本も世界もその見識を問われている。

 

・安倍内閣・水メジャー・金融/証券と組んで法改定を仕掛けた面々


「水メジャーによる接待疑惑」で官邸を追われた福田隆之氏が、36歳の若さで内閣官房長官の「公共サービス改革」担当補佐官に抜擢されたのは2016年1月。


もとは野村総合研究所主任研究員や新日本有限責任監査法人のインフラ・PPP支援室室長・エグゼクティブディレクターなどを務めた証券のプロである。

表舞台から姿を消した同氏は現在、「行政官」という官職を持つコンサルタントを務めながら、都内の大学にも籍を置いている。


その大学は東洋大学。

そこでの肩書きは「国際学部客員教授/グローバル・イノベーション学研究センター客員研究員」(2019年10月22日現在。以下同)。


2名在籍する客員研究員のもう1人は、前述の「水道民営化を煽ってきた世界銀行」で上級インフラファイナンス専門官を務める人物だ。

このグローバル・イノベーション学研究センターを統括するセンター長は、「東洋大学国際学部教授」の竹中平蔵氏である。


著名な人物は「毀誉褒貶あり」と評されることがよくある。

しかし、政府の「官民連携」施策が、実は一般庶民の生活経済を追い込むものであることを直感する人々の多くは、そこから「誉・褒」の2文字を抜いた「毀・貶」で、あの「竹中平蔵」氏を連想しがちだ。


立身出世を絵に描いたような竹中氏の華やかな肩書きは、あまりに多すぎてここには書き切れない。

小泉純一郎内閣で要職を歴任し、郵政担当大臣として「郵政民営化」の道を開いた竹中氏は、日本国民の富をどこかに移動する仕組みづくりに自信を持ったかのようにもみえる。


麻生太郎副総理は表通りで「水道の公設民営」を外資の面々に“報告”したが、竹中氏は裏通りで地道にそれを準備し、実行してきたといえる。

小泉内閣以降も「行政を束ねて采配するノウハウ」に磨きをかけ、派遣大手のパソナ役員を兼務しながら労働法制に手を入れ、ヴェオリアもたじろぐほどの「利益相反」を問われながら、今もマスメディアを黙らせ続けている。


学者としては、大学で学生たちに「金持ちを貧乏人にしても、貧乏人が金持ちになるわけではない」などと“その道の粋”を教えてきた。規制緩和/撤廃で世界に名を轟かせた英国初の女性首相マーガレット・サッチャーの言葉だ。

教え込まれた学生が政官界に進めば、「自己責任論」で弱肉強食を正当化する新自由主義の施策になんの迷いも抱かず加担し、政治と行政が担うべき本来の役目を蔑ろにするかもしれない。


安倍内閣は規制緩和を御旗として掲げ、水道法改定など数多の法改定と施策を強行してきた。

その権勢を上手に利用して「昇進や第二の人生にまっしぐらの幹部官僚ら」を動かし、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)/PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ:民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)の導入を見事に完遂したのが、竹中・福田の両氏である。


両者の「阿吽の呼吸」の痕跡は、政府による数多の議事録を見れば腐るほど目にできる。

 

・官民連携インフラファンド→民間インフラファンドへの流し込み


2009年に設立された「産業革新機構」は2018年9月、竹中氏も議員として名を連ねる「未来投資会議」によって官民出資の投資ファンド「産業革新投資機構(JIC)」に改組された。


その子会社として新設された「INCJ」には、金融機関からの資金調達で政府保証1兆8000億円がつき、最大2兆円規模の投資能力がある。

同ファンドの出資金は95%が財政投融資の拠出だ。


つまり、「ハイリスク、ハイリターン」というヘッジファンド同様の資産運用を行うリスクマネーの拠出を、国民のカネを預かる政府が担っているということである。

従って、換言すればこういうことだ。


「官民連携インフラファンドに巨額の政府保証をつけさせて莫大な資金調達を可能とし、PFI 法で認められている官民連携インフラファンドから民間インフラファンドへの投資で国民のカネを民間企業に流し込む仕組みづくり」の礎を、すでにここで仕立て終えていた、と。

その仕掛けは、2014年5月19日に官邸4階で開かれた「経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議」でもうかがい知ることができる。


竹中氏は「コンセッション制度の利活用を通じた成長戦略の加速」という書類を配布し、幹部官僚の尻を叩いて「官民連携インフラファンド」についても強く打ち出しているからだ。

同会議録から、「コンセッション推進」と「インフラファンド推奨」にかかわる要所を抜粋する。


<……これに応えるために以下の施策を実施する必要がある>


<平成26年4月から向こう3年間」「に実施する案件について」「少なくとも、(筆者注:コンセッション成約を)国土交通省(空港)6件、国土交通省(下水道)6件、国土交通省(有料道路)1件、厚生労働省(水道)6 件とし、これら4分野の目標のうち地方公共団体分に相当する15件」「については、地方制度を所管する総務省もその目標の達成に協力する」「内閣府の数値目標として、上記案件で行われる投資金額の合計」「2~3兆円」「を目標とする>


<株式会社民間資金等活用事業推進機構(官民連携インフラファンド)」「の有するノウハウや地域金融機関との協力関係の活用を図りつつ」「PFI 法上」「官民連携インフラファンドに認められている民間インフラファンドへの投資について、支援基準を踏まえ、取り組みを開始する>


この産業競争力会議は、2年後の2016年9月9日に新設された「未来投資会議」と入れ替わる形で廃止された。

安倍晋三議長・麻生太郎議長代理で開かれた未来投資会議でも、「公的資産と公的サービスの民間開放」が幾度もテーマとされてきた。

 

・「インフラファンドとリンクしたインフレーションに最適の投資資産が公共料金」


福田氏が補佐官在任中の2017年2月17日、「未来投資会議・構造改革徹底推進会合~第4次産業革命(Society5.0)・イノベーション」(PPP/PFI)の第4回は、竹中会長が中心となって議事が進められていた。


当日のメインゲストは、マッコーリーキャピタル幹部としてアジアのインフラ投資を動かすジョン・ウォーカー氏と、日本におけるマッコーリーキャピタル証券代表の大橋純氏。

既述のように、マッコーリー・グループは3大水メジャーから消えた英テムズ・ウォーターを買収した豪州メガバンクで、非銀行部門に証券業務がある。


従って、マッコーリーキャピタル証券は銀行系証券会社ということになる。

実は、2011年2月に国土交通省航空局が開いた「第3回・空港運営のあり方に関する検討会」でも、マッコーリーキャピタル証券の舟橋信夫副会長(当時)が招かれていた。


菅官房長官の下で竹中氏のパートナーとして動いていた福田氏は、同じ証券マンの先輩である舟橋氏にコンセッション等の指南を受け、事情を知る証券関係者の間では「昵懇の仲」だと見られてきた。

これらの経緯をたどれば、舟橋・福田・竹中の3氏が「PPP/PFIによる国内コンセッション」を起案し、同調する安倍内閣が政府としてこれを実現した構図が透けて見える。


水道コンセッションにインフラファンド市場ができれば、あとはそこに公的資金を流し込むだけだ。

「新PFI法」が施行された2018年10月の下旬、宮城県では県が主催する「上工下水一体官民連携運営事業シンポジウム『水道の未来を考える』」が開かれた。そこに講演者として招かれたなかに、水メジャーのツートップであるヴェオリア・ジャパンとスエズ・アジアの幹部数名がいた。


このなかから「スエズ・アジア アドバイザー」の肩書きで登場したのは、マッコーリーキャピタル証券副会長を辞めた後も福田氏と昵懇だった舟橋氏である。

インフラファンドが生まれたのは、マッコーリー社の母国・オーストラリアだ。


2011年に国交省が開いた前述の会合で、舟橋氏はマッコーリーキャピタル証券副会長として、こんな話をしている。

「マッコーリー・グループがひとつだけ世界一の分野がある。インフラファンドの残高だ」


「なぜインフラか? インフラのような投資資金にとって一番重要なのは、使う期間が随分と先になるため、購買力を喪失するのが一番怖いという点。逆に、インフレーションに一番いい投資資産が公共料金である。公共料金はほとんどがインフレにリンクしている」

「グループのインフラ投資で最大の案件はテムズ・ウォーター。当時、企業価値は1兆8000億円という投資だった」(以上、要約抜粋)


東日本大震災が勃発する約1カ月前の話だ。

「インフラファンドはインフレとリンクしており、インフレに最適の投資資産が公共料金」「水道会社への投資額は1兆8000億円」――日本で、その原資はどこから調達されるか。


改定水道法の行方を透視するためには、日銀・メガバンク等の動向を横目に官民インフラファンドと水道インフラファンドの動きを注視する必要がある。

金融・証券のプロが政府の施策に影響を及ぼせば、巨額の公的資金が裏で流れ始めるからである。

 

・水道のインフラファンド経由で公的資金が民間企業へと流し込まれる


閑話休題。

既述の通り、2017年10月下旬に「新PFI法の施行」「2大水メジャーのシンポ参加」「福田氏の接待疑惑文書」の3つの動きが重なっている。


水道法改定に対して国民が不安を抱いているにもかかわらず、水面下では巨額「水道マネー」をめぐる利害関係者の暗闘がすでに始まっていたようだ。

民間企業の事業目的は「果てしない営利」である。


平成の世に日本にも上陸したPPP/PFIによる官民連携「水道コンセッション」と「インフラファンド」は、間違いなく莫大な「水道利権」を生み散らかす。


平成に準備されて令和に本格始動する改定水道法には、「自治体がこれまで及び腰だった料金値上げを、法制度間の整合性で容易にする仕掛けがあったこと」、そして「巨額水道マネーを担保に、インフラファンド経由で公的資金を民間企業へと流し込む仕掛け」があること、などを本連載で検証した。


既存のマスメディアに期待できないからには、今後、住民/国民自らが「PPP/PFIに踊り狂う自治体と政官財のカネの動き」を厳しく監視するしかない。

多くの若者が手にしたネットは、そのためにも有効だ。

黙認したり監視を怠ったりすれば、国民の水道資産120兆円は、そのうち利権まみれで真っ黒に濁ってしまうだろう。


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■水道民営化の仕掛け人は竹中平蔵氏か…国民が知らない水道資産120兆円のゆくえ
Business Journal 2019.12.08
https://biz-journal.jp/2019/12/post_130797.html

 

 

 

 


■【水道法】民営化、欧米でも失敗続きー安倍政権が水道事業を売り飛ばす暴挙、海外企業とも癒着

Yahoo!ニュース 2018/12/6 志葉玲

https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20181206-00106702

 

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誰にとっても生活に欠かせないものが水だ。

その水を供給する水道事業は現在、地方公共団体である各地の公営事業体によって運営されている。


安心で安価な水が24時間いつでも供給されることが当たり前―そんな日本の水道事業が、今日、国会で採決されようとしている水道法改正案によって大きく変わるかもしれない。

 

◯水道事業は民間企業となじまない


上下水道事業などで働く労働者の組合「全日本水道労働組合」の辻谷貴文・書記次長は「水道法改正そのものには、一概に全否定するわけではありませんが、一つ大きな問題があります」と語る。


「水道施設の老朽化や人材不足、災害時の対応など、水道事業の基盤強化は今回の水道法改正案の要であり、私達現場の労働者も求めてきたことで、それ自体は良いことだと思います。ただし、水道法改正案にある“官民連携の推進”については懸念しています。水道施設の運営権を民間企業に与えるという『コンセッション方式』が推進されるのですが、これは安価で安全な水を、1年365日、1秒たりとも絶やすことのないようにするという、日本の水道事業が担ってきた責任を損なうものになりかねません」(同)。


コンセッション方式とは、事業の運営権を、民間企業に売り、その企業が事業を実施、水道料金を収入として企業が得る、というもの。

辻谷氏は「利益を出すことが最大の目的である民間企業は水道事業となじまない」と言う。


「水が無くては人間は生きていけません。ですから、水道料金というものは、事業に経費が掛かっても極力安くしないといけませんし、人口が減少していますから水道料金の収益も下がり、多くの地域での水道事業は赤字です。民間企業が事業を運営するとなると、コストカットしたとしても、経営として非常に厳しくなります。そうなると、水道料金を値上げするか、水道管の維持・メンテナンスなどの必要な経費も削らないといけなくなる。海外の事例では水道事業を任された民間企業が多額の経費を自治体に請求してきたという事例もあります」(同)。

 

◯水道事業の民営化の失敗、世界で235例


「世界各地の事例を見ても、公営の水道事業から民営化して成功したところなど、ほとんどありません」と辻谷氏は言う。

「その挙句、フランスのパリ市の様に、民営化した水道事業を再び、公営化するという事例が相次いでいます。こうした再公営化は、世界全体で235件にも達しているのです」(同)


辻谷氏は「民営化論者が『成功事例』としている、イギリスのイングランドでの民営化も、問題だらけ」と語る。

「サービスの低下や漏水率の上昇、汚職の頻発などで、世論調査では住民の70%が再公営化を望んでいるという有様です。こうした海外の事例を見ても、コンセッション方式の導入が失敗するであろうことは、明らかだといえるでしょう。ただ、今回の水道法改正が通ってしまうと、そうした海外の事例に疎い地方自治体の首長がコンセッション方式を地元の水道事業に導入してしまうかもしれません」(同)。


一度、コンセッション方式を導入してしまうと、民間企業では上手くいかなくて再び公営事業体に運営を戻すにしても「そう簡単にはいかないこともあり得ます」と辻谷氏は指摘する。


「民間企業に運営を任せることで、公営事業体の人材、技術が弱体化してしまう、あるいは失われてしまうかもしれません。最悪の場合、運営権を持つ民間企業が倒産した場合など、一時的に水道が止まってしまう可能性もないとは言えません。運営権を持つ企業にファンドなどが投資した場合には、再公営化の手続きも複雑で、コストのかかるものとなるでしょう」(同)。

 

◯水道事業の再公営化も大変


辻谷氏の言う通り、海外の事例を見ると、民営化にも、再公営化にもリスクが伴うようだ。

水道公営化問題について調査を行っているオランダのシンクタンク「トランスナショナル研究所」の報告書によれば、米国のインディアナポリス市では、2002年から水道事業を請け負った民間企業が水質の安全対策を怠ったり、住民への過剰な請求をしたため、2010年、市当局は再公営化を決定。だが、20年間の契約を10年間に短縮するかわりにその企業に2900万ドルを支払う羽目となった。


ドイツのベルリン州も、1999年に水道公社の株を民間企業に売却した結果、水道料金の高騰や設備管理の低下を招き、2013年に州が株を買い戻すことになったものの、13億ユーロもの資金が必要となり、その経費は水道料金に上乗せされることになった。

 

◯外国の水道関連企業が内閣府職員として水道法改正に関与!?

 

さらに、水道法改正案の立案に、フランスの水道関連大手ヴェオリア社の職員が、内閣府の「民間資金等活用事業推進室」に政策調査員として在籍していることが、今年11月29日の参院厚生労働委員会での福島みずほ参議院議員の追及で明らかになった。


水道法改正が可決した後、事業参入するであろう企業の職員が法律の改正案の策定に具体的に関わった疑いがあることから、福島議員は「利害関係者で立法事実の公平性がない」と批判した。


ヴェオリア社は、地元フランスのパリ市で、スエズ社と共に1984年から上下水道の事業を担った。

だが、その後、パリ市の水道料金は2.25倍にまで高騰。2010年にはパリ市は契約を打ち切り、再公営化したのだ(関連情報)。

 

◯水道のあり方について考えて


辻谷氏は「コンセッション方式には反対ですが、全国の水道事業が困難に直面しており、対策が急がれることは事実」と言う。


「例えば、大阪市では耐用年数を超えた配管が5割を超える、という状況です。他の自治体も耐震用の配管に変える必要がありますが、人々の生活や命に関わることなのに、国の政策の中での水道事業への優先順位は低い」(同)。今回の水道法改正を機に「多くの人々に日本の水道の在り方について考えてほしい」と辻谷氏は語る。


政府与党は、本日の衆議院で水道法改正の政府案を強行採決する構えだが、国民の命や生活に関わることにもかかわらず、あまりに強引すぎないか。

メディアももっとその課題を追及すべきだろう。


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【水道法】民営化、欧米でも失敗続きー安倍政権が水道事業を売り飛ばす暴挙、海外企業とも癒着
Yahoo!ニュース 2018/12/6 志葉玲
https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20181206-00106702

 

 

 


■外資が水道事業で攻勢、仏ヴェオリアが松山市から受託

2012年3月13日

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1302A_T10C12A3000000/


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世界最大の水事業会社であるフランスのヴェオリア・ウォーターの日本法人、ヴェオリア・ウォーター・ジャパン(東京都港区)が2012年4月から、松山市の浄水場の運転業務などを始める。


外資系企業が単独で日本の自治体の水道業務を受託するのは初めて。

ヴェオリアが手掛けるのは、市之井手や垣生など4カ所の浄水場の運転や設備の維持管理などの業務。


このほか、公共側が資金を調達して民間企業に建設や維持管理を委託する「DBO(Design Build Operate)」方式によって栗田工業などが建設した高井神田浄水場とかきつばた浄水場の配水業務なども担う。

松山市が2011年8月~11月に実施した公募型プロポーザルを経て、12月26日に市と契約した。


契約期間は2012~2016年度の5年間で、受託金額は12億9654万円。

ヴェオリアが関わる6カ所の浄水場の給水量は1日当たり計14万t(給水能力は計20万t)。


松山市の給水区域のほぼ全域をカバーし、人口の9割強に当たる約48万人に水を供給する。

同社が日本の自治体から受託した水道業務のなかでは最大規模となる。


これまで松山市では、三菱商事などが出資するジャパンウォーター(東京都千代田区)が水道業務に携わってきた。

2004~2006年度に垣生浄水場、2005~2006年度に市之井手浄水場、2007~2011年度に両浄水場で、それぞれ運転業務などを受託。


同社は、2012年度以降も業務継続を目指してプロポーザルに参加したが、一騎打ちとなったヴェオリアに技術面やコスト面で敗れた。

日本の水道市場の規模は2兆~3兆円と言われる。

松山市のケースを機に、ヴェオリアをはじめとする海外勢と日本勢との競争が激化する可能性がある。


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■外資が水道事業で攻勢、仏ヴェオリアが松山市から受託
2012年3月13日
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1302A_T10C12A3000000/

 

 

 

 

 

 

 

■宮城県、水道運営権を民間に売却へ 上下水道含めた委託は全国初

毎日新聞 2021/7/5

https://mainichi.jp/articles/20210705/k00/00m/040/209000c


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宮城県議会は5日、上下水道と工業用水の20年間の運営権を民間に売却する「みやぎ型管理運営方式」の関連議案を賛成多数で可決した。

上水道を含めた3事業一括の民間委託は全国初で、県は2022年4月の事業開始を予定する。


県は引き続き施設を所有し、水質管理や経営監視も行うとしている。

議会には、水処理大手メタウォーター(東京)やフランスのヴェオリアグループの関連企業など10社で構成する企業グループに運営権を設定する議案のほか、グループの財務状況などを議会に報告するよう求める条例も提出され、可決・成立した。


水道3事業の運営権だけを民間に売却する「みやぎ型」を巡っては、人口減や設備の老朽化による利用者の負担増を抑えるためとして、村井嘉浩知事が中心となって推進。

外資系企業の参入に対する不安や運営形態が不明確との声もあり、導入に反対する市民団体が約2万筆の署名を集めた。


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■宮城県、水道運営権を民間に売却へ 上下水道含めた委託は全国初
毎日新聞 2021/7/5
https://mainichi.jp/articles/20210705/k00/00m/040/209000c

 

 

 

 


■安倍政権、強硬に水道の事実上完全民営化を進める背景…“外資支配”に貢献する麻生太郎副総理

exciteニュース(エキサイトニュース)2019年2月3日(Business Journal)

https://www.excite.co.jp/news/article/Bizjournal_mixi201902_post-14427/


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2018年12月6日、国会で「改正水道法」が可決・成立し、同月12日に公布された。

同法は公布日から1年以内に施行される。


かつて「水道民営化」で水質悪化や料金値上げなどにあえいだ諸外国は、民間企業と契約して数十年を経たのち、続々と「再公営化」に向かった。

それらの失態を見聞きした日本の世論は、今回の法改正が「水道民営化への扉を開く」と反発したが、安倍晋三内閣は「そもそも民営化ではない。


水道管の老朽化対策には官民連携による民間資金の活用が必要」と押し通し、法案を強行採決した。

実は、改正水道法の条文にはカラクリがある。


本稿では、ほかの周辺法や制度と連動して仕込まれた法改正の急所と狙いを、懸念される「民営化」や「外資支配」の虚実とともに数回に分けて明らかにする。

 

・厚労省が「すべての管路改修に130年」と試算

 

日本の水道普及率は97.9%。

管路(水道管)の総延長距離は地球16周分の66万㎞。


有収水量は1日で約3600万立法メートル(厚生労働省が17年にまとめた資料より抜粋。以下同。「有収水量=料金徴収対象の水量」は15年実績)。

その水質は極めて高く、水道管は原則として人が住む全国の隅々にまで行きわたり、利用料金も低額で安定している。


まさしく世界に誇る水道インフラだ。

水道は水を運ぶ社会基盤である。


水は空気とともに生存に直結するため、その公益性は数あるインフラのなかでもっとも高い。

そのため、水道事業はこれまで個別委託を除けば「営利事業」から隔てられ、地域住民の生活を守るべき自治体などの公的主体が経営してきた。


国内で人や企業が使う水は、海水を淡水化した人工の水を除けば、水源となるダムや川から取水される。

そこから導水管を通って水道用水が浄水場に運ばれるまでの供給事業数は92。


浄水場から配水池へと流れ込み、配水管で各地域に送られた水が給水管を通じて利用者に届けられる。

配水池から先の供給事業数は上水道が1355、簡易水道が5133。


これらを担う事業体は、従来から個別業務を民間にも委託してきた。

厚労省は、水道の現状をまとめた資料で「管路の法定耐用年数は40年」「改修を要する年間更新率は全国平均で約0.75%」と報告した。


この更新率で100%を割れば133.3。

厚労省は「全ての管路改修を終えるまでに130年かかる」と試算している。


水道事業関係者は、老朽化した水道管の改修費を1億円超/kmと見積もっている。

同資料に管路総延長中の必要更新比率が明記されているということは、国や自治体、個々の事業体が、経年劣化する管路に改修が必要なことを承知していたということだ。

それにもかかわらず、将来の設備投資としてそのコスト試算を組み込んでこなかったのはなぜか。

生存に欠かせない公共サービスを財政難を理由に放り出せば、政府や自治体の存在意義は失われる。


従って、その維持・管理・運営に要する予算措置は当然、最優先されねばならない。

利権優先で無駄なハコモノや天下り用の特殊法人を量産したり、自国の財政事情を承知で莫大な金を国庫から海外支援にばらまいたりすれば、納税者の金が水道改修のような公益事業に回せなくなるのは自明の理だ。

 

・麻生太郎の「日本の水道は民営化します!」発言

 

18年暮れに成立した改正水道法は、サービスの劣化を招く民営化につながるとの強い批判を浴びた。


しかし、安倍内閣は「改正水道法は民営化などではなくコンセッション方式である」「民間企業のノウハウを活用してコストダウンすれば水道料金が抑えられるし、老朽化した水道管の改修費も出てくる」として世論の批判を一蹴し、法案を強行採決した。


コンセッション方式とは、自治体などの公的主体が公共施設を所有したまま、料金収受業務を含む包括的な「運営権」を企業に売却する仕組みだ。

東日本大震災が勃発した11年、「改正PFI法」(PFI=プライベート・ファイナンス・イニシアティブ/民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)が成立し、コンセッション方式による契約が実施可能となった。


政府は水道民営化を否定する。

だが、この改正PFI法(以降、本稿では便宜上「旧PFI法」と呼称する)を法的根拠とする水道事業のコンセッション契約は、運営だけでなく施設も売却する「完全民営化」にもっとも近く、それは「事実上の民営化」である。


なぜなら、施設所有権が自治体に残されても、運営権を長期的・包括的に握る民間企業が日常的にもろもろを決定すれば、それは実態としての「経営」そのものだからだ。

検針や浄水場管理など個別業務の委託は従来から行われてきたが、コンセッション方式はまったく次元の異なるものなのである。


改正水道法への反対世論には、再公営化する海外の経過を見て「日本の水も民営化で外資に支配されるのではないか」との不安が含まれていた。

その不安を煽った張本人が、安倍内閣で金融担当の内閣府特命担当大臣や財務大臣など要職を担う麻生太郎副総理である。


すでに広く知られた麻生氏の発言「日本の水道は民営化します!」は、改正水道法の狙いを検証する上で欠かせないトピックでもある。

講演の前段も加えて、ここで正確に再録しておこう。


13年4月19日(米国東部時間)、米国本拠の民間シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」の会見に登壇した麻生氏は、満面の笑顔で開口一番「麻生太郎です。私も戻ってきました!」とあいさつし、米国産業が関心を抱きそうな日本のさまざまな市場について“報告”した。

講演後、質疑応答の後半で麻生氏が得意げに宣言したのが水道民営化である。


以下は、そのときの発言を文字に起こしたものだ(用語の重複や接続詞は筆者が一部加工。それ以外の名詞や数字などは原文ママ)。


「……水道とかいうものは、世界中ほとんどプライベートの会社が運営しておられますが、日本では自治省以外では扱うことはできません。水道料金を99.99%回収するシステムを持っている国は日本の水道会社以外にはありませんけれども、この水道はすべて、国営もしくは市営、町営でできていて、こういったものをすべて民営化します! いわゆる公設民営などもアイデアとして上がってきつつあります」


講演冒頭の「戻ってきた」が「米国に」なのか「CSISに」なのかはよくわからないが、それはある意味で、質疑応答で洩らした「民営化宣言」以上に衝撃的だと受け取る国民も少なくないのではないか。

 

・水メジャーの仏ヴェオリアがすでに日本進出

 

水道の分野でコンセッション方式による国内初となった成約事例が、静岡県浜松市とフランスのヴェオリア社を代表とする6社連合(ヴェオリア・ジャパン、ヴェオリア・ジェネッツ、JFEエンジニアリング、オリックス、須山建設、東急建設)の特別目的会社HWS(浜松ウォーターシンフォニー)との「下水道コンセッション」である。


HWSが運営するのは、浜松市内で下水5割を処理する終末処理場の西遠浄化センターやポンプ場など。契約書に記載された契約期間は17年10月30日から38年3月31日の約20年間。

同市と運営権者HWSが合意すれば、最長で43年3月31日まで延長される。


期間中に同市が得る運営権対価は25億円だ。

仏ヴェオリア社は、周知のように「水メジャー」として知られるフランス本拠の多国籍巨大企業。


水処理では世界最大手だ。

同社のような水メジャーの多くは欧米本拠である。


麻生講演の質疑応答で、隣に座る米CSIS日本幹部を気にしながら麻生氏が「戻ってきて報告した面々」は、同社をはじめとして日本の水道インフラ市場に業務委託その他のかたちですでに広く深く潜り込んでいる。


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安倍政権、強硬に水道の事実上完全民営化を進める背景…“外資支配”に貢献する麻生太郎副総理
exciteニュース(エキサイトニュース)2019年2月3日
https://www.excite.co.jp/news/article/Bizjournal_mixi201902_post-14427/

 

 

 

 

■水道民営化のウラに…麻生財務相“身内に利益誘導”の怪情報

日刊ゲンダイ(講談社)2018/12/12

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/243479


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10日閉幕した臨時国会で、安倍政権が強行成立させた「水道民営化法」を巡り、かねて民営化を推進してきた内閣府に“水メジャー”の仏「ヴェオリア」の日本法人社員が出向していたことが発覚。


「利益誘導だ」と批判が噴出したが、実は「麻生財務相も一枚かんでいるのでは」との怪情報がSNS上で飛び交っている。

日刊ゲンダイは真相を追った。


〈麻生太郎の娘婿がヴェオリア社の幹部〉

〈麻生太郎の娘がヴェオリアの重役と結婚しフランス在住〉

〈水道民営化して(麻生の)娘は大儲け〉――。


ネット上には今、こんな投稿があふれ返っている。

まず、麻生氏の娘についてだが、フランス人男性と結婚したのはまぎれもない事実。


「週刊文春」(2014年1月30日号)によると、麻生氏の娘は、同年1月中旬に結婚お披露目会をパリで開催した。

会場は、フランスで200年以上の歴史を持つ5つ星ホテル「ル・ムーリス」。


両家と近しい関係者約30人が参加した夕食会は、ルイ15世の寵愛を受けた公妾の肖像画が飾られている「ポンパドゥール夫人の間」だった。

麻生氏の娘は東大文学部で美術について学び、卒業後、イギリスの大学に留学。


フランス人の夫とは、美術品のオークションなどを手掛ける会社に勤めてから知り合ったという。

 

・野党議員の追及に色をなして反論


一方、夫がヴェオリアに勤めているかどうかは真偽不明だ。

事実を裏付けるだけの情報を得ることはできなかった。


ただ、妙な疑いを持たれているのは、麻生氏の過去の発言が原因となった可能性が高い。

麻生氏は、娘の結婚お披露目会の約9カ月前、13年4月に米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所」の講演で、「(日本の)水道はすべて国営もしくは市営・町営でできていて、こういったものをすべて民営化します」とぶち上げたのだ。


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水道民営化のウラに…麻生財務相“身内に利益誘導”の怪情報
日刊ゲンダイ(講談社)2018/12/12
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/243479

 

 

 

 

 

■事実上の安倍・麻生体制。人事と政策を握られた岸田首相

<東京工業大学教授・中島岳志氏>

日刊SPA 2021年10月30日

https://nikkan-spa.jp/1789801

 

 

 


■アフラックに屈服したTPP日本~郵便局との提携が国民皆保険を空洞化する~

米国政府「TPP交渉と絡めて日本側に圧力」

麻生財務相が約束「がん保険を売るな、と言いながら、米国系のアフラックのがん保険ならOK」

週刊ダイヤモンド 2013.8.1 山田厚史

https://diamond.jp/articles/-/39579


【食料自給率 38%で大丈夫?】商社マンが明かす世界食料争奪戦「日本の買い負けは悪しき円安のせい」「国の通貨が安いままで戦え、買い勝て、なんて無理ですよ」

2022-12-29 04:54:29 | 日記


■商社マンが明かす世界食料争奪戦の現場 日本がこのままでは「第二の敗戦」も

NEWSポストセブン  2022.01.01

https://www.news-postseven.com/archives/20220101_1717680.html?DETAIL


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日本は70年以上も戦争と関わらずにきたはずだった。

しかしその日本がいま、世界で激しい「食料戦争」の渦中にある。

俳人で著作家の日野百草氏が、「国の通貨が安いまま戦うのは厳しい」と焦る商社マンに、牛肉を中心とした日本の「買い負け」事情を聞いた。

 

・「どこより高い金を出せば買えますよ、ただ買い負けているだけです」


食品専門商社のA氏(40代)に話を伺う。

以前、彼がこの国の食料問題に対する危機感を訴えた『憂国の商社マンが明かす「日本、買い負け」の現実 肉も魚も油も豆も中国に流れる』は思わぬ反響を呼んだ。


筆者もそこまでとは思っていなかったのだが、現実に食肉や魚介類に次々と値上げ、不足のニュースが続いている。

ただ一人の話だが、その一人の肌感は現に日本の危機を象徴している。多くの他国と「戦う」企業戦士も同様だろう。


「それと船ですね。こちらは取り負け、日本に寄ってもらえない」

その食料を運ぶコンテナ船もコンテナそのものも不足している。


食料争奪戦が「戦争」だとしたら、いまはまさに「戦時下」だ。

「値上げはさらに続くでしょう。いつ相場(食肉、穀物)が落ち着くかわからない」


個別の値上げを見れば、魚介類でいえばウニ、イクラ、タラバガニ、ズワイガニ、数の子など、いずれも最高値かそれに近い値上がりを記録している。

大手鮮魚専門店のスタッフいわく「あるだけマシ」とのことで、値段は高くても手に入れば御の字だという。


「魚介は高くてよければ国内産でリカバリーできます。でも肉や穀物は厳しい」


日本の食料自給率(カロリーベース)は本当に低い。

コロナ前の2018年の農水省データでアメリカ132%、フランス125%、ドイツ86%、イギリス65%、イタリア60%に対して日本は37%。

1980年代までは50%以上を維持してきたのに30年間ずっと低水準、30年間変わらない日本の平均賃金と同じ様相だ。


「フランスは自給率を上げるために努力してきましたからね。食料を掴まれるのは命を握られるのと同じって連中はわかっているのでしょう。私も同じ考えです」


(中略)

 

・日本の買い負けは悪しき円安のせい


この原油高と需要増大の中、海運会社、とくに利幅の小さい海上コンテナ輸送は効率よく稼ぐしかない。


日本はすでにこのコンテナ船事業という海運そのものには敗北(ロジスティクスによる敗北は日本の伝統芸)したため、現在の日の丸コンテナ輸送はONEジャパン1社と中小のわずかな船会社しか生き残っていない。


天然資源はもちろん日本は何もかも他国頼み、大量消費と飽食を謳歌してきた数十年ばかりの繁栄は砂上の楼閣だったということか。

それにしても改めて現場の声として聞きたい。


この買い負けの原因はなにか。

大まかで構わないので教えて欲しい。


「まず日本人が商売相手としては面倒くさいってことですね。欲しがるくせに金をケチる。どれだけ値下げできるか、この価格内でなるべく多く売ってくれって要求が度を越してます。これは輸入業者に限らず日本のどんな産業だって、企業人として働いていれば感じることだと思いますよ。おまけにちょっとでも売り主、製造側に瑕疵があれば報告書を出せ、改善計画書を出せって居丈高に要求する。日本人でもうんざりします」


この報告書、改善計画書というのは本当に曲者で、大事なことかもしれないが度を越すと難癖、クレーマーになる。

それも社内でやる分には勝手にすればいいが、取り引き先相手に要求するとなると他国では煙たがられることが多い。


「それも含めた過度の品質要求ですね。この場合は輸入材の瑕疵や輸送の遅れとかですね。日本人は完璧にしろ、時間は守れと言いますが多くの国はそうではありません。日本人の感覚や都合を押しつけてもこれまた相手はうんざりします」


品質管理とクオリティの高さは衛生用品や自動車などを中心に消費者の信用を得ているが、時として過剰品質になりかねない。

食肉についていえば日本は「この部位だけ切り分けろ」「形を均等にしろ」「色をよくしろ」と要求し、食べるに支障のない、おそらくエンドユーザーも大半は気にしないであろう部分まで要求する。

中国は「なんでもいいからちょうだい」とうるさいことを言わない上に日本より金を出す。

まして牛肉は内蔵どころか、近ごろは廃棄することが増えている皮などの部位まで持っていってくれる。

売る側がどちらを選ぶかは自明の理である。


「物流だってそうです。安くてうるさい日本の荷主なんか相手にしたくない」


相手がしぶしぶでも動いていたのは日本の金払いがよかったからであって、買い負ける、取り負けるということは金払いが悪くてうるさいから。

他にもっと金を払うクライアントがいるからそちらへなびく。

いたってシンプルな構図である。


「それにコンテナ不足で船は取れても運べない。コロナはもちろん自然災害でダメージを受けるのが物流です。マクドナルドもそれですね」


日本マクドナルドは2021年12月、カナダの水害により港が混乱、コンテナも足りず加工ジャガイモが運べなくなったとして「マックフライポテト」のMサイズとLサイズをしばらく休止した。


ごく短期間だが世間の衝撃は大きかった。当たり前に食べられたものが食べられない(実際はSサイズで食べられるのだが)、その実体以上のインパクトがあったのかもしれない。


MサイズとLサイズ販売の最終日には行列ができた。

漠然とした不安感がわけのわからない行動に走らせる。

それほどまでに食の影響とは恐ろしいものなのだ。

人間の動物としての本能を喚起する。


「さすがにマックは今後対策するでしょうけど、2022年からはこうしたことがあらゆる食の現場に起きるでしょうね」


実際、ジワジワと食品の価格は上がり、値段据え置きでも中身の減る「ステルス値上げ」も増えている。

とくに菓子類、ポテトチップスなどは顕著でちゃんと内容量の表示を見なければ「こんなに少なかったかな」と驚かされる。


「でもね、それもこれも日本の買い負けは円安のせいだと思ってます。強い円の力で引っ叩いて買い勝って言うこと聞かせてたのに、いまの日本で通貨が安いって怖いことですよ。通貨の安さにも良し悪しありますから」


日銀の黒田東彦総裁は2021年12月23日、経団連の会合で「円安はメリットが大きい」と語った。

どうだろうか、かつては円安のメリットがあったかもしれないが、輸出企業だって結局のところ燃料や原材料、部品の多くは海外から調達しなければ製品を作り輸出できない。

そもそも非製造業の大半にとって円安はデメリットのほうが大きい。

日本はかつての輸出一辺倒の国ではない。

しかし日銀はいまだに円安容認。じつは本稿、この件でA氏が怒って連絡してきたことに端を発している。


「いまの円安は悪い円安だと思います。もちろん強い国が自国通貨を操作、調整することはあります。人民元なんてまさにそれです。日本だってかつてはそうでした。でも現在の円安は日本の国力そのままの評価だと思っています」


現場で、現地で買いつけている彼にすれば後ろ盾となる通貨が安いことは不利。

多くの日本の一般国民も物価高、まだ一部とはいえ報道される品薄に不安を感じていることだろう。


「買い負けは戦場で負けたのと同じです。でも国の通貨が安いままで戦え、買い勝て、なんて無理ですよ」

市場は戦場、食料争奪は戦争のたとえは大げさではない。

こうした商社マンをはじめとする多くの現場で奮闘する日の丸企業戦士が戦場で負け、その繰り返しの先に待ち受けるのは日本の「第二の敗戦」だ。

買い負けを繰り返す中、再びコロナが世界で猛威をふるい始めた2022年、それは将来的な日本の食料危機の端緒となりかねない。


【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。全国俳誌協会賞、日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞(評論部門)受賞。『誰も書けなかったパチンコ20兆円の闇』(宝島社・共著)『評伝 赤城さかえ 楸邨、波郷、兜太から愛された魂の俳人』(コールサック社)他。


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商社マンが明かす世界食料争奪戦の現場 日本がこのままでは「第二の敗戦」も
NEWSポストセブン  2022.01.01
https://www.news-postseven.com/archives/20220101_1717680.html?DETAIL

 

 

 

 


■日本人は低い食料自給率のヤバさをわかってない~6割以上を海外に頼る状況を放置していいのか~

東京経済 2021/10/30 岩崎博充:経済ジャーナリスト 

https://toyokeizai.net/articles/-/464342


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10月31日に投開票を控える衆院選を前に、選挙戦では、どの政党からも「経済安全保障」というフレーズが飛び交っている。

岸田政権は、経済安全保障政策として今年5月に閣議決定された「中間取りまとめ」であげられたエネルギー、情報通信、交通・海上物流、金融、医療の5分野を重点分野として取り上げている。


しかし、実は日本には古くから高いリスクとして懸念されている安全保障分野がある。

それは「食料自給率」の低さだ。

食料自給率とは、自国の食料供給に対する国内生産の割合を示す指標。

日本は先進国でかなり低いレベルにある。


食料の自給は、国民の命を直接左右するものであり、ある意味では防衛やエネルギー資源以上に意識しなければならない。

ただ、今回の総選挙では大きなテーマにもなっていない。

日本の食料自給率は、本当に大丈夫なのか……。

農林水産省の資料などをもとに、いま一度考え直してみたい。

 

・日本の食料自給率、過去最低の37%!


農林水産省が最近になって発表した、2020年度のカロリーベースの日本の食料自給率は、前年度から0.38ポイント減少して37.17%になった。

統計データが存在している1965年度以降、小数点レベルで見れば過去最低の数字だ。

新型コロナウイルスによる影響で、畜産品の家庭用需要が拡大し、牛肉や豚肉などの国内生産量が増えたにもかかわらず、昨年度は輸入が増えた影響だとされている。


農水省は、現在2030年度までにはカロリーベースの食料自給率を45%に高める目標を掲げている。

ところが、日本の食料自給率は年々ズルズルと減少しているのが現実だ。


食料自給率の考え方には、熱量で換算する「カロリーベース」と金額で換算する「生産額ベース」の2種類がある。

カロリーベースでは1965年には73%あったが、前述したように今や37%まで下がっている。

生産額ベースの自給率も1965年には86%あったが、2020年には67.42%にまで減少している。


日本人の食料の6割以上を海外からの輸入に頼っているというのが現実だ。

いわゆる「食料安全保障」と呼ばれる分野である。

長い間、そのリスクが指摘されているものの、効果的な政策は出てきていない。


最近になって、新型コロナウイルスによる混乱などに伴って、牛肉や小麦、チーズなどが値上げされた。さらには天候不順などが原因で、10月1日以降輸入小麦の政府売渡価格が前期比19%引上げられ、家庭用レギュラーコーヒーが20%程度、そ

してマーガリンも12%程度値上げしている。

食料品の価格上昇は、日本に限ったことではないものの、世界的に需要と供給のバランスが崩れてきていることは間違いないだろう。


主食の穀物などの値上がりは、原油価格の値上がりと同様のインパクトを持っている。

日本では大きくクローズアップされることがないが、食品の7割近くを輸入に頼る危機感を、日本人はもっと意識しなければならない。


実際に、日本の食料自給率の実態を見てみよう。

たとえば品目別のカロリーベースの食料自給率は次のようになる(2020年度、農林水産省「カロリーベースと生産額ベースの食料自給率」より)。


●コメ…… 98%(生産額ベースでは100%)

●野菜…… 76%(生産額ベースでは90%)

●魚介類…… 51%(生産額ベースでは49%)

●果実…… 31%(生産額ベースでは65%)

●大豆…… 21%(生産額ベースでは47%)

●小麦…… 15%(生産額ベースでは19%)

●畜産物…… 16%(生産額ベースでは58%)

●油脂類…… 3%(生産額ベース47%)


日本で100%自給できている食料といえばコメぐらいしかない。

食料自給率を国際比較で見ても、日本の低さが際立つ(農林水産省、2018年、日本のみ2020年度、カロリーベース)。


●カナダ…… 266%(生産額ベースでは123%)

●オーストラリア…… 200% (生産額ベースでは128%)

●アメリカ…… 132% (生産額ベースでは93%)

●フランス…… 125% (生産額ベースでは83%)

●ドイツ…… 86% (生産額ベースでは62%)

●イギリス…… 65% (生産額ベースでは64%)

●イタリア…… 60% (生産額ベースでは87%)

●スイス…… 51% (生産額ベースでは50%)

●日本…… 37% (生産額ベースでは67%)


ちなみに、農水省食料安全保障室の「食料需給表(令和2年度)」によると、日本の穀物自給率は28%(2018年度)、2018年のデータでは172の国・地域中128番目、OECD加盟38カ国中、32番目となっている。

 

・日本の食料自給率が低いのは農地面積が少ないから?


日本の食料自給率は、なぜこんなにも低いのだろうか。

人口の少子高齢化によって、農業人口が大きく減少していることなどがその原因といわれるが、もっと根源的な部分にも理由があるのかもしれない。


たとえば、ちょっと古いデータだが、日本と先進国の農地面積を比較してみよう(2017年、農林水産省「知ってる?日本の食料事情 2020年12月」より)。


●アメリカ……4億555万ヘクタール

●オーストラリア……3億9380万ヘクタール

●カナダ……5769万ヘクタール

●フランス……2870万ヘクタール

●ドイツ…… 1810万ヘクタール

●イギリス……1780万ヘクタール

●イタリア……1283万ヘクタール

●日本……444万ヘクタール


日本の農地面積は、ほかの国に比べて桁違いに少ない。

1人当たりの農地面積で見ても、日本はわずか3.5ヘクタール(資料出所:同、以下同)しかない。

オーストラリアの約400分の1、アメリカの約40分の1、イギリスの約8分の1の農地面積しかない。

これでは、国民の食料を賄っていけないと考えるのが自然だ。


「農家一戸当たり」の農地面積を見ても、EUは日本の7倍(農林水産省、2009年、以下同)、アメリカは104倍、オーストラリアは1591倍というデータもある。


なぜこうなってしまったのか……。

日本の場合、国土面積のうち約7割が森林を占めており、農地面積が限られている、という説明ができる。

確かに、森林を農地に転換するのは大変な労力だが、これまでの農業政策でよかったのかという疑問は残る。

森林を守ることも大切だが、場所に応じて適切な使われ方をしていくことも大切だ。


日本はこれまで広大な森林面積を使って、ゴルフ場をつくり、住宅地を開拓してきた。

それに対して、農業は農業組合などの既得権益を持つ団体の保護に追われて、抜本的な改革ができなかったとも考えられる。

また、農林水産省自身が、戦後の木材不足を見越してスギやヒノキの植林を推奨したために、森林がそのまま放置された面もある。


日本の森林面積率は国土の約66%(2017年現在、以下同)。

それに対してオーストラリアは16%、イギリスは13%だ。アメリカ、ドイツはそろって32%。

食料自給率の向上を考えたときに、この66%の森林面積をどう生かしていくかが大きな問題といえるかもしれない。


また、日本の場合は、近年の人口減少で専業農家が減少してきたことも大きな影響を及ぼしている。

こうした時代の変化に対して、行政が農業の法人化といった農業政策の転換に遅れたのも1つの原因といっていい。

 

・食料自給率向上のためにとった政策とは?


こんな状況の中で、農水省がとった食糧自給率向上のための農業政策もあまり効果的ではなかった。

食品ロスをなくす、日本人の食生活を転換させるといったさまざまなプログラムはあったのだが、結果的にはその政策が効果的に働いているようには見えない。


例えば、政府は2015年3月に「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定して、2023年までにカロリーベースの食料自給率を39%(2013年当時)から45%に、生産額ベースでも65%(同)から73%に上昇させる、という目標を掲げた。


具体的には、食料の安定供給の確保、農村の振興、農業の持続的な発展、農業団体の再編整備といった政策を明示し、食料自給率の目標値を初めて設定した。

たとえば、力強く持続可能な農業構造の実現に向けた担い手の育成・確保・経営所得安定対策の着実な推進、女性農業者が能力を最大限発揮できる環境の整備、農協改革や農業委員会改革の実施、農村への移住・定住の促進といった項目が並ぶ。


さらには、民間企業・団体・行政等が一体となって国産の農産物の消費拡大を推進するプロジェクトを立ち上げて、食料自給率アップのために「今が旬の食べ物を選ぶ」「地元でとれる食材を使う」「ご飯を中心に野菜を使ったバランスのいい食事」「朝食の推奨」「食べ残しを減らす」といった「食育」の概念まで導入。国民の食生活にも注文を出している。


こうした「国民にお願いする」形の政策で、食料自給率の上昇は望みにくい。

抜本的な発想の転換がないまま現在に至っている。一方、食料自給率の低迷が国の安全保障に最も大きく関わっていることを、国民ももっと知ったほうがいい。

太平洋戦争においても、約230万人が戦死したがそのうち餓死した兵士が半分以上だったと言われている。

本当の意味のリスクに直面したときにどうすればいいのか……。

そうした現実に目を背けたままでは、本当の日本の安全保障にはつながらないのではないか。


今や、海外では国防も戦車やミサイルの数だけではなく、サイバーセキュリティーや食料の確保といったことに重きが置かれていると言われる。

食品ロスなどを抑えるという発想よりも、本気で安全保障を考えるのであれば、森林面積を多少削ってでも農地を増やす。

あるいは使わなくなったゴルフ場等を簡単に農地に転換するシステムづくり、あるいは都会の空き家を一定の期間を置いた後で農地に転換できるようにする、などなど……。

新しい時代に沿った画期的な発想が必要なのかもしれない。

 

・もし、食糧不足が起きたらどうなる?


実際に、日本で食料危機に陥った場合、われわれ国民はどうなるのだろうか……。

農水省のシミュレーションによると食料品の輸入がストップしたときには、カロリーの高い焼き芋や粉吹き芋などの「イモ類」を主食にして、毎食のようにイモを食べる「イモ類中心」の食生活を提案している。


小麦やコメは1日1杯程度に抑えてイモを代替にすることで主食を賄い、さらに牛乳は5日に1杯、焼肉は19日に1皿、卵は3カ月に1個……。
そんな食生活に切り替えていくことになるとしている(農林水産省「食料自給率及び食料自給力の検証、2019年11月」より)。


当然ながら、農地をカロリーの高い「イモ作」に切り替えることも必要になってくる。

日本の場合、食糧の7割近くを輸入品に頼っているわけだから、たとえば戦争や災害などによって、長期にわたって食料品が海外から入ってこなくなれば、当然ながら食料品が不足する。


農水省は、いざというときに備えて農産物備蓄を行っているが、次の3品目しか備蓄がない状態だ(2019年度現在)。

それもまた、民間にお願いベースでの“備蓄”が含まれている。


●コメ……政府備蓄米の適正備蓄水準は100万トン程度

●食糧用小麦……国全体として外国産食糧用小麦の需要量の2.3カ月分

●飼料穀物……国全体としてトウモロコシ等の飼料穀物100万トン程度を民間備蓄


要するに、政府が単独で食糧を備蓄しているのはコメのみ、というわけだ。

万一、海外からの食糧品が入ってこないことが明らかになった場合、可及的速やかに全国の農地でイモの栽培など、高カロリーな作物をつくり始めなければならない。


その場合、9割近くを輸入に頼っている「エネルギー」も絶たれると考えられる。言い換えれば、農作業も人力や家畜の労力に頼ることになる。まさに、半世紀以上前の世界に戻ることになりかねない。

ちなみに、日本のエネルギー自給率は、11.8%(資源エネルギー庁「総合エネルギー統計、2018年度確定値」より)。

東日本大震災の影響で低かった2014年の6.4%よりは回復したものの、世界的にみてもOECD35カ国中の34位と最低レベルの数字だ。


つまり、日本はエネルギーと食糧という国民生活に最も重要なライフラインを海外に頼っていることになる。


石油備蓄日数も、187日(2019年現在)しかないため、食料不足が深刻になって、イモ類を作らなければならないことがわかった段階で、農機具を動かすためのエネルギーが不足している可能性もあるということだ。


一方で、食料輸入先の国の事情も考えなくてはいけないだろう。

例えば農水省の資料によると、一般的な「天ぷらそば」を例に考えてみると、ソバは中国やアメリカ、天ぷらの中身であるエビはタイ、ベトナム、インドネシアなど、天ぷらの衣となる小麦はアメリカやカナダ、そしてその天ぷらを揚げる油は、カナダから主に輸入している。


天ぷらそばの食料自給率は22%にしかならない(2014年の数値)そうだ。

単純に考えて、天ぷらそば1杯にしても日本は世界中の国から、さまざまな食料を輸入して日常生活を送っているということになる。


仮に、中国とアメリカが戦争状態に陥るような地政学リスクが高まったら、日本は真っ先に食料不足とエネルギー不足に陥る可能性がある。

 

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日本人は低い食料自給率のヤバさをわかってない~6割以上を海外に頼る状況を放置していいのか~
東京経済 2021/10/30 岩崎博充:経済ジャーナリスト 
https://toyokeizai.net/articles/-/464342

 

 

 

 


■安倍政権、あまりに能天気な農業政策…輸入“超自由化”の一方、食料自給率急増の目標設定

Business Journal  2020.04.30


https://biz-journal.jp/2020/04/post_154651.html


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新型コロナウイルスのパンデミックの下、日本に食糧危機が迫ってきている。

各国において大規模な移動制限と物流混乱が起こり、食料輸出国において自国の食料確保を優先するために食料の輸出制限措置が広がっている。


その動きは、小麦ではロシア、カザフスタン、ウクライナ、インド、米ではインド、ベトナム、カンボジアなどにおよんでいる。

4月1日には、FAO(国際連合食糧農業機関)、WHO(世界保健機関)、WTO(世界貿易機関)の事務局長が連名で、「食料品の入手可能性への懸念から輸出制限のうねりが起きて国際市場で食料品不足が起きかねない」と警告の声明を発表した。

 


さらに各国で行われている新型コロナウイルス感染防止のための移動制限が、外国人労働者に大きく依存している欧米の農業に脅威を与えている。

米国では、昨年25万人以上の外国人労働者が農業に従事していた。


欧州でも旧東欧諸国からの労働者が農業に従事している。

移動制限によって外国人労働者が農業に従事できなければ、欧米では作付けが、南半球のオーストラリアでは収穫作業が困難になりかねない。


このままでは世界の食料生産が低下しかねない。

まさに、食料自給率37%の日本に食糧危機が迫ってきている。

 


このようななか、3月31日に政府は、農業の基本法である食料・農業・農村基本法に基づき、5年に一度改定する新たな食料・農業・農村基本計画を閣議決定した。

計画の焦点は、37%と過去最低を記録した食料自給率をどのように設定するかであったが、新たな計画では10年後の2030年に45%という目標を設定した。

 


食料自給率は、5年前の基本計画でも45%が目標値となっていたが、下がり続け、2018年には37%にまで低下。

先進国で最低の食料自給率となっているが、今回の目標値設定に際しても、その低下の原因については、まったく究明されなかった。


それどころか、食料自給率低下の原因として指摘されているメガ食料輸入自由化について、是正するどころか、それを前提とした基本計画としている。

 


さらに、農地面積は、現在の439.7万haが10年後には414万haと減少、農業就業者は現在の208万人から10年後には140万人と3割減少との見通しで、日本の農業を支える農地と農業就業者の縮小を前提としている。

 


関税撤廃が国内農家を脅かす
 では、そのようななかでなぜ食料自給率を10年後に45%にするという目標を立てられるのか。

それは、主要品目の以下の生産努力目標を見ればわかる(左は現在の数量、右は目標値)。

 


・飼料用米:43万トン→70万トン

 

・小麦:76万トン→108万トン

 

・大豆:21万トン→34万トン

 

・野菜:1131万トン→1302万トン

 

・果実:283万トン→308万トン

 

・生乳728万トン→780万トン

 

・牛肉33万トン→40万トン

 

・飼料作物:350万トン→519万トン

 


要するに農地も農業就業者も縮小するが、農産物は増産できるという能天気な予想に基づいて、食料自給率が10年後に45%になるという、まったく根拠のない想定なのである。


IT技術を活用するスマート農業によってそれを可能にするとしているが、高齢化している農業従事者でスマート農業を活用できる人は限られている。

 


さらに、日本農業を取り巻く環境は、メガ食料輸入自由化で野菜も果実も関税撤廃され、肉類や乳製品も関税の低減が連続的に進むことになり、圧倒的価格差のある輸入農産物の輸入拡大による農産物価格の下落で、農業経営の継続が困難になる事態を迎えている。

 


このような実現不可能な食料自給率目標を掲げて国民に誤った安心感を与えることはやめて、目前に展開しつつある食糧危機に真正面から対峙して、食料確保や、離農と高齢化が進む農業の緊急的なテコ入れに取り組むべきである。

 


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安倍政権、あまりに能天気な農業政策…輸入“超自由化”の一方、食料自給率急増の目標設定

Business Journal  2020.04.30


https://biz-journal.jp/2020/04/post_154651.html

 

 

 

 

 

■冨永愛さんが「危機感を感じる」と訴えた食料自給率とは?「かなりやばい」と指摘されたその割合は…

2022/5/14 ハフポスト

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_627dfd89e4b0f0ea7aff3c0f


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モデルの冨永愛さんが自身のTwitterで、日本の食料自給率(カロリーベース)について「かなりやばいと思う」と危機感を示したことが話題になっている。


冨永さんは5月11日、「日本が自給できているのは唯一お米のみ。それも完全に、ではない」と指摘。

「農業や畜産に関わる人たちへもっと手厚い補助や、若い世代の人たちが関われるような大きなアクションが必要だ」と主張した。


冨永さんの投稿には、13日午後5時の時点で4万5000件を超える「いいね」が付き、「世界情勢からしても、もっと日本は食料自給率を上げるべきだ」「カロリーベースだけで考えるのは不十分」といったコメントが寄せられている。


さらに、冨永さんは13日にも「カロリー、生産額、どちらにせよ、携わる人たちの高齢化や減少は問題」と指摘。

「自然災害や戦争、人口爆発などで輸入出来なくなる想定に備えなければ、これからさらに問題になる」とつづった。


食料自給率は、国内で消費する食料のうち国産でどのくらい賄えているかを示す指標。

農林水産省によると、2020年度のカロリーベースの食料自給率は過去最低の37%。


品目別では、例えばコメが98%であるのに対し、小麦は15%で多くを輸入に頼っている。

一方で、生産額ベースの自給率は67%だった。


政府は食料自給率について、30年度にカロリーベースで45%、生産額ベースで75%へと引き上げる目標を掲げているが、達成に向けて課題が多いのが現状だ。


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冨永愛さんが「危機感を感じる」と訴えた食料自給率とは?「かなりやばい」と指摘されたその割合は…
2022/5/14 ハフポスト
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_627dfd89e4b0f0ea7aff3c0f

 

 

 

 

 

 


■食料自給率 38%で大丈夫?

NHK 2020/8/24 サクサク経済学Q&A 経済部岡谷宏基記者

https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20200824.html


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私たちが食べるコメや肉などがどの程度、国産でまかなわれているかを示す「食料自給率」。

最新のデータがこのほど公表され、昨年度はカロリーベースで38%という結果でした。

日本は食料自給率が低いイメージがあるけど、38%ってやっぱり低いの?どうして?経済部の岡谷宏基記者、教えてください。

 

---食料自給率が38%ということは、食べているものの6割は輸入に頼っているということですよね。日本の食料自給率はどういう状況なんですか?

 

岡谷記者:

日本の食料自給率は、低下傾向が続いています。

ピークだった1965年度は73%でしたが、2000年度以降は、40%前後で低迷しています。

昨年度の38%というのは、過去最低だった前の年度からは1ポイント回復しましたが、過去2番目の低い水準でした。

政府は、ことし、10年後の2030年度に食料自給率を45%まで引き上げるという目標を掲げましたが、達成には程遠い状況です。

 

---コメなどは、ほとんどが国産ですよね。なぜ自給率が低いままなのでしょうか。

 

岡谷記者:

品目によって、自給率が大きく異なるからです。

コメをはじめ野菜や魚は、比較的自給できている一方で、畜産物やパンに使われる小麦などの自給率が低いために全体を押し下げているんです。

 

---スーパーに行くと国産の牛肉や鶏肉などをよく見かけます。それでも畜産物の自給率はこんなに低いんですか?

 

岡谷記者:

国内で育てられた牛や鶏でも食べるエサが海外から輸入したものであれば、その分は自給したとは見なされないからです。

例えば、鶏の卵は96%が国産ですが、鶏のエサとなるトウモロコシなどは海外に依存しているため、自給率は12%まで下がってしまいます。

牛肉や豚肉なども同じ理由です。

食生活の多様化によりこうした畜産物などの消費が伸びる一方で、コメなどの自給率の高い品目の消費が減っているため、どうしても全体の自給率が低くなってしまうんです。

 

---海外からの輸入でまかなえているんですよね?

 

岡谷記者:

ただ、いつでも安定的に食料が輸入できるわけではありません。

実際、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で国内の供給を安定させるためだとして、ロシアが小麦の輸出を一時、規制するなどの動きもありました。

海外で何か起きた場合でも食生活をある程度、維持できるようにしておく必要があります。

 

---もしも今、海外からの輸入がすべて止まった場合、どうなってしまうんでしょうか?

 

岡谷記者:

あくまでも想定ですが、こんな試算があります。

農林水産省によると、カロリーの高い「いも中心」に、農地を最大限活用して作付けすれば、国内の生産だけで必要なカロリーはまかなえると試算しているんです。

そのメニューがこちら。

朝食:パン、サラダ、焼きいも、リンゴひと切れ。

昼食:焼きいも、野菜炒め、粉ふきいも、煮豆。

夕食:ごはん、浅漬け、粉ふきいも、焼き魚ひと切れ。

牛乳は5日に1杯、焼き肉は13日に1皿、卵は36日に1個しか食べられません。

 

---毎食「いも」ですか…。

 

岡谷記者:

そうならないためにも食料自給率を高めていくことが必要です。

ただ、海外からの輸入自体が悪いことではありません。

さまざまな国の食材がいつでも身近にあるということは、私たちの暮らしを豊かにしますよね。

経済力がある国で食料の輸入が多くなるのは、当然のこととも言えます。

アメリカを見ても自給率が130%と100%を超えていますが、食料品の輸入額も1300億ドルを超え、世界トップクラスです。

大切なのは、豊かさを享受しながらも国内の食を安定的に維持できるよう基盤を整えておくこと、そのバランスだといえそうです。


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食料自給率 38%で大丈夫?
NHK 2020/8/24 サクサク経済学Q&A 経済部岡谷宏基記者
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20200824.html

 

 

 

 

 

■【農林水産省】世界の食料自給率

・諸外国、地域の食料自給率等

「我が国の食料自給率は、諸外国と比較すると、カロリーベース、生産額ベースともに低い水準にあります」

https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/013.html

 

 

 


■【アベトモ黒田日銀総裁が反日・売国であったことはご存知でしたでしょうか?】

・日銀金融緩和で刷られた円の行き先が日本企業でも日本国民でもないカラクリ

(Dr.苫米地 2016年9月15日)TOKYO MXバラいろダンディ

https://www.youtube.com/watch?v=tvzNqO6qsGI