てんぱっていきまっしょい。

国内旅行をこよなく愛する人間の日記です。でも最近は出かけてないよねぇ。(現在コメントは事前承認制にしています。)

わげもん~長崎通訳異聞~第2話:消えた漂流民4

2022年01月24日 | わげもん~長崎通訳異聞~

長崎港に入ってくる船

白帆注進~っ!

見張り台から、大声がする。

オランダ船が来たばい。
太か船ばい
港に入って来た帆船に、長崎の人々が沸き立つ。

6月、今年も長崎の港に、多くの貿易品を積んだオランダ船が入港した。
長崎において、最も活気づく季節の始まりである。

柳屋にいた、トリの友人でオランダ人を父に持つ青年:未章(みしょう)トラウデン都仁や通詞だった父親の失踪の謎を追って江戸からやって来た青年:伊嶋壮多(いじま そうた)永瀬廉も、表の騒がしさにつられて出てくる。
あれから、アヤカの子どもは順調に育っているらしい。

アヤカにあやされる赤ん坊の近くで芸妓見習いの少女:トリ(都麗)久保田紗友は、三味線の練習をしている。
浜辺で姿を消した置屋「柳屋」に居候していた男:神頭有右生(こうず ゆうせい)髙嶋政宏のいなくなった部屋で、トリは三味線を弾きながら考え事をしている。
地球儀の置かれている方向を見て

先生、どこへ行きんさった。

心に穴が開いてしまったような気分だ。

現在のインドネシア=バタビアからやってくるオランダ船は、
貿易品のみならず、江戸幕府にとって貴重な情報をもたらした。
出島のオランダ商館では、カピタンと呼ばれるオランダ商館長。出島のオランダ人たちを代表するトップ:レフィスゾーン(リチャード・ヴァン・ローイ) から、オランダ船が入港したことによりもたらされた情報がオランダ語で読み上げられる。
大通詞で蘭語通詞会所の長:杉原尚蔵(すぎはら しょうぞう)矢島健一、
大通詞:大田崇善(おおた そうぜん)本田博太郎、
そしてオランダ語通詞:森山栄之助(もりやま えいのすけ)小池徹平 らが出向いて聞き取りをしている。

阿蘭陀風説書、特に国際情勢を詳細に伝える別段風説書は、ヨーロッパ始め世界各国で起きた戦争・災害・植民地情勢が記された日本にとって、何より重要な海外の最新情報書であった。
通詞たちは毎年オランダ側から聞き取りを行い、情報文書を作成した。
これらは全て、急ぎ江戸に送られる。
長崎奉行:井戸対馬守覚弘(いどつしまのかみさとひろ)石黒賢が、別段風説書を手にし、確認後、家老:周田親政(すだ ちかまさ)武田鉄矢から、長崎奉行所の船掛:白井達之進(しらい たつのしん)宮川一朗太 らに命令して送られる。

幕府はこの風説書を基に、国際情勢への対応を進める。
世界の情勢について、幕府は決して無知ではなかった。

出島での仕事に出かける壮多

置屋・柳屋を束ねる女将。壮多を住まわせ、仕事を世話してくれる:しず(紅壱子)の紹介で、出島の仕事をすることになった壮多と未章。鑑札を受け取り、それを帯に通す。壮多もまた、トリと同じように塩頭のことを考えていた。

オマエはまだ、長崎を知らない。

塩頭が別れ際に残して行った、あの言葉が頭から離れないのだ。
自分の知る長崎は人が温かく、トリや未章のような仲間もいて、自分にとって心地の良い場所。
もちろんその中には、塩頭だっていたのだ。

オマエの父親は生きてる。
オマエの父親は、オノレの言葉に滅ぼされた。

以前の壮多なら、父親が生きていると言われれば、あれほど嬉しい・聞きたかった言葉だったのに、今となっては塩頭の言葉に惑わされるばかりだ。

オマエはまだ、長崎を知らない。
でも、今は必死にこの町にくらいついて、自分で真実を探すしかない。

壮多は、砂糖などの貿易品を運ぶ荷役(にやく)として、初めて出島に足を踏み入れた。
出島の中は、いつもは入ることのできない日本人の役人や荷役たちで賑わっていた。

色鮮やかなオウムの甲高い鳴き声に、驚く壮多。ここは日本でありながら、日本ではないようだ。

オランダ船は、直接出島へ船を横づけすることはできず、沖に停泊し
そこから小舟に荷物を移し、小舟から荷役たちが貿易品を出島に運び込んでいる。
慣れない壮多が、受け取った荷物を担いでフラつくと、血相を変えた見張り役に
砂糖の方が大事かばい。
酷くどやされる。

未章がこぼさないように、壮多に注意する。
わざと落として、こぼれたやつを持ち帰る奴がおるとさ、これも立派な抜け荷ばい。
下手すれば首が飛ぶ。

なんとか荷物を小舟から運び終えると、壮多と未章は石段の上に腰かけ
海を眺めながら持ってきたおにぎりで食事をとる。

ときどき、ここの匂いが懐かしゅうなるとさ。
おいの生まれの半分は、こん島にあるけん。

すると、小舟の上で一人の荷役が、懐に何かを入れる様子を見かける壮多。

オランダ商館の二階で

オランダ船からもたらされた、その他の情報を読む通詞たち。通詞の名門に生まれ、幼い頃からオランダ通詞会所に出入りしてきた男:野田立之助(のだりゅうのすけ)浜田信也 がプレブル号の話題を見つける。
プレブル号には、捕鯨船から日本にただ一人やってきて帰国まで長崎に置かれ、森山栄之助らに英語を教えたアメリカ人:ラナルド・マクドナルド(木村昴) も乗っている。どうやら、船は香港に到着したらしい。

大通詞:大田崇善は、
あの漂流民たちには、最後まで手こずらされたばい。
と、懐かしそうに語る。

だが、栄之助はオランダからの情報に、疑問を感じているようだ。
これで、よかとでしょうか。

蘭語通詞会所の長:杉原尚蔵
どげんや。

栄之助は、情報を読み上げる。
・アメリカで金が発掘された。
・エゲレスは清国に対して、いよいよ高飛車になっとる。
確かに貴重な知らせです。
ですが・・・、ここには肝心なことがなか。
バタビアに謀反が起きたっちう記録があっても、オランダが本国から援軍を送ったという記述はなか。
オランダの国力は弱っております。思う以上に・・・そんことを江戸にはきちんと伝えた方が・・・。

しかし、その言葉に賛同する人物は通詞の中におらず、崇善は
己の考えを足してはならん、通詞がそいばしたら終いばい。
といい、杉原は
長崎の町はオランダ船で成り立っとる。
オランダも日本との交易ば大事にしとる。
彼らば貶めるっちゅうことは、この長崎ば潰すっちゅうことやぞ。

ですが、このままオランダからの偏った風説だけを手掛かりにしちょったら、
いずれ日本は取り返しのつかないことになります。

森山っ!

もしや他に、異国の内情ば握ったモンがおったら、いいように踊らされて・・・(ハッ)

栄之助は思い立ったのだ、あの漂着したアメリカ船ラゴダ号の、乗組員のひとり:カイ(カリマ剛ケアリイオカラニ) に成りすました謎の男:吉次(きちじ)サンディー海 が、他国に日本の情報を流すために、堂々とアメリカ船に乗り込んでいったとしたら・・・。

そんために・・・。

わざわざあの男は、自ら望んで牢に入ったのだ。

本日は、ここまで

冒頭、オランダ船を見て「太か船ばい。」と言った人がいましたね。
あれは太っているという意味ではなく、大きいという意味の長崎弁だそうです。
長崎のお祭り「長崎くんち」では、笠鉾という重たい祭りの道具を粋に担ぐ男性に対して
「ふとぉ周れ」と言って掛け声をかける人が、いらっしゃいます。
「おおきくまわれ」と言っておられるのです。
んな無茶なぁ~と思うのですが、まわるんですよ、これが。きゃ~っ!

そして現在の出島の周りは、埋め立てがもっと進んでいて、島の面影はあまり感じないのですが
本当に、繁華街のすぐ近くに海があって、その距離感に驚きます。
壮多のいた時代は、出島の前はもう海だったのねぇ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わげもん~長崎通訳異聞~第2話:消えた漂流民3

2022年01月23日 | わげもん~長崎通訳異聞~

奉行所を飛び出した栄之助

漂流民たちの歌を聴いて、通詞だった父親の失踪の謎を追って江戸からやって来た青年:伊嶋壮多(いじま そうた)永瀬廉 が漂着したアメリカ船ラゴダ号の、乗組員のひとり:カイ(カリマ剛ケアリイオカラニ) のことを知っていると理解したオランダ語・英語通詞:森山栄之助(もりやま えいのすけ)小池徹平 は、奉行所を出ると駆け出していた。

その頃、壮多もカイの身代わりに、壮多が橋の上でぶつかった国籍も職業もすべてが謎の男:吉次(きちじ)サンディー海 が漂流民の中に紛れ込んでいたことを奉行所の前で知り、置屋「柳屋」に居候の男:神頭有右生(こうず ゆうせい)髙嶋政宏 に話を聞こうと柳屋へ駆け出していた。

2人は柳屋の前で鉢合わせする。

イムンアエナポーキ 牢ぬけした男の島の言葉たい。
そん男ばしっとぉね。
どこへ行った、漂流民一人始末して代わりの男ば紛れ込ましたとかっ!

栄之助が壮多の襟を掴む。

栄之助の言葉に動揺する壮多。
カイが・・・始末された。

急いで塩頭に確かめようと、壮多は奥へ駆け込む。

おぃっ、待たんかっ!(栄之助は壮多を追って中へ入る。)

壮多が塩頭の部屋へ駆け込むが、塩頭の姿はない。そこへ栄之助もやってくる。

どうしましたぁ。

後ろから塩頭が顔を出した。

カイはどこへ行ったんですか。

船は出航した、嘘じゃない。上海か・・・自分で決めるさ。
どこへだって行ける、ふふふふっ。

勝手に、逃がしたて・・・。(ワナワナ)

じゃあなんで知らない男が、カイの帽子をっ!

頭数が揃ってないと、お困りだって方々がおいででねぇ。(そう言って神頭は、壮多の肩を叩く。)

帽子ば被らせて漂流民の数ば揃えた。

アメリカは、日本が漂流民を虐げて(しいたげて)いるのではと疑っていた。
もし、引き渡しの数が一人でも欠けるようなら、砲撃だって辞さない。
へっ、そう言ってたそうですねぇ。

漂流民の数ば、揃えてくれと頼んだのは誰か、誰かぁ!

塩頭に詰め寄ろうとした栄之助の前に、壮多が立つ。
塩頭は壮多に
心配するな、カイは無事だ。
と、小声で伝える。

その時、柳屋の店の者に案内されて同心:滝口修二郎(たきぐち しゅうじろう)平山祐介 が捕り方を連れてやって来る。

この前来た時から、どうも引っかかってね。

カイを探しに柳屋へ滝口が訪ねてきたとき、気になっていたことがあったようだ。
先月、中島川で男が殺されたんだが、そいつが抜け荷一味の下っ端野郎でね。
(その時滝口は遺体となった男の懐から、醤油差しのような形の陶磁器を見つけていた。)
抜け駆けしようとしたところを始末されたらしい。
滝口は栄之助をどけて、その後ろにある花瓶の前に立つ。
その男が持っていたのが、これ。(陶磁器を取り出す。)
こいつ(花瓶)の片割れだったりして・・・。
そう言って花瓶から花を放り出すと、証拠の品を上にのせる。
それは、花瓶・・・いや壺の蓋だったのだ。

ほぉら、驚いたねこりゃ。

今まで自分やトリ(都麗)久保田紗友、未章(みしょう)トラウデン都仁 たちに兄のように優しく、頼れる男だった塩頭への容疑に驚く壮多。

聞かせてくれるかな、先生。このあたりのこと、ねぇ。

滝口が塩頭の前に詰め寄ると、塩頭はうなだれ
アタシでお役にたてるか・・・おとなしく歩み出たかと思いきや
滝口が差していた刀を抜き取り、壮多を人質にする仕草を見せた後、彼らの前へ壮多を蹴り
障子を蹴り倒して表へ逃げて行った。
滝口と捕り方たちは、その後を追って出て行く。

捕物の騒ぎに、出産に立ち会っていた女医:えま- 浦浜アリサ が
静かにしてもらえんね。
と、怒って飛び出してきたが、残された壮多たちの様子にそれがただごとではないと気づく。
だが、置屋・柳屋を束ねる女将しず(紅壱子)がとりなそうと
しても
人が生まれるより大切なことはなか。
そう言って、部屋へ戻って行ってしまう。
トリや女将たちが励ますなか、無事にアヤカは出産を迎えられるのだろうか。

沖合に浮かぶプレブル号では

漂流民たちが船に上がる。
船内では、艦長が長崎奉行所の船掛:白井達之進(しらい たつのしん)宮川一朗太に握手を求めるが、異国の挨拶に慣れていない白井は、おっかなびっくりでそれに応じる。
後ろには通詞として、栄之助が立ち会う。
役人たちが立ち去ろうとしたので、後ろを歩く栄之助を艦長らが呼び止める。

ありがとう。(栄之助に握手を求める。)
君の英語は素晴らしかった。

いえ。

今日はいい天気だ。
窓の外の大海では、多くの外国船が日本との国交を望んでいる。
君の意見はどうだい。

通詞は自分の意見をいう事ができないため、沈んだ顔をする栄之助。
大通詞:大田崇善(おおた そうぜん)本田博太郎に言われたことを思い出している。

君はこれから、日本はどうするべきだと思う?

だが、栄之助が意見を言うことができないことを悟った艦長が、冷ややかな言葉を浴びせる。

有能で「従順な」語学屋さん・・・だろ?

わげいたします。合ってるかい?
副長と思われる男も嫌味なものいいだ。

栄之助を残し、2人は部屋を出て行く。

甲板に上がった栄之助、カイにすり替わった男が目の前を通っていっても、自分はどうすることもできない。
森山栄之助らに英語を教えていたアメリカ人:ラナルド・マクドナルド(木村昴)が、最後に船に上がる。
栄之助を見つけて声をかけるが、彼の沈んだ様子に気づいた。

どうした?

なんでもない。
でも、今日は色々あって・・・
英語を学び、それが身についていくときはあんなにも喜びを感じたのに、自分の無力さだけが残ってしまい、唯一英語で心が通じたラナルドとの別れも彼を悲しくさせていた。

元気出せよ。

いいか?大事なこと
モリヤマ、言葉 教える。
モリヤマ 教える、English

私が、英語を・・・。

ラナルドはうなずく。
そして、あの言葉を話す。

future

フューチャー

よか。
そう言って、ラナルドは栄之助を抱きしめる。
my dear サヨナラ

英語で初めて分かり合えた相手、ラナルドとの別れに栄之助は涙するのだった。
奉行所役人が港を後にしても、栄之助はラナルドの乗った船を見送っている。

寂しい別れであったが、新たな決意が栄之助の胸の中に湧き上がるのであった。

柳屋で

アヤカの出産は無事に成功し、仲間たちがそれを囲んで賑やかに笑っている。
自分の仕事を終えた女医:えまが座敷を出ると、塩頭の部屋に取り残されたように壮多が一人座っていた。

夜の浜辺

真っ暗な浜辺に灯りをともした小舟が用意されており、旅姿の塩頭がその近くにはいた。
塩津を見つけて駆け寄る壮多。
一旦は人質にされたのに、塩頭を追いかけてきた壮多に呆れたのか
はっ、しつっこい奴だねぇ。と苦笑いする。

あなたは誰なんです。
町の人に頼りにされて
トリや未章の話を聞いて
俺の話を信じてくれた。

俺もあなたを信じた。

信じるってのは、やっかいなもんさ。
失ったとき、丸ごと持ってかれるんだ。
壮多の問いかけに、背を向けたまま答える塩頭。

己自身は・・・(荒海で船を漕ぐ映像)
だから俺は、誰も信じない。
親も兄弟も、神も仏も。
板張りの部屋。天井に壁に、びっしり英語が書かれれている。

国も・・・俺は一度死んだ。昔の話だ。
そう言って、壮多を振り向き小舟のへりに腰を下ろす。
お前の父親は、生きてる。
20年前、お前のオヤジは通詞の仲間を売った。

う、うそだ・・・。(壮多、首を振る。)

お前の父親は、己の言葉に滅ぼされた。
そう言って、塩頭が壮多の前に歩み寄る。
父親の手帳に書いてあった「己の言葉を捨てよ」という字が思い出される。

塩頭は笑いながら後ずさりし、舟に向かって歩いていく。

うそだ、うそだっ!

おった、あそこにおったばい!
遠くから、逃亡した塩頭を追う取り方の声がする。

舟の舳先に乗せた灯りを手に持ち、壮多を見て塩津が冷たく言い放つ。

オマエはまだ、長崎を知らない。

そう言って、塩頭が手に持った灯りの炎を吹き消すと、辺りは暗闇に包まれた。

御用提灯を持った取り方たちが、呆然とする壮多の後ろにやってくる。
壮多の周りで動くその提灯で、浜辺の明るさは戻るが、すでに塩頭の姿はどこにもなかった。

本日は、ここまで

その3は、なんだか目まぐるしい展開でしたね。
そして、せっかくキャラの台詞の色を設定したのに、神頭先生はもう現れないのかしら。
悲すぃわ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

キヨさんが夢に出てきた件について

2022年01月22日 | Weblog

既に亡くなっている母方の祖母が、夢に出てきた。

病院で亡くなった人なので、夢の中では自宅に帰って来られてとても喜んでいた。

本人の希望が叶ったということなのだから、いい夢ということなのだろう。

祖母(故人)、祖母の妹(故人)、母の兄(故人)、母、母の弟、母の妹

母の兄はそれほどでもない気がしたが、皆、顔と手足の指の作りが似ていて

会ったことはないけれど、一代前の製造元の影響がかなり強いらしい。

振り返ってオラはと言えば、

手足の指が大変似ている。(もんげー短いのさ)

マズい、そこじゃない。それじゃないんだよなぁと思うことしばしば。

父方からもらった遺伝性の病気のことを思えば、カワイイものなんだけど。

あれ、いい夢ってはずだったオチが・・・、バランスをとってしまった。

今日は、「わげもん」の第3話だ(ぇ

がんばろう。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わげもん~長崎通訳異聞~第2話:消えた漂流民2

2022年01月22日 | わげもん~長崎通訳異聞~

蘭通詞会所にて

大通詞:大田崇善(おおた そうぜん)本田博太郎 が アメリカ人との英語通詞に尽力した森山栄之助(もりやま えいのすけ)小池徹平 を労う。
この通詞がうまくいかなければ、長崎の町には大筒が撃ち込まれていたかも知れぬという崇善。

やはり、オランダ語だけでこん国守ることは無理かもしれんと。

その言葉を聞いた周りの者は森山を咎めるが、それを遮るように大声で会所にやって来たのは・・・

おぉ~、親父殿っ!

片肌脱いで竹刀を片手に会所へやってきた、崇善の息子で通詞の見習生:大田清十郎(おおた せいじゅうろう)浅香航大 だった。

清十郎、なんかその恰好わっ!

道場で一汗かきました、いつアメリカが攻めて来よっても異敵何するものぞの心意気ですっ!
そう言って竹刀を振り回す清十郎に、後頭部を叩いて叱る崇善。
この抜けもんがっ、おまえは通詞やろがっ!
言葉で相手と組みあわんでどがすっと。
そう言って、清十郎の口を押える。

すると奥から、大通詞で蘭語通詞会所の長:杉原尚蔵(すぎはら しょうぞう)矢島健一 が 金魚のフン 稽古通詞でお坊ちゃん気質、通詞の長である父親にくっついている:杉原敬生(すぎはらけいしょう)重岡漠 と一緒に表に出てくる。
栄之助の今日の働きを労う杉原だったが、息子に蘭語の稽古をつけろとせがまれていたと親バカぶりを発揮している。
敬生にこのあとは、ラナルド・マクドナルド(木村昴)から受ける英語の講義であることを伝えられ、ふと表情が曇る栄之助だった。

崇福寺 大悲庵

ラナルドのいる座敷牢の前で、通詞たちは英語の講義を受けている。
ラナルド・マクドナルドによる英語の講義は、すでに半年に及んでいた。
他の通詞が帰ったあとも、ラナルドの前から離れない栄之助。

ご機嫌はいかがですか。

よい。
あなたの発音もよい。

もしあなたがここを、この牢を抜け出すことができたら
あなたは何をしたかったですか?

「したかった」は過去のこと、何をしたいか聞いてくれ。

みーらい。future

わたし、どこへも行かない。
わたし、ここにいる。
ときどき、さるく。

さるく・・・散歩ですか。

イェーイ、アイ テイク ア ウォーク.

長崎の訛りがうまか。
そう言って、栄之助は笑った。

ときどき、モリヤマ会う。English教える。ずっと、ずっと教える。

感慨深い表情でそれを聞いていた栄之助だが、
アメリカから迎えの船が来ました。
そう言って、彼との別れの日が来ることを伝える
あさって、あなたを出島に送ります。
今までまことにー

それ以上言葉を続けることができず、栄之助は手をついて頭を下げ
ラナルドへの感謝の気持ちを表す。
ラナルドもこの日を待ち望んでいたが、栄之助と会話を重ねる日々に友情のようなものを感じ
言葉を続けることができない。
ただ、

よか。

というだけであった。

桜町牢に戻った男

抑留者たちのいる牢に、頭にカイの帽子をかぶった14人目の男が帰って来た。
牢番や役人たちが、鍵をかけて帰って行くと
男に向かって、気の荒い船員が声をかけて近寄ってくる。

カイ、捕まったのか
しゃべれよ、このクソ野郎

そう言って近寄って来た男の腕を掴んでねじり上げ、抑え込む。
黙れ

入って来た男が、カイ(カリマ剛ケアリイオカラニ)ではないことに驚く乗組員たち。
それは、置屋「柳屋」に居候の男:神頭有右生(こうず ゆうせい)髙嶋政宏と会っていた謎の男:吉次(きちじ)サンディー海 だった。

沖合に停泊するアメリカ軍艦プレグル号

抑留されていた漂流民が、引き渡される日となった。

艦長:ジェームス・グリンは船首でその様子を見ていた。

柳屋では

表を掃く壮多に、塩頭がボーロを買ってきて欲しいとお使いを頼む。
戻ろうとすると、柳屋の男衆が慌てて飛び出してくる。妊娠していたアヤカが産気づいたというのだ。
オランダ人と日本人のハーフ女医:えま- 浦浜アリサ を呼びに駆け出して行った。

桜町牢

漂流民たちはまず長崎奉行所に向かい、帰国の通達を受けねばならなかった。
牢から出る漂流民の様子を見に来ていた栄之助。
その中に、見たことのない男がいることに気づく。
栄之助が役人を見ると、役人は困った顔をしていた。

陣痛が激しくなるアヤカ

置屋・柳屋を束ねる女将:しず(紅壱子)と芸妓見習いの少女:トリ(都麗)久保田紗友 が出産の近づいたアヤカの手を握り、仲間たちもはげましている。
女医:えま も 大丈夫やけん、息ばゆっくり。 そう言ってアドバイスする。
男二人は部屋の外でうろつくが、お湯を沸かすよう指示され働く。

奉行所

乗組員たちが、ぞくぞくと籠から降ろされて奉行所に入って行く。
お使いに出た壮多がそれを眺めていたが、カイの帽子を被った男が奉行所に入って行くのを目撃する。
あの帽子は神頭に渡して、それをカイが死んだものとして使うはずだったのに、なぜカイの帽子を被った男が奉行所に入って行くのか。

その頃、栄之助は「14人目の男は偽者ではないか」と長崎奉行所の船掛:白井達之進(しらい たつのしん)宮川一朗太 に伝える。

牢に戻っている者が入替っていると申すか。

はい。

なにをくだらぬことを、自ら牢に入る者などいる訳がない。
そう言って、栄之助の話をとりあおうとしない。

脱走者は一度は身を隠していた。
アメリカ艦の到着を知って戻って来た。そうでしたね。

そうだ、父親の形見という帽子を持っていた。それが証だ。

(ぇ)それだけで?

奉行所前でカイのふりをした男が、壮多の方を振り返る。
壮多は塩頭にカイはどうなってしまったのかを確かめたくて、柳屋へ戻って行った。

その頃、奉行所の廊下では白井に栄之助がくい下がっていた。

居なくなった男の代わりに、誰かがあの中に潜り込んだとです。
私は通詞として、何回も何十回も彼らを間近に見てきました。(廊下の奥に大田崇善がやってくる。)
言葉も交わしました、間違えるはずがなかとです。頭数が揃うとっても、あん男は・・・白井さん。

森山、森山ぁぁぁ~。

そう言って、崇善は栄之助を白井の前から引きはがす。

ばってん、あれは確かに・・・白井様っ!

おりやまぁぁぁぁぁぁ~っ。

すると、その声を聞きつけたのか井戸家家老:周田親政(すだ ちかまさ)武田鉄矢が供の者を連れて様子を見に来た。
(白井たちが、伏して控える。)

引き渡しの漂流者は14名、何の支障もない。
そう言って、周田は去って行く。
白井も逃げるようにその場を去る。

周田様っ!

追いかけようとした栄之助の腕を掴む。
森山ぁぁっ!
たとえ、たとえそうだとしても。奉行所がよしとしていることば、我らに糺す(ただす)力はなかっ!
それは、ワシら通詞の分ではなかっ!

奉行所白洲にて

ラナルドと他14名が、奉行所白洲にて沙汰を受ける。
みぎてい品々不法に及び候だん不届き至極に尽き、きっと取り計らうべきなれども、此度は格別の猶便を以て~

長崎奉行:井戸対馬守覚弘(いどつしまのかみさとひろ)石黒賢 は漂流民たちに、出島からアメリカ軍艦に乗船させると申し伝えた。

~以来、我が国へ再び参ることを許さず

対馬守の言葉を英訳する栄之助。
その栄之助を見つめるラナルド。
だが、栄之助はカイに成りすました吉次を見据えていた。

すると、海から吹いてくる風を感じたカイと同じ島から来た漂流者たち3人が、自国語で話し始める。

エィア アイ アホイ エホラホウ イムンア(隣の男に話しかける。)

イムンア(隣の男、左手の拳を胸の辺りで握る。)

イムンア(その隣の男も、拳を握る。)

イムンア エナ ポォキーィ!(聞き覚えのあるその言葉に、栄之助は驚く。)

男たちは、風を受けて勇壮に歌い始める。

栄之助の隣に座る会所の男がつぶやく。(その前には、杉原・大田の大通詞2名がいる。)

オアフ島の漁師たちばい。(栄之助がそちらを見る。)
自分たちば鼓舞する掛け声や。「明日を信じ、前へ進もう。」っていう。

栄之助は、伊嶋壮多(いじま そうた)永瀬廉 が出島でモーニッケ医師に尋ねていた言葉を思い出していた。

教えてください。
「イ・ムア・エ・ナー・ポーキッイ」
聞いたことはありませんか?

気持ちが高ぶったのだろう。今度は、アメリカ人漂流者たちがその場で自国の歌を歌い始めていた。

栄之助は奉行所を飛び出し、どこかへ駆け出していった。

本日は、ここまで。

ラナルドが覚えた長崎弁「さるく」が出てきました。
「さるく」は、ほっつき歩く みたいな意味で使われています。
数年前に「長崎さるく博」がありましたね。
長崎市中心部は、観光のみどころがコンパクトにまとまっており
歩いて観光するのにはもってこいの場所です。
歩き疲れたら「ちんちん電車」に乗るのも楽しいですよ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トミーさんにもらいもん。

2022年01月21日 | Weblog

お昼休み、トミーさんにお菓子をいただいた。
冬休みにお出かけしていたらしい。

シュガーバターサンドの木。

美味しい、間違いない奴。

昔、「会社の女子社員へのおみやげで間違いないお菓子」のランキングに入ってたな。

もちろん、今もオイシイ。

美味し過ぎて危険なので、会社で他の人に少しおすそ分けして退勤した。

もちろん、皆女子なので瞳がキラキラ。

美味しいお菓子は、疲れている女子の瞳さえもキラキラさせるのだ。

いろんな意味で、危機管理は怠らないw

 

家に帰って母に残り半分を渡した。もっと渡してもいいんだけど、母は際限なく食べる人だからなぁ。

キラキラ・・・は、してなかった。バラバラとこぼしてたなw

でも、おいしいおいしいと食べていた。

トミーさん、ありがとう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わげもん~長崎通訳異聞~第2話:消えた漂流民1

2022年01月21日 | わげもん~長崎通訳異聞~

嘉永2年(1849)

ペリー来航4年前の長崎

通詞だった父親の失踪の謎を追って江戸からやって来た青年:伊嶋壮多(いじま そうた)永瀬廉 が、出島の前で出会ったオランダ語通詞:森山栄之助(もりやま えいのすけ)小池徹平 に話しかける。
父親の手掛かりを探すためだ。
彼の父親「周吾」という名を聞いた栄之助は、父親のことを知らないと答えるが・・・
2人の運命は、脱走した漂流民(漂着したアメリカ船ラゴダ号の乗組員のひとり)カイ(カリマ剛ケアリイオカラニ)をめぐり、ここ長崎で大きく動き出す。

唐人屋敷の門の前で

置屋「柳屋」に居候の男:神頭有右生(こうず ゆうせい)髙嶋政宏 にカイの父親の形見である帽子を渡し、カイは浜辺で行き倒れたことにして唐人屋敷に潜り込み、船主の中国人:劉(りゅう)の船で日本を離れる作戦を決行することにした 壮多、芸妓見習いの少女:トリ(都麗)久保田紗友、トリの友人、オランダ人を父に持つ青年:未章(みしょう)トラウデン都仁たち。

唐人屋敷は、交易で長崎を訪れた中国人たちが居留する地区である。
出島と同じく出入りが厳しく管理され、一般の日本人が立ち入ることは禁止されていた。

柳屋の売れっ妓芸者。豪胆で頼りになる、トリの姉貴分:季蝶(きちょう)木月あかり は、唐人屋敷の劉がひいきにしているため季蝶の供の者として、トリたちと一緒にカイと壮多が同行した。
そして、その後ろからは未章が物陰に控えている。

唐人との抜荷がばれた日本人が、獄門になったと。
門の前にある立札にトリが気づく。
「抜荷」即ち密貿易は、固く禁じられていた。

行くぞ。

オープニング

季蝶が門番の前に歩み出て、要件を伝える。

船主の劉さんに呼ばれております。

おぅ。門番が、木戸を開ける。)

季蝶やトリたち女性陣は鑑札もなく通り過ぎるが、その後ろをついてカイと壮多が行こうとすると、門番たちがそれを遮る。

わいたちゃ見覚えがなか、なんか持ち込もうとしとっとやなかとかぁ。
呼び止められたカイと壮多を、女性たちが振り返ってみている。
門番たちが、2人を怪しんでいると

はい、まいどまいどまいどまいどぉ

後ろから、未章が青物を満載したカゴを持って駆け込んでくる。
合計5人の男たちで、当然門の前は大渋滞。

未章:なんですかぁ~。

門番:おまえは、なんね。(怒)

未章:あぁ、今札ば見せますぅ。

門番:おぅ、見せてみぃ。

片足に大きい青物の籠を乗せ、一本足で立って札を見せる仕草をする未章。
すると、青物の籠が傾いて中に入っていたニンニクや野菜が転がり落ちる。

門番:大丈夫ね、荷をこぼしてぇ~。

大慌てで、門番をしていた男どもは未章の後ろに転がった野菜を未章と一緒に拾い出す。
その隙に壮多とカイは中に入ろうとするが、門番の一人に壮多が腕を掴まれてしまった。
カイは驚いたが、トリに手をひかれ門の中へ入いるよう促される。

未章は門番たちを引き付けようと、落とした野菜を買い取ってくれと交渉を始める。(ナイス未章)

カイは壮多を振り返り、お互いが目で合図をして別れを告げ、門の中へ入って行った。

唐人屋敷の座敷でごちそうを囲み、劉の二胡の演奏を聴く季蝶たち。
演奏が終わると拍手が鳴り、宴席は盛り上がっているようだ。
トリが後ろにカイを連れて座敷の廊下にやってきた。
神頭先生から
劉に神頭からの手紙を渡すと、その手紙を読みはじめる劉。
カイは少し心配そうにその様子を見ていた。

置屋 柳屋

神頭が居候する部屋から、少し離れたアヤカの部屋。
どうやら出産の近いらしく、オランダ人と日本人のハーフである、女医:えま- 浦浜アリサ が往診に来ていた。
母子ともに順調とのことで、女性たちの明るい笑い声が神頭のいるところまで聞こえてくる。
だが、その部屋の明るい様子とは違い、神頭は手紙を読んで何か重い決断をしたかのような表情をする。

カイの船は、無事出航したばい。

本当に。

劉さんから先生に知らせがあったと。

浜辺に座る壮多とトリ、その向こうの水辺には未章がいる。

あんた、これからどうするね。

さぁなぁ~。

父親ば探すとやなかとね。

手掛かりが尽きた。
俺もカイみたいに、どこかよそへ流れるのも・・・。

いかんばいっ!

驚いてトリを見つめる壮多。
トリは、自分でもなぜそんなことを言ったのかわからない。

柳屋の前で

置屋・柳屋を束ねる女将しず(紅壱子)を冷やかし、外出しようとする塩頭。
お姉さん方の手紙の代筆なのかと思ったが、どうやら路地に潜む男に用があったらしい。
その男とは・・・

壮多が橋の上でぶつかった国籍も職業もすべてが謎の男:吉次(きちじ)サンディー海 だった。

****************************

浜辺で遊ぶトリと未章を眺めながら、壮多は塩頭に言われた言葉を思い出していた。

そうだ、どこへでも行ける。おまえなら、できる。

****************************

そのとき、カイは唐人船に乗って海へ出ていた。
海に向かって、カイは叫ぶ。

イムンア・・・、イムンア~~~~ッ!

****************************

I mua e na pokii 若者よ、前へ進もう

壮多にもその声が届いたように、同じ言葉を心の中でつぶやく。

桜町牢では

その時の長崎には、アメリカの捕鯨船から日本に漂着した漂流民が14名存在した。
ラゴダ号の乗組員13名、そして別の船から漂着し森山らに英語を教えていたラナルド・マクドナルド(木村昴)である。

ストレスにより牢で暴れるラゴダ号の乗組員たちを、英語でなだめる栄之助。

彼らの返還を求め、日本にやって来たアメリカ軍艦との交渉は続いていた。

停泊する軍艦に乗り込み交渉を続ける長崎奉行所の船掛:白井達之進(しらい たつのしん)宮川一朗太らと、それを通詞する栄之助。

当地にいるのは、14名ということか。

そうだ。

しかし、カイが脱走したことで13名となり、慌てる奉行所側。
長崎奉行井戸対馬守覚弘(いどつしまのかみさとひろ)石黒賢 に対し、家老:周田親政(すだ ちかまさ)武田鉄矢は

必ずや14名備え置きますからに。

そういって、カイの脱走を隠し続けているのだ。

長崎奉行所

牢ぬけした漂流民が見つかったときいて、驚く栄之助。
大通詞:大田崇善(おおた そうぜん)本田博太郎 からその言葉を聞き、安心した表情を見せる。
大通詞で蘭語通詞会所の長:杉原尚蔵(すぎはら しょうぞう)矢島健一 も同席しており、白井からも

奉行は、江戸からの返書を待つことなく対処するとご決断された。

はい。

すべて周田さまのご尽力のタマモノだ。
という杉原の言葉に、白井も喜びを隠せない。

周田:漂流民はまず、出島のオランダ商館に引き渡す。
然るのち、商館側からアメリカ軍艦へと乗船させる。
こうすれば日本が、アメリカの引き渡しの求めに直々応じたことにはならん。

その指示を聞いて、頭を下げる栄之助。
だが、周田の後ろには、どこかで見たことのある焼き物(蓋つきの壺)が飾られているのが目に入る。

本日は、ここまで

長崎の有名なお祭り「長崎くんち」。
代表的な出し物として「龍踊り」の画像がよく使われてますね。
今回、季蝶たちが訪れた唐人屋敷で、福建省出身者が練習していた雨乞いの踊りが
お祭りに取り入れられたとのお話を、当時配布されたリーフレットで読んだ記憶があります。
ちらっと出ないかなぁと思ったんですが、さすがに出てきませんでした。
「おくんち」の話をしだすと、長くなってしまいますので、本日はこのへんで。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わげもん~長崎通訳異聞~第1話:父を探して5

2022年01月20日 | わげもん~長崎通訳異聞~

長崎奉行所にて

その頃、プレブル号との交渉は難航していた。

長崎奉行所の船掛:白井達之進(しらい たつのしん)宮川一朗太が、 井戸家家老:周田親政(すだ ちかまさ)武田鉄矢に状況報告を行っている。
彼の後ろには、大通詞:大田崇善(おおた そうぜん)本田博太郎と大通詞で蘭語通詞会所の長:杉原尚蔵(すぎはら しょうぞう)矢島健一 太田の後ろに オランダ語と英語の通詞:森山栄之助(もりやま えいのすけ)小池徹平 が控えていた。

アメリカ側にただ待てと言うだけでは状況が良くなるはずもなく、近頃は声を荒げるばかりだと報告する白井。

恐れながら・・・。

上申しようとする栄之助の言葉を、大田が止める。

ただ待てと申すは、もはや限りがございます。

次に杉原が言葉を止めさせ、周田に詫びる。
だが周田が栄之助に発言を許し、栄之助は言葉を続けた。

牢よりとん走した者がおることを、正直に申した方がよかです。
アメリカ人も人でございます。
いきなり大筒(大砲)ば向けることはなか、英語ば学んできたのはこげんときの為でございます。
必ず、必ず尽力いたします。

白井:控えろ(怒)、指し出口を申すな。
その命令に、頭を下げる栄之助。

周田:なるほど、そうか。

その言葉を聞いて、何か考える様子を見せていた。

柳屋にて

漂着したアメリカ船ラゴダ号の乗組員のひとりで、牢屋から逃げ出した男:カイ(カリマ剛ケアリイオカラニ)は、父親の形見である帽子を、自分を治療してくれた置屋「柳屋」に居候の男:神頭有右生(こうず ゆうせい)髙嶋政宏 に渡す。

タンキュウ

礼を述べて帽子を受け取る神頭。
通詞だった父親の失踪の謎を追って江戸からやって来た青年:伊嶋壮多(いじま そうた)永瀬廉
芸妓見習いの少女:トリ(都麗)久保田紗友
トリの友人、オランダ人を父に持つ青年:未章(みしょう)トラウデン都仁
3人に、この帽子をどのように使うかを説明する。

これを奉行所に渡す、浜で行き倒れた異国人の仏のモンだって言ってな。
仏は海に流された(そう言ってカイにウィンクする。)それでなんとか落着するだろう。
オゥ(トリに合図する)、カイ(そう言って英語でカイに説明する。)

お前は明日、こいつらと唐人屋敷へ行く。

唐人屋敷は、交易で長崎を訪れた中国人たちが居住する地区である。
出島と同じく出入りが厳重に管理され、一般の日本人が立ち入ることは禁止されていた。

中で劉(りゅう)という船主に会う。
その男の手引きで唐船に乗り、この国を出るんだ。

わかるな。

カイ:アイ

カイは、トリが用意した手拭いを頭にかけられる。

****************************

表を歩く、柳屋の売れっ妓芸者。豪胆で頼りになる、トリの姉貴分:季蝶(きちょう)木月あかり ご一行。
トリの後ろには頬かむりをし、柳屋の上着を着て荷物を背中に担ぐカイがいた。
他の町なら目立つであろうカイも、異人だらけの長崎では誰も気にもとめない。
その横には、同じく頬かむりをした壮多が一緒だ。

壮多は、神頭に聞かれたことを思い出していた。

ひとつ聞いていいかい。

はい。

おまえさん、なんでそこまでカイに力を貸そうとする。

おっかさんが亡くなって、父親はとうにいなくなって一人になりました。
カイと同じです。(歩きながらカイの横顔を見つめる壮多。)
寂しかった。
でも、なんですかねぇ・・・なんかこぅスッと風が吹いた気がしたんですよ。
俺はもう、どこへ行ってもいいんだって。(それを聞いて何かを想う神頭。)
カイはそれを思い出させてくれたんです。

(一行が唐人屋敷の前に到着する。)

そうだ、どこへでも行ける。(横を向いて話していた神頭が、壮多の前を向く。)
おまえなら、できる。

壮多は、神頭に頷いて見せた。

****************************

唐人屋敷の門の前で、後ろにいる壮多を励ますように見つめる一行。

目で合図をするトリ。
受け取った合図を、さらに後ろの物陰にいる未章に、壮多が目線で合図する。
最後に、カイを安心させようと見つめることで励ます壮多。
カイもそれを感じ取っている。

行くぞ。

壮多のその言葉に、一行は唐人屋敷の門へと向かうのだった。

第1話 父を探して 終了

登場人物がとても多く、どうなることかと思いましたが
なんとか第1話を終えることができました。
ジャニーズファンの方よりも、長崎人のツッコミが怖いよぉぉぉ~。
高浪様、うちをブクマしたってメールいただきましたけど、どうか海よりも広いそのお心で
オラを許してやってください。
それにしても、このドラマ。
自分のルーツを探すのがだいちゅきな長崎の人には、とても好かれる気がしております。
大ヒットを心からお祈りするものでございます。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日は会社をお休みします。

2022年01月19日 | Weblog

有給休暇が消えちゃうんで、どっかで休みたいなと

なんとかなりそうな日に、お休みを申請しておりました。

実際は、五覧表だの表さえ出さないで勝手に直す人とか

まだ報告を出さない人のおかげで、仕事が進まないまま休みに突入w

そして、同じ班のパートさんが恐らくだけど、試験を受けている気がします。

まぁ、しゃーないわな。合格すりゃ異動できるんだし、知らんけど。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わげもん~長崎通訳異聞~第1話:父を探して4

2022年01月19日 | わげもん~長崎通訳異聞~

奉行所の牢屋で

カイ(カリマ剛ケアリイオカラニ)が逃げ出した牢屋では、彼が逃亡のため床板に開けた大穴を、トリの友人でオランダ人を父に持つが蘭語は不得手な青年:未章(みしょう)トラウデン都仁 が大工の一人として修繕にあたっていた。
狭い畳敷きの牢屋に10数名の外国人の大男たちが押し込められていては、喧嘩が起きても不思議ではない。
ちょっとしたことで騒ぎが起き、暴力行為が日常となっていることに驚く未章。
棒を携えた牢番が2人がかりでやっと静かになる。
それを目の当たりにして、もしや柳屋にいるカイは下僕ではなく、ここから逃げ出したのではないかと考える。
この壁や畳に残っている血は、ケガをしていたカイのものかも知れないのだ。

柳屋に寄った未章、
置屋「柳屋」に居候の男、医術の他に英語の心得がある。:神頭有右生(こうず ゆうせい)髙嶋政宏
芸妓見習いの少女:トリ(都麗)久保田紗友
通詞だった父親の失踪の謎を追って江戸からやって来た青年:伊嶋壮多(いじま そうた)永瀬廉
たちに、そのことを伝える。

牢ぬけ・・・。

あぁ、カイは出島の下僕ではなか。
オアフちゅう島から来た漂流民ばい。

牢屋から脱走ばしてきたってこと。

ただの脱走やなか。
今沖に浮かんどる船は、カイらを引き取りに来たアメリカの軍艦ばい。
奉行所は必死んなってカイば探しとる。
まだカイは眠っている。

知らせんば、ならんたい。

奉行所へ行こうとするトリを、壮多が呼び止める。
トリ、カイを牢に返したらまたカイは同じ目にあう。

わかっとぅ・・・

殴られて蹴られて・・・

わかっとぅ。

カイは必死で逃げてきたんだ、そんなところへ返すなんて・・・。

だからって何ができるぅ?
奥で薬草を調合していた神頭が会話に加わって来た。
あの役人も言ってたろぉ~、今あいつらがここに乗り込んできたら(首をはねられる仕草)
さぁ~、どうする。江戸へ逃げるかい?お前はそれでいい、でもこいつらはどうなる。
長崎でこそ目立たないが、顔立ちが混血児と分かるトリや未章は長崎以外では生きられないのだ。

この町で生きてきた、これからも生きていく。
生まれた土地から弾かれるってことがどういうことか、おまえには解るかい?

こん顔で、よそで生きるのは無理ばい。

うちも・・・うちは、芸妓になりたかさ。唐人と遊女の娘やなんて、よその町では無理かもしらん。
ばってん、ここでは願いが叶うとよ、長崎やけん。

迎えの船はもう来てる。牢に戻っても、しばらくの我慢だ。(船に)乗ればアメリカに帰れる。
ここでずぅ~と息潜めてるより、その方が先もある。

明日、検番に届ける。明日・・・。
決して乗り気ではないトリと壮多の肩を叩く塩頭。
それが、カイにとって最善の行為でないことは皆理解できているのだ。
目が覚めていたカイは、彼らを見つめていた。

唐人屋敷

柳屋の売れっ妓芸者。豪胆で頼りになる、トリの姉貴分:季蝶(きちょう)木月あかり が、他の芸者や供を連れ立って唐人屋敷にやってくる。
いかつい門番にも「船主のリュウさんに呼ばれております。」と告げるだけで、彼女たちは鑑札なしで通行可能なのだ。(男性は鑑札を見せている。)
その中には、三味線を演奏するためのトリも来ていた。
ただ、カイのことで気持ちが晴れずに暗い表情をしている。

夜になり、柳屋でうたたねをしていた壮多が目を覚ますと
布団にいたはずのカイの姿が無い。
ケガをしていたカイは外に出られる筈もなく、座敷の廊下に座り込んでいた。
カイは昼間の壮多たちの会話から、意味は解らないまでも何かを察していたのだろう。

もう逃げなくてもいいんだ、力になれなくてごめんな。
でも少しうらやましいよ、俺には帰るところなんてないから。
父親の帽子を握りしめたまま、壮多の手をとるカイ。

ファザー?

アイ・ファザー

ファザー、会い、会える。
アメリカに帰れば、カイは父親に会えるものと思い。両手で「握手」の仕草をする壮多。

しかし、首を振るカイ。
ア・オーレ
そう言って、天を指さす。そう、彼の父は亡くなっていたのだ。
驚く壮多。母についてマザーと聞いてみると

マダァー
再び天を指さすカイ。二親とも亡くなっているらしい。

座敷の奥から塩頭の地球儀を取り出す壮多、カイにオアフの場所をきくと
ゆっくりと日本からオアフを指でなぞり、故郷へ帰りたいのか尋ねるが

ア・オーレ
という彼の返事に驚く、カイはオアフに帰りたいわけではない。
地球儀の上をぐるぐると指を回して指し示すカイ。

ア・アイ(地球儀をぐるぐる指さし)ファーダー(壮多を指さす)

お父さんは船乗りだった?

カイ(地球儀をぐるぐる指さす)

そうか、お前も船乗りになりたいんだ。

ハイ・アイ・・・イムンアエナポーキ

イムンアエナポーキ・・・そうか、そういうことか。

壮多が表を指さし、イムンアエナポーキと言えば
カイも表を指さし、イムンアエナポーキと答える。
壮多は、カイの言葉から伝わる彼の意思を理解することができ、喜びの余り彼に抱きつく。

翌朝、カイに肩を貸し海辺を歩く壮多。

未章は、柳屋からカイと壮多がいなくなったことをトリに知らせる。
2人を海辺でみつけたトリと未章。

どこに行くつもり。

カイを乗せてくれる船を探す。

船ならある、アメリカから迎えが来とる。
牢に戻ればじき乗れる。

カイは出て行きたいんだ。

その言葉に、驚くトリ。

暗い牢や、自分を殴ったりあざけ笑ったりする連中や生まれた土地からも離れて、ただ何処か遠くへ。

顔を背ける未章、顔立ちだけは異国人なのにトリと違って外国語が離せない彼には、少しだけカイの気持ちが理解できる。

でも、そげん・・・。

イムンアっ!(壮多、海を指さす)

アイ・イムンア(カイ、海を指さす)

カイの故郷の言葉だ。
「自分を信じて前に進もう。」

意味の解ったと?

首を振る壮多。
全然、でもきっとそうだ。←え?

再びカイを担ごうとする壮多に、肩を貸す未章。
浜辺を進もうとする3人に、後ろからトリが話しかける。

誰にも知られず、好き勝手遠くの国へ行くやなんて、できるわけなか。
生きていけるわけなか。
乗れる船なんてもなか、助けてくれる人もなか。
異人やろうが日本人やろうが、そげんことば願って叶うはずがなか。

ここならできる、ここは長崎だろっ!

そう言ってトリに笑いかける壮多。(朝日が眩しいっ!)

なんね、そぃはうちの台詞ばい。

ようやく笑みの戻ったトリが、3人に追いつく。

すると、松林の陰から会話を聞いていたのか、太い棒を持った塩頭が戻れと言って現れる。
(先生、いいですね。ソフトなジャイアンスタイル。)

戻れ。

先生。

壮多がトリにカイの肩を担いでもらい、塩頭の前に歩み出る。
今奉行所にカイを渡すわけには・・・。

やみくもに動いたって、潰されるだけだぃ。
どうしたら日本から出られるか、ゆっくり考えようじゃねぇか。

砂浜に棒を放り投げ、不敵に微笑む。
こうして、機動力の若者たちと知恵者のパーディができあがった、ミタイナ。

本日はここまで

こうしてみると、やたら登場人物たちが親切に見えますが
現在の長崎でもそれは、デフォルトなんであります。
むしろ1に登場した長屋の女性とか通詞会所の人の態度ったら、地元の人からNHKにクレームが出るのではないかと
オラは勝手に心配しております。
それくらい、長崎の人は困った人に寛容というか親切で
初めて長崎に行った人は、だいたいヒキます
大丈夫、あなたはひとりじゃない。オラもヒキました。
でも帰る頃には、困った人を見かけたとき
なんで親切にしてあげなかったんだろうと、空港バスの中でだいたい落ち込みます
最近、そういうことで落ち込んでいないです。
きっと汚れてるのね(ゴーナキ)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今聞く、それ?

2022年01月18日 | Weblog
システムエラーばっか起きてなかなか見られない状態で

このアプリを気に入りましたか?

って、ポップアップが出ましたけど

今聞くか、それ?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わげもん~長崎通訳異聞~第1話:父を探して3

2022年01月18日 | わげもん~長崎通訳異聞~

突如鳴り響いた大砲の音に、騒然となる長崎の町

置屋(柳屋)に居候の男:神頭有右生(こうず ゆうせい)髙嶋政宏は、物見遊山とばかりに様子を見に出かける。

この日、突如長崎湾に現れたのは国交を結んでいないアメリカの軍艦。プレプル号であった。
囚われている捕鯨船漂流民16名の引き渡しを要求してきたのだ。
奉行所では、長崎奉行:井戸対馬守覚弘(いどつしまのかみさとひろ)石黒賢 が、なぜ長崎に乗組員がいることに気づいたのかと長崎奉行所の船掛:白井達之進(しらい たつのしん)宮川一朗太 に尋ねるが、先方はそのことについては口を割らないらしい。

この当時の長崎には、ラナルドとは別にアメリカ国籍の捕鯨船ラゴダ号から漂流した人々が、桜町牢にいた。

対馬守:直接引き渡すことはならん。わが国では、オランダ国以外とそのような取引を許してはおらん。船をこれ以上港に近づけることもならんっ!

井戸家の家老:周田親政(すだ ちかまさ)武田鉄矢らの前で、そう申し渡す対馬守。

アメリカ船の船内

白井:ただいま江戸表に処遇を問うているので、それを待て。

通詞の森山栄之助(もりやま えいのすけ)小池徹平 が、英語でアメリカ軍官プレブル号艦長:ジェームス・グリンに通訳する。
艦長の「いつまで待てばよいのか。」とう言葉を和訳すると、「待てばよいのだ。」というだけの白井。
艦長は苦笑いをし「我々に知られては不都合なことがあるのか。」という。

わが国では、貴国が抑留した漂流者を虐待し、死に至らしめたとのうわさも流れている。

白井:そんなことはない。抑留者2名が当地にて死亡した。だがそれは病で・・・。我らは手を尽くした。

二名、では当地にいるのは14名ということか。

白井:そうだ。

だが、奉行所に戻るとオアフ島出身の1名が行方不明であると知らされる白井。
牢内での暴虐に堪えかね、脱走したのではないかというのだ。
牢の床には穴が開いており、そこから脱獄したらしい。
牢番は手分けして探していたといい、報告があげられていなかった。
アメリカ側には14名と説明しているため、大騒ぎになる。

蘭通詞会所

稽古通詞:杉原敬生(すぎはらけいしょう)重岡漠 が通詞の長(大通詞)である父親:杉原尚蔵(すぎはら しょうぞう)矢島健一 相手に何かを見せている。
息子をお供に何処かへ出かけようとしているようだ。
もう一人の大通詞:大田崇善(おおた そうぜん)本田博太郎 と出くわすが、あまり二人の仲は良いとは言えないようだ。
どこへでも息子を連れて行く杉原を、太田はくさしている。

そこへ、通詞だった父親の失踪の謎を追って江戸からやって来た青年:伊嶋壮多(いじま そうた)永瀬廉 がやってくる。
通詞の会所に来れば、父親の手掛かりがあるかもしれないと思ったからだ。
周吾」という父親の名前を聞いた途端、少し困ったような顔で「知らん」と言われてしまう。
調べて欲しいと頼んでも、どうにも取り次いでくれない。確かに母親から、父親が長崎で通詞をしていたと伝えても

「周吾」ちゅう通詞は長崎にはおらん。帳面にもそがん名はなか。

そう言って冷たい扱いを受けるのだった。

長崎奉行所

その頃、奉行所では白井が対馬守に牢から一人の乗組員が失踪していることが伝えられていた。
14人の乗組員を返さなければ、相手方が砲撃も辞さずと脅していることも報告している。
時間を稼ぐことにした対馬守。家老の周田も「江戸の判断を待つよう伝えろ」と白井に命令を下した。

柳屋で眠っているカイを見守る壮多。
昼間の会所での出来事に気分が重くなり、神頭が食事を持ってきてもぼんやりしている。
神頭が持ってきたアガリと称する食事は、カステラにパン(ボーロ?)。豚の角煮やエビなどのさまざまなおかずが盛られた皿もある。
そのアガリの元は、芸妓たちの外国人への手紙を代筆したことへの手間賃らしい。
オランダ語の手紙を、出島の商館員に渡しているそうだ。
彼女たちは鑑札なしで、出島も唐人屋敷も出入勝手(フリーパス)舌も肥えているからウマイ料理もよく知っていると
神頭はウハウハしている。
成り行きなのに世話になって申し訳ないと、恐縮する壮多に「そうやって出入りする奴は多い。君には何も教えていない。」と言い、自分のことは、先生ではなく「神頭」でいいという。

初めて口にする長崎の料理が、おいしくて驚く壮多。
神頭はトリ -久保田紗友 から聞いたのか、壮多が父親を捜して長崎に来たことを話題にしていた。

母親から、父は通詞であると聞いていたがそれはカタリだったようだと話す壮多。
通詞会所にそのような男のいた記録はない。どこを周ってもそんな男はいない。
住んでいた長屋でも、ある日突然消えたままだと。

懐から、あの手帳を取り出す。

俺と母親は、父に捨てられたんです。

神頭は、手帳を開いてみるように壮多に指図する。
カタリとは思えんがな。よう記してある。

壮多から手帳を手に取り眺める。
その手帳は、蘭語を学び始めた頃母から渡されたものだという壮多。

あるページには

己のことばを捨てよ 周吾

そう書かれていた。
塩頭に意味を聞かれても、分からないと首を振る壮多。
眠るカイを見つめ、彼は逃げてどうするつもりだったのだろうと言う。

枕元に置かれた帽子は、塩頭によると「ファザーのもの」とカイが答えていたらしい。

ファザー・・・。

父親っていう意味だ。
会いたいんだろぉ、父親に。

翌日。柳屋の女将:しず(紅壱子)の元に、同心:滝口修二郎(たきぐち しゅうじろう)平山祐介 と栄之助がやってくる。

お役人さまがこげんところに、よかとね?(ニヤニヤ)

お役目でな。

どうやら、牢屋から逃げたカイを探しているらしい。

奥では、塩頭と彼にオランダ語を教わる芸妓たちがいた。
座敷の戸の隙間から、滝口を見かけた壮多は急いでカイを何処かへ隠す。

塩頭に、異国のケガ人を手当てしなかったかと尋ねる滝口。
ケガ人はいくらでも見たが、異国人は一人も診ていないと答える塩頭。
家探しを始める滝口。
奥の襖を開け、大きく膨らんだ布団をめくると・・・。

壮多が出てきた。

彼を見かけた栄之助が、ここにいるのかと驚く。
女将のしずに、港の仕事を世話してもらっているという壮多に、滝口が知り合いなのかと尋ねる。
カイの帽子が残っていたのだが、壮多が「粋でしょ、これ。被ってみます?」と滝口に渡そうとするが、埃まみれの布団から出てきた壮多の帽子を、いらんいらんと断る。
それではと押入れを開けると、そこにあったのはカイではなくこれまたホコリだらけの布団の山が崩れ落ちてくる。
堪らず出て行く滝口。
栄之助と壮多が知り合いだったことを知った塩頭。
壮多が父親のことを尋ねたが知らないと言われたことを伝えると、「力になれずすまない。」と詫びる。

おまえの父親は通詞だよ。

塩頭は、栄之助の前ではっきりと壮多に伝える。
滝口がもし異国のケガ人を見かけたら、連絡するようにと伝える。

その人が何か・・・。

滝口:いやたいしたことじゃないんだ、ただかくまってる奴がいるとタダじゃすまなくなる。
そういって、扇子で首をはねる仕草をする。

滝口:知り合いの晒し首なんざ、見たくねぇだろ。邪魔したな。

先に座敷を離れる滝口、去り際に栄之助が塩頭に話しかける。

英語んほが得手ですか?
さっき、きれいかお姉さんが、蘭語のフッタをグッタて言いよりました。
英語の癖が強か。

滝口に呼ばれ、栄之助も帰って行く。

先ほど滝口が開けた押入れ、下段の奥からカイが出てくる。
カイに父親の帽子を被せる壮多。

出島の下僕が一人消えただけで、なんで通詞まで駆り出される。
塩頭は、どうも様子がおかしいと感じるのだった。

本日はここまで

先日も描きましたが、外国との貿易が盛んにおこなわれていた長崎。
カステラのような砂糖をたくさん使うお菓子も登場しましたね。

そして、高浪様曰く
長崎空港等の売店では、切り分けられたカステラも販売されていますが
作っているお店によっては

切り口から乾いてしまうので、うちは切り分け販売しません( ー`дー´)キリッ
って、「一人分ずつ切られていないカステラを販売するお店」のカステラもあるそうです。
長崎のカステラは分担で作らず、一人の職人さんが全行程を担っておられるので
職人さんによってカステラの味が変わる。ともお話しされ
就職試験が腕立て伏せだったカステラ店もあったらしいですよ。
長崎のカステラと書きました。
電話はイチバンのお店は、同じ店名でも広島から向こう(東)のカステラは、製法が違うそうです。
この
アツい長崎カステラ推し 長崎が近い話のひとつとして書かせていただきました。

今はどうなんでしょうね。確認しに行きたいなぁ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ショッカー「イーッ」(-o-)/

2022年01月17日 | Weblog

修正があったら、修正箇所の一覧表を一緒に出してくださいね。

と頼んでいるのだが・・・

が・・・

ちょっとずつ書いて、エクセルシート5枚でバラバラに出してきよった。

そ、それ五覧表だろーがぁぁぁぁぁ~っ。

ショッカー「イーッ」(-o-)/

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わげもん~長崎通訳異聞~第1話:父を探して2

2022年01月17日 | わげもん~長崎通訳異聞~

崇福寺にある座敷牢

捕鯨船から日本にただ一人やってきたアメリカ人で、帰国まで長崎に置かれ、オランダ語通詞:森山栄之助(もりやま えいのすけ)小池徹平 らに英語を教えるラナルド・マクドナルド(木村昴)。
幕府は開示を迫る西洋列強に対応するため、通詞たちに急ぎ英語の習得を命じ森山らは彼に英語を学んでいた。
通詞の一人:船にはどんな武器を備えているのか。

ラナルド:よか。

栄之助:あなた方は我らを砲撃するつもりか。

ラナルドが笑い出した。

おかしい?どこかおかしかですか?

ラナルド:ブキぃ、持ってますか?アナタタチ、闘いますか?アナタタチ、外国親しいなりたくない。

ラナルド:あななたちはただ他国を拒否するために学んでいる。

英語でその言葉を聞いた通詞たちは、沈んだ表情をみせる。

栄之助:拒否ではない。ただわかって欲しいのです。
我々の話す言葉で、この国は今まで一度も他国に征服されたことがない。
そしてこれからもさせない。

ラナルド:それがあなたたちの誇りだと?

栄之助:イエス。

ラナルド:よか。

他の通詞と違い栄之助の語学センスはかなり秀でているらしく、よどみなくラナルドと会話を始める。
英語を教えるというよりは、議論をしているようにさえ見えた。

置屋・柳屋

通詞だった父親の失踪の謎を追って江戸から長崎へやって来た青年:伊嶋壮多(いじま そうた)永瀬廉 の目の前で、追手から逃れてきた大男(カリマ剛ケアリイオカラニ)が倒れた。
通りがかった芸妓見習いの少女:都麗(トリ)久保田紗友 と一緒に、大男を彼女の知り合いの医者のいる場所:置屋・柳屋に運び込む。

トリちゃん、お稽古はもう終わったとね。
始めて見た置屋に戸惑った壮多だが、トリに促されて大男を奥の部屋へ運び込む。
彼女が「先生」と呼ぶ男は置屋の居候:大田崇善(おおた そうぜん)髙嶋政宏 で、トリの友人でオランダ人を父に持つ青年:未章(みしょう)トラウデン都仁 に背中をほぐしてもらっていた。
トリは急いで未章を背中から剥がし
先生、病人ばい。
そう言って、今度は敷布団を引っ張って崇善を転がし、代わりに大男を寝かせる。
トリのなかなか大胆な行動に驚く壮多。
診察を始める崇善に、壮多が

(彼は)日本人ではありませんよね。

と問いかけていると、いきなりトリと自分との間に割り込んできたと勘違いした未章が

ワイはだいか?(お前は誰だ)
と言って壮多の胸倉を掴み凄んでくるが

手当てが先やろぉ。
と叱られて黙ってしまう。

先生は詳しかよ、蘭学者崩れやけん。
大男の脚のケガを治療する崇善をこれでもフォローしているらしい。
崇善が大男の頬を軽くはたいて、彼に名前を尋ねる。
しかし、日本語が通じないどころか
名前は?と中国語でトリが尋ねても答えられない。トリになにか聞いてみろと促されても、未章はオランダ語を話すことができない。

名前は言えますか?
どこから来たのですか?
流ちょうなオランダ語で質問する壮多に驚く崇善。

アンタ、蘭語が話せるとね。
未章が少し嫉妬した目で、壮多を見る。
壮多は大事に持っているあの手帳を大男に見せ、
この中に話せる言葉がありますか?
と聞いてみたが、男は首を横に振るだけだ。敷布団に置かれた紙を見た崇善は
ここに書かれているのは全て英語だという。試しに崇善が英語で名前を聞いてみると大男は、自分の名前を「カイ」と名乗った。
崇善はカイに腹が痛むのかを英語で尋ね、腹部を押えるとカイが痛みを訴える。
未章が着衣を脱がせると、腹部には暴行を受けた痕があった。

あぁ、出島から逃げてきた下僕だな。仲間にやられたか、商館員から仕置きされたか・・・。

なぜそんなことを。

出島は、オランダ人には牢獄ばい。余程んことが無い限り、島から出るのはご法度たい。
あがん小さか島に閉じ込められとったら、弱かもんにウサのひとつでも晴らしとうなっとさ。
未章が吐き捨てるように言った。
華やかな町の裏側を少し知ったような気がする壮多。

カイ:イムンアエナポーキ

英語ではないその言葉に、疑問を持つ崇善。

イムンア・・・。

未章:出島には返さん方がよか。

今返したら同じようなめに遭うて死んでしまうとよ。

崇善の判断でしばらく様子を見ることにし、このことは口外しないようにすることとなった。
壮多はトリに自分を出島に連れて行って欲しいと頼む。
カイの言葉「イムンアエナポーキ」が、きっと彼にとっては大切な言葉であろうから、力になれるなら助けてやりたいと言うのだ。

あたしトリ、こっちは未章。アンタは?

そ、壮多。

行こう、早よぉ。

そう言って、早速行動しようとするトリに戸惑う壮多がついていく。

出島の入り口で

禁制の立札が建てられた出島の入り口。
門構えの前には、番人が立っている。長崎に来た外国人は自由に振舞えるわけではなく、この狭い出島の中にいることを強要されるのだ。

出島は、オランダ人やその植民地から来た人々が居住する島で、許可のない一般の日本人が入ることは固く禁じられていた。

その前に立つトリと壮多。連れてくることはできても、中に入ることはできない。

どげんすっと。

その時、中では同心:滝口修二郎(たきぐち しゅうじろう)平山祐介 が通詞の栄之助を連れて出島を訪れていた。
オランダ商館の勝手方:ヤンセン-村雨辰剛 、カピタンと呼ばれるオランダ商館長で出島のオランダ人たちを代表するトップ:
レフィスゾーン(リチャード・ヴァン・ローイ) らに、川で発見された遺体が持っていたあの陶磁器を見せるためだ。

商館長の言葉を栄之助が和訳しようとすると、滝口は会話を重ねるつもりではないので簡単に内容を伝えるようにいう。

確かに西洋の工芸品だが、我々が扱った品ではない。
昨年の積荷控えにもこの品は載っていない。

滝口:えぇ、もちろんそうでしょう。で、話はここからだ。どなたかその品に心当たりのある人が、出島に居ませんかね。

栄之助がオランダ語訳を商館長らに伝えると、商館長はこう伝えてきた。

長年オランダは長崎で日本と友好的な交易を行ってきた。
違法な売買「抜荷」が重罪なのは承知している。

幕府は「抜荷」即ち「密貿易」を固く禁じ、打ち首などの重い刑罰を与えていた。

ヤンセン:不正の取り締まりには互いに尽力しましょう。

屋敷を後にする滝口たち

殺された男が抜荷と関りあるとは、間違いなかですか。

あぁ、前から目は光らせてたんだが・・・。

殺されたとは、仲間割れやったとでしょうか。

或いは、商売品をくすねて制裁されたか。どっちにしろ下手人は、抜荷一味と繋がってる筈だ。

門の外へ出ようとした滝口らが、騒ぎに足をとめる。

どうやら、オランダ人医師モーニッケが出島に戻ろうとしたところを壮多が呼び止めたため、騒ぎになってしまったようだ。

間に入る栄之助が、モーニッケ医師にオランダ語で様子を尋ねると、彼は「なんでもない、いきなり話しかけられただけだ。」という。
彼らが心得違いをしただけだという稽古通詞:杉原敬生-重岡漠。モーニッケ医師に「無頼の者は私が追い払う」と敬生から伝えられ、堪らず壮多がオランダ語で反論する。

無頼の者ではない、教えてください。
「イ・ムア・エ・ナー・ポーキッイ」聞いたことはありませんか?
出島の下僕たちのあいだで

敬生:帰れ、異国人と許可なく話すことは禁じられとるっ。

許されればいいんですか?

言い返されてムキになる敬生に、栄之助は中に行くよう命令する。
敬生と中に入ろうとしたモーニッケ医師は、壮多を振り返り

その言葉、私は聞いたことがない。ポルトガル語でもマレー語でもないようだ。
役に立てず残念だ。

そう言葉を残して立ち去さろうとするが、がっかりする壮多を見て

あなたのオランダ語は聞きやすい。

そう微笑んで帰って行く。

滝口:騒ぎを起こすんじゃねぇぞぉ~。
どうやら滝口は見逃してくれるようだ。

壮多の流ちょうなオランダ語に、栄之助は蘭語をどこで学んだかと尋ねる。

一人で、江戸で。

一人で・・・。

よぉ~身についとぉ。
なぜかちょっと悔しいといった顔で、嬉しそうに去って行く栄之助。
彼を呼び止め通詞であるかを聞くと、父親の名前「周吾」という名の通訳を知らないかと尋ねる。
その名前に表情をこわばらせる栄之助。(台詞では「しゅうじ」と聞こえました。)

何て?

ワタシの父なんです。

そのとき、2人の会話を遮るように大砲の音が鳴り響く。
その音は、座敷牢に居るラナルドにも聞こえるほどだった。
何度も聞こえるその大きな音に、長崎の町はパニックとなっていった。

本日はここまで

長崎と言えば、橋。眼鏡橋はあまりにも有名ですよね。
今の長崎は、当時あった橋がなくなり川に蓋をする「暗渠」(あんきょ)という状態になった場所もあります。
〇〇橋という地名があっても、行ってみると橋がなかったりする場所もあるのです。
そういえば、ブラタモリで長崎ロケがあったとき出島付近の暗渠の中に入るという企画があって
ゾクゾクしちゃいました。あれからどうなったのかな、気になります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドラマのあらすじを入力中

2022年01月16日 | わげもん~長崎通訳異聞~
NHKの土曜ドラマ『わげもん』のあらすじに、とりかかりました。
登場人物が多くて、どうなるかと思いました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わげもん~長崎通訳異聞~第1話:父を探して1

2022年01月16日 | わげもん~長崎通訳異聞~

嘉永2年(1849)

江戸時代の長崎。当時唯一諸外国と貿易ができていた長崎は、オランダ・清国(中国)など幕府に許された国々とのみ交易を行う都市であった。
イギリス・フランス・ロシア・アメリカなどの西洋列強は、この港から日本との国交を結ぶ糸口を探っていた。

沖で停泊している外国船に向かう小舟。
船頭と共に外国船に向かうのは、オランダ語通詞である森山栄之助(もりやま えいのすけ)小池徹平 だ。
彼らが近づく外国船の周りは、明かりを灯した小舟にぐるりと囲まれている。
栄之助は、外国船に乗り込む。

開国を迫る列強と幕府との間に立ち、両者の交渉を言葉を以て担うオランダ通詞(つうじ)と呼ばれる者たちがこの街にいた。

やってきた栄之助を待っていたのは、長崎奉行所の役人 と オランダ商館の人物 だ。
彼の話をオランダ語で通訳する栄之助。
わげぇ(和訳)致します。
船は突然、夜中に現れた。上がってみっと中は明るく、たった今まで誰かが笑いさざめいていたかのように、大勢の人々の気配があった。だが、どこにも人はいない。

奉行所役人:ありえっと、こん港なら。

オランダ語訳で、栄之助が伝える。
この町ならどんなことでも起きる。

ここは、長崎ですから。

役人と共に船内を探索する栄之助。
燭台のロウソクに照らされた船室の中を見て、目を瞠る(みはる)のだった。

海辺を歩く青年

懐には大事そうに(今でいうシステム手帳のようなもの)何かを持っている。どうやら、彼はどこかを目指しているらしい。彼が辿り着いた場所は長崎だった。被っていた傘を取り払い、賑わう町を感慨深げに見つめる。

オープニング

彼の名前は、伊嶋壮多(いじま そうた)永瀬廉 通詞だった父親を捜して長崎にやってきたのだ。
壮多には幼い頃仕事に出かけたまま行方不明となった父親がおり、父が通詞の仕事でこのあたりに住んでいたらしいと僅かな情報を頼りに父の行方を尋ね歩いていた。
それらしい長屋にいる人に尋ねてみても有効な情報はなく、表に座っていた老人に「20年以上も帰って来ない父親なんて、なぜ今頃探しに来たのか。」と言われ

二月前、母が死にました。それを知らせてやりたくて。

そう答える壮多。その言葉にほだされたのか、老人は話し始める。

風の強か晩、あん人の家だけが遅おまで灯りがついとった。

翻訳作業をしていたらしい父親の姿。
しかし、明け方に老人が父親のいた長屋の戸を開けてみると・・・。

消えた?

そんときから、あん人のことば見たもんは誰もおらんくさ。

消えてしまった手掛かりに、呆然と町を歩く壮多。
彼の歩く先、橋の上には川のほとりに水死体があるらしく人だかりができたいた。
奉行所同心:滝口修二郎(たきぐち しゅうじろう)平山祐介 が遺体の懐から、陶磁器のようなものを取り出す。
後ずさりしてその場を去ろうとする旅傘姿の男と、壮多はぶつかる。
詫びる壮多に傘を上げた男(サンディー海)は、オランダ人とは違う顔つきの外国人風の男性だった。
彼のことが気になり、後を追いかける壮多。
男性はそれを振り切ろうと走り出す。
辻を曲がって小さな鳥居の辺りで、男を見失う壮多。
すると、その後ろを大男(カリマ剛ケアリイオカラニ)が荒い息遣いで通り過ぎるのに気づく。
彼が身をひそめると、追手らしき男が2人。彼を探して見当違いの方向へ走り去って行った。
鳥居付近に隠れていた大男が倒れるのを見た壮多は、通りがかりの女性トリ(久保田紗友)に話しかけられる。

ケガ、めまい?

分からない。

運ぼう。一緒に運ぶから肩を貸そうという動作)

運ぶって・・・。

先生のところ、はよっ。

歩けるか?(ぐほっ)

そう言って、2人は大男をどこかへ運んで行った。

崇福寺 大悲庵

まるで座敷牢のような設えの部屋の前の廊下で、栄之助たちが正座で一斉に中の人物に挨拶をする。

フットモーニング

牢と言っても床は畳、上には絨毯が敷かれており、無下に扱われているわけではないらしい。

その挨拶に首を振って笑いながら訂正を入れる男性:ラナルド・マクドナルド(木村昴)

ノット、フット。グーッ、グッドモーニング。

どうやら栄之助たちに英語を教えているらしい。
彼らの挨拶を直すと満足したらしく、こちらに来てから覚えたらしい九州弁で

よか。

そう伝えてきた。
当時、照明の主流であったランプに使用する鯨の脂を求め、列強諸国から多くの捕鯨船が日本近海に出没してきていた。
ラナルドはこのような捕鯨船から蝦夷地に上陸し、長崎に送られてきたアメリカ人なのである。

本日はここまで。

トリと壮多の出会い。長崎が近い(長崎らしい)ですね。
困っている人を放っておけなくて、トリが大男に自分から肩を貸してます。
もし台詞があったとしたら、もたもたしている壮多に

せからしか、はよぅ肩ば貸しんねっ。

そう言って叱りつけていたかもしれませんね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする