鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

漆工作業その21

2015年09月28日 00時00分01秒 | マニュアル

磨き

 最終工程の段階で、上塗り後十分乾燥させてから上塗り面を研いで、平滑にし、磨きを行う。仕上げ方法は、最初の段階で上塗り後に磨き仕上げを行うか、それとも塗り放しで磨きを行わないかによって、使用する上塗り塗料が決まってくる。上塗り塗料の乾燥時間が長くなり、埃やゴミが着きやすくなり、漆風呂のような専用設備を持たなければなおさらである。乾燥時間が長い塗料は一般的に言うと、平坦性が高く、流動しやすい。塗りやすさは塗料を薄めるために用いるシンナーの組成を変えることによって、沸点をある程度操作することが出来る。

 

 塗り放し仕上げは、本来の塗料が持つ光沢を生むことが出来るが、塗料によっては、カシュー合成漆など、輝きが強すぎる場合もあり、下品になる。これは若干の表面の凹凸で、光沢が均一にならずにギラギラしさが出るためと思われる。

 

 上塗り乾燥後の研ぎは、炭紛、地の粉、砥の粉などを使うが、予めふるいで篩っておく必要がある。通常は耐水研磨紙の番手で数が多い600~1500番を適宜使う。研いだ表面に光沢が残るところは表面が低い部分であるから、光沢のない状態まで研ぐが、研ぎすぎると中塗りまで研いでしまうので、細心の注意が必要である。ゴムべらを用いて、研ぎ汁を拭い、表面の状態を確認しながら行う。番手が粗いと研ぎ足が残るので、仕上げ研ぎは砥粒が細かい物を使う。被塗物全体が光沢のない状態にし、拭き上げて研ぎを終える。

 

 磨きの材料は、コンパウンドを用い、荒目、中目。細目、極細目を準備し、ウエスに少量付けて磨く。多量に付けると砥粒が混入されている油で滑るため、研削出来ない。磨きも広い意味では研ぎの一種で、細かくした砥粒で表面を削ることによってより平滑面を得ることである。最後に漆塗りでは角粉(鹿の角を焼いて粉末にした物)を指に付けて磨くが、角粉が手に入らない場合は、チタン白を用いても良い。自分は、ワックスを付けて磨き上げている。磨きで、注意することは同じ箇所を続けて磨くと摩擦熱のために上塗り塗膜が軟化し、艶引けを起こすので続けて磨かないことである。

 

 最近は、ノンシリコーンワックスも登場している。超微粒子コンパウンドであるが、機械研磨やバフ研磨で用いられている。磨きを行うことで、表面の平滑性を最大に発揮させ、所謂、鏡面に仕上げるのである。


棗(なつめ)その2

2015年08月17日 00時00分05秒 | マニュアル

 切り合い口といって、身と蓋とを同時に蓋を閉めたまま塗りを行い、接合部に隙間や狂いがないように仕上げる合い口の処理方法がある。乾燥時間を考慮しないと接合部が固まってしまい、身と蓋が分離出来なくなるので、この施工を行うときは乾燥時間を見て、固化する前にカミソリを入れ、分離する。

 

  棗の場合は通常合い口が円形であるので、蓋部分をガラス定盤上で水溶き砥の粉を使って合い口部分を平らにする。身の部分は、直接ガラス定盤上で同様に研ぐことが出来ないため、薄くサビを施した後。蓋の合い口部分をベースとしてとの粉等を加えて、身の部分と摺り合わせを行い、合い口部分が平らになるように繰り返し行う。平らになれば施工したサビを固定するために、合い口部分を乾燥させた後、漆分の強いサビを施し、固定させる。

 

 合い口が平らでないと蓋を閉めたときに、カタカタと音がする。この音が出る部分は合い口部分に空間が空いているため、周りより低い部分となる。従って、動かない部分、密着している部分は高いため、その部分を研いで、下げる。僅かの量なので、研ぎすぎないように注意する。

 

 次ぎに上塗りの工程にはいるが、上塗りは通常3回塗りとし、下塗り、中塗りが終われば、その都度、合い口部分の摺り合わせを行い、隙間を埋めていく。最後の上塗りは、身に蓋を付けて同時に塗り込む。乾燥後、呂色仕上げを施した後、ぬるま湯の中で身と蓋を分ける。分けた合い口部分は摺りうるしをして仕上げとする。

 

 実際は素材の変形や、下地施工のムラなどによって、合い口部分が完全に密着出来ているかの検査は困難であるため、蓋の開閉によって微妙な空気の抵抗感で仕上がり状態を知ることになる。

 

合い口は蓋物の制作には欠かすことが出来ない。ぴったりと合った合い口は見た目もよく、下地段階でこの状態になっていなければ、上塗りに入ってからは修正出来ないため、下地段階で時間をかけて作っておくことが最も大切な工程となる。治具の活用、曲面にあったへらの作成、薄い下地の施工等どれも熟練を要し、失敗を恐れずに何度も挑戦することで、難しい施工箇所も分かり、工程も理解出来る。(このシリーズ最終回です)


棗(なつめ)その1

2015年08月16日 00時00分01秒 | マニュアル

 茶道で使う茶入れで、湿気を嫌う抹茶(玉露等)は密閉されていることが大切である。棗は中国原産の落葉小高木で、黄茶色の楕円形の実は、食用や漢方薬になる。クロウメモドキ科の植物であり、実の形が似ているので、抹茶入れのことも指す。茶道の点前(てまえ)では中心的な用具となっている。形によって棗、寸切(すんぎり)、吹雪(ふぶき)中次(なかつぎ)等と名称が異なる。漆工では高度な技巧が必要であり、合い口の仕上げによっては、かなり丁寧な仕上げが行われてきた。通常印籠蓋(いんろうぶた)を使っている。

 

 素材は木材の引き物であるが、狂いの少ない素材を使い、サクラ、トチ、ケヤキが用いられてきたが、十分乾燥させた古材を使う。柾目のヒノキ材の縦引きが最良とされる。漆工においても本堅地ほどは下地付けを行わないが、素材はある程度の塗膜厚が必要なため、蓋と身の部分に塗り代(ぬりしろ)を持っていなければならない。古材を使うのは、木目と木目の間である白太が、温度や湿度によって縮むため、時間をかけて涸らす(乾燥させる)必要があるからである。

 

 涸らす期間は、下地を付けてから1年間程度または、下塗りまでには1ヶ月以上涸らす必要がある。涸らすためには人工的な加熱や除湿を行うことはしないし、自然に任すので、作業場の棚などに放置すればよい。下地付けは、素地の狂いを無くすことと、上塗りとの密着性を高める中間的な塗膜であり、下地と上塗りとの密着性を高める。併せて、素地の持つ凹凸を修正するために施す。その目的以外、厚塗りすると重量が嵩み、薄く付けるととぎによる研ぎ破れで、上塗り塗料の吸収性に斑を生じる事になる。薄く均一に下地付けを行う。

 

 塗装工程は通常の本堅地と変わらないが、布着せより和紙を使った紙着せが主に用いられる。紙着せの場合も全体を覆うのではなく、欠け易い部分に集中すればよい。下地付けにはへらを用いるが、曲面に適したへらは自らが作ればよい。1回へら付けし、乾燥後は砥石や炭で表面を削り、平坦な面を得ることが大切である。(次回へ続きます)


パソコン突然のダウン

2015年07月03日 00時00分01秒 | マニュアル

 数日前からパソコンの反応が悪くなり、アプリケーションのアクセス時間が長く感じていた。特に毎日使用しているワードの立ち上がりに時間がかかり、メールの反応も悪かった。メールには迷惑メールが多くなり、毎日削除するのに手間を要していたところである。

  昨夜、突然画面が青くなり、白文字で、警告の文章が英語で書かれていた。内容は、今までにこの画面が出たことがあるのか、度々であれば、システムを再インストールするか、パソコン管理者に問い合わせてくれという警告文章であり、そのままでは消えないため、強制終了(電源ボタンを10秒以上押し続けると遮断する)せざるを得ず、再度電源を入れると、起動ファイルが壊れているとのメッセージが出て、再インストールディスクを入れてウィンドウズを立ち上げるとのことであった。

 

 それから格闘して、可能性のある修理方法を試みたが、一向に症状は変わらない。ダイアゴノステックという診断プログラムが、デルのパソコンにはCDに付属していて、これで状況を見たのであるが、ハードディスクの故障のメッセージが出るだけで、修理方法が示されない。

 

 ハードディスクの接続不良の可能性もあり、接続しているコードを総て取り去り、パソコン単体にして、カバーを外し、ハードディスクを取りだし、接点を復活材で洗浄した。元に戻し、電源を入れたが、画面にはウィンドウズが起動する前の段階の画面しか出ず、結局駄目であった。時間も経過して、夜中の2時となり、明日、デルのサポートセンターへ電話することにして、床に就いた。

 

 デルが営業する時間まで間があったため、電話番号を調べることにし、マニュアルを探していて、ふと気づいたことで、リカバリーディスクで再度挑戦することにした。リカバリーディスクは、セキュリティソフトをノートン360(シマンティック社)の機能である。パワーイレーザーというソフトが、ウィルスの感染を調べてくれる。感染していれば、駆除も可能であり、最後の手段と思って、CDをパソコンに挿入して起動した。

 

 暫くして、ウィルスに感染しているメッセージが出て削除したことが分かった。まさかと思った次第であるが、再起動すると見事、ウィンドウズが立ち上がってくれた。お釈迦にもならず、重要なファイルが飛ばずに胸をなで下ろしたところである。このようなことがあるので、日頃からバックアップを取り、そのときに備えることが重要であると肝に銘じたところである。


労働時間3

2015年05月06日 00時00分01秒 | マニュアル

 裁量労働制については若干触れたが、実労働ではなく、予め想定した労働時間に対し賃金を払う制度であるが、最近の新聞紙上で紹介されていたので紹介することにした。意識調査によると調査の回答があった企業(インターネットによる聞き取り調査で約1000件)の過半数のビジネスマンが導入することに対し反対している。主な理由は自分の都合で働けると評価する反面、労働時間が延びるといった懸念を持っている。

 

 今国会に提出されている労働基準法改正案には、裁量労働制を一定の専門知識を持つ法人向けで、営業職にも対象を広げようとすることが盛り込まれている。営業職の中でも高度な金融技術を使い企業の資金調達を支援する銀行員などの数万人が対象となるようである。

 

 裁量の文字が示すとおり予め想定する成果に対しての評価が、必ずしも十分ではなく、評価の仕方を納得できないとする意見もある。賛成の立場では、勤務時間に拘束されず、仕事の段取りを自分の都合で決められるとし、20代、30代の女性や50代の男性が賛成派である。賛否はほぼ半数同士であり、調査対象者が正規社員か非正規社員かによっても異なる。また、効率に重きを置くのか、労働時間に置くのか、拘束感に置くのか等によって異なるため、調査件数を広げ、インターネット調査ばかりでなく、対面調査や職域も広げることも必要で、推移を見守りたい。

 

 政府においても、長時間労働、働き過ぎ等、内外の批判に対して、改善策等対処を模索しているのであるが、働き方の選択肢は増えたとしても、対象職種が限られている現状から対象職種を広げることへの傾向は、今後も続くと思われる。

 

今回の法改正では、労働時間だけで賃金を払うのではなく成果に応じて賃金を支払う脱時間制度・労働時間規制適用免除制度(ホワイトカラーイグゼンプション)の新設も含まれている。この制度は我が国では始めて導入する制度であり、現在までに賛否両論があった。対象を限定することになるであろうが、主に事務職に従事する労働層に対し、労働法上の規制を緩和し、適用を免除するため、超過勤務時間の割増賃金を巡る制度変更が可能となる。その趣旨は、一律に時間で成果を評価することが適当でない労働者の勤務時間を自由にし、有能な人材の能力や時間を有効活用するというものである。


労働時間2

2015年05月05日 00時00分01秒 | マニュアル

 前編で申し上げた裁量労働制に類似した働き方にフレックスタイム(フレキシブル・ワーキング・スケジュール)がある。従業員の対象範囲に規制はないが、主に、研究、開発、情報処理、事務部門で導入されていて、生産現場ではベルトコンベアー速度等に依存する労働や集団で労働に従事するため、適用が困難と考えられ、導入されていない。

 

 予め、1ヶ月以内の一定期間に勤務する総労働時間を決めておき、その範囲内で労働者が各日の始業及び終業時刻を選択して働く制度である。労働者は勤務時間の全部又は一部を自主管理することで、生活と仕事との調和を図り、効率的に働くことが出来る。また、混雑する通勤時間帯を避け、通勤できるようになり、固定した勤務の拘束感から解放され、仕事への意欲が高まるなどのメリットを持つが、従業員同士のすれ違いが発生することで意思の疎通に工夫する必要性が生まれる。

 

 そこで、情報を共有することや、連絡・相談には社員全員が出社しているコアタイムを設け、その前後の勤務時間を選択する形を取る場合が多い。フレックスタイム制度を導入するためには、就業規則やこれに準じるもので、始業又は終業時刻を労働者の決定にゆだね、労働者の過半数以上で組織する労働組合など労働者の代表との協定を結ぶ必要がある。

 

 協定内容には、対象となる労働者の範囲、清算期間、清算期間中の総労働時間、標準となる1日の労働時間、コアタイムを設ける場合には、その開始時刻と終了時刻である。清算期間、つまり、その期間を平均して1週間あたりの労働時間が40時間を超えてはならず、1ヶ月以内の期間に限ることになっている。

 

 クールビズなど夏季期間は通常勤務より早出出勤をすることとして、涼しい早朝に勤務を開始し、始業時間をその分早める夏時間とする場合が多くなってきているが、これとフレックスタイムとは異なる。夏時間の導入は、賛否もあるが、冷房による電力消費量を抑えることに主眼をおいている。ヨーロッパのように、時計(現在の時刻より一定の時間、時計を早めて現在の時刻とする)を変えるまでには至らないが、一斉に総ての企業等で取り組まないと、仕事の効率が悪くなるデメリットもある。

 

 正規社員ではない非正規社員においては1年以下の雇用契約を結んで労働に当たるわけで、パートタイマー、アルバイト、契約社員、嘱託社員、臨時工、派遣社員、在宅勤務者などの割合が増えている傾向にあり、労働時間と働き方の選択は今後も増えて行くであろう。


労働時間

2015年05月04日 00時00分01秒 | マニュアル

 労働基準法で総ての事業場に対して1日実働8時間、週40時間労働が適用されている。これは休憩時間を含む拘束時間ではなく、休憩時間を除く実働時間を指している。しかし、9人以下の商業・サービス業についてのみ週44時間の特例措置が適用されている。1日、1週の原則的な労働時間の例外として、変形労働時間制が規定されている。

 

 裁量労働制が、導入されている企業も多くなりつつあり、労働基準法とのの関係があるので、簡単に触れるが、業務の性格上、仕事の仕方や時間配分などの方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる労働時間制をいう。1987年に労働基準法改正によって導入された。

 

 対象業務が決まっていて、①新商品、新技術の研究開発業務、②情報処理システムの分析、設計業務、③デザイナー業務、④記事の取材、編集の業務、⑤プロデューサー又はディレクター業務、⑥コピーライター・公認会計士・弁護士・一級建築士・不動産鑑定士・弁護士)の11職種である。2000年に改正され、若干増えていると思うが、裁量労働制の導入に際しては、労使協定の締結を行い、所轄の労働基準監督署へ届けることになっている。

 

 我が国の労働時間は先進国の中でも長時間労働であるとの指摘があり、年次有給休暇の取得率も低く、介護休暇なども十分活用されていない側面もあるが、残業時間が多いことも問題点として浮上している。残業時間については労使協定があり、経営上の必要性から労働者を時間外に従事させることを規定した労働基準法第36条がある。通称36(サブロク)協定といっている。

 

 同法の規定によれば、労働者の過半数で組織する労働組合、あるいは労働者の過半数を代表する者との間で書面による協定を結び、労働基準監督署に届け出せば、法定労働時間を超えて、あるいは休日に労働させることが出来る。

 

 協定には、①具体的理由、②時間外労働の対象業務、③対象労働者数、④延長時間の上限である。36協定の締結は、個々の労働者を時間外労働又は休日労働に従事させる義務を発生するものではなく、義務を発生させるためには、労働協約又は就業規則、労働契約いずれかで時間外労働又は休日労働の定めをしなければならない。


仕事の基本番外編

2015年04月28日 00時00分01秒 | マニュアル

 戦後、産業資材がなかった我が国の産業経済を復興に導いた原因の一つに、労働組合がある。欧米と違って、個々の企業が労働組合を持ち、企業運営に関与するばかりではなく、従業員の意見を代弁して労使交渉を行ってきた。上部組織は、今でいう合併した連合であり、過去には独立した産業別組合である、同盟、新産別、中立労連などがあった。民間の労組ばかりでなく、官公庁にも全郵政、国労、日教組、自治労、全林野、全専売、国公労連等があった。

 

 思想的にも比較的穏やかな労働組合から、結構過激な労働組合まであった。しかし、上部組織と単独の企業別組合との結びつきは弱く、むしろ職員組合的な御用組合に近い形が多かったように思う。主に労働条件や賃金闘争が主であり、仕事の内容までは余り踏み込んだ状況ではなかった。組合員が力を入れた安全を重視したZD運動、生産性を上げるためのQC活動、提案制度等、職員一丸となって労使問題を越えた活動が普通であった。これらのことが、企業家族的な雰囲気を醸成し、社員旅行、家蔵総出の運動会等、今では考えられない福利厚生制度の充実があった。

 

 このことは組合活動が労使紛争となるケースは少なく、常に使用者側も一定の配慮があり、企業自体の方向性を決める原動力にもなっていたし、簡単には首を切らないし、切れない関係を生んできたともいえる。年功序列型賃金制度ばかりではなく、福利厚生制度の充実は労働組合の存在があっての成果だったといえるであろう。

 

 最近の傾向として、組合員に加入する新人が減少傾向にあり、組合の組織率の低下が叫ばれているが、非正規雇用が増えたことや、短時間労働を選択する労働者も増えたからであろう。別の側面としては、働く者の労働に関する価値観の変化があり、コア社員や、官公庁を除き、例えば、年功序列型賃金体系から成果主義(実績主義)として、同一職種同一賃金が叫ばれ、福利厚生の不要論、男女同一賃金、派遣労働等雇用形態の変化の様変わりがある。様々な働き方を選択出来る反面、労働者と企業との関係自体も変化してきている。

 

 従って、組合への加入による組合員の、メリットやデメリットが、イデオロギーだけの世界ではなかった我が国の過去の労働組合が過去とは明らかに変貌してきており、今後どのように労働者と向き合っていくのかを十分研究し、その方向性を見定めたうえで、加入についても慎重に検討される時代となっている。


仕事の基本10回目

2015年04月27日 00時00分01秒 | マニュアル

 このシリースは10回になり、総てを網羅したわけではありませんが、新たに組織に入る方々が直面し、誰にも聞けない場面を想定して、自らの経験から申し上げたいことを羅列しました。何かのお役に立てればと思い筆を執った次第です。今回は総括として、組織人としての心構えについて触れたいと思います。

 

 サラリーマンは一生涯の内会社等の組織での勤務は約40年、人の寿命は80年であるので、その半分の期間を何らかの組織に所属して、仕事に従事している。そこでの長い勤務中には多くの出来事に遭遇するであろう。辛い目に遭い落ち込むこともあり、思い通りに行って周りから称讃を得ることもある。決して一本道ではないが、初心忘れるべからずで、壁に突き当たれば、原点に帰って再構築すればよいと思っている。フレッシュな気持ちをどれだけ継続できるかであり、人生の大半を過ごすわけであるから、有意義な生き方を模索し、自己実現に向かって進んで欲しい。

 

 どのような組織であっても一番大切なことは、組織の決定は長が一人で最終決断をしている。一つの組織には二人のトップはいらないのである。どれだけ意見が違っても最終的な決断はトップが決め、その決断に同意できなければその組織を去らなければならない。また、一穴主義といって、二人の上司に従わない(まみえない)ことである。これも一人に決めなければならない。親分は一人なのである。業務中にプロジェクトに入ることで、元の上司と繋がりが直接的に無くなっても、寝返ることは自分を駄目にする。一度決めた上司とは一蓮托生であることを貫き通す必要がある。

 

 例外は、従った上司から離縁を申し出されれば仕方がないが、浮き世の道理であり、その心構えは脈々と引き継がれていて、派閥が無くならないのもその現れである。派閥は消滅したかのように見えるが、決してそうではない。仕事仲間とはいえ、先輩、後輩、出身県、同好会、等の関係と出会いはいろいろであるが、無派閥ではいられないのが組織といえる。

 

 組織は一夜にして出来上がったのではなく、歴史を持ち、企業文化を持つ。何も判らない段階で、組織にもの申すことは避けなければならない。軽率な発言や行動は組織を混乱させる原因ともなる。寡黙である必要はないが、立場をわきまえ、相手の感情や、恨みを買わぬように相手の立場も配慮する必要がある。最初は目立たぬ方がよい、黙っていても古参から無理難題を押しつけられる場合もあり、新人はまわりから観察されているのである。そこで格言「巧言令色少なし仁」である。


仕事の基本9回目

2015年04月26日 00時00分01秒 | マニュアル

 仕事に付いて回るのは、文章作成である。起案文、日報、調査・研究、依頼文、推薦書、経歴書、事業概要、業務マニュアル、回覧文、月次報告、年次報告、始末書、事業計画書、評価書、出張報告等専門分野意外にも多くの文章を必要とする。それぞれには一定のパターンがあるが、書いたことがない者には、積極的に取り組みたくない仕事といえそうである。見本となるものがあれば、似せて欠くことは出来ても、自分の意志が入りにくいため、違和感が出る。

 

 仕事を行う姿勢が現れるからで、パターンが判れば、表現や、意図する内容を自らの頭で考えて、文章にすることが大切である。一般的にいえることは、起承転結が明確に盛り込まれていることである。更に、4W1H(だれが、なにを、いつ、どこで、なぜおこなった、またはおこなうか)が含まれていることである。最近の仕事の仕方は、PDCAサイクルを回すといわれる。PLAN→DO→CHECK→ACTION、計画→実行→評価→改善であるが、ポイントは、サイクルが同じサイクルを回すのではなく、スパイラル(螺旋状)に拡がることである。

 

 新規事業については、従来の事業の問題点を検討し、その改善又は創意工夫を行うことによって、デメリットをメリットに換え、安い経費で、短時間に、少ない人材で成果を出すことである。問題点の分析から、何が問題であるかの原因を掴み、問題解決のための仮説を立てる。実行可能性を考察し、優先順位を決める。それぞれの仮説には費用、時間、人材、やり易さ、等のカテゴリーに分け、重み付けを行い、優先順位を決める。

 

 出来るだけ数値化すると説得力が増す。時間尺度が成果の善し悪しを決める指標となる。時間がかかる仕事は優先順位が下がり、費用についても安上がりに越したことはない。人材の投入も現在のスタフ以上に増やすようでは採用できない。組織の仕事は、理想論ではなく、実行可能性を持つ物でなければ、絵に描いた餅になってしまう。口で言うのは簡単であるが、計画は腰を据えて取り組まないと何事も中途半端になってしまう。

 

 思いつきやひらめきも大切であるが、算数の計算のように、社会は計算の答えが一つとは限らない。検証してあらゆる可能性を考え、スクリーンを設定して、その中に収まる物だけを、更に細かいフィルターを通し、絞っていく方法を取る。日頃より情報収集のアンテナを張り巡らし、相談でき、信頼できる友人を持つことも仕事を進める上で欠かすことが出来ない。


仕事の基本8回目

2015年04月25日 00時00分01秒 | マニュアル

 通常仕事の発生は文書でのやりとりで始まる。文書の発信と受信である。受発信それぞれに受信簿と発信簿があり、受信の場合には、受信と同時に親展以外は開封され、受信日時、文書番号、発信者、内容が受信簿に記載される。親展であっても役職名で届いた文書は開封される。役職と個人名が書かれていれば、開封されることはない。同様に発信については、封筒に入れ、宛先を書くまでは該当部局の発信担当者が行う。公的な文書で有れば、原議書(起案書)の決裁が総て終わると、発信日と発信番号が付けられる。発信簿には発信番号、発信日、担当部署、宛先が書かれる。

 

 文書の構成は、鏡(かがみ)と呼ばれる、第1ページには、発番、日時、宛先、件名、発信者が書かれる。発信時には発信簿の宛先欄と発信文書の上部に契印を押す。原議書に書かれた宛先でも良い。契印は発送が確実に行われたことを示す印で割り印である。所属長名や代表者名で送る文書には角印があり、組織代表者等印の使用簿がある。それに記載して使用する。代表者氏名の最後の文字の半分に印影がかかるように捺印するのが正式である。最近は同じ組織内で有れば捺印を省略する場合もある。受信した文書及び発送が済んだ文書は原議書綴りに綴じておく。証拠書類であるからその管理は徹底して行う。

 

 起案文書は業務担当者が作り、原則起案者が持ち回りをして、決裁を受ける。案件によっては上司が作成する場合も稀にある。職位が下位の者が起案文書に手を入れることはないが、情報の共有としての閲覧になる。起案文書の目的は、組織の情報共有化ばかりではなく、対外的に発信するため、組織の長の名前で発出され、内容的にも様々な立場での考え方を集約するもので、上司は上司の立場で考察する。朱を入れられて文面が真っ赤になることもある。作業がボトムアップであっても組織全体の意志が含まれていると考えた方がよい。

 

 受発信文書の種類は様々あるが、緊急を要する物もあるので、何時までも机においておく事は良くない。直ぐに閲覧して回覧すべきであろう。極秘の文書は特に取り扱いに神経を注ぎたい。


仕事の基本7回目

2015年04月24日 00時00分01秒 | マニュアル

 連続印刷が可能な複写機の登場で、事務能率も格段と上がったが、現在のように、印刷紙やトナー類が大量に売れるとは複写機メーカーも想像していなかったであろう。一方では、高額の複写機機リース料や、複写物の増大化をもたらし、その管理、新たな問題として苦慮されている企業も多い。印刷物の洪水である。会議資料の多さもさることながら、不要な印刷物は選別し、破棄する新たな仕事が増えた。企業や官公庁では資料の保存年限が定まっていて、定期的にシュレッダー等で処分している。

 

 複写機導入による事務効率化が新たな業務を産み、枯渇資源である製紙材料であるチップは海外からの輸入に頼ることで、森林を破壊し、環境保護の観点とは逆行する道を進んでいる。如何に印刷物や複写物を少なくするかは費用の点からも、代替できる方策の模索が続いている。縮小化は基を絶つしかないが、パソコンの利用によるドキュメントのファイル化で、ある程度は紙の消費量を減少させることが可能である。電子ファイル化すると、情報の多方面への拡散や重要情報の流出を容易にするため、管理の徹底が必要となる。

 

 何度も申し上げているが、不要な資料は、総ての職員に配布する必要はない。会議等でも必要とする人にのみ与えればよいのであって、必要ない人までも渡せば、ゴミを増やす結果となる。よくあることで、自分の席に資料がないと不満をいう者がでる。そう考えるのではなく、必要な人に的確な情報を提供すればよいのであって、議題の設定や会議メンバーの選定が間違っている場合が多い。選択的情報提供といっているが、喩えとして、腹を空かせた者に食料を与えることはよいが、満腹の者に食料を与えても意味がないのと同じである。

 

 さて、資料作成に触れるが、印刷した物はクリップで留めるか、ステープラで綴じる。横書きが多い資料は左上又は左端中央を止める。縦書き書類は右側上部又は右側中央部を留める。パンチで穴を開ける場合も同様である。横長に印刷された図表も同様である。

 

 配付資料の確認、門外不出文書の取り扱い等の閲覧制限、重要ファイルの持ち出し等文書の取り扱いには十分気を付ける必要がある。複写の便利さは、言わずもがなであるが、人事情報や取引情報などミスプリントによる暴露の問題や、複写機への原紙の置き忘れ、公私混同による利用等常に原因を作らないように注意が必要である。


仕事の基本6回目

2015年04月23日 00時00分01秒 | マニュアル

 上司と同行する場合に、自家用車やタクシーの乗車位置が問題になることがある。官公庁では、トップには専用車が付くことがあり、自宅への送迎にも使われる。この場合にはトップの乗車位置は大体決まっている。その車に同乗する場合は、新人は運転手の隣に座ればまず問題ない。部長、課長、係長と新人が運転座席以外に座る場合は、後部座席右側に部長、左側に課長、前席運転座席となりに係長が乗り、新人は後部座席、部長と課長の間に座ることになる。仕事以外では乗車場所から見て自宅が遠い順に座ればよいと思うが、組織には別のルールがあるかも知れない。

 

 運転手が行き先を承知していれば、良いが、始めての場所ではナビゲーション役として、助手席に行き先を知っている者が座る場合もある。タクシーではカーナビが付いているのでそこまで意識する必要はないが、タクシー運賃を支払うためには新人が支払い、後から精算する。上司が運賃を持つ場合もある。原則は、一番安全な場所が運転座席の後側と言われていて、上席とされている。

 

 エレベータ乗降の場合もルールがある。上司と同行する場合に、乗るときは先に新人が入り、エレベータ操作ボタンを操作する。降車する場合は先に上司を下ろし、最後に新人が操作ボタンの操作位置から降車する。簡単に言えば、エレベータボーイの役目を果たすことになる。エレベータが混雑していればその場の状況に合わせることも大事である。

 

 事務職などでは課別や班別に事務机が配置している。座席は役職毎に決まっていて、勝手に新人が課長席など、職位が上の席に座ることは慎むべきで、それを知らずに座る新人が怒られることもあるので気を付けたい。もし、相談や報告する場合など、職位が上のものが座ることを許可した場合には、まる椅子やパイプ椅子など簡易な椅子に座ればよい。通常は相談者が立ったままで対応して貰う。

 

 会議等の座席位置は組織によって異なるかも知れないが、また、主催する会議のレベルによっても異なるため、どのような座り方をするかは上司に聞いてから設営した方がよい。通常、会議室の扉に近い位置に新人が座り、遠い方に上位の者が座る。

 

 応接室では、来客は、扉から遠い方の席へ誘導し、応対する側は扉に近い方に座り、対面する。来客者にお茶のサービスをするが、身内は最後とし、来客が着席し、職位が高い者からお茶をサーブする。ここら辺りもルールがあるので、知っておくべきである。


仕事の基本5回目

2015年04月22日 00時00分01秒 | マニュアル

 外部との接触を渉外という。業務上、対外的な交渉や連絡は欠かすことが出来ない仕事の一部である。新入社員には、無口で苦手な方も多くいると思うが、無理もないことである。誰しも自分にあった仕事ばかりではなく、克服しなければならず、助け船を出してくれる上司もいるが、いつもそのように振る舞ってくれるわけではない。

 

 先ずは電話の応対である。電話の呼び鈴が鳴ると始めはドキッとしたものである。組織とどのような関係があるのか全くつかめず、名前をいわれても組織の誰であるか判らない。

 早口で、訛りがあって聞き取れないこともあり、途方に暮れる。特に地名などもそうで、地域によっては、まったく判らない。函館に赴任した当初、「トドホッケ、カックミの隣の云々」との電話があり、地名であることはその後に知ったのであるが、見当が付かなかった。椴法華、川汲で、道南にある地名である。

 

 電話での応対は上司であろうとも、身内は総て敬称を略し、呼び捨てでよい。対外的には社長であっても身内である。用件を聞き、相手の氏名、所属・役職を聞く。同席していれば電話を替わればよいが、不在であるとメモ書きで残しておく必要がある。

 

 訪問のために自分から訪問先へ電話をする場合には、担当者の都合を聞き、アポイントメント(アポ)を取る。直接、訪問する飛び込みも行う場合があるが、相手にとって、突然の訪問は失礼に当たる。アポは、相手の都合が優先である。訪問は時として相手の仕事の邪魔をするからで、訪問目的をしっかり伝えなければならない。アポイントを貰ったならば、約束した日時には遅れないように準備をする。ダブルブッキングなどは相手にとっても致命的なミスとなる。

 

 初対面では名刺の交換から始まり、手短に自己紹介をし、来訪目的を告げる。相手に好感を持たれる振る舞いが必要で、独断専行では取り返しが付かないことにもなりかねないため、上司と同行するなりして業務把握に務める謙虚な姿勢が必要である。仕事に家庭のことは出来るだけ触れないようにし、仕事を取り組む誠意が伝わるようにしたい。継続するためにも、次回の都合を調整し、次回のアポを取っておくと良い。

 

 日報の作成は、電話記録が役に立つ。電話の応対が頻繁になると、モレがでることがあり、失念しやすい。情報の共有化は仕事の基本である。的確に対処できるように、仕事に関係する関係者のリストづくりを心がけると良い。

 


仕事の基本4回目

2015年04月21日 00時00分01秒 | マニュアル

 人事評価のベースの一つであるのが出勤状況である。事務職が詳細に亘り、現業部門のライン従事者、専門職や、研究職等の業務内容や実態を把握することは困難であり、唯一、判断可能な対象は出勤管理である。当然のことであるが、職場では目標管理が行われていて、個人と上司である部課長が、目標値を設置し、業績管理の評価が変わる。勤勉手当等の賃金には直接関係しないところは多いが、昇進や昇級の材料にはなっている。

 

 出勤管理とは余り重きを置いているとは思えないが、実は大変重要な仕事の基本であるといえる。出勤管理の目的は、組織全体の職場に適応される、従業員管理の業務であり、分散されている職場は勿論のこと、フロアが異なる場所で業務行っていても、自宅での勤務は別として、出勤状況を把握する必要があるからである。出勤簿や、タイムレコーダで管理するのが一般であるが、個人においては、出勤した等の証拠書類となるからである。

 

 出勤状況とは、通常勤務、出張、年次有給休暇、泊を伴わない外出、欠勤、遅刻、早退、病欠、休職、生理休暇等を具体的に事前に届け出る。一般的には届と呼ぶ書式に必要事項を記入し、所属部署から庶務部門へ回付される。あくまでも個別に管理される。原則は事前に届けるが、緊急性や、物理的に提出が不可能なこともあるため、不可能な局面では、電話による連絡が必要である。

 

 出勤状況は、人事評価の影の尺度でもある。出勤率、年休消化率、欠勤率等が、間接的に勤勉手当の基礎資料としても利用される。給与は月給と年に数回支給されるボーナス(臨時手当)等があるが、年度末には勤勉手当と呼ばれる手当てが支給される場合がある。予算の項目の中で、人件費があるが、勤勉手当は、基本給に一定の支給率をかけて原資としていて、年度末に、出勤率等が適用される。病欠や欠勤等で勤勉手当てが支給されない職員もいるため、査定額に余剰が生じると、比例配分で、出勤率等が良い職員へ配分されている。

 

 出勤簿の改ざんがあると問題となる場合があるため、その管理は慎重を期す。忘れていた等で、出勤簿に押印しなかった場合、出勤簿は回収されてしまい欠勤扱いとされる場合もある。残業届を出す場合にも、休暇や出張中であれば適用されないため、齟齬が生じさせないためにも毎日の出勤簿には気を使うべきである。