人は、考える葦である。天は自ら助けるものを助ける。

戦後の混乱から立ち上がり、文化的平和な国に成長した日本が、近頃反対の方向を向き始めた。偉人の言葉を考え直して見たい。

人は考える葦である 第6章  地上の楽園

2020-12-17 20:56:17 | 随筆
 私が逃げ込んだ施設は生活支援付きマンションでした。でも入居の時は自立していることが大事な条件です。しかし、入居したその日から生活支援に対する高額な費用を支払うことも条件となっています。介護が主となる施設は、それなりの生活のできる部屋が準備されていますが、マンションは、しっかりしたマンションの形態ですから、家賃も高額ですし、自室のほかの利用施設にも恵まれています。

 ところが私の最も期待した食事の内容は、今迄経験した病院の食事に比べると、価格では高額にも関わらず、それに似あったものでないことに落胆させられました。誰もが複数の施設を経験できるわけでないので、同じような老人向け施設の食事を知る由もありません。もちろん調理している人の費用も含まれますが、それが、生活支援をしている方々全体を含むように考えられます。

 食堂に行くと、杖をつく人、押し車を押してくる人、車いすで運んでもらう人が目立ちました。元気な方もいらっしゃいますが、お部屋に膳を運んでもらう人もいます。私は自立しているので、その方々よりは、係の方の手は煩わしませんが、多くの元気な方は食堂を使わず自炊をなさっているようです。自炊をするしないで大きな負担の違いがあります。

 食堂の入り口にあるロビーでくつろいでいると、人の動きが多いことに気が付きます。車を押して歩いている人が、お迎えの人の車で出かけます。デイサービスか病院などでしょうか。元気な人は近隣を巡回するマンションのバスで出かけます。週二回は遠くのショッピングセンターに行けるので、自炊している人の良い足になっているようですが人数に制限があり、早々と申し込まないと行けません。

 その他掃除をする人、看護師さんの動きもあります。ほんとに世話を受けている人が多いのだと感じますが、その方々は、入居の時は自立していたのだろうか、いつからあのようなお世話を受けているのだろうかと思わせられます。ご夫婦で食事し、どちらかが認知症なのかと感じる人もいます。一人で認知症の方は特別食を調理してもらっているようです。看護師さんはまだ利用しないのでわかりませんが家に訪問して仕事をしているようです。

 いろいろサービスがあるようなのですが、コロナの影響か、集まって楽しむ事は殆どなくなって、実際にあるのは日曜の映画、簡単な運動タイム、温泉水の浴場、送迎バスぐらいです。この時期に入ったのが、たまたま世の沢山の方々のコロナによる不運との遭遇同様に諦めることなのかもしれません。突然の降雪でも、雪かきの心配はないし、外出の制約で家にいることが多い生活だと知人との交流も途絶えて感染の予防にもなります。もちろん、食堂でも友達はできませんし黙々と食べているような状態です。

 さて食事ですが、入って間もなく、すぐ飽きてしまったので、食事の統計を取ってみました。初めに感じたのは、魚の切り身が、調理を変えて何回も出てくることでした。肉は鶏肉が多く牛肉はないに近い位です。ごはんは常に白いご飯で、炊き込みや混ぜご飯など、手間がかかるせいか頂けません。麦ごはんととろろが昔懐かしいメニューです。だから炒飯はとてもおいしかったです。もう2か月近くなりこれから年末年始を迎えますが、どういったメニューになるのか、あまり期待はしない方がいいのかと思います。メニューで感じるのは、調理のパターンが決まっていることです、見ただけで「あ、これはこの間も出た」というようなサンプル化していることです。サンプルを組み替えて忘れないうちに出すのは、調理の工夫ではなくサンプルのローテーションではないかと考えてしまいます。これでは、飽きるのが当たり前です。しかし、出されるものに文句を言うのは不遜だろうと言われそうにも思います。戦時中、欲しがりません勝つまではというスローガンで老いも若きも苦労した時代を思い出します。一寸の虫にも五分の魂ということもあります。作る人の苦労や働く人の手当てなど必要とは思いますが、値段にあった、新鮮な野菜を食べたい思いです。品物がなくなると冷凍と思われる同じ代替品がその度出ます。栄養のことを考えると残念です。他にも冷凍の加工品と感じることもあります。食べる側で、作る方の栄養士さんコックさんの言い分は分かりませんが、ものの言えない立場の弱さをひしひしと感じます。

 建ててから18年経っていますので、同じ栄養士さんコックさんでやっているとすればマンネリ化も視野に入ってきますし能率優先で利用者軽視ということもあるかもしれないと思います。時々一斉に交代するという例もあるのではないでしょうか。入居してからまだ少しなのですが、お互いにざっくばらんに話すことがないので、この場を借りて感想を述べました。入居者の集まりもコロナでなくなったというし、施設にとっては思い通りに進められるのではないでしょうか。