横綱日馬富士の幕内力士貴ノ岩暴行傷害事件は新たな展開が報道されている。頭部裂傷縫い合わせの写真である。ホッチキス(ステープラー)で9針を止める手術であったようである。頭部の裂傷は多量の出血を伴っていたことであろう。現在も現場に同席した数人の力士の事情聴取が行われているし、被害届を受理した鳥取県警からの事件全貌に及ぶ発表等は行われていない。被害者においては一刻も早い回復を願うところであるが、モンゴル力士同士のけんかにしてはどうも理由がわからず、横綱3人も同席した中での暴力沙汰は、いずれ、はっきりすると思えるが、喧嘩両成敗とはならないようである。
つまり、組織暴力的な集団リンチの様相が見え隠れしてきたからである。一種のパワーハラスメントであり、一方的な暴力行為で、いじめに通じる制裁が密室の中で行われたことが考えられる。それも相撲界トップの3横綱がいて、1名の横綱が、平幕の力士を殴打したのである。止めに入った横綱もいたようであるが、30~40発殴られたとされる被害者の言い分からすると、いつの段階で静止したのかよくわからない。つまり、被害者1名を除き、加害者は横綱1名ではなく、同席した全員が加害者とも考えられる。しごきであり、かわいがりといわれるいじめは、国技といわれて久しい相撲の世界に現存しているのである。
俸給をもらう戦士は番付という力士の上下関係で、横綱を頂点とする階級社会を作り出している。そこには人権すらない世界といわれていて、上位のパワーで消えてしまっているようである。決して一般的なスポーツの範疇ではなく、旧態依然とした親方をトップにした部屋別のギルド社会で、職人力士集団が勝負の上に成り立っている。多かれ、少なかれ、○○道と称する我が国の武術は、以前にもクラブ活動によるいじめについて述べたところであるが、しごきは当たり前のこととなってきた。
相撲の対戦相手は二日前に非公開で、上部組織で決められ、一部の境界執行部の役員が決めている。誠に恣意的であり、決してフェアーな取り組みでないことは承知の事実である。トーナメントやリーグ戦ではないことで、相撲ファンを意識した一種の興行であることは疑いようがない。
相撲界の不祥事は今回が初めてではない。今回は集団リンチという側面があり、決して見過ごすことはできない。一層のこと数場所を取りやめにし、協会の人事を刷新し、リンチを行ったすべてのモンゴル力士の解雇を視野に入れた懲罰を行わなくてはならないであろう。白鵬の介在も闇の中である。協会のガバナンス力はいずれ暴露されることであろう。