鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

市民アカデミーWS5第4回目

2016年10月20日 00時00分01秒 | 日記

平成28年10月19日

 サイエンス・ウエンズデイ第4回目は工学院大学特任教授水島純子氏の講義であった。新技術「ゲノム編集」についてである。2時間の講義は途中10分間の休憩をはさみ12時10分には終わった。大変興味深い話であった。今回のノーベル賞医学生理学賞に決まった大隅氏のオートファジーを分子レベルで解明されたことについても触れられた。

 

 最先端の医学を生理学的に解明することは、生命体が持つ様々な疑問点を解明するうえで、大変重要な分野であり、病気の治療から食品に至るまで、幅広い応用範囲を持っている。生物を形作る細胞は細胞分裂によって正しく分裂を繰り返せばよいのであるが、環境がさまざまな要因として、作用するため、遺伝子に傷がつくことによって、正しい情報が伝達されなくなるし、がんの増殖等を引き起こす。そのメカニズムを明確にすることによって、がん治療法も変わっていく可能性があるといえる。

 

 オートファジーは細胞自身が不要なたんぱく質を分解する仕組みであり、細胞内に隔離膜が出現し、不要なたんぱく質を包み込んで、酵素によって分解し、再利用を図るそうである。自食作用といっている。身体を構成する筋肉、神経、内臓などの構成する主成分はたんぱく質で、様々なアミノ酸が組み合わさってできている。捕食の選択制はないそうで、正しくは正常なたんぱく質もごみとして処理されるようである。

 

 成人は1日に70グラムのたんぱく質を食事から摂取し、それを消化してアミノ酸に変換して吸収している。意外なことに、体の中では1日に200グラムものたんぱく質がオートファジーを経て合成されている。外からの食事による摂取の3倍弱の量が合成されているのである。つまりたんぱく質の材料のほとんどは自分自身の分解産物ということになる。そして、実は2か月で体のほとんどの部品は新しいものと入れ替わっている。こういわれると生命は無限に生き続けるように思えるが、遺伝子にくっついている染色体の先端にはテロメアという分裂回数をカウントする部分があり、染色体が分裂回数に応じて短くなり染色体の死が起こり、細胞の死につながっている。

 

 老化現象との関係もあり、年齢を重ねるにしたがって、細胞分裂の速度の低下や、免疫体の機能も低下する。したがって、細胞分裂が酸素の介在かで、たんぱく質が酸化するため、老化は防げないのである。オートファジーとの機能や、細胞死、アポトーシスやネクローシスなどとの関係も、解明が進んでいる。


市民アカデミー16前期10回目

2016年07月10日 00時00分01秒 | 日記

平成28年7月8日

 今回から12回までプロジェクトXの3回のシリーズが始まる。中島みゆきの曲が流れる、ある意味、現代社会の特異な分野が始まった。初回は腕と度胸のトラック便、宅急便のクロネコヤマトの流通業界に投石した挑戦話である。手間のかかる個別の荷物の集配と宅配である。採算性を度外視し、この分野に新たな開拓を目指し、見事成功したクロネコヤマトの成功談であった。講師は、NHK政策局企画開発チーフプロデューサー小原美和子氏である。

 

 前回と前々回は都合で、出席出来なかったが、前半は画像の解説もなく、DVDの放映がメインであった。作品ができる段階での苦労の一端のご披露があった。企画の段階では、小倉昌男社長の人なりを紹介することを中心とした脚本であったが、社長からの頼みで、現場で活躍したドライバーに焦点を当てることを勧められた。そのことで設立当初のご苦労話が採択されたようであった。放映後の反響は素晴らしいものがあり、大手から中小に至る宅配便業界から、高い評価がなされた。

 

 すでに、宅配は、参入している企業が30社となっていて、1兆円産業ともいわれている。ヤマト便は、全国どこでも届く翌日配達をスローガンと産地直送をあげ、9万人の従業員を抱え、着実に実績を構築してきている平成40年には、荷物量は16億個の予想である。

 

今回のハプニングは、ビデオの主役であった、北海道の支社長を経験された加藤氏の会場への参加であった。小倉社長が社是として取り上げた、サービスが先、利益は後に、全員が経営者、ドライバーこそが花形であり、ドライバー一人一人が「すしや職人」であるとの実践者でもある。実際の現場で経験されたご苦労の一端が披露された。

 

個人の荷物は、単なる荷物ではなく、送り手から受け手への心があり、思いが詰まっているとの荷物に対する取り扱い上の極意ともいうべき事柄で、配送人は、両手で丁寧に相手へ届けることであるとのことは、宅急便のヤマトが長年の経験の中から、つかんだ哲学ともいえるものであり、それも最大級の哲学なのである。

 

加藤氏は、東京出身であり、礼文島の営業所開設が最後の仕事だったようである。大型貨物車の許認可には相当ご苦労があったことが触れられていた。現在に至った道が決して平たんではなく、多くの難関があり、そこを踏破してきた自信には将に脱帽であった。


市民アカデミー16前期9回目追加

2016年07月05日 00時00分01秒 | 日記

平成28年7月1日

 遺伝子・DNA第3回、老化と死の設計図の概要についてはすでに報告したところであるが、私見を含め、言い足りないところがあるような気がしていた。医者ではないので、医学的なことは良くわからないが、がん克服に向けた多くの取り組みは現在も続けられていて、未解決の問題は、人間が持つ希望的観測も含め、生命の1日でも長い生存の期待があるように思う。しかし、がんの早期発見による治療が必ずしも延命につながるかといえば、すべての症例からすると必ずしも、当てはまらないこともあり、治療の新たな側面を見た思いがする。

 

 生まれながらに持っている先天的な遺伝子の配列が引き起こすとされることが分かってきていて、そうなれば、倫理上の問題も解決しなければならない。つまり、がんを引き起こすとされる遺伝子配列をもっていれば、生まれてこないような人工的な手段を取ることを意味するが、果たしてそれでよいのか等は、疑念を抱くところであろう。

 

 手術で除去できない病巣の痛みを軽減するために麻薬を用いることが行われるが、そうすることによる麻薬中毒が死期を早めるといわれている。病巣の切除が全身に及べば、切除だけでは生命を維持できなくなる。医学だけでは限界があることも確かなことである。

 

 では、後天的な要因が関与するといっても、それは一部であって、例えば、肺がんは、たばこが原因の一つとして言われているが、たばこを吸う習慣がない者においても肺がんは発生する。食料の中で、塩分の摂取が高い人は、少ない人に比べ、胃がんや大腸がんになりやすいといわれるが、摂取しなければ全くがん発生を抑えることができるわけではない。ピロリ菌や、ストレスなどといわれれば、対処方法も困難と思われる。

 

つまり、DNAが永遠に生き続けるわけではないので、誰しも癌を避けては生きられない可能性の方が高いといえそうである。実際の死亡原因では、がんが原因でも、心不全や、脳こうそく等最終の病状で診断されるため、実際にはもっと多くの方ががんで死亡されているといえるであろう。先天的というよりは、後天的な身体のメカニズムが原因するため、強いて言えば、頻度を上げてがん検診を行うことで早期発見をし、完治しないまでも延命の処置が可能な場合もある。

 

 結論にまでは到達しないが、ほぼがんの発生メカニズムは解明されつつある。今後のさらなる解明のために推移を注視したい。


市民アカデミー16前期第9回目

2016年07月02日 00時00分01秒 | 日記

平成28年7月1日

 NHKスペシャル驚異の宇宙人体~遺伝子・DNA~、命を刻む時計の秘密、老化と死の設計図。このテーマで、林講師の最終回であった。人間の生誕から死まで、バックで活躍する遺伝子、その世界を知ることができ、生命の不思議さが偶然ではないルールによって展開していることへの理解ができるようになったと感じた。細胞レベルでの現在分かっていることを、アニメーションを使った撮影は、ご苦労されたかと思うが、こうして解説付きで、お話を聞くとより深くこのテーマの意義を感じることができた。

 

 誰しも、偶然にこの世に生を受け、人間として死に至るまでの細胞や遺伝子のミクロレベルから、現象を考えることができたのは大変勉強になった。しかし、理論的な裏付けのもとで、作られて動画は、現実とは異なり、誇張され、本当のところは疑わしいこともあるが、論理的な展開はそう間違ってはいないのであろう。

 

 生命の不思議さは、未だ解明できていない免疫機能や、細胞死、老化現象、遺伝子組み換え、永遠の生命の可能性、死後の世界等、むしろ人間が踏み込んではならない世界もあり、簡単に結論を導くことは不可能に近く、むしろしてはいけないことなのかもしれない。今回のテーマはそこをネグッて、ドラマ仕立ての様相もあるが、未知な分野であることには変わりはない。

 

 今後、科学技術の進展によって、遺伝子組み換えが人体へも及ぶことが可能となれば、または、IPS細胞等、再生技術が可能となれば、120年という寿命、60回の細胞再生が、120回となり、200歳ぐらいまでの生存が可能となる可能性もないわけではない。

 

今回の重要なポイントは、人間が長い歴史の中で、勝ち取った、または選択したことは、生まれ変わるサイクルを選択したのであり、その結果、死という現象が細胞レベルで組み込まれているということにある。それを避けることはできない。その代わりに得たのは、世代の交代時に、少しずつではあるが、環境に適合した人間を新たに創出するという営みである。このことは自分の意思とは必ずしも同じではないが、遺伝による肉体改造が行われているのであり、通常の生物は子育てが終わればすぐに死を迎えるが、人間は、子の成長を長い期間見守る能力を獲得している。

 

しかし、暴飲暴食等による体内変化は死期を早めることはわかっていて、それを避ければ寿命が延びることはできても、現時点では、死を回避できない現実があるのも事実である。 


市民アカデミー16前期第8回

2016年06月25日 00時00分01秒 | 日記

平成28年6月24日

  NHKスペシャル人体・遺伝子DNA、第2回、日本人ルーツを探れの講義であった。曇り空の一日であったが、会場は受講生で満席で70名弱である。受講生の何人かは顔見知りとなっているが、講義中は、当然ながらお互い私語を発することはない。自分も含め、講義を楽しんでいるようであるが、時折、寝息も聞かれる。若い時と違って、年齢を経ると集中力も持続しないのかもしれない。

 

 講義の前には事務局のボランティアから、後期に企画した講座が、現在、パンフレット印刷中で、7月の上旬には配布できる運びとなった旨が伝えられた。後期は10月からである。その間にいくつか特別講義が計画されている。高齢者は学習熱心な半面、日々の時間管理には自分の気に入ったコースを受講することで、生活のサイクルをまわす意味があると思っているが、果たしてそうなのか、未だ誰にも聞いたことはない。時間がたっぷりある生活は、時として怠惰の誘惑にかられるが、それに浸かるも良し、自らを律することも良しで、生活パターンに変化を求める。講座の受講は年齢を問わず、雑念を消去できるメリットがあるようである。

 

 さて、林講師から、前回の講義内容が少し学問的になりすぎ、反省を込めて、人体の人類発生からのミクロ的な視点と、人体を構成する遺伝子についての説明がなされた。意外に知らない世界で、人体を構成する細胞が、60兆個あり、その遺伝子は比較的少なく2万個ほどであるとのことであった。遺伝子の役割は人体に必要なたんぱく質を作り、生態を維持しているのであるが、1個の遺伝子には、物理量として1.7mのながさがある。

 

 最近になって遺伝子の解読が進み、たんぱく質を作り出すものとは、4つの要素で、ATGCによる配列となっていて、生物の違いを示すもので、それの違いによって、人のルーツも分かるようになってきている。今回の説明で、細胞内のもう一つの遺伝子を持つ物質がミトコンドリア(糸粒体)で、ここにも遺伝子がある。ミトコンドリアは通常、組織内呼吸を行っていて、ブドウ糖を酸化、分解し、エネルギー物質ATP(アデノシン3リン酸)のことで、細胞が活動するために必要なエネルギーを蓄えている。

 

 ミトコンドリアが持つ遺伝子から日本人のルーツについての研究が行われた。人類の起源はアフリカの一人の女性に行き着くとのことである。このことか日本人のルーツ縄文人とされ、沖縄と北海道のアイヌといわれてきたが、遺伝子から見ると、全く異なる結論に達した。


市民アカデミー16前期別コース第5回目

2016年06月23日 00時00分01秒 | 日記

平成28年6月21日

  梅雨の真っただ中、このところ気温の変化が激しい。降雨も土砂降りになるようで、昨日から強い雨が降っている。例年のシトシトと降る梅雨特有の雨とは異なり、そろそろ梅雨明けかもしれない。今回もマイカーで行くことにした。駐車場は30台前後駐車できるが、日によって変わるため、駐車スペースがない場合もある。幸い今回は駐車が可能であった。

 

 狼講師の話は面白い。今回は全五回の最終日で、我が国の科学技術政策と人材育成についてであった。雨天のせいか、会場は2割程度の空席が目立ったが、最先端科学技術は失敗のリスクが伴うため、我が国の行政にはなじまないとの持論が展開された。また、前回の復習である最先端技術を取り組むことは、軍民共同の世界であり、我が国では敗戦の経験が、軍事面での転用については、極端に拒否する気風が蔓延(はびこる)っていて、意識的な変革を必要としている。将来を担う若者が、科学技術分野を敬遠するようになってきていて、欧米等との政策の違いが、若者を委縮させているように思え、将来を危惧しているとのことであった。既に軍用で開発されてきた位置情報、GPSや、インターネットでの情報利用については我が国においても生活基盤になっているとのことで、むしろ積極的な関与が望ましいとのことであった。

 

 そこで現在手掛けている慶応大学の学生に対し、若者の夢をはぐくむプロジェクトを推進している。最近の動向として欧米でも取り上げられているハイパーループプロジェクトである。米国の民間企業では懸賞金を出し、優秀な研究成果を促進している。このプロジェクトは米国のロスアンゼルスとサンフランシスコの間を30分で移動できるかどうかというもので、設計コンテストでは世界各国から126大学が応募し、我が国では狼先生のプロジェクトが唯一応募し、見事予選を通過したとのことである。研究の概要は、永久磁石の原理を利用し、磁気浮上をさせて加速を得る。しかし、停止制御については問題が多く、現在のところ思考実験の段階である。

 

 興味深い米国の女性が挑戦し、日用品で、原理を紹介したDVDを見ることができた。銅線のコイル内を電池に取り付けた磁石が、ループの中を高速で走行可能な動画であった。

 今回はこのプロジェクトを中心に話されたが、このような研究には役所の介入がほとんど得られず、知人等を介して、実験資材や、実験場等の支援を求めているようで、何らかのお役に立てればと思った次第である。貴重な話を聞けて感謝している。次回は未定であるが、プログラムに載れば受講するつもりである。


市民アカデミー16前期第7回

2016年06月20日 00時00分01秒 | 日記

,平成28年6月17日

  元NHKプロデューサー、サイエンス映画学会会長の林勝彦氏によるNHKスペシャル人体3、遺伝子・DNA第1回、突き止めよ、がん発生の謎をTV映像とその解説であった。

 癌は今まで不治の病とされ、現在も完治できるわけではない。他の病気と異なり、自らの身体にさまざまの原因で発生する。我が国の死亡率では第一位で37万人が年間に亡くなっていて、罹患率は98万人といわれている。

 

 癌という項目での辞書には載らず、悪性腫瘍といわれ、増殖が速く、周囲組織への浸潤、遠隔部の転移により、病巣を拡大する。広義では上皮性や肉腫をを含める。人間の細胞は細胞分裂によって、常に再生が行われるが、1個の細胞が再生を繰り返すのは80回ぐらいといわれ、いずれは細胞のは働きをやめ死滅する。アポトーシス(自滅細胞)という現象である。細胞が分裂するのは、遺伝子情報によって、二重らせん構造としてコピーされる。

 

 このコピーが数万回に1回ぐらいの頻度で、間違った配列が起きる。通常は、間違った配列は、異常と判断され、マクロファージによって食べられ、細胞がなくなるのであるが、遺伝的若しくは、発がん物質等が多量に体内に吸収される環境に置かれるとマクロファージの機能が低下し、増殖を始める。これがん細胞となる。

 

 現在分かっているのは、細胞を正しく判断する抑制細胞があり、P53という細胞で、がん化し始める細胞の情報をとらえて、抑制細胞を大量に発生させ、看過した細胞を駆除するのであるが、これも限界があるとのことであった。癌細胞自身は、DNAによる遺伝子が原因しているが、このことは人類が誕生し、環境に適応する段階で、細胞変異が起こり、環境変化に適応する手段でもあった。

 

 その例の一つに、シミやそばかすがあり、直接紫外線を防御するための細胞で突然変異を起こしたものであったが、この遺伝子は、XP(色素性乾皮症)という皮膚がんを起こすことが知られている。また欧米人の一部にAIDS耐性の細胞を持つ人がいる。これも突然変異といわれている。

 

 発がん物質については、解らないことも多いが、食生活により塩分量が多かったり、防腐剤、食品添加物に関するもの、化学物質や、アスベスト、原子爆発、放射線の乱用等によって起こるとされている。次回に癌を防ぐための予防法について講演される予定である。


市民アカデミー16前期別コース第4回目

2016年06月16日 00時00分01秒 | 日記

平成28年6月14日

 今回のコースは前5回、次回で最終回を迎える。今回は、宇宙システムの新たなる展開とのテーマで、狼講師の得意とする分野である。講義の導入は、最近の紙上に載った2つの話題からであったエニグマというドイツ軍が開発した暗合機の何代目かわからないが、オークションにかけられ、相当の値段で落札されたことと、この後継機である暗号用タイプライターの競売についてである。これらの報道は、わが国ではほとんど伝わることもないし、話題にもならない事柄で、欧米諸国との科学技術についての関心度の違いを物語る事例として紹介された。

 

 そもそも現在の科学技術を扱う省庁が、文部科学省に統合され、以前あった科学技術庁を吸収し統合したという我が国の行政を嘆いてのことであった。本来ならば、独立した省としてふさわしいのであるのだが、文部行政の中で何ができるのかはなはだ疑問であるとのことであった。特に日本人の科学技術に対する最近の判断は、アジアのトップを行っているという間違った解釈が根強く、すでにインドや中国に水をあけられている分野が、宇宙航空技術である。

 

 その裏には、米国が安全保障分野での旧態依然たる障壁が強く、電波技術やGPSに伴う宇宙開発には難色を示していることで、独自の開発が困難な状況に置かれているとのことであった。省庁統合の見かけは良いが、緊縮財政は科学技術分野にも及んでいて、宇宙開発には3000億円という外国には全く太刀打ちできない経費のかけ方であることが、全てを物語っているとのことである。

 

 このままいけば、わが国の宇宙開発は遅れを取り、せっかくのビジネスチャンスにも陰りを示すことになるとの予測であった。電波に至っては総務省が関与し、規制のがんじがらめで、研究すらおぼつかない縦割り行政の不備に縛られ、手足を出せない状況となっているようである。中でも漁業組合なる組織の介在は、研究開発を優先できない利益者集団としても介在が根強く、多くの対応特に海上での研究に水を差している。

 

 狼先生の関与する新たな技術開発は、抵抗の多い我が国の規制を取り除くべく努力をされているが、過剰なほど頑なな行政には手を焼いているようで、事務方の理由のつかない対応に頭を痛めているようであった。さもありなんと思うが、リスクあっての研究開発への理解は到底困難な状況であり、将来の我が国にとってマイナスであることは自分も意を同じくしたところである。


市民アカデミー16前期第6回目

2016年06月11日 00時00分01秒 | 日記

平成28年6月10日

 

 全12回のコースの半分が過ぎた。NHK特集映像の世紀と、海のシルクロードであった。今回は海のシルクロード第3回目であり、前年度後期から始まったシルクロードの総集編でもある。講師はシルクロード取材の団長を務めた鈴木肇氏である。実際の取材期間は9年間とのことであった。開始は1979年8月完了は1988年9月で、長安空港を出発し、長安空港に降り立つまでであった。

 

 NHKの特集であるからこのような長期の外国取材が可能となったと思われるが、実際にこの企画に携わった方々は相当数に上ることであろう。歴史的な価値や、東西を結ぶ交易ルートが現在も遺跡とともに存在することに驚くばかりではなく、交易を通じて、文化までもが影響することに言葉や人種を超えた壮大な歴史ドラマを知った今回の講座であった。

 今回の講座の制作に当たった団長ほかのメンバーによる裏話を含めてのご披露で、放映だけでは知りえないエピソードが大変面白かった。

 

 おそらく、このシリーズは、DVDとして販売されていると思われる。そこに繰り広げられた異国情緒あふれる風景は、貴重な文化遺産であろう。切り口一つで、多くの視聴者に感動を与える作品に仕上げられていて、企画や脚本のご苦労は計り知れないものである。

 手元において、いつでも鑑賞できることも素晴らしいと思った次第である。

 

 シルクロードの総集編としては若干物足りなさを感じたが、特に陸のシルクロードに対し、海のシルクロードについては、企画倒れのようであり、魅力が乏しかった。講師の方で、それでも提供された話題は、マレー半島を像に引かせて船で陶磁器を搬送したことを再現した話題、ベトナムの最南端オケオ遺跡からフランスの調査隊による、2000年前のローマ金貨の発見、ベトナムの伽羅木、イワツバメの巣の献上品等の話があった。

 

 実際にはインド、ベトナム、を経由して長安に至るルートには未だ発見されていない多くの遺跡があると推察できるが、今後、探索技術の向上や、遺跡の発見等に期待が持てそうである。日中の交流は残念ながら、ギクシャクしているが、温故知新で双方の和解が進めば、異なる展開もありうる。人類の遺産をどのようにして後継者へ伝えるか、今後の動向が楽しみである。


市民アカデミー16前期第3回目別コース

2016年06月08日 00時00分01秒 | 日記

平成28年6月7日

 

 小雨の降る中、聴講へ、武蔵小杉駅から徒歩12分の、講義会場へ向かった。このコースの開始時間は13時半であり、この時間帯は、昼食後の眠くなる時間である。そのことを講師は十分ご承知のようで、興味が湧かなければどうぞご随意にお休み下さいとのことであるが、話す内容は非常に興味深い。多くの講師は、立場上きわどい話を避けるのであるが、狼先生は、達観されているせいか、気持ちが良いほど切れ味が良い語り口で、チクリと刺す術をお持ちのようである。

 

 今回のテーマは、前回の復習と、リスク管理であった。この分野は、在職当時、日常に経験した危機管理の神髄に触れるもので、さもありなんと納得のいく話が面白い。自分も当時のことを思い出しながら、現実の世界の中に、理解できない不思議な論理のすり替えを経験し、その理由を改めて気づかせてくれた。世の中、摩訶不思議なことが行われていて、専門分野は異なるが、同様な思いをされていることに共感を得た。

 

 年齢からすると先生は一回り上のようにも思われるが、さほど年齢の開きはないのかもしれない。多くの共感の中で、お伝えしたかった点は、事務職の考え方と技術職の考え方の違いである。予算や、人事面で、現場を下に見る傾向や、命令一過、全てが回るという誤認識の管理社会、根拠のない確率の曖昧さ、定義と実行の相違、たてまえと本音、事なかれ主義による組織の身勝手さなど、現在にも通じる話で、結果としてみれば、無責任体制が蔓延してきていて、論理的な物事の理解の仕方は一般的ではないとの認識を確実にすることができた。

 

 そもそも、単純明快では複雑な世の中を渡れないのであるが、データ蓄積による多方面の分析など、時間をかけることへの抵抗感や、深い洞察力よりも人気取りの表面的な流れが、イージーさを助長してきたようで、時間の流れが、止まることを嫌う傾向に見える。実はそうではない世界の重要性をご指摘されているといえるであろう。確実性、不確実性等の論理展開から、人類は進歩したはずなのに、東京都知事の疑惑など、立場が異なると共通認識や同じ土俵でないことが明らかとなり、にわかに基盤が崩れ去ることに直面する。

 

 リスク管理についても何度か触れてきたが、起こることが予想できればその時点での対策を行わなければ、起こった後に後悔してもそれは無意味であることも教訓としていえることであろう。安全神話は騙されやすい。安全などどこにもないとの前提で対処しなければならないのであるが。かけた費用に比例するともいえ、タダでの安全など存在しないのかもしれない。


市民アカデミー16後期第5回目

2016年06月04日 00時00分05秒 | 日記

平成28年6月3日

  前回は5月20日であったので丁度2週間ぶりの講義であった。前回に引き続き、海のシルクロード第2回目であり、多分特別に企画されたのであるが、故平山郁夫画伯の奥様平山美知子氏の講義であった。美知子氏は平山郁夫美術館館長をされていて、25年前には郁夫氏とともに海のシルクロードと呼ばれる地域に同行されていて、現在、齢90歳とのことであった。

 

 今回の講義の当番に当たっていたため、講義開始前45分前には受付で資料渡しを行った。受講者の中で順番にボランティアで行う。大した作業ではないが、講義準備を参加者が行うことは良いことであろう。今日の主役は美知子氏であるが、補佐役として鈴木肇氏が司会を含め解説に当たった。当時、この旅行には美知子氏はカメラマンとして活躍され、多くはその時の撮影した写真をもとに、当時の状況の説明に当たった。行く先々で、どこからか現れる多くの民衆に取り囲まれ、郁夫氏の行うスケッチを見学していたようである。

 

 どの写真に写る民衆の顔は派手ではないが、いい顔をしている。自然の中で育つからであろうか、貧しい生活の中で生まれるきりっとした顔つきは、インド・アーリア系の顔であり、シルクロードを通じて生まれた混血であろう。仏陀像にしてもわが国に伝わるまでには多くの民族とともに礼拝され、そのご尊顔は時代や地域によって異なる表情を見せる。

 

 アフガニスタンでのバーミヤン大石仏は、アルカイダ戦士(ゲリラ?)によって爆破され、破壊されてしまっているが、1968年に訪問した時のスケッチをもとにして、2001年に平山郁夫氏によって、破壊前の大仏が描かれた。これらの絵画は、山梨県小淵沢の美術館に所蔵されている。また、法隆寺の金堂壁画の修復や、数々の文化遺産保護活動に従事されていた。

 

 現在も戦闘状態となっているシリアやトルコ等、シルクロードに関係する地域でのイスラム国によるは古代遺跡破壊行為は、止まるところを知らず、人類の尊い遺跡を宗教上の理由といって破壊することは決して許される行為ではない。

 

 我々は、今回の講義を通じて、学んだのは、実際に起こった破壊活動をこれ以上放置してはならないし、若しくは、拡大してはならない。、強制力を持ってしても、停止させなければならない。人類の平和への道のりは遠いが、どのような理由であれ、戦争当事者だけの問題ではなく、戦争へ発展する些細なことであっても、国を超え、地球上のあらゆる人類は未然に防ぐ努力を惜しんではならないであろう。


市民アカデェミー16前期第4回目

2016年05月21日 00時00分01秒 | 日記

平成28年5月20日

 

 映像の世紀が終わり、今回からは海のシルクロードが始まった。15後期で講演者であったNHKシルクロード取材団団長鈴木肇氏の再登板である。自己紹介の後、最近、莫高窟で有名な敦煌(とんこう)へゴールデンウイークを利用して見学に行ってきたことのエピソードが語られた。

 

 陸のシルクロードの後編としてNHKスペシャル「シルクロード」の後に企画されたもので、現在、中国が海洋権益を増大させていて、その政策路線に重なるようであるが、ヨーロッパへの海上交通に力を入れる事で、貿易や人の流れを作る目的のようであるが、今回の講座ではどこまでそのあたりに踏み込まれるのか興味が湧くところである。

 

 今回は、地中海のシリア沖合での古代沈没船発掘調査についてであった。その企画は、奈良県と奈良市が企画した奈良シルクロード博覧会とうまく重なり、NHKでは調査費用が出せない中、奈良県の方での予算化ができたおかげで、撮影が可能になったとのことであった。企画制作にあたった鈴木講師の弁によれば、NHKでの上層部との意見の相違等があり、DVDとして作品ができるまでには、人事問題もありで、難産であったようである。

 

 前回も紹介したが、シリアのアサド大統領との面会で、調査がスムーズにいった話や、パルミラでの日本人獣医師がもめ事を上手に解決してくれた話も出た。海中の調査は調査機器を台船に乗せて現場まで曳航し、そこから海中に潜って沈没船の荷であったアンフォラを5000個以上発掘したようである。後日の年代鑑定によると13世紀ぐらいの品で、マルコポーロが東方見聞録を書いた時代であったとのことである。

 

 海上ではロシア製の軍艦が行き来していて、シリアとの関係が良好であったのは、最近のイスラム国との内紛でもロシアがシリアを支援しており、古くからの同盟関係であることを伺わせていたとの印象が語られた。海が荒れるため、年間で、期間的にも3か月の調査しかできず、3年に上る調査であったようである。DVDへ落とせば、1時間足らずの録画であるが、多くの人材と費用、時間を要する膨大な成果である。因みに調査費用は10億円とのことであった。

 

 さりげない口調で語る鈴木氏は、こうした大事業を企画され、本人も取材班の責任者としてご苦労されたわけであるが、改めて立派な人物であることが分かった。本音で語る世界は大変面白く、90分の講義はあっという間に過ぎてしまった。


市民アカデェミー16前期3回目

2016年05月16日 00時00分01秒 | 日記

平成28年5月13日

 

 先週の金曜日にあった映像の世紀3回目の講義を受講した。3回連続であったが、最終日の割合には参加者が少ないようであった。この講師は資料がないのが毎回であり、特別な資料がなくても1時間半の講義では必要ないのかもしれない。かえって資料があるとそちらの方に目が行くし、肝心な話を聞かずに終わってしまう傾向もあるため、資料がなくても講義は進める側にとっては良いのであろう。

 

 この講師の特徴はいくつかあるが、机に座ったままで、顔が見えないため、表情はつかめなかった。持ち時間の半数は、ビデオ映像で、その取扱いがスムースでない点は気になった。ボランティアの係がいて懇切丁寧に説明しているのであるが、操作が十分でなく、講師失格の第一点である。操作が出来なければ映像係に任せばよいと思ったほどで、パソコンのボタン操作ができないのである。これに要する時間は話しを中座するため、進め方の腰を折るというのか、映像が出るまでの時間がもどかしく感じる。

 

 そもそも最近の映像は暗幕と閉じた中で行う前近代的な視聴覚機器と違って、明るい室内においても十分見ることができ、暗幕などはいらないのであるが、そこらあたりは講師の力量かもしれない。次に気になったのは、重複してものをいう癖である。同じ言葉を二度話す。強調する場合や、記憶にとどめてほしい場合に使うテクニックでもあるが、癖となると聞きずらく、何のために二度同じことを話さないとならないのか、腹が立ってくる。 さほど重要でもない事柄を繰り返す必要はないであろう。

 

 次に独断的なものの言い方をするため、専門家らしからぬ判断が気に障った点である。肩書は良いが、この程度の講師では内容の深さではなく、自らの自慢話に始終していて、肝心な論点がぼけてしまい、結局何が言いたかったのか3回連続した割には残っているものが少ない結果であった。もっとも映像の世紀というNHKの番組を見たことがなかったためか、内容にしても興味がなかったためかもしれない。

 

 現職の時には視聴覚教材に手がていたことがあり、NHKにもいろいろな場面でご協力をいただいたことがあるが、作り手の企画や脚色は、素人受けするような内容より、むしろドラマ性や、意外性を表面に出したがる傾向があったように記憶している。そもそもドキュメントなどは娯楽番組と異なり、受けを目的にするのではなく、淡々と事実を映像として送ればよいのであって、どうも視聴率が気になるのか、妙な企画・脚色が気になっていた。今回も何が言いたかったのを分からないまま終わってしまったが、講師選考のミスがあったように感じた。


市民アカデミー2016前期第2回目

2016年04月23日 00時00分01秒 | 日記

 映像の世紀第2集、大量殺戮の完成 講師河本哲也氏

 

 第1次世界大戦は二十世紀にはいてヨーロッパの各国の帝国主義は熾烈さに加え、ドイツ、イギリス、ロシア、フランスの対立があり、戦争へと発展していく。この対戦は我が国があまり関係しない世界での戦いであったため、国民の関心事は比較的薄く、日英同盟があったためか、連合国軍側に入り1914年8月23日にドイツに宣戦した。11月にはドイツ領であった青島(ちんたお)を攻撃した。1917年には日本の駆逐艦が地中海に出動して連合軍を助けている。1919年にパリ講和会議(ヴェルサイユ条約)で一応の決着を見たのであるが、1930年代に第二次世界大戦が起こる。

 

 映像の世紀ではナポレオン時代から続いてきた歩兵と騎馬軍団の肉弾戦であったが、機関銃の発明があり、戦争の方法は一変し、塹壕戦となる。塹壕を乗り越える戦車による地上戦から、海軍、空軍と飛躍的な戦争拡大へと進む過程での映像記録は、一種のプロパガンダであり、戦意を高揚する効果があった。チャーチルが話したとされるドイツ軍には、陸、海、空軍のほかに映像軍があったとの発言をご披露してくれた。

 

 この映像を作成した過程では、海外で眠っていて、上映されたことのない多くのフィルムが残されていて、戦争のドキュメンタリーとして、多方面にわたる悲惨な歴史を残している。塹壕戦におけるシェルショック(一種の精神病で、PTSD)の問題も映像を通じて明らかにされている。

 

 戦車が農業トラクターの改良版だとは知らなかったが、エスカレートする戦争は、毒ガス兵器まで続き、この連鎖反応は突き詰めれば、人の命をいかに効率よく殺すかという事であり、第一次大戦時に現代に通じるあらゆる武器や戦争方法が確立されたようである。

 

 映像を残すことで戦争の愚かさを伝える目的があるが、DVDとして完成させるには試写と修正を何度も繰り返して作られたようである。しかしながら、我が国の学校教育では20世紀に起こった多くの事柄については、ほとんど教えてこなかったとの感想を漏らしていたが、指導時間の問題や、戦争体験をしていない教師陣の在り方に対しても問題があるような気がしたが、それはともかくとして、戦争を引き起こす民族問題や、経済封鎖など意図して戦争を起こす背景も無視できない。世界人類が平和に暮らすにはあらゆる機会を使い、相互の理解を深め、お互いの立場に立った交流の必要性を強く感じた。


墓参と精進落とし

2016年04月22日 00時00分01秒 | 日記

平成28年4月20日 

 数か月前から同窓生の仲間の間で計画が進んでいた墓参と精進落としが終わった。集まったのは3人であったが、気心が知れた仲間である。墓地に近い小田急線の鶴川駅で待ち合わせ、タクシーを利用して奥さんが眠る墓地へ向かった。鶴川駅は数年前に大幅な建て替えが終わっていて、駅前のロータリーは多くの人が往来していた。学生が多い。墓地周辺は宅地開発が終わり、住宅地となっていた。住宅地のほぼ中央にある墓地は今の時代、大変珍しい。宅地開発前は、寺の敷地であった場所のようで、寺院が地権者であることで、設置が可能となったようである。

 

 静かな高台にあり、500坪ぐらいのこじんまりとした墓地であった。どの墓も10年も経過していないようで、現代風の墓石が並んでいた。まだ更地もあり、いずれは埋まることであろう。どういうわけか、中央部に更地が多かった。想像すると区画によって墓地の価格が異なるのであろう。ところどころに水場もあり、芝生が敷き詰められていた。

 

 管理人が、芝生に除草剤を散布していたが、芝生は枯れずに雑草だけを枯らす薬剤だそうである。管理人の話では、除草の注文が多くあり、この時期の作業ともいっていた。奥様の眠っている墓は御影石の立派な墓で、隣は亡き父親の墓、五輪塔であった。敷地内の管理事務所では墓参客に必要となる生花や線香を販売していて、何も持たずに墓参にきて、必要なものを購入する人が多いそうである。

 

 今までに五輪塔を見かけたことは何度かあったが、良く知らなかったのでウィキペディアで調べたところ、外国にはないそうで、我が国産ということであった。ルーツは卒塔婆(スツーパ)でインドあたりから渡来したが、密教の影響を受けたようである。本来はシャリ(遺骨)を入れる容器であった。わが国では供養塔や供養墓として平安時代に始まったとのことである。教理上では方形の地輪、円形の水輪、三角の火輪、半月型の風輪、団形の空輪からなる。それぞれに梵字を彫り込むこともあり、宗派によって若干異なっている。

 

 墓参の後は、鶴川駅前の割烹で、生前の奥様の話を交わしながらの精進落としを行った。墓からの帰りは徒歩で駅まで戻り、途中急な階段には息が切れた。すきっ腹に地酒は疲れた体に心地よく、すぐに酩酊状態になってしまった。丁度、3回忌に合わせての墓参となった。改めて、ご冥福を祈った次第である。