病院システムの重要な部分といえば術後の食事であろう。手術の程度と部位にもよるが、人体の再生能力と密接に関係し、段階を経て普通食に至るが、食事を司る部署と、担当医との情報共有が大切であることは想像できる。大学病院ともなれば、病院自らが給食可能な人員と設備を保有している。調理の前には、栄養士が介在するし、患者個々の病状にあわせる献立を工夫する必要性があろう。
実際の調理現場を見たわけではないが、入院当初、外注しているのであろうと簡単に考えていたが、食事時間が決まっているので、ほぼ時間通りには給食準備が整っていなければならないし、普通食を中心とする献立表は少なくとも数週間前には通知できていることが望ましい。つまり、病院での患者の最大関心事でもあるからである。とはいえ、患者は当然のことであるが、それぞれの病状によって、または回復状態によって、食事の種類が異なっている。その意味では出来合いでは困るし、どう考えても、オーダーメイドとならざるを得ない。
そのように考えると、大変さがわかる。つまり、献立のバラエティーをいくつも持ち合わせていないと対応できないであろう。献立は入退院が激しければ、それに応じた適切な判断と対応が求められる。担当医と密接な連絡調整ができていなければならない。従って、外注では対応が不可能と推察される。場所は異なっていても常時、患者の状況に合わせた給食サービスがシステマティックに動いていなければならない。このことは、ほぼ決まった経費の中で、食材を選択し、定時に間に合うように患者の状態にあわせて加工調理するという神業が求められているのである。
毎回、提供される食事の感想をメモ書きできるペーパーが付属していて、患者とのパイプ役を果たしているようであった。毎回のこととなると、病状によってはそう簡単ではないが、自分は、入院している間、ほぼ毎回の食事にコメントを書いたものである。どれだけの患者がコメントを書くかはわからないが、提供される食事への感謝と病状の回復は食事を通じてよくわかるものである。
食物アレルギー、糖尿病、高血圧、痛風等減塩や、食材の選択にも注意を注がなければならないが、併せてカロリー計算や、季節を感じさせる味覚ともなれば、総てがかなうことはできないにしても、何らかの工夫や努力が感じさせられる食事が多かった。
改めて、数多い病院のシステムの中で、給食システムは注視に値する得意な分野であったと感じたところである。