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【「アメリカによる支配」はなぜつづくのか?】米国からの年次改革要望書…アーミテージレポート…属国は何を押しつけられてきたか~安倍元首相祖父・岸信介がアメリカと結んだ3つの密約~

2022-12-16 06:16:38 | 日記

 


■米、対中ミサイル網計画 配備先、日本は「最有力候補」

朝日新聞 2021年7月8日

https://www.asahi.com/articles/ASP7776F4P50UHBI03L.html

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米インド太平洋軍(司令部・ハワイ)が九州・沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線に沿って対中ミサイル網を構築する計画を進めている。


米国は配備先として第1列島線の延長線で中国に近接している日本国内を最有力候補地と考えており、実際に配備となれば、日本は米中対立の最前線として軍事的緊張を強いられることになる。

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米、対中ミサイル網計画 配備先、日本は「最有力候補」
朝日新聞 2021年7月8日
https://www.asahi.com/articles/ASP7776F4P50UHBI03L.html

 

 

 

 


■「アメリカによる支配」はなぜつづくのか?

原因は、岸首相がアメリカと結んだ3つの密約にあった!

PR TIMES 2018年12月26日 株式会社旭屋書店 矢部宏治

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000105.000013301.html


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矢部宏治さんの新刊『知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた』(講談社)が11月14日に発売された。

本作は、10万部を突破したベストセラー『知ってはいけない』の著者が、「戦後日本の“最後の謎”」を解く、衝撃の一冊。かつて占領下で結ばれた、きわめて不平等な旧安保条約――、それを対等な関係に変えたはずの「安保改定」(1960年)が、なぜ日本の主権をさらに奪いとっていくことになったのか?

「アメリカによる支配」はなぜつづくのか?安倍首相の祖父が“日本を売った”3つの密約とは?知ってはいけない、だが知らなくてはならない、日本に潜むいくつもの事実について、4コマまんがも用いて、わかりやすく解説している。

本TUBE編集部×矢部宏治インタビュー

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――今回、ベストセラー『知ってはいけない』の二作目ですね。


1のほうは何を書いたかというと、なぜ日本とアメリカにここまでおかしな関係が生まれたのか?ということ。
首都圏の上空が全部米軍に支配されたり、1952年に独立した戦後日本というのは、もともと朝鮮戦争への軍事支援を条件に米軍が独立を認めた国だったんです。
カーター・B・マグルーダー陸軍少将、この人が旧安保条約と行政協定を書いた。
軍人が書いているんですよ。
朝鮮戦争を戦うために、米軍の思い通りに作られたのが旧安保条約だったというわけです。

 

――不平等な旧安保条約について、最初にできてしまったものは仕方がないですが、改正してもなお続くおかしな関係性に問題があると指摘されています。


旧安保条約には「アメリカは米軍を日本およびその周辺に配備する権利を持つ」とありますが、これは日本の国土の自由使用と自由出撃を意味しています。
つまり、日本全体を基地として使えるし、国境を越えて自由に他国を攻撃できる。
こんな条約を結んでいる国はないんですよ。
それがどうして続いているのかというと、1960年に安倍首相の祖父にあたる岸首相が安保改定をしているんですけど、実はその3年前の1957年に、首相になってすぐアメリカに行って、ある合意をしていたんです。
それは安保改定に先立つ日米共同声明というもので、「日本国内の米軍の配備と使用については、アメリカが実行可能な場合はいつでも協議する」という内容でした。

 

――「実行可能な」というところが引っかかります。


はい、ここが最大のポイントなんです。
今までそういう協議は一回もされたことがないです。
外務省の官僚は国民には伝えないだけで、こういった事実の重大性をちゃんと理解していると思いがちですが、実際は全くわかってないという衝撃的な事実があります。
どうしてそういうことになっているのか、なぜ日本の外務官僚はそれを知らないのかっていう歴史を明らかにした本です。

 

――アメリカが一枚も二枚も上手だったというのもあるんでしょうか?


日本の偉い人間は外国との交渉を密室でやりたがるんです。
海外でももちろん隠すところもあるけれど、主権が関わるような基本的な問題はオープンなところでやるというのが原則です。
そうすれば、どんなに小さい国でも、無茶苦茶な主権侵害な状況にはならない。
なぜ日本がそういうことになっているかというと、もともと岸さんはA級戦犯容疑者として獄中にいて、そこから出てわずか7年で首相になった人物なんです。
その過程でCIAから資金的にも人脈的にも、ものすごく支援をしてもらっていたということが、アメリカの国務省が発表した資料でわかっている。
最初にものすごい後ろ暗いところがあるから、交渉を密室でやろうとするんですよね。

 

――なぜアメリカは岸さんを選んだんですか?


一つとして、能力が高いこと。頭がいいし体も強いんです。
もう一つは徹底した反共思想の人だから。
そしてもう一つは、そういう風にするためにずっと育ててきた人間だということ。この三つですよね

 

――さらに衝撃的だったのは、アメリカは日本を防衛する義務はない?


ないです。
旧安保条約の下に、行政協定という軍事的な取り決めがあって、新安保条約の下には、地位協定というものがある。
この二つは、“内容を変えない”っていう合意が最初からされています。
だから条文は一対一で対応していてほとんど一緒なんだけど、条文の数が違う。

 

―― 一個違うんですよね?


行政協定のほうは29条あるのに、地位協定のほうは28条しかないのです。
何がなくなっているかっていうと、行政協定の24条。
それが新安保条約で岸の最大の功績とされる、アメリカによる日本の防衛義務、それと事前協議制度です。
冷戦期は米軍が日本を見捨てることはあり得なかったのですが、今は違います。
武器を買わされて、社会に貧困が生まれているのに、買った武器が日本の安全じゃなくて危険を高めているという現状がありますね。


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「アメリカによる支配」はなぜつづくのか?
原因は、岸首相がアメリカと結んだ3つの密約にあった!
PR TIMES 2018年12月26日 株式会社旭屋書店 矢部宏治
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000105.000013301.html

 

 

 

 

■未だ米軍占領下。自民党が「日米地位協定」を見直そうともせぬ深刻な現実

gooニュース 2022/01/21

https://news.goo.ne.jp/article/mag2/world/mag2-525433.html


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・自民党政権に日米地位協定見直しができない理由


米軍基地が所在する自治体の首長や野党から、日米地位協定の見直しを求める声があがっている。


協定のおかげで米軍関係者とその家族は日本の検疫を受けずに入国できるため、沖縄県をはじめ各地の米軍基地で新型コロナウイルス「オミクロン株」のクラスターが発生し、基地から市街に“染み出し”ているからだ。


日米地位協定9条2項にはこうある。

合衆国軍隊の構成員は、旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外される。


合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、外国人の登録及び管理に関する日本国の法令の適用から除外される。

これが根拠となり、米軍関係者ならフリーパスで日本の基地に飛行機で降り立ち、そのまま市街に出ることができる。


オミクロン株の出現を受けて岸田首相は昨年11月29日、「外国人の入国について、11月30日午前0時より全世界を対象に禁止する」ときっぱり宣言したが、この水際対策に大きな穴があいていることはすぐに明らかになった。


米国では12月1日に初めてオミクロン株の感染者が発見されて以降、急速に感染が広がった。

米軍関係者は日本への出発前、到着後とも、ろくに検査を受けず、到着後の待機隔離もいい加減だった。


基地内では日本人スタッフも働いている。

米軍基地が発生源になる条件はそろっていた。


本来なら、政府は米軍に感染対策を徹底するよう確約を取るべきであっただろう。

少なくとも、基地の外に出るときには、PCR検査で陰性を確認すべきだ。


日米両政府は今年1月9日になって2週間の外出制限を打ち出したが、遅きに失した感は否めない。

米軍にしっかりとモノが言えない日本政府の体質の背景には、後述するような歴史的経緯もあるが、直接的には日米地位協定によるところが大きい。


米軍のいわば“治外法権”を認めた内容のため、独立国であるはずの日本の地位を属国のごとく貶め、米側が日本政府を甘く見る原因になっている。

それゆえ、地位協定の見直しはこれからの課題ではあるのだが、それを自民党政権が米側に提起できるだろうかと考えると、絶望的な気分になる。


なにしろ、日米安保条約に基づく取り決めなのだ。

岸田首相は日米地位協定について「改定は考えていない」「現実的に対応するのが大事だ」と語り、全くやる気はない様子である。


もし、見直しを申し入れたら、国防総省を中心に米政府が反発するのは目に見えている。

そもそも自民党は、1951年9月のサンフランシスコ講和条約で日本が主権をとり戻した後、米国が“再占領”するためにつくった政党といっても過言ではない。


1950年に勃発した朝鮮戦争をきっかけに、日本の「赤化」を恐れるようになった米国は対日政策を転換し、「反共」の中核として利用できるA級戦犯を巣鴨プリズンから釈放した。

その代表的人物が、のちに首相になる岸信介氏であり、極右の巨魁、児玉誉士夫氏だ。


巣鴨から釈放されたあと、児玉氏はGHQの情報機関G2に雇われ、その後、米中央情報局(CIA)のエージェントとなった。

米情報機関にすれば、児玉の戦前からの闇のネットワークが魅力的に見えたに違いない。


児玉氏は戦前、右翼の秘密結社「黒竜会」を支援するとともに、政府の依頼で、中国大陸における資材調達を請け負った。

「児玉機関」と呼ばれるそのあくどいやり方が、のちにA級戦犯とされる根拠となった。


それは、ヤクザの部隊を結成して中国の村々で村長を射殺したうえ、金品を略奪させるという荒っぽさだった。

アヘンの売買でも荒稼ぎし、金、銀、プラチナなどの財宝をためこんだといわれる。


児玉氏は戦後、莫大な資産を持って上海から帰国。

巣鴨を出たあと、その一部を自由党結党資金として提供した。


自由党は1955年、日本民主党との保守合同で、いまの自民党になった。

CIAが1950年代後半から60年代初めにかけて自民党に秘密資金を提供していたことも、2006年に米国務省が刊行した外交資料で明らかになっている。


1958年5月の衆院選前、アイゼンハワー政権はCIAを通じて、自民党の「親米的、保守的な政治家」に資金を提供したといい、それは60年代まで続けられた。

「砂川裁判」の最高裁判決(1959年)がアメリカ政府の指示と誘導によってなされたという驚愕の事実も2008年、米公文書で明らかになっている。


最高裁長官、田中耕太郎は、安保条約のような高度な政治的問題について最高裁は憲法判断をしなくてよいという判決を出し、以来、そういう考えは保守派から「統治行為論」と呼ばれて、あたかも法学上の「公理」のごとく扱われている。


日米安保にかかわる問題なら、たとえ憲法に反する場合でも、最高裁は違憲判決を下さない。

そういうことであれば、日本の官僚は米国の言いなりになることこそ保身の道と考えるだろう。


米国はその後も、日米構造協議や、毎年の年次改革要望書などによって、米国資本に都合のいい社会、経済構造に日本をつくり替えてきた。

アメリカに追随することはできても、決して「ノー」と言えない遺伝子は自民党政権と、それを支えてきた官僚機構に受け継がれている。


安倍元首相などはトランプ大統領と何度もゴルフをして親密さを国民にアピールしたことをもって、外交に成功したと高く評価されているほどだ。

地位協定の見直しのチャンスがあったとしたら、政権交代で非自民政権が誕生した時だろう。


とくに沖縄返還や核持ち込みなどをめぐる日米間の密約を暴こうとした民主党政権の初期だ。

民主党が2009年の総選挙で掲げた政権公約には次のように記されていた。


「日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」

だが、日米地位協定の改定が提起されることはなかった。


当時の鳩山首相は普天間飛行場の移設先を辺野古ではなく「最低でも県外」と、それまでの日米合意を覆す発言をして、米国政府と日本の外務・防衛官僚から総スカンを食い、退陣に追い込まれた。


“日米安保”に触れると致命的な傷を負うのだ。

沖縄県外に新基地の候補地を捜していた鳩山首相の意向をことごとくはねつけたのは、日米地位協定に関する事項を協議する「日米合同委員会」だった。


鳩山氏は首相在任当時、この機関の存在を全く知らなかったという。

「日米合同委員会」は日本の幹部官僚たちと在日米軍との公式な協議機関だ。


日本側代表は外務省北米局長で、その下に各省の官房長、局長、審議官、課長クラスがずらりと並ぶ。

米側は、代表の在日米軍司令部副司令官以下、米大使館の公使や、陸、海、空軍、海兵隊の各司令部の幹部たちで構成されている。


各省庁のエリートたちが、在日米軍の幹部のもとにはせ参じ、安保条約を憲法より重視して合意形成をはかっているのである。

この機関が日米地位協定の見直しに応じるとはとても思えない。


戦後77年を経たいまでも、日本はアメリカの支配下にあるといっても過言ではない。

政府にいくら談判しても埒があかないのはそのためだ。


しかし、いつまでもこのままでいいのだろうか。

“占領”を継続しているかのような駐留米軍のありようは、米軍基地の集中する沖縄などで不信のマグマを溜め続けている。


日米関係が重要なのはいまさら言うまでもないが、それゆえにこそ、米国にきちんとモノを言える形をつくっておく必要があろう。

いかに荷が重くとも、岸田首相はこの問題から目をそらすべきではない。


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未だ米軍占領下。自民党が「日米地位協定」を見直そうともせぬ深刻な現実
gooニュース 2022/01/21
https://news.goo.ne.jp/article/mag2/world/mag2-525433.html

 

 

 

 


■安倍首相の「安保法制」妄執の背景に、敬愛する祖父・岸信介がA級戦犯を逃れるため米国と交わした裏取引きが!

エキサイトニュース 2015年8月17日

https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_1400/


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安倍晋三首相が愛してやまない祖父、岸信介は1945(昭和20)年9月15日にA級戦犯容疑で逮捕される。

当時は誰もが岸は有罪とみていた。


それはそうだろう。

満州官僚時代に軍部と結託してアヘン取引に手を染め、アヘンを求めて中国領土を侵す軍をバックアップし続けた。


取引で得た巨額の利益を戦費に回し、一部を政治資金として活用して軍国主義者の象徴といえる東条英機を首相にまで昇りつめさせた。

さらには東条の片腕として商工大臣、軍需次官を務め、国家総動員体制、大東亜共栄圏の自給自足体制の確立を遂行するなど、戦時日本の寵児として辣腕を振るった。


岸が戦争遂行の中枢にいたことは疑いようがない。

そんな岸を戦勝国が犯罪者リストから外すわけがないのである。


にもかかわらず、岸は満州時代の盟友・東条英機の絞首刑が執行された翌日の1948(昭和23)年12月24日に不起訴処分で釈放された。東条の絞首刑と岸の生還、明暗を分けたというには余りにも落差の大き過ぎる結末だった。

 
あるいは岸の満州時代の上司であり、東条内閣では内閣書記官長として共に支えてきた星野直樹は終身禁固刑に処せられた。

満州では岸は星野よりはるかに手を汚し、閣僚として戦争遂行にかかわった度合いも、岸のほうが大きかったはずである。


当然、研究者やジャーナリストにとってもこの処遇の違いは興味の対象となる。

岸はなぜ、戦犯を逃れたのか。


ひとつは、岸がもともと用意周到でなかなか尻尾がつかめない存在であることがあげられるだろう。

有名な「濾過器発言」にその片鱗が垣間見られる。


岸は1939(昭和14)年10月に満州を離任する際、数人の後輩たちを前にこう語っている。


「政治資金は濾過器を通ったきれいなものを受け取らなければいけない。問題が起こったときは、その濾過器が事件となるのであって、受け取った政治家はきれいな水を飲んでいるのだから、かかわりあいにならない。政治資金で汚職問題を起こすのは濾過が不十分だからです」


要は、証拠を残すなということであり、嫌疑に対して敏感になれということでもある(実際、岸は東条内閣時代に書いた書類をすべて焼却してしまっている)。

だが、それだけでは訴追はまぬがれない。


岸はアメリカに対して具体的な"工作"を行っていた。

そのひとつは再びアヘン絡みの話だ。


東海大学名誉教授、太田尚樹氏の著書『満州裏史 甘粕正彦と岸信介が背負ったもの』(講談社文庫)に元ハルピン特務機関員の田中光一のこんな証言が載っている。


「麻薬はどこの国でも最大の関心事でした。もちろん、アメリカだってそうです。戦後、GHQが克明に調査して関係者に尋問したのに、まったくと言っていいほど処罰の対象に指定しなかったのは、不思議だと思いませんか。あれは明らかに、情報提供の代償となったからです。甘粕はもうこの世にいませんでしたが、里見、岸なんかが無罪放免になったのは、そのためなんです。エッ、東条にはどうかって? 彼は直接戦争責任に結びつく訴因が多過ぎて、GHQは阿片の件で取り調べるだけの時間がなかったのです。アメリカは裁判を急いでいましたからね」


証言に出てくる「里見」とは、里見甫のことだ。

「アヘン王」と呼ばれた陸軍の特務機関員で、上海を拠点にアヘン取引を仲介していた。


岸とアヘンの関わりを調べる中で繰り返し出てくる名前でもある。

千葉県市川市にある里見の墓の墓碑銘を揮毫したのが岸だったことは前回、紹介した。


その里見も戦後、A級戦犯容疑者として逮捕されている。

そして、田中の証言通り、不起訴者リストの中に「里見甫」の名前は載っていた。


つまり、岸や里見はアメリカにアヘン情報を提供する見返りに戦犯訴追を免れたというわけだ。

もうひとつ、岸には戦争責任逃れのための「東条英機裏切り」工作というのも指摘されている。


満州の関東憲兵隊司令官だった東条英機が中央に戻り、陸軍次官、陸軍大臣、首相へと上り詰める原動力になったのが、岸がアヘン取引で得た豊富な資金だったことは前回書いた。

岸は東条内閣を商工大臣、軍需次官として支え、戦争を主導した。


ところが戦争末期にこの仲が決裂する。

それどころか、岸VS東条の対立がもとで内閣が崩壊してしまったのだ。


毎日新聞に掲載された「岸信介回顧録」(1977年5月11日付)によれば、岸は〈サイパン陥落のあと「この戦争の状態をみると、もう東条内閣の力ではどうしようもない。だからこの際総理が辞められて、新しい挙国一致内閣をつくるべきだ」ということでがんばった〉という。


そして、東条内閣は瓦解。下野した岸は郷里に帰り、防長尊攘同志会をつくって、引き続き「打倒東条」の政治活動を続けた。

この一連の行動について毎日新聞記者だった岩見隆夫氏が非常に興味深い証言を採取している。


証言の主は満州時代の岸の部下だった武藤富男だ。

武藤は東条内閣が崩壊した直後の昭和19年7月、岸とともに満州を牛耳った「二キ三スケ」(東条英機、星野直樹、岸信介、鮎川義介、松岡洋右の語尾をとってこう言った)の一人、星野直樹(前出、A級戦犯)を訪ねた。


〈その折、星野は武藤にこんなつぶやきをもらしている。

「岸は先物を買った」

「どういう意味ですか」

「東条内閣を岸がつぶしたということだ」

しかし、どうして先物買いになるかについて星野は語ろうとしなかった。


「戦後、再び星野さんに会ったとき、もう一度『先物を買ったというのは、岸さんが敗戦を予期していたということなのですか、それとも戦犯を免れるためという事まで考えて岸さんは東条内閣をつぶしたとあなたは見通したのですか』と問い質してみたのですが、相変わらず、星野さんは黙したまま答えてくれませんでした」
 と武藤はいった〉(岩見隆夫『昭和の妖怪 岸信介』中公文庫)


この「先物買い」というのはまさに、敗戦を見込んで、わざと東条と反目したということだろう。

前出の太田尚樹も同じ見方をしている。


〈打倒東条は国難の打開、つまり国家のためという大義名分が成り立つ一方で、戦犯を逃れることはできないまでも、連合軍から大きなポイントを稼ぐことができると読んでいた〉

〈満州以来の二人の関係は、刎頚の友といった関わりではなく、結局は、互いに利用し合っていただけだった〉

〈つまり東条は岸の頭脳と集金力を利用し、岸は陸軍を利用しながら権力の座を目指したが、その陸軍の頂点に、権力の権化と化した東条がいた。だがアメリカ軍の攻勢の前に、東条の力など見る影もなくなってきている。こんな男と便々とつるんだまま、一緒に地獄に落ちるのはご免である〉(前掲『満州裏史』)


この変わり身の早さこそ岸の真骨頂といえるが、さらに、岸には獄中で、もっと重大なアメリカとの政治的取引を行っていたのではないか、との見方がある。

その取引が、岸を訴追から救い、そして戦後、内閣総理大臣に押し上げた最大の理由ではないか、と──。


それが何かを語る前に、戦後アメリカの対日政策には2つの流れがあったことを指摘しておく必要がある。

ひとつは民政局(GS)に代表されるニューディーラーを中心としたリベラル勢力で、日本国憲法の素案づくりにも携わった。


民主化を徹底する立場から旧指導者への処分も容赦がなかった。

もうひとつは治安を担当する参謀本部第2部(G2)を中心とした勢力で、対ソ連、対中国戦略を第一に考える立場から、日本を再び武装化して"反共の砦"に育て上げようと考えていた。


GHQ内部ではこのふたつの勢力が対立していた。

占領当初はGSの力が強かったが、米ソ冷戦が本格化するにつれて「反共」のG2が「対日懲罰」のGSを凌駕するようになる。


こうした流れの中で、G2は巣鴨拘置所に拘留されていた岸との接触をはじめた。

再び、前回紹介した原彬久氏の『岸信介―権勢の政治家―』(岩波新書)を引く。


〈G2およびこれと連携する人脈が獄中の岸と接触していたことは、確かである。例えばGHQ経済科学局のキャピー原田は、巣鴨の岸から「戦後復興」問題でたびたび意見を聞き、しかも原田みずから上司のマーカット少将に「岸釈放」を説いている(朝日新聞、平成六年九月二二付)。いずれにしても、こうした文脈を抜きにしては、岸が不起訴、無罪放免となっていよいよ戦後政治の荒涼たる舞台に放たれるその道筋は理解できないだろう〉


G2は実際、1947(昭和22)年4月24日付で最高司令官のマッカーサー宛に岸の釈放を求める異例の「勧告」まで出している。

獄中で岸はアメリカとどんな取引をしたのだろう。


自らの命のためならかつての盟友を売る男である。

いったい何と引き換えに、無罪放免を勝ち取ったのか。


これについては「週刊朝日」(朝日新聞出版)2013年5月24日号が渾身のリポートを掲載している。〈「星条旗」の下の宰相たち〉というシリーズの〈第3回「ストロングマン」〉。

筆者は同誌の佐藤章記者だ。


まず、岸はアメリカにとってどういう存在だったのか。

同記事を引く。


〈戦後の米国のアジア政策は、米国の国益を守ってくれそうな、その国における「ストロングマン」を探し出すことから始まる。韓国における李承晩、台湾における蒋介石がその典型だ。日本においては吉田茂であり、鳩山一郎、緒方竹虎と続いて、1950年代半ばに岸の番が巡ってきた〉


では、岸に与えられたミッションは何だったのか。


〈(日本国憲法)第9条があるために日本は自衛目的以外の軍隊が持てず、米国との相互的な防衛能力を保有できなかった。つまり、米国が攻撃を受けても日本は援軍を出すことができない。さらに言えば、米国の軍事戦略に乗っかる軍隊を持つことができない。この相互防衛の考え方が、集団的自衛権の解釈として、1951年の旧日米安保条約締結以来、日米間の問題となった〉


まさにいまの安倍政権が強引に進める新安保法制につながる話だ。

この問題解決こそ、岸がアメリカから言われた最大のミッションで、そのために最初に着手したのが〈「建設的勢力」の結集〉つまり保守合同だ。


では、カネはどうしたのか。

前出の佐藤記者は米アリゾナ州ツーソンに飛んだ。


アリゾナ大学歴史学研究室のマイケル・シャラー教授に会うためだ。

シャラー教授は米国務省の歴史外交文書諮問委員会委員を務め、非公開資料にも目を通すことができる。


以下、佐藤記者によるインタビューだ。


〈――岸元首相に対してCIAから資金提供があったという話をどう思いますか?

「そういう証拠はあると思う。賄賂的な意味合いよりは、派閥の運動資金や政治キャンペーン資金というような形で提供されたと理解している」


 ――資金はどのような形で渡されたのでしょうか?

「当時、CIAから経済団体や企業を通じて岸のほうに資金が流れたという記述を米国側の書類で私は目にしたことがある」〉(前同「週刊朝日」より)

これについては、CIAから自民党への秘密献金をスクープしたニューヨークタイムズのティム・ワイナー記者も、その著書『CIA秘録』(日本版は文藝春秋)でこう断言している。


〈CIAは1948年以降、外国の政治家を金で買収し続けていた。しかし世界の有力国で、将来の指導者をCIAが選んだ最初の国は日本だった〉

〈釈放後岸は、CIAの援助とともに、支配政党のトップに座り、日本の首相の座までのぼりつめるのである〉


岸は、日本におけるアメリカの国益を実現するため、アメリカによって選ばれ、アメリカの資金でつくられた首相だったということだ。

A級戦犯容疑者の身からわずか9年、公職追放解除からたった5年足らずで政界トップに上り詰めた秘密がここにある。


その岸が首相在任中にアメリカに言われてやった最大の仕事は、言うまでもなく日米安保条約の改定だ。

一般に、旧安保条約では日本がアメリカに基地を提供する一方でアメリカの日本防衛義務が明記されていないとの批判があったが、新条約ではそれを盛り込ませることができたと評価されている。


だが、アメリカの狙いはそこではなかった。

佐藤記者はこう書いている。


〈新条約は5条で米国の日本防衛義務を盛り込んだが、続く6条で、米国のアジア戦略のために在日米軍を利用できる「極東条項」が組み込まれた。米国の本音を明確にした条項だ〉


しかもこの「極東条項」の「極東」の範囲が明確でなく、アメリカは日本の基地を好き勝手に使えるようになった。

事実、新安保条約締結から50年以上経つが、米軍が日本防衛のために出動したことは唯の一度もない。


反対に、米軍がアメリカの戦争のために日本の基地を自由に使うことは日常化している。

安保条約改定が誰の指示よるものだったかがわかるだろう。


佐藤記者はこうした事実をさらに裏付けるため米ワシントン郊外にある米国国立公文書館別館を訪ねる。

そこでCIAが作成した「岸信介」のファイルの閲覧を請求し、驚くべき事実と遭遇する。


なんと、CIAのファイルにはたった5枚の資料しか入っていなかったのだ。

他のA級戦犯容疑者についてはたとえ不起訴でも膨大な資料が残されている。


例えば、緒方竹虎は1000枚近く、正力松太郎は500枚ほど。

しかし、岸はたったの5枚しかない。


これは明らかに異常だ。

実は、岸に関するCIA資料はほとんどがまだ秘密指定を解除されていないのだという。


つまり、岸とアメリカの関係はいまだに表に出せない内容が含まれているとアメリカが判断しているということなのだ。

それは、アメリカの対日占領政策がまだ継続中だということでもある。


しかし、こうした歴史を振り返ると、いま現在の安倍政権がやろうとしていることの謎が解けてくる。


 Q:安倍首相はなぜ、集団的自衛権行使にあそこまでこだわるのか?
 A:おじいちゃんが不起訴の見返りにアメリカと約束したことだから。


 Q:安倍首相はなぜ、日本国憲法を「みっともない」と毛嫌いするのか?
 A:おじいちゃんを助けてくれたG2と敵対する人たちがつくった憲法だから。


 Q:安倍首相はなぜ、改憲しようとしているのか?
 A:それも、おじいちゃんが不起訴の見返りにアメリカと約束したことだから。


 Q:安倍首相はなぜ、沖縄の「屈辱の日」をお祝いしようとするのか?
 A:おじいちゃんの公職追放がやっと解除された記念の日だから。


 Q:安倍首相はなぜ、「侵略」や「おわび」や「反省」をためらうのか?
 A:あの戦争はおじいちゃんも深く関わった自存自衛の聖戦だから。

 

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安倍首相の「安保法制」妄執の背景に、敬愛する祖父・岸信介がA級戦犯を逃れるため米国と交わした裏取引きが!
エキサイトニュース 2015年8月17日
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_1400/

 

 

 

 

 

■安倍首相の危険な最終目標 徴兵制復活、上世代に雇用奪われた若年層を戦地へ派兵の懸念

Business Journal 2014.12.13

https://biz-journal.jp/2014/12/post_8272.html


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現行憲法では、99条で「天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は憲法を尊重し擁護する義務を負う」としているのに、改憲案ではわざわざ102条を新説し、国民に対し憲法を守れとしている。

国民の義務を謳った新設条文はほかにもあり、「家族は互いに助け合わなければならない」として、本来憲法が踏み込むべきではない道徳に踏み込んでいたりする。


96条で憲法改正に必要な衆議院、参議院での賛成数を3分の2と定めているが、これも過半数に緩和するとしている。

だが、これでは憲法が一般の法律程度の賛成多数で変えられるようになってしまい、それでは憲法は憲法でなくなる。


一般の法律は定足数が総議員数の3分の1で、その過半数の賛成で成立する。

これと同じレベルにするということは、権力者である安倍首相が自らを縛る規律を大幅に緩めようとしているわけで、これは間違いなく立憲主義の否定になる。


天皇の権限を大幅に増やす条文が新設されていることについても、小林氏は「政治利用が行われ得ない様にすべき」と批判的だ。

公務員による拷問や残虐な刑罰を禁じた36条では、「絶対にこれを禁ずる」から「絶対に」だけが削除されている。


明確に「国防軍」という条文も新設されている。

とにかく全体的に、戦前の家父長制度を基本とし、国家の利益が個人の利益に優先する明治憲法への回帰を志向しているとしか思えない細かい「改正」箇所が随所に登場するのである。

 

・現実味帯びる徴兵制


当然、集団的自衛権を容認する前提で必要な改正も盛り込まれている。

今回の選挙の争点である経済政策、原発再稼働容認の有無、集団的自衛権容認の有無は、3点がセットである。


経済政策には賛成でも残り2つには反対という人が自民党に投票すれば、もれなく反対である残り2つにも賛成したことになってしまう。

自民党内に反対派が事実上おらず、政権与党内に誰も安倍首相を牽制できる政治家がいないからだ。


集団的自衛権について、安倍首相は海外の紛争地域での邦人保護など、耳当たりの良い事例だけを引き合いに出して説明しているが、要するに国民が国家から「海外へ行って人殺しをしてこい」と命じられることなのだ。

人間の約95%は人殺しをすると心を病むということが、科学的に立証されている。ボタン一つで人殺しができる現代でも、心を病む兵士は後を絶たない。


それでは海外へ行って人殺しをしろと国から命令されるのは一体誰か。

多くの人は自衛隊員と答えるはずだ。

それでは「自衛隊員にあなたは志願しますか」「あなたの子供を自衛隊員にしますか」という質問をされたらどう答えるのだろうか。


自衛隊員には、任期がない隊員と、任期がある隊員がいる。

防衛白書によれば、任期がない隊員は14年3月末時点で20万5333人、任期がある隊員は2万379人いる。

「曹」「准尉」「将」といった幹部クラスの人数は18万4983人と、5年前に比べると1230人増えている。


定員に対する充足率も96.8%と高水準だ。

だが、最下層の「士」は4万729人と、5年前に比べて4783人、率にして1割減っている。


この「士」は任期付きの隊員が半数を占め、その任期付きの隊員に限っていえば、2割も減っている。

「士」全体としての定員に対する充足率も72.6%と低水準だ。


集団的自衛権の容認が実現すれば、おそらく自衛官への志願者は激減するだろう。

ただでさえ18歳以下の人口は減少の一途を辿っている。


必要な頭数が揃わなくなれば、にわかに徴兵制度が現実味を帯びてくる。

実際に海外から派遣要請が来たときに、「頭数が揃わないので派遣できません」などと言えるわけがない。


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安倍首相の危険な最終目標 徴兵制復活、上世代に雇用奪われた若年層を戦地へ派兵の懸念
Business Journal 2014.12.13
https://biz-journal.jp/2014/12/post_8272.html

 

 

 

 


■年次改革要望書

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B4%E6%AC%A1%E6%94%B9%E9%9D%A9%E8%A6%81%E6%9C%9B%E6%9B%B8


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年次改革要望書は日本政府とアメリカ政府が両国の経済発展のために改善が必要と考える相手国の規制や制度の問題点についてまとめた文書で2001年から毎年日米両政府間で交換され2009年(平成21年)に自民党から民主党へと政権交代した後、鳩山由紀夫内閣時代に廃止された。

日本に対するアメリカ側の要望書は『日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府に対する米国政府の年次改革要望書。

 

○アメリカの要望  

・アメリカ政府による日本改造


関岡英之は年次改革要望書は、アメリカ政府による日本改造という観点から注目し、アメリカによる日本への年次改革要望書の性格は、アメリカの国益の追求という点で一貫しており、その中には日本の国益に反するものも多く含まれているとしている。

衆議院議員小泉龍司は、2005年(平成17年)5月31日の郵政民営化に関する特別委員会において、要望書について「内政干渉と思われるぐらいきめ細かく、米国の要望として書かれている」と述べている。

郵政民営化は、郵便貯金や簡易保険などの国民の財産を外資に売り渡す行為であるとし、また三角合併解禁については時価総額が大きい外資が日本大手企業を買収して傘下に置き易くすることを容易化する行為として、外資への売国的行為とする意見がある。

年次改革要望書で言及されている医療改革は、外資系保険を利することが目的となる一方で、診療報酬(レセプト)減額や患者の医療費負担増大が、医療崩壊に繋がっていると指摘する意見がある。

1999年(平成11年)の労働者派遣法改正により、日雇い派遣が原則解禁となったが、これにより労働環境の不安定化(ワーキングプアの発生)という社会問題を生み出している。


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年次改革要望書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B4%E6%AC%A1%E6%94%B9%E9%9D%A9%E8%A6%81%E6%9C%9B%E6%9B%B8

 

 

 

■年次改革要望書…アーミテージレポート… 属国は何を押しつけられてきたか

長周新聞 2018年10月15日

https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/9571


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第4次アーミテージレポートを発表したことが注目を集めている。

これはアーミテージ元米国務副長官、ジョセフ・ナイ元米国防次官補らが主導するシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)が発表した「21世紀における日米同盟の再構築」とする文書で、表向きは対等な「提言」という形だが、実態は宗主国アメリカが植民地日本に押しつける政策命令書に等しいものだ。

ここ二十数年で進行した郵政民営化も人材派遣自由化も米軍再編も、すべてアメリカが1994年以後突きつけてきた年次改革要望書と、それを引き継ぐアーミテージレポートの具体化だった。

それは日本の主権が侵された異常な現実を突きつけている。

 

「年次改革要望書」は、1993年の宮沢―クリントン会談で合意し、翌年から毎年10月に提出されるようになった。

表面的には日米両国が互いに要望書を交換する形態をとるが、日本側の要望はまったく実行されない。

その実態はアメリカ側が日本に押しつける一方的な政策命令にほかならない。

しかもアメリカの要求は通信、医療機器・医薬品、金融、エネルギー、流通など多岐にわたり、法律業務、競争政策をふくめ、国の制度自体を変える内政干渉を含んでいた。

 

90年代の年次改革要望書を見てみると、「商法」関連で米国型企業統治の導入や、日本企業を買収しやすくする株式交換型M&A(三角合併)解禁を求め、「競争政策」で独占禁止法の罰則強化や公正取引委員会の権限強化を要求している。

これはNTTなど日本の巨大企業を規制し、外資が日本市場に殴り込みをかけるための施策だった。

さらに郵政民営化、立法・行政の施策決定過程への外国人利害関係者の介入拡大、日本を訴訟社会にして日本企業の弱体化とアメリカの弁護士業界進出をはかる司法制度改革などを盛り込んだ。

 

その要求にそって日本政府は1997年に独占禁止法改定をおこない、持株会社を解禁(金融持株会社も含む)した。

持ち株会社は傘下企業の株式だけ握って支配する会社で、以前は禁じていた制度だ。

持ち株会社の解禁によって製造に直接携わらない持ち株会社がグループの頂点に君臨し、末端の製造部門を徹底したコスト削減に駆り立てる動きが加速した。

 

98年には地元小売店や商店街を守るための大規模小売店舗法(大店法)を廃止し、大型店出店を野放しにした。

海外からの参入も促進し、地元商店街が一気に疲弊していく下地となった。

同年には、「約半世紀ぶり」ともいわれる建築基準法抜本改定を強行した。

もともと日本の建築基準は、地震国であるため国際基準より厳しく、建築物の建て方(仕様)を細かく規制した「仕様規定」だった。

それを「国民の生命、健康、財産の保護のため必要な最低限の性能があればよい」とする「性能規定」へ転換した。

日本で古来から培われた建築基準を崩したことで、外国の建材や工法がどっとなだれ込んだ。

その結果が現在の自然災害における家屋被害拡大にもつながっている。

 

99年には労働者派遣法改悪で人材派遣を自由化した。技術者を育てていく終身雇用を崩壊させ、必要なときだけ外から連れてきて働かせる不安定雇用を拡大した結果、若い世代の貧困化、技術の断絶、少子高齢化に拍車がかかった。

 

さらにアメリカは制度変更後も着実に実行しているか目を光らせ、毎年の年次改革要望書に盛り込んだ。

例えば大店法を廃止した翌年の1999年には、大型店出店の動きがある地方自治体の活動を監視し、大型店出店を国を挙げて援助することを促している。

このころから「市場参入と事業の運営、許可、規準、資格、検査、試験、認定制度に関する規則等の民間規制は事業活動に悪影響を及ぼす可能性がある」と明記し、それこそ「聖域のない規制緩和」を要求し始めている。

 

そして2001年になると小泉―ブッシュ間で、今後「日米規制改革イニシアティブ」の名で年次改革要望書の発行を継続すると決定した。

このとき小泉首相が身振り手振りを踏まえながら絶叫していた「聖域なき構造改革」はこの年次改革要望書の具体化だった。

なかでも「年次改革要望書」で1995年から実行期限まで区切って要求したという郵政民営化はその典型だった。

 

03年段階で郵政事業庁を廃止し、日本郵政公社を発足させていたが、同年の年次改革要望書が「(郵政三事業の民営化計画を)2004年秋までに作成するよう指示を出したことを特筆する」と記述すると、小泉政府はますます強引に制度構築に奔走した。

2004年6月の経済財政諮問会議で「骨太の方針2004」に郵政民営化を盛り込み、十分な論議もなく、郵便局現場で今後の不安が拡大するなか3カ月後の9月に閣議決定した。

そして2005年8月に郵政民営化関連法が参院本会議で否決されると「自民党をぶっ壊す」と叫び、郵政解散選挙を演出。

そして郵政民営化に反対した議員の選挙区に小池百合子などの刺客を送り込み、メディアを挙げて郵政民化営反対の動きを袋だたきにしてつぶすことで、アメリカの対日要求に忠実な施策を着実に実行していく隷属構造を強化した。

 

郵政民営化法成立によって当時、郵貯、簡保の国債分を除いて200兆円もあった国民財産は民営化でいつアメリカ金融資本に奪われてもおかしくないようになった。

120兆円資産の簡保は、今後「透明性のある競争の確保」「民業を圧迫する政府保証を排除せよ」などといってさらに弱体化させ、最終的には分割、解体、経営破綻に追い込み、M&A(企業の合併・買収)や営業権譲渡で米国系民間保険会社が吸収する危険も指摘される事態となった。

 

この郵政民営化以後、アメリカの対日要求を首相直属機関である諮問会議などがせっせと「国の方針」に作り直し、それを短時日のうちに閣議決定して法案作成、国会採決へとすすむ流れがより露骨になった。

郵政民営化の次は農協・漁協などの相互扶助組織がおこなってきた金融・共済の解体、日本の医療制度や国民皆保険制度の破壊などの動きを強めている。

 

 

・属国打破が全国的課題

 

年次改革要望書自体は自民党大惨敗で発足した鳩山政府の時期(2009年)に廃止となり、それ以後、日米経済調和対話やアーミテージレポートへと引き継いでいる。

だがアメリカがシナリオを書きそれを時の政府が忠実に実行する関係はまったく変わっていない。

 

2016年3月に米日経済協議会(USJBC)が「アベノミクスの中心転換経済成長に不可欠な新しい構造・規制改革」と題する提言を発表した。

事実上、年次改革要望書にかわる文書だが、そこにはTPP協定実施に向けた関税・非関税措置の撤廃、法人税率の25%への引下げなどの要求とともに、今年成立させた働き方改革関連法や統合型リゾート推進法(カジノ法)を優先課題として明記していた。

そして軍事・政治問題の対日要求を系統的に突きつけてきたのがアーミテージレポートで、これまで4回発表している。

 

2000年に発表した第1次レポートでは活動領域を太平洋全域に広げた「安保再定義」について「日本の役割の下限を定めたと見なすべきで上限を示すものではない」と指摘し「米日二国間の防衛計画にもっとダイナミックなとりくみを求めている」と強調した。

そして集団的自衛権の行使容認、有事法制の国会通過、米軍と自衛隊の施設共用と訓練の統合、PKF本体業務への参加凍結解除、米軍再編計画の実行、ミサイル防衛に関する日米協力の拡大、軍事情報を共有するための秘密保護法制定、などの要求を突きつけていた。

 

その後の日本の動きを見ると、2001年にPKO法を改定しPKF本体業務への参加凍結を解除した。

2003年には弾道ミサイル防衛システムの導入を決定し、有事関連三法(武力攻撃事態法など)を成立させた。

さらに2004年には有事の際米軍が民間施設を接収したり、国民の行動を制限することを定めた有事関連七法(国民保護法や米軍行動関連措置法)が成立。

法整備はアーミテージレポートの要求に沿って進行した。

「米陸軍第一軍団司令部の座間移転」「岩国基地への厚木艦載機移転」を盛り込んだ米軍再編のロードマップ発表も同時期だった。

 

そして東日本大震災を経て2012年に発表した第3次レポートの対日要求は、原発再稼働、TPP推進、日韓「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)締結、新たな安保法制の制定、武器輸出三原則の撤廃、などを要求した。

安保関連では「平時から緊張、危機、戦争状態まで安全保障のあらゆる事態において、米軍と自衛隊が日本国内で全面協力できるための法制化を、日本側の権限において責任もっておこなうべき」「米陸軍と海兵隊は陸上自衛隊との相互運用性を高め、水陸両用作戦などで機敏であり展開しやすい軍体制の方向へ発展していくべきだ」とより突っ込んだ内容に言及した。

さらに「国家の防衛には攻撃責務の備えが必要だという事実をはぐらかしている」と記述し、集団的自衛権に関連して「平和憲法の改正を求めるべきだ」と明記した。

それはまぎれもなく日本を再び戦争に引きずり込む危険な内容をはらんでいた。

 

ところが安倍政府が「国防」を叫びながら実行したのは、特定秘密保護法の成立、武器輸出三原則の撤廃、原発再稼働、安保関連法成立、TPP関連法成立、日韓GSOMIA締結(2016年)などアメリカによる対日要求の丸呑みだった。

攻撃専門部隊である水陸機動団(日本版海兵隊)を発足させ、改憲を声高に叫んでいる。

 

そして今月発表した第4次アーミテージレポートは、日米統合部隊の創設、自衛隊基地と在日米軍基地を日米が共同使用可能にする基準緩和などを要求した。

それは事実上、自衛隊を丸ごと米軍傘下に組み込み、日本全土を米軍基地化していく方向性を示している。

 

こうした「年次改革要望書」と「アーミテージレポート」が示しているのは、日本国内の政治に主権がない現実である。

さらにあらゆる施策が海の向こうで作られ、その顔色ばかりうかがう売国的な政治家によって、国民無視の施策が次から次にまかり通る異常さである。

日米安保体制に基づくアメリカによる日本支配は、基地のある町や沖縄だけにとどまらず日本全土に及んでいる。

この属国状態を打破する全国民的な運動が切実に求められている。

 

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年次改革要望書…アーミテージレポート… 属国は何を押しつけられてきたか
長周新聞 2018年10月15日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/9571

 

 

 

 


■日本人は防衛予算の正しい見方をわかってない

~6兆円前後に?~

「防衛予算を3つに分割するのでは国民にわかりづらい。政府案に「事項要求」は含まれ、国会での議論は「来年度予算」と「当年の補正予算のお買い物予算」との2つに分かれて審議」

東洋経済 2019/11/14

https://toyokeizai.net/articles/-/313774

 

 

 

 

■米兵器など購入のローンは過去最大の2兆7963億円、残高は5兆6597億円 22年度防衛省概算要求

東京新聞 2021年8月31日

https://www.tokyo-np.co.jp/article/128079

 

 

 

 

■防衛費また過去最高へ ムダな兵器を軍事専門家がチェック

日刊ゲンダイDIGITA  2017/07/18

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/209641

 

 

 


■自衛隊機の部品代「言い値」で調達か? 価格高騰最大6年で10倍に チェック部門なく「民間ならあり得ない」

東京新聞 2021年11月24日

https://www.tokyo-np.co.jp/article/144442

 

 

 


■「アメリカの財布」と化している日本の兵器調達

・やがては“笑いもの”になる日本

「“属国根性もここまで来たか!”と国際社会の笑いもの」

(2018年1月11日)JBpress

アメリカ製高額兵器を買う日本に危惧

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52051

 

 

 


■米国から高額兵器を買いまくることを同盟強化と勘違いする愚

GLOBE+(朝日新聞)2018.06.27

https://globe.asahi.com/article/11641134

 

 


【ナチスの手口と緊急事態条項】ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)が合法とされた根拠は緊急事態条項だった!~独裁「前夜」の危うさ!自民党憲法改正案の緊急事態条項がヤバい4つの理由~

2022-12-16 06:16:00 | 日記

 

■独裁「前夜」の危うさ ナチスの手口と緊急事態条項

神奈川新聞 | 2017年8月31日

https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-18155.html


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災害対策の大義の下に、人々の権利をやすやすと政府に預けてしまうのは危ない。

改憲論議の俎上(そじょう)に載せられている「緊急事態条項」のことだ。

憲法学とナチスドイツ研究の碩学(せきがく)は警鐘を鳴らす。

「緊急事態条項の乱用がヒトラー独裁を生んだ」と。

憲法学者の長谷部恭男・早大法学学術院教授と、ドイツ近現代史が専門の石田勇治・東大大学院総合文化研究科教授が今月「ナチスの『手口』と緊急事態条項」(集英社新書)と題する対談形式の共著を刊行した。

第2次大戦前のドイツで瞬く間に出現したナチス独裁が、時を超えて今の日本でも起こりかねない、との危機感が2人にはある。

折から自民党は、党総裁の安倍晋三首相が改正憲法の2020年施行を目指すと5月に表明して以降、党内論議を加速。憲法改正推進本部で9条改正や教育無償化に加え、緊急事態条項の条文化を進めている。

 

・「手口」学ぶ


29日に「何百万人を殺したヒトラーは、いくら動機が正しくても駄目だ」と発言、30日に撤回した麻生太郎副総理兼財務相。

書名の「手口」とは同じ麻生氏が13年7月に改憲を巡り発した語句だ。

趣旨は次のようなものだった。

ヒトラーは民主的な選挙で選ばれ、議会で多数を握り、当時の欧州で最も進んだワイマール憲法をみんなの納得の下、ナチス憲法に変えた。

だから改憲論議の際は「あの手口学んだらどうかね」-。

「この発言を忘れるべきでない。真意は分からないが、発言は自民党改憲草案が出された翌年にあったからだ」。

24日夜、都内の書店で開かれた著者2人のトークイベントで、石田教授は強調した。

麻生発言には史実に照らして誤りがある。

ヒトラーが実権を握ったのは選挙で多数を占めたからでも、国民の支持を背景に憲法を変えたのでもない(そもそもナチス憲法というものは存在しない)。

政権掌握の手段、それこそがワイマール憲法に定められた「大統領緊急令」つまり緊急事態条項だった。

 

・権力への道


1932年7月の国会選挙でヒトラー率いるナチ党は第1党に躍進、半年後の33年1月に彼は首相に就任した。

だがこの間、同党は選挙で過半数を獲得できず、共和国も議会制も否定するナチ党、共産党という両極の急進勢力が合計で議席の半数を占める膠着(こうちゃく)状態に。

結果、緊急令による国政運営が常態化した。

多数の支持を得ていないヒトラーが首相の座に就けたのは、共産党の台頭に危機感を抱いた財界が「飼いならす」つもりで後押ししたためだ。

だが、ひとたび首相に就任すると、独裁は急展開した。

33年2月、国会議事堂炎上事件が発生。

ナチスの自作自演だったと近年分かったが、当時は共産党の仕業とされ、ヒトラーは時の大統領ヒンデンブルクに緊急令を出させた。

この緊急令は大戦終結まで解除されなかった。

つまり12年もの間、ドイツで基本的人権が停止されていたのだ。石田教授は「ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)が“合法”とされた根拠は、この時の緊急事態条項だった」と説明する。

翌3月、ヒトラーは授権法(全権委任法)を制定。

「国の法律は、憲法に定める手続きによる他、政府によっても制定しうる」「政府が制定した国の法律は…憲法に背反しうる」。

事実上の憲法停止といえる。

以降、矢継ぎ早に、政党の設立が禁止され、遺伝病を「強制断種」する法が制定され、ユダヤ人の迫害そして虐殺が制度化された。

 

・法律で十分


「自民党の改憲草案はここまでひどくない、と言えるだろうか」。

長谷部教授は問う。

草案99条「緊急事態の宣言の効果」は、非常時に政府に法律を改廃する権限を与えると定めた。

長谷部教授は危惧する。


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独裁「前夜」の危うさ ナチスの手口と緊急事態条項
神奈川新聞 | 2017年8月31日
https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-18155.html

 

 

 


■緊急事態条項の創設是非で論争激化 人権制限につながる恐れも 衆参憲法審

東京新聞 2022年5月3日

https://www.tokyo-np.co.jp/article/175177


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ロシアのウクライナ侵攻を受けて、自民党など改憲派は憲法に「緊急事態条項」を創設する必要性をこれまで以上に強調している。

衆参の憲法審査会で意見を集約したい考えだが、野党第1党の立憲民主党は現行憲法で対応できるとして反対。

緊急事態での国会議員の任期延長や緊急政令の是非など、多岐にわたる議論が続いている。(佐藤裕介)


「緊急事態に関する憲法審としての考え方をとりまとめていきたい」。

4月7日の衆院憲法審後、与党筆頭幹事を務める自民の新藤義孝氏は突然、記者団にこう語った。

自民はウクライナ侵攻を機に、衆院憲法審で緊急事態条項創設の必要性に加え、議論の加速化も強調し始めた。

党の改憲4項目の条文イメージに盛り込んだ大規模な自然災害時に加え「有事やテロ、感染症も対象にすべきだ」との声も上がる。

ただ、緊急事態の定義は定かではない。


論点の1つは、緊急事態が発生した時に、国会議員の任期を延長するかどうかだ。

憲法は国会議員の任期を定めている。

選挙ができないほどの大規模災害などが発生して任期満了になると、国会議員が不在になりかねない。

自民は国会の機能を維持するため、任期延長の規定を書き込むよう主張。

公明党に加え、野党の日本維新の会、国民民主党も前向きな考えだ。


これに対し、立民は任期満了時に衆参の選挙ができなくても、3年ごとに半数改選される参院では半分の議員が残り、憲法に定められている参院の緊急集会などで対応可能だと主張。

改憲は不要だとしている。

 

・政府の権限集中 自民「盛り込むべき」 立民「立憲主義に反する」


さらに対立が深まるのは、政府の権限集中と私権制限を認めるかどうかだ。

自民党はいずれも憲法に盛り込み、内閣が緊急時に国会の関与なく法律に相当する「緊急政令」も制定できるようにするべきだと主張している。

一方、衆院憲法審で立民の奥野総一郎氏は、ナチスドイツのヒトラーが緊急事態条項を乱用して独裁政権を樹立した経緯に言及し、「強権的な緊急事態条項は立憲主義に反する」と指摘。

緊急政令は人権の制限にもつながりかねず「憲法の改正限界を超える」と批判した。

自民は維新、国民民主の協力を得て合意を急ぎたい考え。

ただ、憲法担当相として1947年の施行まで憲法制定に深く関わった金森徳次郎氏は「緊急勅令は国民意思を無視できる制度といえる」として、緊急事態条項を盛り込まなかった理由を説明した。

立民は「改憲ありきの憲法審の運営に異を唱えていきたい」(小西洋之参院議員)と反対している。


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緊急事態条項の創設是非で論争激化 人権制限につながる恐れも 衆参憲法審
東京新聞 2022年5月3日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/175177

 

 

 

 

 


■憲法改正による緊急事態条項の創設及び衆議院議員の任期延長に反対する会長声明

日本弁護士連合会 2022年5月2日

https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2022/220502.html


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『憲法改正による緊急事態条項の創設及び衆議院議員の任期延長に反対する会長声明』


新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を機に、国会の憲法審査会等において、これらの事態に対応するために、憲法の改正により、緊急事態条項を創設することや衆議院議員の任期延長を検討すべきとの意見が強まっている。


この点、当連合会は、2017年2月17日に「→日本国憲法に緊急事態条項(国家緊急権)を創設することに反対する意見書」を公表しており、また、2015年から2017年にかけて、全国の34の弁護士会及び弁護士会連合会が、災害を理由とすることも含めて日本国憲法に緊急事態条項(国家緊急権)を創設することに反対する意見書や会長声明を発出している。


緊急事態条項は、権力分立を停止し、政府に立法権や予算議決権を認めるものであることから、極度の権力集中による政府の権力濫用の危険性が高い。

さらに、人権保障を停止することから、営業の自由や財産権のみならず、表現の自由や報道の自由等、民主主義の根幹をなす人権が大幅に制限される危険性もある。

日本国憲法は、過去の緊急事態条項の濫用の歴史にも鑑みて、あえてこれを設けることをせず、緊急事態には、あらかじめ平時から個別法を制定して対処するという立場をとっているものと解される。


新型コロナウイルス感染症についても、平時の法律である検疫法及び感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律と緊急時の法律である新型インフルエンザ等対策特別措置法によって対処することは十分に可能であり、緊急事態条項の創設の必要はない。


また、憲法を改正し、衆議院議員の任期延長を認めるべきであるとの議論についても、当連合会は前記意見書において、内閣の権限濫用のおそれと国民主権の原理への弊害を理由に反対している。

2017年12月22日に公表した「→大規模災害に備えるために公職選挙法の改正を求める意見書」においては、大規模災害が発生した場合であっても選挙を実施できる制度に改めるべきことを提言している。

新型コロナウイルス感染症という一種の災害下においても、任期延長という国民主権の原理に反するおそれのある制度ではなく、確実に選挙が実施できる制度を構築すべきである。


よって、当連合会は、立憲主義の堅持と国民主権原理の尊重を求める立場から、憲法改正による緊急事態条項の創設及び衆議院議員の任期延長に反対する。


2022年(令和4年)5月2日
日本弁護士連合会
会長 小林 元治


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憲法改正による緊急事態条項の創設及び衆議院議員の任期延長に反対する会長声明
日本弁護士連合会 2022年5月2日
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2022/220502.html

 

 

 


■緊急事態条項は権力濫用の危険高い 日弁連指摘

exciteニュース 2022年5月6日

https://www.excite.co.jp/news/article/Economic_000096250/


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自民党を中心に改憲勢力は「憲法への緊急事態条項」創設や衆議院議員の任期延長などが声高にしているが、日本弁護士連合会は5日までに「立憲主義の堅持と国民主権原理の尊重を求める立場から、憲法改正による緊急事態条項の創設及び衆議院議員の任期延長に反対する」と表明した。


日弁連の小林元治会長は理由について「緊急事態条項は『権力分立を停止し、政府に立法権や予算議決権を認めるものである』ことから、極度の権力集中による『政府の権力濫用』の危険性が高い」と警鐘を鳴らした。


また緊急事態条項を根拠に「人権保障を停止することから、営業の自由や財産権のみならず『表現の自由』や『報道の自由』等、民主主義の根幹をなす人権が大幅に制限される危険性もある」と指摘。


そのうえで「日本国憲法は、過去の緊急事態条項の濫用の歴史にも鑑みて、あえてこれを設けることをせず、緊急事態には、あらかじめ平時から個別法を制定して対処するという立場をとっているものと解される」と法の専門家の立場から解説している。


また衆議院議員の任期延長議論についても「選挙自体を延期する制度を創設すべき」と提言している。

日弁連は「公職選挙法の改正を速やかに行い、大規模災害が発生した場合であっても選挙を実施できる選挙制度に改めるよう」求めている。


これは「憲法が前文及び1条で『主権が国民に存する』ことを宣言し、15条1項で公務員を選定し、これを罷免することは国民固有の権利であると定め、国民に対し、主権者として、両議院の議員の選挙において投票することによって国の政治に参加することができる権利を保障していること、地方自治についても93条2項において、住民が直接これを選挙するものと規定し」選挙権が極めて重要な権利であること、行使を制限することは原則として許されない(最高裁判例、2005年9月14日・在外日本人選挙権はく奪違法確認等請求事件)ことを踏まえたもの。(編集担当:森高龍二)


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緊急事態条項は権力濫用の危険高い 日弁連指摘
exciteニュース 2022年5月6日
https://www.excite.co.jp/news/article/Economic_000096250/

 

 

 

 

 


■【図解・政治】自民党憲法改正草案のポイント(2016年7月)

時事通信社 2016年7月17日

https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_politics20160717j-04-w660

 

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「改憲ありき」で現実路線=9条封印、合意形成に軸足-安倍首相(※記事などの内容は2016年7月17日掲載時のものです)


先の参院選の結果、自民党など憲法改正に前向きな勢力が衆参両院で発議に必要な3分の2の議席を占めたことを踏まえ、安倍晋三首相は秋の臨時国会から与野党の合意形成に本腰を入れる。


持論の9条改正は封印、幅広い賛同が得られる現実路線に軸足を置く。

在任中の改憲実現を目指す首相は、改正の内容よりも実績づくりを優先する「改憲ありき」の姿勢を鮮明にしている。


「未来のために、どの条文をどう変えるべきか。(衆参の)憲法審査会でまずは真剣に議論していくべきではないか。議論が進み、成熟し、収れんしていくことが期待される」。


首相は与党の参院選勝利を受けた11日の記者会見で、改憲への意欲を表明。

だが、具体的な項目には言及せず、国会の議論に委ねる考えを示した。


首相の最大の目標が戦力不保持を規定した9条改正にあることは疑いない。

今年5月の憲法記念日、改憲派団体が開いた集会に送ったビデオメッセージで「今の憲法には『自衛隊』という言葉はない。

『自衛隊は違憲かもしれない』と思われているままでいいのか」と自説を展開した。


たたき台とするのが、自民党が2012年にまとめた憲法改正草案だ。

9条を見直して自衛隊を「国防軍」と位置付けると明記した。

ただ、首相は9条改正は難しいと認め、会見でも「草案がそのまま通るとは考えていない。わが党案をベースにしながら3分の2を(どう)構築していくか」と語り、自民党案にこだわらない姿勢を見せた。


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【図解・政治】自民党憲法改正草案のポイント(2016年7月)
時事通信社 2016年7月17日
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_politics20160717j-04-w660

 

 

 

 

■憲法21条改正草案の“問題点”

infoseekニュース 2016年7月7日 女性自身

https://news.infoseek.co.jp/article/joseijishin_d24575/


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「この自民党改憲草案は本当に問題だらけです。12年の野党時代に作成した復古的な要素が多く取り込まれたもので、彼らが本気でこのとおりに変えられると考えているのかさえ疑問です。しかしここにこそ、自民党の思想の本音が、見事に表れているんです」


憲法学者で九州大学法学部教授の南野森さんは、参議院選挙の投票を目前にしたいま、こう言って眉をひそめる。


「まず『人権』という、人が人であるがゆえ当然持っているものを否定している。そして『権力を制限する』という憲法の最も大きな役割を削り、逆に国民に義務を強いるという内容なんです。『こんな草案を持つ政党を勝たせてはいけない』と有権者が気づくべき最後のチャンスが、この参院選だと私は考えます」


7月10日の参院選の結果、与党が議席の「3分の2」を占めると、ついに「改憲の発議」が衆参両院で可能になる。

自民党改憲案のなかで南野さんが最も問題視するのは、「第二十一条」だという。


「集会、言論などすべての『表現の自由』を保障するというもの。改憲案でも一見、継承しているように見えますね」

確かに、条文は改憲案では「これを保障する」の「これを」が削られているだけで、大きな変化はない。


「ところが、改憲案には『2項』が新たに書き加えられています。ここが『国民が縛られる』部分に該当するんです。『表現の自由は、保障する』としておきながら、続く2項では『公益及び公の秩序を害する』表現の自由は『認められない』と書いている。これはすべての国民にかかってくる重要な問題なんです」


たとえば、と南野さんが具体例で説明してくれた。

「週刊誌が政府の政策について疑問を呈する記事を掲載すると、政府は『「けしからん」となりますね。しかし現行憲法下では、それで罰せられることはありません。ところが、改憲案には『公益』や『公の秩序』を害してはならないとしている。『公の秩序』といえば、これは『性表現』に関するものなど、ある程度、厳格化できます。しかし『公益』といった場合、これは非常に広い範囲で適用されてしまう恐れが否めないんです』


さらに、次のような例も想定できるそう。

「ある国と日本が重要な外交交渉をしているとき、そのタイミングで政府の方針を批判した記事を書くと、罰せられる可能性が出てくる。政府の理屈でいえば『国の利益のために行っていること』、つまり『公益』に反する記事だとなるからなんです」


また「原発や武器などの輸出拡大」に関しても、これを批判する記事を書くと「公益に反する」と捉えられる恐れが出てくるのだという。

「この『女性自身』の連載さえ、『尊重すべき憲法の問題点を指摘した(=「公の秩序」に反した)』と政府に言われれば、萎縮し、自粛するという流れすらできてしまう」


そして、国民一人ひとりも、「うかつに発言できなくなる」恐れも。

「2月に『保育園落ちた日本死ね!!!』というネット上の1文が国会でも取り上げられましたが、同じようなことをある母親がSNS上にアップするだけで、罰せられる国になりかねないんです」


さらには、昨年夏の集団的自衛権の行使をめぐる国会の開会中に、国会前で連日さまざまな世代の国民が「戦争法案、絶対反対!」と唱えた行動も「政府に『暴動の危険あり』とみなされ、『公益や公の秩序に反する』と言われれば、罰せられる対象になってしまう。もうフツーの民主主義国家ではなくなってしまいます」


憲法学者である南野さんは、最後に読者に伝えたいことがあるという。

「『表現の自由』は、民主主義の最後の砦です。安倍政権は『経済繁栄』を持ち出して選挙を乗り切り、そのあとで 念願 の『改憲』に乗り出すでしょう。その結果、世の中がこうなる可能性があるということを覚悟したうえで、選挙に臨んでほしいと思います」


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国会前デモもできなくなる!? 憲法21条改正草案の“問題点”
infoseekニュース 2016年7月7日 女性自身
https://news.infoseek.co.jp/article/joseijishin_d24575/

 

 

 

 


■自民党憲法改正案の緊急事態条項が、スターウォーズよりヤバい4つの理由

HuffPost(ハフポスト) 2016年01月04日 内山宙(弁護士)

https://www.huffingtonpost.jp/hiroshi-uchiyama/star-wars-constitution_b_8910388.html


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皆さんは、スターウォーズのストーリーから、自民党の憲法改正案にある緊急事態条項の恐ろしさがリアルに分かることをご存知でしょうか?


緊急事態条項というのは、災害やテロなどの非常時に、内閣に権限を集中させたり、議員の任期を伸ばしたりするもので、政府はこれに取り組んでいくということで、年始から新聞の一面トップになっていました。


・毎日新聞2016/1/1
http://mainichi.jp/articles/20160101/k00/00m/010/070000c


災害やテロ対策は確かに必要です。

そうと聞くと、必要なんじゃないかと思うかもしれませんが、よくその内容を読んでみるととっても怖いものだったのです。


・弁護士ドットコム2015年10月23日
https://www.bengo4.com/other/1146/1287/n_3847/

 

そんなときに、正月休みにスターウォーズを見ていたら、自民党憲法改正案の緊急事態条項そのまんまだということに気付きました。

 

1 歯止めがきかなくてヤバい!


エピソード1~3では、銀河共和国が辺境星系での通商に課税してくるので、それに抵抗して共和国を離脱しようとする分離派が、軍隊を組織して戦争を仕掛けてきました。

共和国の危機だということで、議会は非常事態宣言をして、議長に非常大権を与えて軍隊を創設しました。

その際、議長は、非常事態が終わったら、速やかに非常大権を返上すると言っていました。


ところが、危機が去っても議長が非常大権を返上しないので、おかしいぞということになりました。

「フォース」という力を駆使して銀河の正義と平和を守る役割の「ジェダイ」という騎士たちが調査したところ、議長こそが黒幕だと分かり、ジェダイたちは議長を倒そうとしました。


ところが、こともあろうにジェダイのホープであるアナキン(後のダース・ベイダー。エピソード4~6の主人公ルークの父)が議長に騙されて、黒幕の議長を倒そうとしていたジェダイを殺してダークサイドに堕ちてしまい、議長の手先になってしまいました。

議長は、銀河共和国を廃止して、銀河帝国の設立を宣言し、皇帝になりあがります。

皇帝はジェダイが反乱を起こしたというレッテルを貼り、虐殺を命令したのです。


ただ、スターウォーズの非常事態宣言は、自民党憲法改正案の緊急事態条項よりは、手続的にはまだマシなものです。

自民党の案は、内閣がまず自分で緊急事態の宣言ができてしまうのに対し、スターウォーズでは議会で承認されなければ最高議長は非常大権を得られなかったからです。


自民党の案も、事後的に国会の承認が必要ではありますが、与党が多数を占めている議院内閣制では、政府の方針は国会ではそのまま承認され、全く歯止めにはならなくてヤバいのです。

 

2 民主主義で、民主主義が終わってしまいかねなくてヤバい!


このように非常事態宣言による最高議長への権力の集中も、帝国の成立も、議会で承認されました。

エピソード1~3のヒロインのパドメは、「自由は死んだ。万雷の拍手の中で」と表現しました。

その後、銀河帝国の成立から崩壊まで、実に20数年かかったのですが、非常事態宣言のコントロールが効かなくなると、後で民主主義を取り戻すのがどれだけ大変かということがよく分かります。


民主主義だったら何をしてもいいわけではなく、憲法に違反してはいけないという限界があるのですが、権力者が確信犯的にやろうと思ったら、民主主義を終わらせることすらできてしまってヤバいのです。

 

3 司法のチェックを受けないのがヤバい!


スターウォーズに出てくるジェダイは、争いを調停したり、なんだったらライトセイバーでワルいヤツをやっつけたりします。

今でいうと、警察と裁判所と執行官を足したようなものなんでしょうか。

そして、上記のとおり、非常大権を握った最高議長が、実は黒幕だったことをジェダイが知って止めようとしますが、返り討ちにあってしまいます。

ある意味、司法が止めようとしたけど、歯が立たなかったような状況です。


一方、自民党の緊急事態条項では、司法が事後的に緊急事態条項の行使をチェックできるかどうか何も触れていません。


しかし、日本の裁判所は、極めて政治性が高いからと言って、そもそも憲法判断を回避して、政治に丸投げしてしまうことが多くあります(統治行為論)。

政府が「大変だ!緊急事態だ!」と言っている状況では、裁判所が判断を回避する可能性は高いでしょう。


フォースの凄い力があったとしても、ジェダイは返り討ちにあってしまって止められなかったのですから、司法に判断する権限があることをしっかり書き込んでおかないとヤバいのです。

 

4 フォースに覚醒しないとヤバい!


スターウォーズでは、非常事態宣言で独裁者が出てきて、帝国になってしまった後、フォースに覚醒したルークが帝国を倒してくれます。

エピソード7では、ジェダイがいなくなっていて、助けてくれないので、誰かがフォースに目覚めていきます。


しかし、憲法が無視される立憲主義の危機に、都合よく助けてくれる誰かがいるわけではありません。


でも、今のところは、まだ国民主権であり、民主主義なので、私たち一人ひとりが「自分たちには力があるんだ」ということに覚醒したら、このスターウォーズの非常大権よりヤバい自民党憲法改正案の緊急事態条項のための改憲を止めることができるかもしれません。


なぜなら、憲法を改正するためには、まず衆参両議院の各3分の2以上の賛成で国民投票の提案をしなければならないからです。


参議院の242議席の3分の2以上というのは161議席です(議長の分の1議席はカウントから除いて計算。)。

現在、改憲派の自公・おおさか維新・旧次世代で150議席弱なので、まだ10議席以上足りず、憲法改正の発議はできません。

とはいえ、憲法改正に反対の議席数を維持し、改憲を阻止するためには、野党が共闘しないとまずい状況です。


しかし、昨年夏、野党が違憲な安保法案に反対して共闘できたのは、市民が求めていったからでした。

それだけの力が、私たちにはあるのです。


そう、フォースは、皆さんの内にあるんです。

だって、国民主権なんですから。


逆に、今覚醒しないと、7月の選挙の後、大変なことになってしまいかねません。


緊急事態条項のことを聞いたことがなかったという方も、参議院選挙までにスターウォーズを見ていただいて、国民主権に覚醒してみませんか?


国民主権と共にあらんことを。


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自民党憲法改正案の緊急事態条項が、スターウォーズよりヤバい4つの理由
HuffPost(ハフポスト) 2016年01月04日 内山宙(弁護士)
https://www.huffingtonpost.jp/hiroshi-uchiyama/star-wars-constitution_b_8910388.html

 

 

 


■自民党の憲法草案を丁寧に読んでみてビックリ、問題は9条以外の部分だった。

2016年10月23日  杉江義浩(ジャーナリスト)

http://ysugie.com/archives/5353


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はじめに言っておきますが、僕は憲法9条擁護派でもなければ、憲法を改正することに断固反対する考えもありません。

どうせ改正するなら、まともな憲法にしたいと、強く願う国民の一人です。9条に関しては、中学生時代から疑問がありました。


「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と書かれているのに、中学生の頭で考えたら「自衛隊があるやんけ、思いっきり戦力やん?」と頭を悩ませたものです。

その時先生はどう説明したか忘れましたが、中学生の僕には納得がいかなかった気がします。


なのでちゃんと保有する戦力(自衛隊でも軍でも構わないが)について、スムースに理解できるような文面に書き改めてもらうのは、結構なことだと思います。

それにしても。それにしても、と僕は声を大にして指摘しておきたいのです。


現在の自民党が提示している憲法改正草案は、読めば読むほど基本的人権を軽視した、危険極まりない、お粗末なものでした。

この草案は、民主党政権時代に、野党となっていた自民党が、こともあろうに極右団体の日本青年社に作らせたものです。


まともな政治家や憲法学者が草案を作ったなら、ここまで酷くはならなかったでしょう。

このあたりの経緯は、坂井万利代さんが書かれた「自民党は何故、野党になったときカルト(愛国)化したのか?」に詳しく書かれています。


みなさんも是非とも時間を作って、自民党の憲法改正草案をざっと読んでみてください。

再び中学時代の日本国憲法に関する授業の話に戻りますが、戦後の日本国憲法の三大原則とは、「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」だと教わりました。


テストにも出ました。

日本国憲法とは実に良い原則を持った憲法だと感動したものです。


これらの原則が大きく揺るがされようとしている、驚くべき草案が、極右団体日本青年社に作らせた自民党草案なのです。


まず、戦後から今まで守ってきた象徴天皇の表現を書き換え、

“天皇は、日本国の元首であり、”

と国における地位として「元首」という立場を与えています。象徴天皇というお立場だけで何の問題もなかったのに、これでは「国民主権」の意味が失われ、元首と臣民という関係が発生します。大日本帝国の再来です。


「平和主義」については、「第1章 天皇」に続く「第二章 安全保障」と新設された章の中に、カッコ付きでわずかに4行述べられているだけです。

元々はここは「第二章 戦争の放棄」という章でした。


すなわち「戦争の放棄」が格下げされ、代わりに「安全保障」が天皇に続く大事な概念として、格上げして述べられています。

安全保障は大切ですが、軍が活動する範囲が問題です。


自民党案では、国防軍が活動する範囲について、

“国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、”

と、外国での戦争への参加にまで広げています。


第9条を改正するのには僕は賛成だと言いましたが、ここまで積極的に海外へ出て行くように、国防軍を憲法で定めるのは「平和主義」から離れて行くような気がします。

と、ここまで述べてきて言うのも何ですが、僕はこの二つはどうでもいいくらいに思っているのです。


これから述べる「基本的人権の尊重」を真っ向から否定する、国民の自由や権利を制限することのできるように書き換えられた条文の恐ろしさに比べたら、それほど反対する大きな理由にはならないからです。

僕が発見した恐ろしい条文とは、「第3章 国民の権利及び義務」の中に出てきます。


人権を軽視する恐ろしい表現は、微妙な言い回しに出てきます。

国民に対して、現行憲法も自民党草案も、「生命、自由及び幸福追求の権利」については、基本的に侵してはならないと定めています。

ところが、例外規定が全く異なるのです。


現行憲法では、

“第十二条 ・・・常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う

第十三条 ・・・生命、自由及び幸福追求の権利については、公共の福祉に反しない限り”

と、なっています。


「公共の福祉」とは、「他のみなさんの幸せ」と言う意味であり、個人の自由や権利は、他の皆さんの幸せを害さない限り、尊重されると言う趣旨です。

それはそうですよね。


いくら憲法で権利や自由が保障されているとはいえ、他人に迷惑をかけるような自由は、認められなくて当然です。

ところが自民党の憲法改正草案では、「公共の福祉」という文言が、全て「公益と公の秩序」に置き換えられています。


自民党草案では、

“第十二条 ・・・常に公益及び公の秩序に反してはならない

第十三条 ・・・生命、自由及び幸福追求の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り”


「公益」とは何なのか。

代表的なものは「国益」です。


「公の秩序」とは何なのか。

簡単にいえば「公権力による秩序」すなわち警察権です。


つまり、国益に反するような生命、自由及び幸福追求の権利は認めませんよ。

その時は警察官が取り締まりますよ。という意味になります。


国益とは何なのか。

例えば国が戦争に巻き込まれたとしましょう。


その時は戦争に勝つことが国益となり、国民は全身全霊で戦争に取り組むのが国益を守ることになります。

その時に戦争に協力しなかったり、それでなくとも戦争に役立たない表現活動をしたりする自由は、公益に反するとして厳しく制限されます。


幸福追求の権利も制限されます。

娯楽に興じていては逮捕されます。贅沢は敵だ、の世界です。


戦争が始まらなくても、国会前に集まって反戦デモを行おうとすれば、公の秩序を乱したとして、一斉に検挙されるでしょう。

第二次世界大戦の前夜と同じ、表現の自由のない、ファシズムの世の中の再来です。


「公益及び公の秩序」は、第二十一条(表現の自由)にも書き加えられています。


“第二十一条 集会及び結社言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。”

に続いて自民党案では、

“第二十一条 2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。”

と、付け加えられています。


すなわち国益に反する内容と認められたら、それをネットやテレビで発言することも、本にして出版することも、反戦歌を歌うことも禁止されるのです。

ボブ・ディランがノーベル賞を取る時代に、何と時代錯誤な条文でしょうか。


表現の自由は、国益にそうものしか認められない。

としたらマスコミも大本営発表をそのまま伝えなければならないので、その本来の機能を失うでしょう。


ネットの書き込みでも検閲が行われ、反日、と認定されたら削除されてしまうでしょう。

だから僕は自由と基本的人権に関わる部分で、それを制限する文言として「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に置き換える案だけは、認めるわけにはいかないのです。


これが自民党草案の最も注目すべきポイントだと思います。

 

・杉江義浩(すぎえよしひろ)

1960年3月15日東京都渋谷区生まれ。大阪府立千里高校、神戸大学文学部心理学専攻卒。「NHKスペシャル」「天才てれびくん」をはじめ、数々の番組に携わる。1994年「週刊こどもニュース」では池上彰とともに番組を立ち上げ、その後8年間にわたり、総合ディレクター、企画ディレクターを担当。2002年から真剣10代しゃべり場」のプロデューサーおよび「ピタゴラスイッチ」「からだであそぼ」などを担当。2008年よりNHKインターナショナルにて、国連CPO10、APEC、IMF世銀総会等の国際会議においてホストブロードキャスター業務を担当。2017年4月にはNHK文化・福祉番組部にて「Hey! Say! JUMPの昭和にジャンプ」を担当するなど、制作現場の業務も再開している。著書に、「ニュース、みてますか? -プロの『知的視点』が2時間で身につく」- (ワニブックスPLUS新書)。

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自民党の憲法草案を丁寧に読んでみてビックリ、問題は9条以外の部分だった。
2016年10月23日  杉江義浩(ジャーナリスト)
http://ysugie.com/archives/5353

 

 

 

 

■自民党の改憲草案で憲法はどう変わる?

「政府による戦争をしない決意 が前文からなくなります。」

「「徴兵制」を合憲とする事が可能になります。」

「基本的人権の対価に責任と義務が求められ、基本的人権より国益と社会秩序が優先されます。」

「「政治的な」または「軍事的な」拘束や拷問が可能になります。」

「国会議員などの公人に対する報道の自由が制限されます。」

https://kaikensouan.com/

 

 

 

 


■日本人は防衛予算の正しい見方をわかってない

~6兆円前後に?~

「防衛予算を3つに分割するのでは国民にわかりづらい。政府案に「事項要求」は含まれ、国会での議論は「来年度予算」と「当年の補正予算のお買い物予算」との2つに分かれて審議」

東洋経済 2019/11/14

https://toyokeizai.net/articles/-/313774

 

 

 

 

■米兵器など購入のローンは過去最大の2兆7963億円、残高は5兆6597億円 22年度防衛省概算要求

東京新聞 2021年8月31日

https://www.tokyo-np.co.jp/article/128079

 

 

 

 

■防衛費また過去最高へ ムダな兵器を軍事専門家がチェック

日刊ゲンダイDIGITA  2017/07/18

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/209641

 

 

 


■自衛隊機の部品代「言い値」で調達か? 価格高騰最大6年で10倍に チェック部門なく「民間ならあり得ない」

東京新聞 2021年11月24日

https://www.tokyo-np.co.jp/article/144442

 

 

 


■「アメリカの財布」と化している日本の兵器調達

・やがては“笑いもの”になる日本

「“属国根性もここまで来たか!”と国際社会の笑いもの」

(2018年1月11日)JBpress

アメリカ製高額兵器を買う日本に危惧

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52051

 

 

 


■米国から高額兵器を買いまくることを同盟強化と勘違いする愚

GLOBE+(朝日新聞)2018.06.27

https://globe.asahi.com/article/11641134


【唯一の被爆国、被爆国の役割を忘れるな!】米、核兵器禁止条約の批准国に圧力か?アメリカが複数の国に批准撤回求める~日本の「長老」たちが不戦を掲げて立ち上がったワケ~

2022-12-16 06:14:57 | 日記


■85歳以上の日本の「長老」たちが不戦を掲げて立ち上がったワケ

ハーバー・ビジネス・オンライン 2020.08.25

https://hbol.jp/pc/226626/


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・最後の戦争世代が不戦の訴え

 

8月12日、都内で「東アジア不戦 推進プロジェクト」の提言を発表する記者会見が行われた。

提言者には、各界を代表する85 歳以上の有識者たちが「長老」として名を連ねた。

彼らが掲げた提言は次のようなもの。

 

《提言の内容》

1:東アジア全首脳の共同宣言

 私たちは、戦争時代を直接体験した最後の世代に属する者として、まずもって東アジアの全首脳が次のような共同宣言、又は個別同時の宣言を発出することを提言する。

 (1)あらゆる対立を超えて人類全体の連帯を図り、人類絶滅の危機を回避するよう努力する。

 (2)少なくともまず東アジアを戦争のない地域とする。

2:日本国政府のこの宣言への参加を熱望する

3:東アジアの政府を動かす運動を切望する

4:東アジアのみならず、ほかの地域の戦争放棄に一歩近づけたい

 

85歳以上といえば、戦争を知る最後の世代と言える。

彼らはなぜ今、東アジアの不戦を訴えるのか。発案者であり元早稲田大学総長の西原春夫氏(92歳)に詳しい話を聞いた。

 


・日本の「長老」が不戦を呼びかける

 

―― 西原さんは自ら呼びかけて「東アジア不戦プロジェクト」を立ち上げました。


西原春夫氏(以下、西原):私はここ数年の国際情勢を見ながら「危ない」と感じていました。

冷戦終結後、世界は平和になるかと思われた。


しかし冷戦の勝者である自由主義国陣営の中から新自由主義経済のグローバル化が始まり、地球規模の格差拡大や環境破壊、温暖化などの現象が顕在化しました。


こうしたグローバリズムの反動として、各国では個人や国家の独自性を強調する傾向が生まれ、EUの移民問題やブレグジット、トランプ現象、中国の膨張主義に象徴される排外ナショナリズムや一国中心主義が台頭してきました。


「世界は戦争に向かっているのではないか」という憂慮は深まるばかりでした。

何かをしなければいけない。


その時は突然来ました。

2019年5月16日午前5時にふと目覚めた私は、突如、落雷に打たれるかのように閃いたのです。


「東アジア不戦条約を結び、まずもって東アジアを戦争のない地域にしよう」と。

しかし、あまりに突飛な構想なので自信はありませんでした。


そこでこの考えを友人知人に打ち明けると、みな一様に「やるべきだ。やろう!」と賛成してくれました。

その中で、すでにASEAN諸国が主導した「東南アジア友好協力条約」という不戦条約が存在し、日本、中国、韓国、北朝鮮などアジア諸国はもちろん、米ロなど世界主要国も批准していることを知りました。


それではどうするか。

そう頭を悩ませていた7月6日、再び突如として閃きました。


「2022年2月22日22時22分22秒に、まずもって東アジアの全構成国の首脳が不戦宣言を行う、という提言をしよう」と。

最終的には旧知の友人である福田康夫元総理に相談した結果、東アジアの全構成国の首脳に不戦宣言を行うよう提言する「東アジア不戦推進プロジェクト」を立ち上げることにしたのです。


それを提言するのは、85歳以上の「長老」の方々が望ましいのではないか。

戦争を経験した日本の長老が自らの経験に基づいて不戦を訴えることほど説得力のある方法はありません。


ご縁のある方に声をかけた結果、大正11年生まれの瀬戸内寂聴さん(作家・宗教家)を最年長として、約20名の方々が「長老」として提言者に名を連ねてくださいました。


その一人である茶道裏千家大宗匠の千玄室さんは大正12年生まれで、特攻隊の生き残りでもあります。


千玄室さんは亡き戦友と沖縄線の犠牲者に対する鎮魂の念を強く抱いており、「戦争は絶対にいかん。茶道家の自分に何ができるか。茶道で戦争を超えた心境に達する、そういう茶の心を持つ人を増やす、それによって戦争を食い止める。そういう思いでやってきた」とおっしゃっていました。


「長老」の経験や思いはそれぞれです。

しかし、「戦争は絶対にいけない」という問題意識は全員に共通しています。


世界で対立が深まる今、東アジア不戦推進プロジェクトの設立を宣言し、世界に対して「人類の連帯」と「戦争放棄」という希望の旗を掲げることができた意味は決して小さくないと考えています。

 


・「対立」の解決は困難でも「超克」はできる

 

―― 確かに「人類の連帯」と「戦争放棄」は人類の理想です。しかし、この理想は実現可能なのですか。


西原:戦争の原因は「対立」です。

確かに対立を「解決」することは困難です。


しかし「超克」することはできる。2と3が対立しているならば、6という共通分母を見つければいい。

それによって2と3は対立を「解決」できなくても「超克」によって和解することができるのです。


たとえば、現在米中の対立が激化しています。

その対立を超克するには、米中の共通分母あるいは共通の利益を設定すればいい。

仮に宇宙人が攻めてきたら、米中で対立している場合ではありません。


すでに現在は新型コロナウイルスという人類共通の脅威に脅かされています。

今後、地球温暖化の影響で新型コロナ以上に恐ろしいウイルスが誕生する可能性は否定できないどころか高まっている。


確かにコロナ危機により、世界では排外ナショナリズムや一国中心主義、国家同士の対立に拍車がかかっています。

しかし、他方、コロナ危機は人類共通の課題として、人類を結びつけるチャンスでもあるのです。

 


・不戦の訴えは日本の使命である

 

―― 西原さんの体験や思いはどういうものですか。


西原:私は治安維持法が改正され、張作霖爆殺事件が起きた昭和3年に東京で生まれました。

日本がまさに戦争へ転がり落ちる時代に生まれたのです。


昭和11年2月26日には大雪のなか小学校に行きましたが、休校の張り紙がしてあり、首を傾げながら家に帰ると家族が騒いでいました。

二・二六事件の時、目の前で父親を殺された渡辺和子さん(元ノートルダム清心学園理事長)は姉の同級生であり、子供心に「大変なことが起きた」と身震いした記憶があります。


翌12年には日中戦争が始まり、16年には太平洋戦争が始まりました。

昭和19年にはサイパン、グアムが陥落して本土空襲が現実味を帯びました。


当時、私が住んでいた武蔵野には、中島飛行機株式会社の武蔵製作所という国内最大級の工場があり、本土空襲の時は真っ先に狙われると言われていました。

しかし、武蔵野消防署の消防隊員はみな兵隊に取られていて、いざという時に消防活動ができない。


そこで、私が通っていた中学校の中から運動神経の良い生徒を20人選んで、臨時の消防隊員にすることになりました。

私もその一員に選ばれて同級生たちと消防訓練に励みました。


そして同年11月から武蔵製作所を標的とする空襲が始まり、爆弾や焼夷弾が降り注ぐ中で消火活動に走り回りました。

出動命令が発令されて飛び出した数十秒後に元いた場所に爆弾が落ちるなど、ギリギリのタイミングで命拾いしたこともあります。


しかし学徒動員で工場に働いていた妹は工場内で結核をうつされ、終戦後に亡くなりました。

妹も戦争犠牲者です。


兄として妹を救えなかった、戦争さえなければ幸せな人生を送っていたと思うと、今でも胸が締め付けられます。

そして昭和20年8月15日が来ました。


当時17歳だった私には、8月15日は単に戦争が終わった日、日本が敗れた日ではありません。

それは、自分の価値観が根底から覆された日でした。


その日を境に、それまで善とされてきたことが悪になり、それまで悪とされてきたことが善になった。

多情多感な時期に、価値観の激烈な転換を強いられる苦痛は想像を絶するものです。


「騙された」と思いました。

「大人は我々を騙した。もはや誰も、何物も信じられない。信じられるのは自分だけだ」と。


それから怒りが湧いてきた。

「戦争で罪もない民衆が命を落とした。俺の妹も命を落とした。誰がこんなバカげた戦争を起こしたのか。絶対に許せない」と。


それ以来、「名目如何を問わず、戦争は絶対にいけない」という信念が血肉化されました。

同時に「全員が正しいと思っていることはどこか間違っている」という違和感も骨肉に刻み込まれた。


そういう言説はどこか胡散臭い。

しかし不戦だけは絶対に正しい。


なぜなら、戦争はそれこそ絶対的な価値を持つ「生命」を奪うものだからだ。

そう確信しています。

 

―― 今後はどのような活動に取り組むのですか。


西原:まずは日本国内で不戦の理念を呼びかけていきたいと考えています。

具体的には、メディアを通じて国民に対する発信を行いたい。


日本国民は必ずや呼応してくれるはずです。

また、次世代を担う「若者の会」や超党派の「東アジア不戦推進議連」を作りたい。


不戦は与野党の共通分母であり、超党派議連も「超克の論理」で実現できるはずです。

その次はアジアに呼びかけます。


マレーシアのマハティール前首相など、東アジアの長老たちと連絡を取り合い、具体的な組織を作りたい。

中国やベトナムなど社会主義国の場合、民間の長老が国策を提言することには難しい部分がありますから、その点に配慮しながら進めていきたいと考えています。


最終的には世界です。

たとえば、日本がドイツに呼びかけ、ヨーロッパの全構成国の首脳が不戦を宣言するよう努力してはどうか。


その次は南北米大陸、その次は……という形で、不戦の理念を広げていければと願っています。

 

―― しかし、そもそも日本は戦争を始めてアジアに戦災をもたらした国です。


西原:だからこそ説得力があるのです。

いかなる名目があろうとも戦争は絶対に起こしてはならない、このことを最も説得力をもって主張できるのは、かつて自国の名目を掲げて戦争を始めて他国に甚大な被害を与え、自らも大きく傷ついて敗れた国ではないか。


その後過去の反省の上に立ち、戦争放棄を憲法の中に明言して、平和国家として戦後の歴史を歩んできた国ではないか。


世界に不戦を訴える、これこそ天に与えられ、歴史に授けられた日本の使命です。


(8月9日、聞き手・構成 杉原悠人)<提供元/月刊日本2020年9月号>


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85歳以上の日本の「長老」たちが不戦を掲げて立ち上がったワケ
ハーバー・ビジネス・オンライン 2020.08.25
https://hbol.jp/pc/226626/

 

 

 

 


■核兵器禁止条約 被爆国の役割を忘れるな

西日本新聞 2020/9/26

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/648519/


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核兵器の保有や使用を非合法化する核兵器禁止条約の発効が現実味を帯びてきた。

50カ国・地域が批准して90日後に発効する規定で、地中海の国マルタが45番目の批准国となった。


近く批准を目指す国もある。

核禁条約の国連採択に貢献しノーベル平和賞を受賞した非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は早期発効に期待を寄せる。


日本は唯一の戦争被爆国である。

条約の趣旨を踏まえ、核兵器廃絶の実現に向けた国際世論を形成していくべきだと私たちは主張してきた。


しかし、政府は批准の前段階となる署名すらしていない。

菅義偉首相は「現実の安全保障の観点を踏まえていない」との見解を示している。


核禁条約は核使用による威嚇も禁じており、米国の「核の傘」で中国や北朝鮮の核に対抗する日本の立場とは相いれないと考え、核保有国が参加しない条約そのものの影響力に懐疑的だからだ。

核を巡る国際情勢は悪化するばかりだ。


核大国の米国とロシアが小型の「使える核」を競い合い、中国の台頭も加わって対立は激しさを増す。

米ロの新戦略兵器削減条約(新START)延長交渉も難航している。


冷戦時代に戻ったような核軍拡競争に歯止めをかけなければならない。

核による抑止力は他国へのけん制になっても、真の安全はもたらさない。


偶発的使用のリスクも排除できず、人類は危険にさらされたままだ。

米国の核戦略に組み込まれた日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の元首脳ら56人が連名で自国の指導者に条約への即時参加を求めたのも、そうした危機感の表れだろう。


日本世論調査会が今年実施した調査でも、核禁条約に日本が「参加すべきだ」とした人は7割に上った。

政府や国会はこれを重く受け止め、核軍縮の議論を深める必要がある。


菅首相は安倍晋三前首相の外交の継承を表明した。

日本が核保有国と非保有国の「橋渡し役」を果たすという路線も踏襲するとみられる。


ただ安倍政権の核軍縮外交には目立った成果がない。

核保有国の責任を問い、対話を重ねて核軍縮を追求する道を歩むことこそ、日本に求められているのではないか。


まず米ロに新STARTの維持を働き掛けるべきだ。

核禁条約についても発効1年後に開催される締約国会議へのオブザーバー参加などは検討に値する。


9月26日は国連が定めた「核廃絶国際デー」である。

核禁条約が広島、長崎の被爆者らの切実な声に基づいていることを思い起こし、核なき世界の実現を考える日としたい。


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核兵器禁止条約 被爆国の役割を忘れるな
西日本新聞 2020/9/26
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/648519/

 

 

 

 

 

■「唯一の被爆国、日本も批准を!」 核兵器禁止条約発効受け広島で集会

毎日新聞2020年10月25日

https://mainichi.jp/articles/20201025/k00/00m/040/170000c


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広島市中区の平和記念公園では25日、被爆者や市民らが集まって核兵器禁止条約の発効決定を祝うとともに、条約への不参加を表明している日本政府に抗議の声を上げた。

広島県内の被爆者7団体が呼びかけて午後3時半すぎに始まった集会には約200人が参加した。

補修工事中の原爆ドームを背に「祝 核兵器禁止条約発効確定! 唯一の戦争被爆国日本も批准を!」と書かれた横断幕を掲げ、松井一実市長ら5人がリレー形式でメッセージを読み上げた。

核廃絶を求める世界7961都市が加盟する国際NGO「平和首長会議」の会長も務める松井市長は「(核廃絶への)被爆者の強い思いと、共感した人々の思いが結実した」と強調。

原水爆禁止運動の精神的支柱だった被爆者、故・森滝市郎さんの次女で、市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」共同代表の森滝春子さん(81)は発効決定を喜ぶ一方、「米国の核抑止力に基づく日本の安全保障は条約違反。これを許してはならない」と訴えた。

集会には若い人の姿も。

国会議員に条約への賛否を問う活動を続ける田中美穂さん(26)=広島市西区=は「日本政府はふがいない。政治家は核廃絶に向け、日本が何をすべきか本気で考えてほしい」と憤った。


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「唯一の被爆国、日本も批准を!」 核兵器禁止条約発効受け広島で集会
毎日新聞2020年10月25日
https://mainichi.jp/articles/20201025/k00/00m/040/170000c

 

 

 

 


■米、核兵器禁止条約の批准国に圧力か

朝日新聞(2020年10月22日)

https://www.asahi.com/articles/ASNBQ7T1QNBQUHBI01N.html


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核兵器の保有や使用を禁じる核兵器禁止条約をめぐり、米国がすでに批准した複数の国に対し、批准を取り下げるよう求める書簡を送っていたと、AP通信が21日に報じた。

条約発効の条件となっている50カ国・地域の批准が迫る中、反対する米国が批准国に圧力をかけたとみられる。

AP通信によると、米国は書簡で、核保有国と北大西洋条約機構(NATO)の加盟国が、条約について「反対の立場で一致している」と表明。

「核兵器の検証と軍縮についての時計の針を戻すもので、核不拡散条約(NPT)を脅かす」と主張しているという。

条約の採択に貢献した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)はツイッターで、「トランプ政権による前代未聞かつ投げやりな試みだ」と批判。

「いじめや圧力にかかわらず、世界中で条約への賛同が広がっている」と記した。

核兵器の開発や製造、保有、使用を許さない核兵器禁止条約は2017年7月に採択され、これまでに47カ国・地域が批准した。

50カ国・地域に達した90日後に発効する。

23日には少なくとも1国が新たに批准する見通しで、さらに複数の国が早期の批准に意欲を示している。


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米、核兵器禁止条約の批准国に圧力か
朝日新聞(2020年10月22日)
https://www.asahi.com/articles/ASNBQ7T1QNBQUHBI01N.html

 

 

 

 

 


■核兵器禁止条約の発効目前に圧力…アメリカが複数の国に批准撤回求める

東京新聞(2020年10月22日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/63456

 

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核兵器の保有や使用を全面禁止する核兵器禁止条約に反対する米国が、複数の条約批准国に、批准を取り下げるよう求める書簡を送っていたことが分かった。

AP通信が21日伝えた。

禁止条約が発効に必要な批准数50まであと3カ国・地域に迫る中、条約発効の影響を懸念した米国が批准国に圧力を加えた形だ。

書簡は「核禁止条約を批准する国家主権は尊重するが、それは戦略的な誤りであり、批准を取り下げるべきだと考える」と強調している。

禁止条約は「核軍縮に関して時計の針を戻す」ものだとし、核拡散防止条約(NPT)体制にとって「危険な」存在だと訴えた。

条約を推進する非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のフィン事務局長はAPに対し、条約発効が近づく中で「一部の保有国、特にトランプ米政権が神経質になり、恐らくパニックに陥っている」と指摘。

「保有国は、核兵器が間もなく国際法で禁じられることが現実になると理解しているようだ」と語った。

NPTは米英仏ロ中の核保有を認める。

保有国側は段階的な核兵器削減を主張し、核兵器禁止条約に強く反対している。

米国の「核の傘」に頼る日本などは禁止条約に参加していない。


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核兵器禁止条約の発効目前に圧力…アメリカが複数の国に批准撤回求める
東京新聞(2020年10月22日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/63456

 

 

 

 

 

 

■日本人は防衛予算の正しい見方をわかってない

~6兆円前後に?~

「防衛予算を3つに分割するのでは国民にわかりづらい。政府案に「事項要求」は含まれ、国会での議論は「来年度予算」と「当年の補正予算のお買い物予算」との2つに分かれて審議」

東洋経済 2019/11/14

https://toyokeizai.net/articles/-/313774

 

 

 

 

■米兵器など購入のローンは過去最大の2兆7963億円、残高は5兆6597億円 22年度防衛省概算要求

東京新聞 2021年8月31日

https://www.tokyo-np.co.jp/article/128079

 

 

 

 

■防衛費また過去最高へ ムダな兵器を軍事専門家がチェック

日刊ゲンダイDIGITA  2017/07/18

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/209641

 

 

 


■自衛隊機の部品代「言い値」で調達か? 価格高騰最大6年で10倍に チェック部門なく「民間ならあり得ない」

東京新聞 2021年11月24日

https://www.tokyo-np.co.jp/article/144442

 

 

 

 

■「アメリカの財布」と化している日本の兵器調達

・やがては“笑いもの”になる日本

「“属国根性もここまで来たか!”と国際社会の笑いもの」

(2018年1月11日)JBpress

アメリカ製高額兵器を買う日本に危惧

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52051

 

 

 


■米国から高額兵器を買いまくることを同盟強化と勘違いする愚

GLOBE+(朝日新聞)2018.06.27

https://globe.asahi.com/article/11641134