肺の機能が落ちることの影響は、貧血である。血液中の酸素濃度が低下し、正常を100とすると90~98等と数値で測定できる。簡易な測定器(パルスオキシメーター)もあり、手の指の爪の上から測定でき、おそらく血液の発色の程度;酸素飽和度(酸素に結びついたヘモグロビンの比率)を数値化しているのであろう。通常は96以上のようで、これ以下だと貧血と診断される。入院が決まり、担当医師(主治医)から診療方針を告げられた。
処置は、点滴による炎症の鎮静化と、酸素吸入による直接の吸入である。初日は、服用する抗菌薬(抗生物質)が供された。8時間おきに行う抗菌剤の点滴が施された。初日は特に変化はなかったが、翌朝、胸の痛みを感じ、ナースコールを行った。意識が遠のき、1分以内で意識は戻ったが、胸部には、心臓の動きを測定する心電図測定器具が取り付けられた。ナースステーションに待機していたスタッフが集まり、すぐに簡易型の心電図測定を開始、心電図波形データを取る。担当看護師は瞳孔の目視も行っていた。
しばらくして再度、胸が引き絞られる発作が到来し、ナースコールを押した。意識が遠のき(失神状態)、再度、心電図測定が行われた。ちょうど連休の中日であったため、このときは、看護師から宿直の医師へ情報を伝えたようであるが、意識はすぐに戻ったため、特段それに以上の処置はなかったが、翌日になって、早朝からの点滴は、点滴落下速度を遅めにし、血圧の変化を見ながらの作業となった。点滴が終り、体調の変化はなかった。
11時に次の点滴が行われた。点滴が終わり暫くすると昨日と同様に胸の痛みが発生し、すぐにナースコールを行ったが、このときは、ナースルームでも分かったようで、脈拍が極端に落ち、1分間に20回までいかなかったようであった。4回目の発作である。すぐに循環器内科の医師が、心臓超音波検査を実施した。担当医師の方で状況の分析と、今後の対策が協議されたようで、担当医からの説明があった。
原因を特定できないとしながらも、失神の原因として点滴に混入した抗菌剤については取りあえず中止とし、循環器科の医師との相談の結果、心臓にカテーテルを挿入し、心臓の状況を確認するペーシングが必要とのことであった。直接、循環器科の医師から説明を受け、施術のデメリット・リスクも告げられたが、その前の段階として、心電図測定器を24時間胸部に装着するホルター心電図を行うこととなった。これは、体表面に電極を添付し、24時間心電図を記録する。自覚症状のない血管の攣縮の心電図変化をチェックするのである。翌日、データの解析結果に基づき、担当医及び、循環器科の医師から、冠攣縮(カンレンシュク)性狭心症であることが告げられた。血液検査の結果、肺炎の炎症は治癒に向かっており、翌日の退院が決まった。あとは処方された狭心症の薬の服用と自宅での治療ということになった。